次に、3番、子どもから若者に対する支援について伺います。
まず、発達障害等の個人を切れ目なく支援することについて伺います。
近年増え続けていると言われる気になる子ども、いわゆる発達障害を持つお子さんの支援について伺います。
知的や身体の障害は、特別学級やその後の特別支援学校や施設、福祉作業所への入所等、比較的流れができております。しかしながら、発達障害がある方については、支援が必要であるにもかかわらず、個別の支援とともに成長過程に応じた切れ目のない移行支援をしていくには現状まだ課題があるのではないかと思っておりますが、いかがでしょうか。伺います。
○黒田子ども教育部副参事(子育て支援担当) 現在、発達支援障害についての支援でございますが、区では、乳幼児期は療育センターアポロ園を中心に、通所支援や保育園などの巡回相談事業を行っております。小・中学生期には、個別支援計画会議を行いまして、関連機関の支援の情報の共有や引き継ぎなどを実施しているところでございます。子どもの年齢が高くなるに連れまして、求められる支援の質も変化し、それに応じた対応策も多様化しているというふうなことについては認識をしているところでございまして、区としても国や東京都、また民間機関の支援なども活用しまして、継続した支援を推進していきたいというふうに考えております。
○甲田委員 私は、一番最初の大事なつなぎは、言うまでもなく、小学校入学時だと思っております。発達障害は早期発見が大事と言われておりますが、実際には小学校に上がってから、集団生活の中で、その差は顕著になってきます。小学校新1年生の担任の先生は、発達障害に限らず、子どもが集団行動になじむまでの間に差があり、大変御苦労されていると聞いております。いわゆる小1プロブレムですが、先日、ある学校の先生から、保育園や幼稚園の年長さんには、ぜひ入学前に小学校に来て授業を見学していただきたいとのお話がありました。現在、幼稚園、保育園と学校、または保護者に対して連携をとる御努力をされております。そのことは非常に大切ですが、当事者である児童本人が実際に行ってみて、学校の授業がこんな感じなんだというのを見学してもらうと、入学までの心身ともの準備が違ってくるというのです。百聞は一見にしかずです。小1プロブレムを解消する一つの方法として、まずは学校の授業見学は大切なことと思いますが、いかがでしょうか。
○川島教育委員会事務局指導室長 学校の様子を広く区民に公開して教育活動を知っていただくことは、いわゆる小1プロブレムの解消だけでなく、学校の教育活動を御理解いただいて、地域社会に信頼される学校づくりを進める上でも大切なことだというふうに認識しております。
○甲田委員 ありがとうございます。具体的には、土曜日の公開授業がありますので、夏休みが終わった秋ごろに、気軽に見学に行くというスタイルでよいかと思います。既に親子で来られている方もいらっしゃるようですが、全員の親子にできるだけ来ていただきたいと先生方は思われております。それには「ぜひ行ってみてください」という呼びかけが必要です。学校の負担にならない形で、学校との相談をしながら、区として働きかけをしていただければと思います。教育委員会のお考えを伺います。
○川島教育委員会事務局指導室長 学校公開につきましては、現在第2土曜日にすべての小・中学校で学校公開を行っております。その日程につきましても、教育だより、また、その他の方法において区民の皆様に周知を図っているところですが、各学校からも、地域の幼稚園や保育園に対して積極的に広報をするように働きかけていきたいというふうに考えております。
○甲田委員 よろしくお願いいたします。その上で、発達障害の早期発見の問題も重要です。臨床心理士巡回等による発達の相談などを通して、発達障害があるとされていても保護者が認めないというケースが小学校になっても少なからずあるとも聞いております。親御さんが自分のお子さんをそのように認めるのはなかなか辛いことであると思います。しかしながら、発達障害は、さまざまな研究の結果言われておりますように、その個人の特徴でもあり、大人になるに連れて障害がうまくカバーされることはあっても、その特徴とは一生つき合っていかなくてはならないものであります。ですから、その個人のすぐれている面を前面に出していく生き方を極力早く始めたほうがよいことになります。学校生活、就職活動、仕事など、さまざまな局面において、それがうまくできずに挫折をし、いじめ、不登校、引きこもりにも発展したり、本人が精神まで患っていくケースも多いと聞きました。やはり、特に小学校就学前が早期発見の大事なタイミングとなります。そのときに保護者が認めていけるようにすることが大切です。
