○甲田委員 平成25年第3回定例会決算特別委員会におきまして、公明党議員団の立場で質問をさせていただきます。理事者の皆様におかれましては、明快な御答弁をよろしくお願いいたします。質問の順番は通告どおりです。
まず初めに、1番、新たな生活困窮者支援について伺います。
24年度の決算を見ますと、依然、厳しい区財政の状況がうかがわれます。その中でも、施策に関係なく義務的経費としてどうしても歯どめがかからないのが生活保護費の増大です。24年度の中野区歳出決算額は1,125億円でした。そのうち生活保護費の歳出は前年より9億円増の151億円となりました。過去20年をさかのぼってみますと、中野区の生活保護費はずっと右肩上がりで推移しております。20年前の平成4年には年間42億円であったものが増大し続け、ついに平成24年度は4倍近い金額になっております。決算資料の厚生30に、生活保護を受けている人数は24年度で月平均7,179人とあります。区の人口の2%以上です。ここ数年では新たな保護開始となる方が1,000人を超えています。反対に保護廃止となる方は600人から700人います。したがって、毎年三、四百人を超える増となっております。毎年8億円から9億円ずつふえる生活保護費、このまま増大し続ければ、区財政はとても立ち行かなくなってしまいます。
昨今、不景気による収入の減少、離婚等によるひとり親家庭の増加、高齢、身体の障害や難病、精神的な病により就労が困難な方が多くなってきております。私も、よくそのような方の御相談を受けますが、核家族化により、支援してくれる身内も少なく、生活が大変な方がふえております。そこで、生活困窮者の支援についてお伺いいたします。
生活困窮者というのは、一般的に経済的に困窮している人を指します。失業、倒産、離婚、詐欺の被害、配偶者との死別など、誰しもが陥る可能性のある状態です。まずは生活保護費受給になる前に適切な支援が受けられるようにすることが大切と考えますが、現状、中野区では生活相談の窓口に来られた方をどのような形で対応しているのか、伺っていきたいと思います。
初めに、24年度、生活相談に来た方の人数と、そのうち生活保護受給となった方の人数と割合を教えてください。
○伊藤健康福祉部副参事(生活援護担当) 24年度、生活に関する相談窓口にいらっしゃった方、実数で2,352人でございました。そのうち生活保護の受給となった人の数は1,027人、43.7%でございます。
○甲田委員 43.7%ということは、残りの56%ぐらいが、およそ半分の1,000人余の方が、生活相談には来たけれど、生活保護の対象外として帰られるということになります。相談に来られた方というのは、ある程度生活に困って来た方なので、生活困窮者ということになると思いますが、受給になった人は、ある意味よかったかもしれませんが、その帰られた困窮者の方たちはその後どうされたのでしょうか、伺います。
○伊藤健康福祉部副参事(生活援護担当) 経済的に窮迫の状態になっていらっしゃらない場合におきましては、主に精神的な課題をお持ちの方につきましては、すこやか福祉センター、また貸し付けの利用ができる方につきまして社会福祉協議会、それから、高齢者で住居の住みかえ等で御相談であれば住宅手当など、相談者のそれぞれの主訴によりまして、適切な部署や機関を御案内しております。
○甲田委員 生活援護から他のサービスに連携するなどの適切な対応で受給にならなかったのでしょうか。それを考えると、やはり保護に至る前の困窮者の時点で適切に手だてをしていくことが大切と言えます。反面、それでもやはり一歩手前の生活困窮者が受給しなければならない状況になるのは早いと感じます。
生活相談には来たが、生活保護申請に至らなかった人というのはどういう理由が多いのでしょうか。把握されておりますでしょうか。あわせて、一旦帰っていただいても、結局また数日後に再度相談に来られるという場合も多いのではないでしょうか。伺います。
○伊藤健康福祉部副参事(生活援護担当) 生活困窮での御相談者で、初回の相談で生活保護の申請に至らないというケースのほとんどは、まだ預貯金をお持ちで生活保護の基準を上回っているというケースが大変多くございます。このような場合は、一定程度預貯金を消費した時点で再度の御相談を御助言しておりまして、かなりの御相談が繰り返されるという状況がございます。
