平成24年9月 決算特別委員会総括質疑(2014.9.29)
○甲田委員 平成24年第3回定例会決算特別委員会に当たりまして、公明党議員団の立場で質問をさせていただきます。初めての総括質疑です。一生懸命行いますので、理事者の皆様におかれましては、明解な答弁をよろしくお願いいたします。
質問の順番は通告どおりですので、早速質問に入ります。
1. 防災・震災対策について
1番、防災・減災対策について。まず初めに、
(1)被災者支援システムについて お伺いいたします。
被災者支援システムは、住民基本台帳をもとに被災者支援に必要な情報を一元管理し、災害時に一刻も早く被災者の生活再建を支援するために大事な仕組みです。公明党は、このシステムの導入、全国の自治体への普及を推進してきました。我が会派も、昨年の第2回定例会において、やながわ幹事長が、兵庫県西宮市で開発した被災者支援システムを挙げて、中野区としても導入をと質問し、区は「十分に調査をしながら検討する」との答弁をされておりました。そして、平成24年3月に、来るべき大震災に備えた中野区の具体的な取り組み、中野区地域防災計画改定に向けて(案)の中で、被災者支援システムの導入を検討するとうたわれておりました。そこで伺いますが、その後、被災者支援システム導入への準備はどの程度進んでいますか。東京都が推奨しているGISを活用した罹災証明発行システムについて、先行実施している区はありますでしょうか。あわせて伺います。
○佐藤都市基盤部副参事(防災・都市安全担当) 速やかに被害の状況を調査・把握し、被災者及び被災者の家族に関する情報等を集約した被災者台帳を整え、各種の生活支援や都市復興につなげていくためには、拡張性のあるシステムの導入が必要であるというふうに考えております。
現在、情報システム、住民記録、罹災証明の発行、都市計画等の関連部署と検討を進めている段階でございます。先般、都の実施いたしましたシステム運用デモンストレーション、目黒区でございましたが、それに対しても見学をし、研究を進めているところでございます。
なお、東京都の推奨しているシステムについての先行導入を予定している区でございますが、中央区、新宿区、豊島区が先行して導入する予定であると伺っております。
○甲田委員 導入時期の目標は、いつごろでしょうか。
○佐藤都市基盤部副参事(防災・都市安全担当) 現行では、都が推奨するシステムにおいても、システムの内容自体についてですが、被災地での教訓であるとか東京都に固有の課題等を反映し、随時更新がなされている状況であるというふうに聞いております。また、先般、京都の宇治市の水害でこのシステムが試行的に活用されたということも伺っております。それを機に、水害等における対応も新たにシステムに反映されているということで、随時システムの見直し、バージョンアップが図られているという状況だというふうにも聞いてございます。こうした状況や先行導入区の運用状況も確認しながら、適正な時期を見きわめ、導入について考えていきたいと考えてございます。
○甲田委員 このシステムは、被災者の安心と復興支援のために早期に導入すべきと考えます。災害時には、被災者に迅速な支援を行わなければなりませんが、そのために行政が行うべき業務の一つが罹災証明の発行ではないでしょうか。被災者は、罹災証明が発行されなければ、行政サービスの申請ができないからです。東日本大震災において、石巻市では、罹災証明の申請から交付まで2、3カ月待ちだったそうです。罹災証明を出すに当たり、市の職員60人体制で、約6万1,000世帯を周り、住宅の被害状況を目視したといいますが、追いつかず、罹災証明の発行が遅れ、被災者は義援金など現金を受け取れずに、身動きが取れない状態が続いたといいます。罹災証明発行には、住民基本台帳、家屋台帳、被災状況という三つのデータベースを確認・照合する必要があり、従来の仕組みではこれらが別々に存在するため発行に時間がかかり、長蛇の列ができたといいます。被災者支援システムは、情報を一元化しますので、この罹災証明の発行に至るまでの手間を大幅に削減でき、業務をスムーズにすることができます。全国各地で多くの自治体が導入準備を進めていると聞いておりますが、中野区が平成22年に区内全域で現地調査をし、住居表示台帳を電子化されたと聞いています。中野区がこのようなデータを持っているということは、情報の正確性も充実しており、この被災者支援システムに向けての大きなワンステップとなっているのではないでしょうか。当然、個人の情報の一元化ですから、それぞれの情報ごとに担当部署もまたがっております。部署を越えて、横断的に進めなければならないことと思います。早急に、導入に向けた特別検討会というものでも設置をして、スケジュール化していくことが必要ではないでしょうか。御見解を伺います。
