次に、3番、障害者施策について伺います。

 (1)中等度難聴児発達支援事業について伺います。中等度難聴児に対する支援、補聴器購入助成についてであります。日本では両耳で聴力レベル70デシベル以上になると、聴覚障害の手帳交付がされます。しかし、40デシベル前後を超える場合は、常に話すのにやや不便を感じるレベルとなります。身体障害者手帳が交付されない40から70デシベルの人たちも含めると、聴覚障害者は全体で約600万人いると言われております。そのうち約75%は加齢に伴う老人性難聴でありますが、ここでは子どもの難聴について伺います。

 先日、私は、国立成育医療研究センター、耳鼻咽喉科医長の守本倫子医師に難聴の子どもの発達に関するお話を聞いてまいりました。30デシベル以上69デシベル以下の軽・中等度難聴児は一見普通に見えるため、本人も周囲も困っていない様子に見えてしまいますが、実は年齢とともに語彙力や読解力にも問題が生じてくることが多いそうです。要は、聞こえているように見えるが、周りが騒がしいと理解ができない。口の動きが見えないと理解しにくい。相手が大人だと理解できるが、子ども同士だと理解しにくいということがあります。結果、語彙力がふえないため、学習能力に支障を来し、コミュニケーションがとりにくく、社会性が育ちにくいため、引きこもりの原因の一つになることも多いと言います。このようなとき、補聴器をつけることによって、その問題点が解消されます。

 身体障害者手帳を持たないため、補聴器購入に当たり補助制度がありません。補聴器は片耳で9万5,000円から17万円もします。安いものだとチャンネルの数が2チャンネルと少なく、聞こえ方はあまりよくありません。17万円するようなものであれば6チャンネルとなり、より精度が高くなりますが、高額となり、親御さんにとってかなりの負担であり、手が出ない御家庭もあると思います。欧米では25デシベル以上は補聴器装用を推奨し、40デシベル以上であれば聴覚障害と判定しています。

 そこで、今年度、東京都では軽度・中等度難聴児発達支援事業が予算計上されたそうですが、この事業の概要を説明していただけますでしょうか。

○黒田子ども教育部副参事(子育て支援担当) 中等度難聴児への支援でございますが、東京都が今年度4月より中等度難聴児発達支援事業としまして開始した事業でございます。対象は18歳未満の児童で、身体障害者手帳の交付の対象とならない方で、両耳の聴力がおおむね30デシベル以上であり、補聴器の装用により言語の習得等の一定の効果が期待できると医師が判断する児童であることが条件となります。それで、補聴器の購入費用の一部を助成するものとなっております。財源につきましては、東京都と区で2分の1ずつ負担をするということになってございます。

○甲田委員 既に東京都内の自治体では、この事業に手挙げをして取り組んでいる市区町村もあると聞いており、中野区も早急に手挙げをしていただきたいと思いますが、このような事業を求める声は届いておりますでしょうか。また、中野区としてどのように取り組んでいくのでしょうか、あわせて伺います。

○黒田子ども教育部副参事(子育て支援担当) お問い合わせにつきましては、医療機関などから数件ございました。東京都の実施要項に準じて実施するための検討を始めたところでございます。事業を開始するに当たりましては、難聴の通級学級の児童等が対象として想定されますので、対象者に周知等を丁寧にやっていきたいというふうに考えております。

○甲田委員 ありがとうございます。子どもは、褒めて伸ばすことが大事と言われますが、聞こえないことがわかってもらえず、引きこもりがちになってしまう原因が聴覚障害によるものというお子さんがいるのであれば、早いうちにその障害をカバーしてあげることがとても大切ではないでしょうか。子どもの可能性を最大限に引き出してあげられるすばらしい事業であるという思いで、どうか積極的な取り組みをお願いしたいと思います。ありがとうございました。

 次に、(2)内部障害者のためのハートプラスマークについて伺います。

 心臓病等の内部疾患の方は、日常生活でさまざまつらい思いをされております。さらに、その障害は目に見えないため、周囲に理解されにくく、大変に御苦労をされております。まず、中野区における全ての障害者の人数と内部障害者の人数を教えてください。

○永田健康福祉部副参事(障害福祉担当) 中野区におけます身体障害者手帳の所持者数は、平成25年3月末現在8,050人で、そのうち内部障害のある方は3,057人でございまして、身体障害者手帳所持者全体の38%でございます。