○甲田委員 第2回定例会の一般質問でも取り上げさせていただきましたが、生活困窮者自立支援法があります。一度、参議院選挙の前に廃案となった経緯のある法案ではありますが、この法案は再度、秋の国会で成立が見込まれていますので、成立すれば、平成27年度から施行がされます。既に各自治体でも準備が始まっております。この新法の対策では、生活保護に至る手前の生活困窮者の自立を促す支援のために、家賃補助の制度化、子どもへの学習支援、中間的就労の場の提供、きめ細やかな相談体制の創設、住居がない生活困窮者に衣食住を提供する事業の創設など、このような新たな支援策を各自治体の任意ではありますが、立ち上げていくことになります。自立相談支援事業、いわゆる生活困窮者のためのワンストップ型相談窓口の設置についてだけは、どの自治体も任意ではなくて必須の事業と伺いました。その他の事業についても、任意事業だからやれる範囲でということではなく、生活保護費の増大に歯どめをかけ、困窮者を救うきっかけとなる支援がうまく組み合わせられるよう、ぜひ積極的に、効果的に取り組んでいただきたいと思います。
そして、もうじきこのような支援事業が本格的に始まることを考えると、今も毎日のように生活相談に来ている方々を他のサービスに連携した後が大事になると思います。連携する、つなぐというのは、単に他のサービスを案内するということではないと思います。
そこで伺いますが、現在、生活相談の窓口から連携された他の部署、例えばすこやか福祉センターや住宅相談などにつなげた場合など、継続支援のためにどのような対応を行っておりますか。連携先の結果などは把握されていますでしょうか。
○伊藤健康福祉部副参事(生活援護担当) 個別のケースの状況によりまして、連携先との情報交換を行いながら問題解決を図っております。また、他機関を連携する際には、また再度お困りの際はおいでくださいという御案内をしております。
○甲田委員 今後、新法の中で実施していくこととされています個人のシートをつくって個別にケアをするというところまではしていないということでよろしいでしょうか。
○伊藤健康福祉部副参事(生活援護担当) 相談記録につきましては、紙の記録を作成いたしまして、再度の御相談があれば、またそこに書き加えながら、ケースの継続はございますけれども、その個人について、関係機関とのケースカンファレンスなどをするというような制度についてはできておりません。
○甲田委員 どんな支援によって生活保護に至らずに済んだのか、また、生活保護に至ってしまった場合、どんなサービスがあればよかったのかなどを個別に的確に把握していくことで、何が必要かが見えてくるのではないかと思います。生活保護受給に至る前の支援をしていくためには、他の部署とも連携する意味で、今後、生活相談の窓口においては、せめてどの部門に連携したのかなど統計的に把握ができれば分析もでき、今後の区の相談支援の強化につながると考えますが、いかがですか。
○伊藤健康福祉部副参事(生活援護担当) 先ほど御答弁させていただきましたように、現在の相談記録は紙ベースでございまして、システム上で他機関の紹介先、また、その結果等について大くくりな集計しかできない状況でございます。今後は全体状況の把握、分析のためにデータの取りまとめ等について工夫を行っていきたいというふうに考えております。
○甲田委員 今はまだ記録をしているということにとどまるのだと思いますが、やはり分析のためのデータ化の準備は必要ではないかと思いますので、大変だとは思いますが、工夫をお願いしたいと思います。また、この新法の概要やモデル事業について、既に厚労省主催で自治体の担当者レベルの説明会があったようですが、その内容について簡単にお示しいただくとともに、主な課題は何か、教えていただけますか。