○佐藤都市基盤部副参事(防災・都市安全担当) 被災者支援システムを実効性のあるものとして導入するためには、被害状況の調査や認定、あるいは罹災証明の発行、被災者台帳を活用した生活再建、都市復興等の全体にわたります整理、基本方針を定めていく必要があると考えてございます。東京都において、今年の7月に罹災証明発行等にかかわる一定のガイドラインというものも示されております。ガイドラインとして示されたのでございますが、なお、内容的にはまだまだ検討課題とされているところも多くあるというふうに認識してございます。そういった点を踏まえまして、整理をしていきたいというふうに考えてございます。
また現在、先に述べました関係部署と検討会として立ち上げてございます。今後、その都のガイドライン等も参考にしながら、区として考えを取りまとめ、システム導入に向けて着実に検討を進めてまいりたいと考えております。
○甲田委員 いずれにしましても、このシステムが構築されないうちに大災害が起きた場合、木密地域の多い中野区は大変な混乱が生じることは間違いありません。区民の安心のため、ぜひとも早急な対応をお願いして、この項の質問を終わります。
次に、
(2)地震保険の普及啓発について 伺います。
地震により家が倒壊した場合の被災者の行政の支援策はどのようになっていますか。貸付金を除き、住宅に関するものでお答えください。
○佐藤都市基盤部副参事(防災・都市安全担当) 居住する住宅が全壊するなど、生活基盤に著しい被害を受けた世帯に対しまして、住宅の被害程度や住宅の再建方法に応じて支給する被災者生活再建支援金でありますとか、被災者住家にかかわる応急的な修理を支援する応急修理制度があると受けとめております。
○甲田委員 いずれにしても、それらの支援策では、家が1軒建つというものではないと思います。まさに被災者は自分自身で再建しなければならないところが大きいと言えます。大規模災害の場合には、役所自体も被災し、支援策を行政に何もかもゆだねるということはできないのが現状です。そうしたことを考えたときに、私は地震保険は大変に有効な個人の備えになり、多くの住民が地震保険によって復興に向けての意欲が出てくるのではと思います。今回の東日本大震災で分かったように、あのような大規模で広範囲な地震災害であっても、地震が原因であれば、各社とも保険金を支払いました。東日本大震災において、全体で1兆500億円以上の保険金が支払われたそうです。地震保険は、地震保険法に基づくもので、政府と保険会社が共同で運営をしている公益性の高い保険です。保証内容や保険料はどの会社も一律となっており、地震保険部分は保険会社には利益がほとんどないものとなっています。そのため、一種の社会保障制度とも言えるのではないかと思います。一番大きなことは、地震保険は義援金などと違って罹災証明とは関係がありませんので、保険会社が調査に行くことができれば、原則30日以内に保険金は支払われることになっています。東日本大震災では、社団法人日本損害保険協会内に災害中央対策本部が設置され、相談窓口も強化したとのことです。割引制度や保険料控除の制度もあり、賢くかけておく区民が増えれば、混乱時に少しでも早く民間の支援が届くこととなります。区民の生命と財産を守る自治体の立場からいっても、この保険制度は大事なことではないでしょうか。
最近は、全国の多くの県や市町村の自治体で、地震保険加入のための普及啓発の取り組みを進めております。耐震診断・耐震改修の促進計画の中に地震保険の普及啓発について盛り込んでPRし、取り組んでいく自治体もあります。保険料率算出機構によれば、東京都の地震保険加入件数は、火災保険に加入している方のうち、地震保険をセットにしている契約が今年度初めて50%台になったということです。そこで私は、区としても積極的に地震保険の普及啓発を行ってはどうかと考えます。例えば、日本損害保険協会の協力を得るなどして、少しでも多くの区民に災害時の備えの一つとして加入促進できるよう啓発していくことが重要なことと考えますが、いかがお考えでしょうか。伺います。
○佐藤都市基盤部副参事(防災・都市安全担当) あくまで自助の取り組みの一つと考えますが、自助の取り組みの一つといたしまして、他の自治体の取り組み事例なども参考に、地震保険の普及啓発等についても検討していきたいと考えます。