○甲田委員 3分の1以上の方が内部障害者ということで、非常に多い割合です。内部疾患の方は、一見、障害者とは思われず、電車の中で席を譲ってもらえない、または車で出かけても、障害者用駐車場を使用しにくいというようなことから、理解の普及が望まれております。中野区の庁舎駐車場に身体障害者のための車椅子のマークがあり、トイレでは人工肛門、人工膀胱の方のためのオストメイトマークはついておりますが、内部障害者をあらわすハートプラスマーク、このハートプラスマークですが、これについては、まだ庁舎のどこにも設置をされていないのではないかと思われます。庁舎の裏口に障害者専用駐車場があります。一般に知られる車椅子の形をしたマークがあります。この車椅子のマークは全ての障害を含むマークだそうですが、身障者用駐車場と表示されていることもあり、一般的には身体障害者用と思われている方が多いと思います。

 そこで伺います。中野区では、もし障害のある人が庁舎に車で来た場合、一見、見た目には判断のつかない障害者の場合、区はどのようにして確認をしているのでしょうか。

○石井経営室副参事(施設担当) 今、御質問の中で、見た目では一見わからないという御質問がございました。我々、警備員がそれを見た目で判断できませんので、当然、ドライバーさんの申し出、これを伺うことによって対応をさせていただいているというところでございます。

○甲田委員 車両での移動が欠かせない内部障害のある方は、区役所にも車で来られると思います。都庁や他の区では、内部障害者の理解とマークの普及のため、また利便性向上のために、あえてこの車椅子の形のマークとともに、ハートプラスマークを並べて駐車場に大きく表示をしている自治体もあります。中野区でも二つのマークを並べて表示すべきと考えますが、いかがでしょうか。

○石井経営室副参事(施設担当) 区庁舎だけのことでいきますと、それほど、そのつけるということについてはスペース的にも問題ないかなと思いますけれども、このハートプラスマークをつけるつけないという区の方針、これは現在のところまだ定まっていない。それから、他の区有施設も数多くございます。それらの関係もございまして、果たして並べて表示が可能かどうかというようなところの調査も必要になってきますので、今後検討してみたいなと思います。

○甲田委員 早急に調査をしていただき、早急に検討をしていただきたいと思います。

 内部障害者のマークによく似た東京都のヘルプマークというのがあります。これがヘルプマークです。このマークは、義足や人工関節を使用している方や、内部障害者、難病の方、妊婦さんなど、援助や配慮が必要な方に配布し、周囲の方に援助が必要であることを知らせるマークです。昨年の10月から都営地下鉄等で配布されております。このマークを持っている人は堂々と優先席に座れるということです。この東京都のヘルプマークと内部障害者のハートプラスマークはよく似ております。ハートとプラスですので、よく似ております。また、今回中野区でもつくり、配布し始めましたこのヘルプカードというものも大変よく似たマークです。

 そこで、内部障害者のハートプラスマークを庁舎駐車場に表示した際には、こういう東京都のヘルプマーク、警備員さんに障害者手帳のかわりにヘルプマークやヘルプカード等を車につけるなどして見せることにより、説明なしで気兼ねなく駐車できるようになるとよいと思いますが、いかがでしょうか。

○石井経営室副参事(施設担当) 今、御質問にもございましたように、障害者手帳、それからヘルプマーク等を提示いただければもちろんのことでございますし、また、当日のお体のぐあいの症状、あるいは突然けがしたとか、そういう状態の方もお見えになるかというふうに思っておりまして、障害者用駐車場の利用、これを希望するという場合につきましては、警備員に御遠慮なくお声をかけていただければ、対応してまいりたいと考えてございます。