○伊藤健康福祉部副参事(生活援護担当) 8月2日に全国の自治体を集めまして説明会があったところでございます。内容といたしまして、生活困窮者自立支援法で規定される新たな制度の概要の説明とモデル事業の概要の説明でございました。福祉事務所設置自治体において必須の事業とされる相談支援事業についてはアセスメント、また支援計画の作成、モニタリングなどを行い、複合的な課題を持つ困窮者への包括的な支援を的確に行うためにどのようにしたらよいか、全国68自治体で今年度モデル事業を行い、検証が行われます。また、任意事業とされます就労準備事業、学習支援など各種の事業につきましても、やはりモデル事業によりまして効果的な事業展開についても検証が行われる予定になっております。
現時点で主な課題といたしましては、困窮者の規定をどのようにするか、また、その把握方法、また、全ての事業について委託が可能ということが想定されておりますが、受託できる事業者が果たしてあるかというようなことが現時点での課題というふうに認識しております。
○甲田委員 課題はさまざまあると思いますが、新たな事業だけでは救えませんので、既存のサービスを受け持つ担当部署それぞれの連携も重要と考えます。私はこれまでも何度か、担当間の連携、民間のサービスとの連携も含めて、困窮者、受給者の相談に総合的に応じられる部署なり室が必要と申し上げてまいりました。自立支援の相談窓口をつくる場合には、生活援護分野だけではなく、連携する部署が一緒になって考える横断的な組織、自立支援室のようなものが必要だと思いますが、いかがでしょうか。
○伊藤健康福祉部副参事(生活援護担当) 複合的な課題を抱える困窮者への支援は十分なアセスメントと関係機関の柔軟な連携が必須であるというふうに考えております。今後、生活困窮者への支援や組織のあり方について検討していきたいというふうに考えております。
○甲田委員 御承知のとおり、生活保護受給になる方の多くはさまざまな障害や病気を抱えている場合がありますので、金銭面だけでない生活全般にわたる支援をしていくことが重要です。まさに複合的な問題が絡み合っている場合があり、行政の既存のサービスで救えない問題を解決する仕組みをつくり出してでも支援をしていくということが必要です。相談窓口よりも、重要なのは、むしろこういった仕組みのほうかもしれません。
昨年第3回定例会の私の質問で、豊中市のコミュニティソーシャルワーカーを紹介いたしました。いわゆる地域福祉のコーディネーターであるコミュニティソーシャルワーカーの設置も、この困窮者自立支援法のモデルとなっております。コミュニティソーシャルワーカーが社会から孤立する人を救っていくという強い意思を持って行動できるのも、課題解決を任され、解決のために仕組みをつくり出す総合調整会議など、力を発揮できる場を持たせてもらっているなど、行政のバックアップがあるからこそです。こういった人材の確保とともに、まずはその人材を支える仕組みを構築していくことが重要ではないかと思っております。それを統括する目標体系をぜひつくっていただきたいと思います。
例えば川崎市では、生活保護の増大に何としてもストップをかけようと、全庁挙げて副市長が旗振りをして自立支援対策方針を策定した上で、自立支援室をつくりました。中野区も困窮者自立支援策を効果的に推進していくために、このような全庁挙げて現状を分析し、課題を洗い出し、方針をつくっていく。また、連携の仕組みをつくっていくことが必要だと思いますが、区長のお考えをお聞きしたいと思います。いかがでしょうか。
○田中区長 部門を超えたさまざまな窓口の段階での連携と、それから、部門を超えた柔軟な政策づくりと、それから、そうした政策を決定していくための高度な政策判断と、こうしたところが必要になってくると、こういうふうに思っております。
川崎市の例示を言われましたけれども、川崎市は大きな行政組織ですから、局制をしいて縦割りでマネジメントしておりますので、そういった副市長が中心になった支援室のようなものが必要になったということもあろうかと思っておりますけれども、それと同じことが中野区に必要かというと、中野区のマネジメントの考え方とは必ずしも一致しないというふうに思っておりますので、どういうあり方がいいのか。もちろん組織の中に位置付けしていくことは間違いありませんけれども、どういうあり方がいいのか検討していきたいと思います。
○甲田委員 ありがとうございました。中野区に合った形で困窮者支援、この右肩上がりの受給に歯どめをかける支援を、ぜひともこの機会に思い切ったかじ取りでお願いしたいと思います。