○甲田委員 ありがとうございます。次に、
(3)非常災害時救援希望者に対する支援について 伺います。
大地震の際に要援護者をどのように助け出すか。訓練なども大切ですが、まずはこの方々により安全な場所にいていただくことが重要です。この春から夏にかけて、私は地域でミニ防災セミナーを開催してまいりましたが、その中で、御高齢で自力で逃げることが困難と思われる方々の中には、自宅の家具の転倒防止策ができていないという方が少なくないと感じました。突然の地震のその瞬間に家具が倒れてきたら、一瞬で下敷きとなり、助ける側も一人や二人では助け出せないこともあるとのことです。特に、木密地域では、火災の火の手が迫り、助ける側が危険な場合には、最悪の事態となります。災害弱者の方に支援が届く自助・共助の事前の備えが必要です。
そこでお伺いしたいと思いますが、まず中野区の非常災害時救援希望者登録制度の概要について簡単に御説明をいただけますでしょうか。
○佐藤都市基盤部副参事(防災・都市安全担当) 災害が発生した場合に、自力で避難することが困難な高齢者、障害者などにあらかじめ登録していただきまして、地域の方が中心となって安否確認や避難の支援に当たるものとなってございます。対象となるのは、自力で避難することが困難な65歳以上の方、身体に障害のある方、知的障害のある方、難病の認定を受けている方、精神障害のある方となってございます。
登録された方の名簿につきましては、地域防災会、区民活動センター、警察、消防に配備し、災害時の救援活動に活用することとしております。
○甲田委員 現在、災害時救援希望登録者は、区全体で何人いますか。
○佐藤都市基盤部副参事(防災・都市安全担当) 平成24年9月1日現在で894名が登録されてございます。
○甲田委員 全体として、救援希望者が、登録が少ないと感じます。お隣の杉並区では、希望登録者は8,000人以上いるそうです。このことについて、なぜこれほど差が出ているのでしょうか。伺います。
○佐藤都市基盤部副参事(防災・都市安全担当) 杉並区においては、地域の助け合いネットワークというものが実施されていると聞いてございます。この制度も、中野区の登録制度と同様に、災害時に高齢や障害などにより自力では困難な方が、地域の方々に支援をしていただいていると伺ってございます。杉並区の場合は、対象となる可能性のある方というのは、介護保険の認定を受けている方、身体障害者手帳をお持ちの方、愛の手帳をお持ちの方、精神障害者保健福祉手帳をお持ちの方、これらの方に制度の周知を行っているというふうに聞いてございます。
中野区では現在、災害時における要援護者への対応をより確実なものとするため、平常時の見守り、支えあい活動にかかわる情報等を災害時の対応に応用することを踏まえまして、地域防災会、町会自治会、区等の役割を整理し、地域として制度の一体的な運用を図ることができるように検討を進めてまいります。
こうした取り組みを通じまして、必要な方への支援が行えるように努めていきたいと考えております。
○甲田委員 杉並区にかかわらず、他の区では、ホームページにこの災害時希望救援登録制度の登録方法だけではなく申請書が記入見本までついてアップされているところが多くあります。中野区では、ホームページに対象者と申請先の記載はありますが、申請書がダウンロードできるような形にはなっておりません。区報、ホームページなどより多くの区民が目に触れるところに置いて、申請の仕方、書き方がわかるよう工夫していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○佐藤都市基盤部副参事(防災・都市安全担当) 区のホームページにおきましては、申請書自体は載ってございませんが、事業案内とともに電子申請ができるよう御案内をしているところでございます。なお、よりわかりやすい周知ができるよう、今後も工夫をしてまいりたいと、このように考えてございます。
○甲田委員 電子申請だけではない、わかりやすいものにしていただきたいと思います。そして、この救援希望登録者というのは、災害時には助けてほしいと言っている方々です。この方たちの情報を防災会に渡すというだけではなく、全員の方の家の中が安全な状態なのか、まず確認をしておかなければならないと思います。例えば、救援希望登録者の御自宅の家具の転倒防止策はなされているのか。されていないお宅には区のサービスを御案内するなど、具体的な支援をすべきと考えますが、いかがでしょうか。伺います。