先日、新潟三条市の子ども・若者サポートシステムを視察してまいりました。三条市では、2年前より、支援が必要な個人を一貫して切れ目なく支援するシステムを構築しました。乳幼児期から若者、35歳ぐらいまでを対象に、組織の縦割りによって支援が途切れてしまうことを課題として、子ども・若者という子ども行政一元化の組織変革をしました。教育委員会の中の子育て支援課に母子保健、虐待防止、障害、児童館などを含め、それまで五つの課にまたがっていた子ども行政を一元化して集約し、この中で情報の共有ができるようにしました。中野区でも、各すこやか福祉センターがその中核となることで、これらの機能が連携できる形となっております。三条市では、まず養護から小・中学校、特別支援学校等に移行する時期に大きなポイントがあるとして、子育てサポートファイル「すまいるファイル」を、出生届を提出されるタイミングですべての家庭に渡しております。このようなファイルです。もうちょっと表紙があるんですけれども、子どもの診断歴や発達の記録、個別の支援計画など、保護者が楽しんでつづることができるこのファイルには、お父さんを応援するパパ手帳も母子手帳と一緒に渡して、収納することができるようになっています。これを全員の御家庭に渡すということが非常にすばらしいと思いました。このことによって、うちの子は障害者ではありませんというような支援上のバリアを外し、また、必要があれば、関係機関との情報共有にも利用できる仕組みになっています。本人の同意を得て、市にデータを登録することができます。細かいことはここでは省略いたしますが、個人情報の保管やセキュリティの問題、市に支援のデータを登録することなど、多くの注意すべき点も慎重に考えられています。お子さんがすこやかに成長していく記録を大切に保管し活用していけるこういったファイルがあれば、極力早い気付きができ、支援すべきことがより明確になると思います。これは、毎年誕生するお子さんの分、かつ乳幼児期に転入してきたお子さんの分だけ印刷すればよいファイルですので、ほとんど経費も、それほどかかりません。中野区でも参考にして、ぜひ取り入れるべきと考えますが、いかがでしょうか。
○黒田子ども教育部副参事(子育て支援担当) 中野区におきましては、本年度より障害児について成長過程に応じた支援経過をつづり、情報を共有するためのサポートファイルを、保護者の同意のもとに発行してございます。保護者が御自分の子どもに障害があるという認識がなければ、サポートファイルを現在は渡すことができておりません。といったことで、制約がございます。出生した赤ちゃん全員にサポートファイルを渡すことにより、子育てをする中で、障害や疾病についてもあわせて理解していただく三条市の方法については、検討していきたいと考えております。
○甲田委員 ありがとうございます。支援が必要な子どもについては、中学卒業時に極端に支援が減り、18歳を超えるとさらに減少し、就職・自立の道のりが険しくなってきます。組織がうまく連携を図るためには、支援が必要な個人を真ん中に置いて連携をとる調整役が必要だと思います。三条市では、この調整を子育て支援課が担うと明確に決めています。そして、例えば、中学を卒業しても、いわゆるニートや引きこもりになってしまった子どもを学校にかわって就労へ促すための取り組みを行う事業、若者サポートステーションに確実につなげる努力をしております。引きこもりの方に対してのアウトリーチ支援もNPOと協力して行っているこのサポートステーションでは、昨年、三条市だけで約800人もの相談を受けたそうです。当然、支援をしてもらいたいという保護者の意思表示、また、成人していれば本人の同意が必要ではありますが、出生児から適切な支援につなげられるシステムや理念を掲げたことは、今後の成果に必ずつながっていくことと思います。
中野区も、個人の情報共有や移行支援の中心となる調整組織を明確にして、子育て支援分野と障害福祉分野でうまく情報をつなぎ、本人や保護者にアプローチできるシステムをつくることは重要であり、中野区では可能なことであると思いますが、いかがお考えでしょうか。伺います。
○黒田子ども教育部副参事(子育て支援担当) 区は、障害福祉担当、あと子育て支援担当が中心となり、障害者や障害児のそれぞれの支援事業や施策展開を行っております。一方で、各個人の成長過程を通じて、ただいま御説明ございました個人を真ん中に置く形で、一貫した支援の窓口や情報提供、継続的な支援の実施については、すこやか福祉センターのほうにおいて中心として担っております。特に、発達障害を中心とした支援につきましては、関連する部署、ただいま申しました部署も含めて関連した部署が、発達支援推進会議で連携事業の取り組みについて現在その検討を行っているところでございます。一層の連携を進めていくためにも、いろいろな検討を行っていきたいというふうに考えております。
○甲田委員 ぜひ今後も課題を整理していただき、支援が必要な人を見放さないような体制づくりをお願いいたします。
次に、個人の特性を生かした働き方をマッチングさせる支援について伺います。