○甲田委員 ありがとうございました。

 次に、(3)番、バリアフリーマップについて伺います。

 先日、私のもとに車椅子の方から、中野駅周辺で公共施設だけでなく、民間の建物も含めて車椅子でも入れるトイレのある場所の一覧はないのでしょうかという問い合わせがありました。その方は何カ所かは自分で調べて承知をされておりました。中野区のホームページも見たが、わからないとのことでした。調べたところ、「なかの便利地図」というものがホームページにあり、その中にバリアフリーマップというものがあることを知りました。住所で検索ができるようにもなっており、大変便利なものでした。しかし、これを見ますと、せっかくつくられているバリアフリーマップなのですが、例えば、昨年完成した四季の都市のオフィスビル内の誰でもトイレなどの情報がありませんでした。よく見ますと、ずっと更新されていないように見えます。区民の方からも情報をお寄せいただけるような形式にもなっておりますが、この1年間、情報が寄せられたものは一件もなかったと伺いました。この「なかの便利地図」の更新についてはどのような方針、ルールになっているのでしょうか。また、周知されていないせいか、わかりにくいということもあります。もう少しわかりやすくリニューアルするなどということは考えられていますでしょうか、あわせて伺います。

○酒井政策室副参事(広報担当) 「なかの便利地図」については、掲載の施設の新設だとか廃止、位置の変更等については所管分野からの連絡によって、広報分野のほうで修正を行うことになっております。また、バリアフリーマップのように所管分野で更新を行うものもございます。地図の情報に変更があった場合に、更新が必要なことについては、改めて庁内で十分周知を図っていきたいと思います。

 「なかの便利地図」のリニューアルについては現在のところは考えておりませんけれども、ホームページと一体的で使いやすいものとなるよう検討したいと思います。

○甲田委員 ありがとうございました。分野ごとということですので、ここではバリアフリーマップのことを聞いておりますが、全体的にはすぐに変わらないとしましても、ベースがあり、地図部分は中野四季の都市もあり、更新されている部分もあるようですから、特にバリアフリーマップについては、障害者の方への情報として、完璧ではないにしても、不十分なままではなく、より現在に近いものへと早急に更新すべきと思いますが、いかがでしょうか。

○藤井健康福祉部副参事(福祉推進担当) バリアフリーマップにつきましては、区の施設に関しましては、職員が随時把握した段階で更新されます。そのほか民間施設につきましても、ホームページ上で登録フォームを用意してありまして、そういうもの、あるいは、別途、手紙やファクス等でもたらされた情報につきましては適宜更新しております。ただ、先ほどのフォームについて、あまり使われていないというふうな紹介もございました。今後、情報提供の呼びかけについても工夫いたしまして、情報を充実させていきたいというふうに考えております。

○甲田委員 ぜひよろしくお願いします。もたらされた情報ではなくて、こちらから働きかけをぜひよろしくお願いしたいと思います。

 ホームページの更新とともに、先ほどもありました紙ベースでの提供も大事であると思います。昨年、厚生委員会の視察では岡谷市に行き、バリアフリーマップの作成状況を見させていただきました。岡谷市のバリアフリーマップ、薄いものですが、このような冊子で、地域ごとにとてもよくできておりました。こういったものを参考に、例えば駅周辺だけでもわかりやすいものをつくっていただきたいと思います。また、障害者の方が訪れるような公共施設、区役所、すこやか、区民活動センターなどの窓口にもそのエリアの地域版バリアフリーマップがあるとよいと思いますが、いかがでしょうか。

○藤井健康福祉部副参事(福祉推進担当) 現在、ホームページで提供しておりますバリアフリーマップの情報全てを盛り込んだ形で紙のそういうふうなものをつくろうといたしますと、かなり分厚いものになってしまうと。持ち運びもしにくいというふうなこともございます。施設窓口において、それぞれのエリアごとの情報について案内できるような形のものを今後提供していきたいということで、各施設とは調整していきたいと思います。

○甲田委員 ありがとうございます。障害者施策については、より一層きめ細かい施策を充実していただきたいと思います。

 区長は以前、我が会派の先輩議員の質問に対し、「障害は人にあるんじゃなくて、それぞれ個別性を障害にしてしまうのは社会の障害なんだと考えていくべきだ」また、「そういう社会の障害を一つひとつ取り除いていきながら、誰もが生きがいを持って、分け隔てなく同じような参加の機会を持ちながら社会で生きていける、そういう地域社会をつくっていきたい。中野をそういう地域社会をリードしていける地域にしていきたいと思っている」と答えられています。私はこの言葉に賛同いたします。人一倍つらい思いをされている障害者や難病の方々から私たちが学ぶことも大きいと思います。ぜひ、社会の障害を取り除くのは行政の力が必要だということで、より一層取り組んでいただきたいと思います。要望しまして、この項の質問は終わります。

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