○佐藤都市基盤部副参事(防災・都市安全担当) 災害時に支援の必要な方こそ、平常時からの自助の取り組みが災害から身を守るために非常に重要であると考えます。そのため、申請時など機会をとらえて、現状を確認したり、家具転倒防止等、事前の備えに関する制度の紹介等を今後行ってまいりたいと考えます。
○甲田委員 その上で、今後は、申請書に家具転倒防止がなされているのかのチェック欄を設けておけば、申請と同時に確認をすることもできると思います。ぜひ一人の犠牲者も出さないとの思いで取り組みを開始していただきたいと思います。
次に、
(4)避難経路について 伺います。
屋外の避難経路については、自治体が周辺の地図を含めた案内図、または一時集合場所や広域避難場所の方向を示す標識を設置している場合があります。
そこで伺います。現在、中野区は、避難所や広域避難所に行く避難経路というものについては、どのようなお考えを持っていらっしゃいますでしょうか。
○佐藤都市基盤部副参事(防災・都市安全担当) あらかじめ避難経路を定めるという考え方はしてございません。避難所等につきましては、防災地図やホームページ、また、地域に設置しております街頭消火器、あるいは地図付きのサインなどにも表示をしてございます。自宅からの安全な避難経路というものは、発災時の火災や建物の倒壊、風向き等によりさまざまであり、各自が状況を判断していただきまして、まずはその時点で安全な方向、安全な避難ということを考えていただきたいというふうに考えてございます。
○甲田委員 避難経路をあらかじめ指定はできないということは、当然であると思います。区内ほとんどの地域が住宅密集地です。私の住む上高田も火災危険度の高い木密地域ですが、あるシミュレーションによれば、もし地震により火災が発生し、消防活動ができなければ、上高田1・2丁目が数時間ですべて燃え尽きてしまうとも聞いたことがあります。有事に区民の命を守る姿勢として、区として何らかの具体的な検討をしていただきたいという声があります。その声にしっかりとこたえて、どうしたらより安全に区民が避難所に行くことができるのか、その経路についても責任ある姿勢で、真剣に考えていただきたいと思います。
最近、東日本大震災の教訓を受け、津波の被害から住民を守るため、避難経路をつくり、訓練を行う自治体も増えてまいりました。私たちの住む中野区は、津波ではなく、火災の津波となるかもしれない地域です。火災はどこで発生するかわからず、避難場所や広域避難場所への道が絶たれる可能性もありますので、その場に応じた各自の判断で、より安全なほうへ逃げるというのは当然です。区内に6,000カ所以上ある街頭消火器には、各地域の避難所は記載されております。しかし、矢印もなく、文字だけでは、どの方向に進んでいけばその避難所があるのかわからない方もいます。避難所の近くに住んでいる人はわかっても、最近転入された方や地元出身ではなく、駅と自宅の往復しかしない方、また、地域住民でない方がたまたまそこで被災した場合の帰宅困難者にも知らせることが必要です。そのためにも、せめて避難所や広域避難場所の周辺において、通学路の範囲のようなイメージで比較的大きな通り沿いに適当数の避難経路表示が必要ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○佐藤都市基盤部副参事(防災・都市安全担当) 避難所、広域避難場所の方向、位置等の表示につきましては、どのような表示が可能なのか、どのような表示がふさわしいのかなど、今後検討してまいりたいと考えます。
○甲田委員 また、個々の防災力を高める手だてが必要だと思います。平常時から一時集合場所及び避難所へ向かうまでの道は、危険な道を避けるよう、各自が避難経路を考えておくことが大事だと思います。そのために、防災会ごとに点検を行ってもらい、それに対し区が支援するということであってもよいのではないでしょうか。例えば、それぞれの地域防災会の方が自分の地域内を点検し、地図に落とし込み、その防災マップをその地域の住民に配付するととてもよいと思います。中には、既に防災マップを作成している地域もあると伺っております。
ここにある区のある地域がつくった防災マップがあります。非常にわかりやすくできております。これは、一つの町会だけの地図を、その地域防災会の方々が歩いて点検し、作成をしたそうです。木密地域ですので、広い道は色をつけて示すなど、工夫がされております。行きどまりや消火器、公衆電話の場所なども記されております。また、危険なブロック塀や古い建物、自動販売機など、各自でチェックして書き込みましょうと呼びかけております。こんなものがあれば、玄関などに常に張っておいて、いつでも確認ができると思います。こういったマップ作成に対する支援を行ってもよいと思います。例えば、各防災会が作成したものを、区のホームページの防災のカテゴリーからダウンロードできるようにするだけでも区民は大変助かりますし、区として区民の安全確保が進むのではないでしょうか。お考えを伺います。