長引く景気の低迷で、生活保護の受給者が過去最多を更新し続けていく中、公明党は、孤立化を防ぐ支えあいの対策を強化するため、新しい福祉社会ビジョンを2010年に発表しました。その中で、環境や医療、介護、農業、観光など成長可能な産業分野を中心に500万人の雇用創出を目指し、若者雇用担当大臣を設置し、若者雇用対策を推進することを提案しております。特に、若者のニートや引きこもりについては大きな問題です。生活保護受給に至る前の生活の維持、再挑戦ができるセーフティネットの再構築が必要です。区としても、力点を置いて支援する取り組みが重要と考え、生活保護に限定しない就労支援について伺います。
障害に認定されるまでには至らない。しかし、どこか問題があり、就労ができないなどの若者をサポートするためには、今後どういう対策が必要であり、理想的とお考えでしょうか。伺います。
○横山都市政策推進室副参事(産業・都市振興担当) 就労ができないということの理由といたしましては、委員のお話の中にもございましたけれども、景気の動向や受給のミスマッチ、あるいは、学歴や新卒者に偏重した求人傾向といったようなことのほか、いわゆる就活がうまくいかなかったことによります自信喪失・就労意欲の喪失、さらには引きこもり、そしてまた、本人や周囲に自覚されない、あるいは認識されにくい障害や精神的疾患といったようなことなど、さまざまなものが指摘されているところでございます。したがいまして、こうした個々のケースに応じた対策が必要というふうに思ってございまして、これに必要なサポートが公民合わせて望まれるところかというふうに思ってございます。
○甲田委員 また豊中市なんですが、ここではパーソナルサポート事業を行っています。この事業は、就労・自立までの距離のある人たちを視野に入れています。就労まで至らない理由や背景は多様であり、複雑・深刻な場合が多いので、そこに先ほどのコミュニティ・ソーシャルワーカーとの連携を伴っています。引きこもり、生活困窮者、ホームレスの支援は相当な粘り強い寄り添いの行動が必要となりますが、そこを突破するのがパーソナルサポートセンターに配置されたコミュニティ・パーソナルサポーターです。コミュニティ・ソーシャルワーカーと連携して家庭訪問し、徹底して一人の人を引き上げています。何とか引きこもりから出ていけるようになった人を、今度は多種多様なプログラムを用意して、中間就労、有償アルバイトなどにつなげていきます。また、就労意欲が持てた人については、その人の特性に応じた職場へのマッチング作業を市役所の雇用労働課が企画し、実施をしています。基礎自治体でこのような取り組みはまだ珍しいそうです。「企業と求職者の架け橋に」をモットーにして、中小企業を研修などの面から応援し、雇用に結びつけた人の特性を伝え、採用後も相談に乗るなどバックアップができているため、企業としてもリスクが少なくなっています。担当者は、企業にも積極的に出向き、経営者や確かな企業かどうかの見きわめもしながら進めていきます。また、雇用事業の創出までも市で行っていました。
中野区では、障害のある方の就労支援については障害福祉分野が担当をしておりますが、福祉の部門では、普段接しない企業と連携を密にしていくのはなかなか難しいと思います。個々の障害、特徴を生かせる職場にマッチングさせるために、中小企業や区内商店などへ個々人の特性を理解してもらいながら、職場マッチングを行う事業を立ち上げてみてはいかがでしょうか。例えば、(仮称)若者支援室などとして、産業・都市振興分野が中心的な役割となって、中野就職サポートや各分野とも連携を図り、あらゆる情報の中から個人の特性に合った仕事を見つけ、創り出し、マッチングしていってはいかがでしょうか。伺います。
○横山都市政策推進室副参事(産業・都市振興担当) 先般御報告をさせていただきました産業振興ビジョンの案におきましては、ハローワークをはじめ区内産業関係者、あるいは教育機関等と連携いたしまして、区内企業・事業者が必要とする人材ニーズ、あるいは企業情報、こういったものを把握・共有すること。そしてまた、そういったことを踏まえました企業と求職者のマッチングの機会の充実等を支援していくというふうにしてございます。こうした取り組みにおきまして、御提案のようなマッチング等をどう組み込んでいくかということが課題になるかと思ってございます。御質問にもありましたが、その前段とも言うべき個々の状況に応じた取り組み、これにつきまして、関係所管部署における取り組みや考え方、こういったものを踏まえながら、一連の連携のありようについて検討していくことになるかというふうに思ってございます。
○甲田委員 ぜひ検討をよろしくお願いいたします。区内の企業が区民を採用して利益を上げていってくだされば、これほどよいことはありません。区が主体的に間に入って、大阪の方のような商売感性の高い職員に担当していただき、支援をしていくということもあってよいことと思います。ぜひ今後検討し、一人でも多くの若者が就労できるよう、支援をお願いいたします。