○佐藤都市基盤部副参事(防災・都市安全担当) 防災倉庫、活動拠点や避難所、あるいは防火水槽の位置等、防災の基盤となるものを記載した地域ごとの防災マップの作成については、地域の防災力の向上につながるものと考えております。地域の方が確認された情報の反映等も含めまして、地域防災マップの作成支援について、今後検討していきたいと考えます。
○甲田委員 避難路に関しては、個人や地域防災会にお任せというのではなく、できる限りの支援をすることで区民の不安は軽減されるものと思いますので、ぜひ積極的な取り組みをお願いいたします。
次に、
(5)被災地復興支援について 伺います。
中野区では、昨年7月から、宮城県内の被災自治体へ職員を長期にわたって派遣していることは大変評価されるものであります。派遣職員として現地で活躍されている皆様には、改めてお礼を申し上げたいと思います。昨年来、我が会派では、3.11という未曽有の大震災の記憶と記録を絶対に風化させてはならないと訴えてまいりました。そのために、この被災地派遣の職員の貴重な記録もしっかりと残すようにとお願いしてまいりました。
そこで、派遣職員の状況について、幾つか伺いたいと思います。
現地には、いまだがれきが残っていると聞いております。復興住宅も着工できた自治体は、依然として数が少ないと伺っております。復興には今後まだまだ時間がかかると思いますが、中野区はいつごろまで復興支援を行うといった見通しをつけているのでしょうか。相手の自治体のことを考えると、職員が腰を据えて支援ができるように考えるべきではないかと思いますが、お考えを伺います。
○高橋都市基盤部副参事(生活安全担当) 中野区では、昨年度に引き続きまして、年度当初から宮城県の東松島、亘理、岩沼、石巻の3市1町に11名の職員を派遣いたしましたが、このうち9名は、中野区と派遣先の自治体との間で、地方自治法にもとづき1年間を通じ派遣する旨の協定を結び、派遣を行っております。区としては、1年間、職員を固定し、現地の業務に専従させることで、1日も早い復興のため、より効果的に貢献できているものと考えております。また、来年度以降の派遣につきましては、本会議において区長から御答弁申し上げておりますが、各自治体において住民の集団移転、地元産業の再生等さまざまな課題に向けて復興業務がまさに本格化していく中で、区として来年度においても現在の職員派遣の枠組みを維持し、復興をともに担っていきたいというふうに考えているところでございます。
○甲田委員 ありがとうございます。私も何度か被災地に足を運びました。がれきのすごさを目に焼きつけてきましたので、現地ではいまだ心身ともに過酷なお仕事もあるのではないかと思っております。8月のある新聞に、被災生活の過酷さについて書かれた記事を目にしました。被災3県で震災関連死も増え続けているそうです。本年7月、岩手県陸前高田に派遣されていた盛岡市の若い男性職員が首をつって自殺をしていたとの記載もありました。地元自治体もぎりぎりのところで頑張っていらっしゃる状況ですが、派遣職員もきっと慣れない土地で一緒になって懸命にお仕事をされているであろうと、胸が痛くなる思いがしました。
そこで何点か伺います。現地に行っている職員の活動状況は私たちのところには聞こえてきていませんが、その職員が全員元気に活動しているのでしょうか。伺います。
○高橋都市基盤部副参事(生活安全担当) 派遣職員につきましては、毎日の業務報告を受けるほか、月1回、中野区へ帰庁報告のため戻った際には面談する機会を設けるなど、円滑なコミュニケーションの確保に努めております。そうした中で、職員の健康についても、こちらのほうでチェックをしているところです。派遣職員は、仕事におきましても、また、生活の面でも不慣れな環境で過ごしておりますが、復興の最前線にいることを非常に意気に感じておりまして、少しでも貢献できるよう努めながら、ただいま全員元気に活動しております。
○甲田委員 ありがとうございます。自衛隊や警察では、職員のメンタルケアが大事な課題となっております。中野区では、復興支援に行った職員、特に長期で行った職員のメンタルケアは行っているのでしょうか。
○角経営室副参事(人事担当) 平成24年度新規派遣するに当たりまして、職員に対して3月にメンタルヘルス研修を受講させてございます。また、今年の8月に長期派遣されている職員に対しまして、チェックリストによるストレスチェックを行ってございます。なお、このストレスチェックの内容につきましては、保健士、臨床心理士が確認を行っております。今後も十分なメンタルケアを行っていきたいと考えてございます。
○甲田委員 メンタルな部分では、リフレッシュも大切であると思います。休養が取れているか、また、要望などに耳を傾ける等の配慮もしていただき、被災自治体とのきずなをより固くしていけるよう努めていただきたいと思います。
その上で、現地での業務を通じて、中野区の今後の区民の安心・安全のために生かせるものをきちんと残していただくよう、我が会派としても訴えてまいりました。
そこで、この項の最後に伺います。派遣職員の貴重な活動、体験記録を今後の区政に生かすことが非常に大事だと思っておりますが、現在までに職員からどのように報告を受けていらっしゃるのでしょうか。また、その報告を聞かれて、上司としてどのように感じていらっしゃるのか、お聞かせください。
○高橋都市基盤部副参事(生活安全担当) 派遣職員につきましては、先ほど申し上げました日常の業務報告、月1回の帰庁報告のほかにも、1年間の派遣任務が終了した後には、年間を通じた活動報告をまとめてもらうこととしております。これまでさまざまな機会に派遣職員から報告を聞いて感じますことは、派遣職員が現地の皆さんとの交流を通じ経験した思いを私どもに真摯に話してくれる中で、一人の職員として通常では得られないような貴重な経験をしているものと、その点を強く感じております。今後も派遣職員一人ひとりがそれぞれ果たすべき任務を通じ、より大きな成果を上げ、1日も早い復興に貢献できるよう、しっかりと支援をしてまいりたいと存じます。
○甲田委員 よろしくお願いします。千年に一度とも言われた大震災の後の被災自治体への派遣職員としての業務や生活、体験した思いなどを記録すること、後世に伝えゆくことはむしろこれからが本番であり、正念場となるのかもしれません。その思いの部分では、ぜひ議会にも区民にも見える形で報告をいただけることを期待して、この項の質問を終わります。
この項のその他として、1点伺います。
地震発生時の小・中学生と保護者の対応について伺います。
小・中学生が学校内にいるときに、震度5強以上の地震が発生した場合は、児童・生徒は勝手に帰らせず、保護者への引き渡しとなっていると思いますが、その場合、保護者との連絡方法や引き取りに行く人なども決めていると思います。地震発生の場合、徹底している内容を教えてください。また、その徹底方法を教えていただけますでしょうか。
○川島教育委員会事務局指導室長 現在、中野区の各小・中学校においては、災害が子どもたちが学校にいるときに発生した場合はもちろんですが、登下校時に発生した場合、それから、警戒宣言が発令された場合などの対応について、年度当初に各学校が保護者に周知をしているところです。また、災害時の学校からの情報提供については、NTTの災害伝言ダイヤル171で確認できるように周知を図っており、一部の学校では、防災訓練の一環として取り組んでいるところです。
○甲田委員 ある区では、地震発生時の学校や保護者の対応の仕方を掲載した防災ミニマニュアルをつくり、児童・生徒本人と保護者に同じものを1冊ずつ渡していました。また、児童・生徒には常時携行させ、学校では2カ月に一度必ず持っているかどうかの確認をしているそうです。学校によっても違う場合があるということですので、保護者に徹底したつもりでも、記憶が薄れていき、いざという時に混乱するおそれもあります。こういった工夫で子どもの安全確保に努めることも大切と考えますが、いかがでしょうか。
○川島教育委員会事務局指導室長 携行型の対応ブックにつきましては、私も見せていただきましたが、地震発生時の対応方法などについてはさまざまな事例があるかと思いますので、それを総合的に検討していきたいというふうに考えております。
○甲田委員 ちょっとよくわからなかったです。もう一度お願いできますでしょうか。
○川島教育委員会事務局指導室長 携帯型の対応ブックにつきましては、地震発生時の対応方法などについて示されております。それは実際見せていただきましたので、各自治体でいろんな工夫がされているかと思いますので、それらを参考にして今後検討していきたいというふうに考えております。
○甲田委員 ぜひ子どもの命を守るために、工夫をよろしくお願いいたします。