、6番、文化芸術の促進について
 文化芸術には大きな力があります。人と人とをつなぎ、共感を生み出し、地域のきずなを深める力、そして、世界を結ぶ力です。心を癒やす芸術は被災地の復興にも大きく役立ってきました。中野の象徴的な文化芸術とは何でしょうか。最近はよく、アニメ、サブカルのまちと言われておりますが、それだけでは中野区民は納得しない方も多い気がします。お笑い、音楽、演劇、舞踊などについてもすばらしい芸術家が数多く存在し、また、毎年開催されている伝統工芸展の作品なども目を見張るものがあり、私も楽しませていただいております。また、本年、本格的に開催される東北復興大祭典のねぶた祭りもその一つになっていくものと期待しております。
 まちの中に自然と息づき、人々から注目され、称賛される文化芸術については、そこに集ってくる人がいる。そういう意味で、まちの活性化という観点からも、行政として存続ができる後押しの支援があってもよいものと思います。
 中野区には文化芸術の発信拠点として、なかのZERO、中野サンプラザという二大ホールがあります。さまざまな発表の場として、区内外、全国からも人を引きつけてきました。また、主としてお笑い系のイベントがめじろ押しで披露されるなかの芸能小劇場も、表現する楽しさを共有することに大きな役割を果たしております。ほかにもさまざまありますが、これらの大切な文化芸術資産があることにより、中野には日常的に文化芸術を愛する人たちが集まってきているとも言えると思います。この文化芸術資産は中野区民の心でもあると思いますので、今後、将来にわたって、こういった拠点を大切にし、ますます繁栄・発展させていくことが大切と考えますが、区としての御見解をお聞きしたいと思います。


○浅川健康福祉部副参事(学習スポーツ担当) 国の文化芸術振興基本法の前文では、文化芸術を創造、享受し、文化的環境の中で生きる喜びを見出すことは人々の変わらない願いである。芸術文化は人々の創造性を育み、心のつながりや相互理解を育む土壌を提供し、心豊かな活力ある社会の形成や世界平和に寄与するものという趣旨が述べられてございます。中野区内に文化の拠点施設がありますことは、区民が身近な場所でこうした文化芸術に触れることができるだけではなく、みずから活動に参加する契機となるものでもありまして、区民の生涯学習支援の面から大変重要であると考えてございます。また、まちのにぎわいにも寄与するものでございまして、今後ともさらに充実・発展させていきたいと考えてございます。


○甲田委員 ありがとうございます。一方、中野区には美術館がありません。聞くところによると、23区の中で美術館がないのは杉並区と中野区だけということです。美術館がないのであれば、今後、中野駅周辺整備にもあわせてギャラリーなどの区の芸術家の作品を披露する場も設置を検討されてはいかがでしょうか。そういったことも含めて、文化芸術の発展に寄与できるような区の将来の展望をお聞きしたいと思いますが、御見解を伺います。


○浅川健康福祉部副参事(学習スポーツ担当) 芸術作品等、制作活動の披露の場があることは、区民の日ごろの制作意欲をさらに喚起し、新たな参加者をふやすことにもつながると考えてございます。現在、なかのZEROの本館には展示ギャラリーが、また、西館には1階、2階にそれぞれ美術ギャラリーがございまして、絵画、写真、陶芸などさまざまな作品展、展示会の会場として御利用いただいております。利用率は時期によっても異なるものではございますが、年間平均すると5割から6割といったところでございまして、区民の日ごろの文化芸術活動の発表の場として有効に利用してもらえるよう、さらに積極的なPRに努めたいと思っております。区といたしましては、今後さらに文化芸術の発展を推し進めることにより、これまで以上に芸術文化活動に主体的に参画し、地域の仲間と触れ合い、ともに生きがいを見出す区民がふえていくことを目指したいと思ってございます。


○甲田委員 本年、文化庁は文化芸術の予算を大きくふやし、海外への発信力の強化をしていく意向です。中野区には多様な文化芸術を受け入れる土壌と発展させる力を持った芸術家、人材が多いと感じます。このような人材、芸術を伸ばしていくことで、今後、海外などからのお客様を受け入れる際のおもてなしが実現できるのではないでしょうか。
 

次に、心を癒やす究極の芸術として数年前より脚光を浴びているアール・ブリュットについて伺います。加工されていない生のままの芸術であるアール・ブリュットは、既存の芸術モードに影響を受けず、自由奔放につくられたものであり、作家の多くは障害のある方々です。この芸術は日に日に多くの人の心をつかみ、今、大変大きな広がりを見せるように発展してきました。
 私は、昨年第1回定例会の一般質問でも、中野から世界へ発信をと取り上げましたが、現在、アール・ブリュット・ジャポネ展がヨーロッパを巡回しております。昨年4月、オランダから開幕し、2カ国目はイギリスのロンドンにあるウェルカム・コレクションにて、「ソウゾウ:アウトサイダー・フロム・ジャパン展」として開催されました。3カ月間で会期を終え、ロンドンだけで9万4,000人の来場者となり、大変な反響だったそうです。
 アール・ブリュットの発信については、私ども公明党はかねてより支援をしてまいりました。私の前任でありました岡本前区議が初めて議会で質問に取り上げたのが、5年半前の平成20年2月です。その後も二度、三度と取り上げられました。その趣旨は、障害者とともに生き、育む文化芸術の地域社会の実現ということでありました。私もこの趣旨を大切にしたいと思っております。
 都議会では高倉都議が平成22年に都庁での展示開催を推し進め、国会でも今年4月、障害者の芸術文化振興議員連盟が発足しました。自民、公明、民主の各党から衆参両院の約30名が参加しております。5月には第55回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展におきまして、アール・ブリュットのヨーロッパ巡回展にも出展している作家の澤田真一さんの作品は26作品出展される快挙があり、それを受けて首相官邸にてアール・ブリュットの作品展が開催されました。その席上、安倍首相から、こうした芸術を政府としても全面的に応援していきたいとの話がありました。
 今、中野区内のまちの中では、自由民主党の先生方にも多数応援していただき、中野ブロードウェイ、サンモール、野方、薬師あいロードなどの各商店街でもアール・ブリュットが画期的な広がりを見せております。中野区におけるこうした商店街などでのアール・ブリュット関連のイベント開催は、平成22年からの3年間で8回にも上り、まさに中野からアール・ブリュットが発信されつつあります。まちの人たちも巻き込んでの発信ができるようになってきた中に、これまでの中野区による支援も大きく寄与しており、区長の御協力を高く評価いたします。
 何かが発展していくとき、そこには必ず熱意と発意を持って支える人たちがいます。このたび、区内の商店街連合会の代表の方たちが集まり、中野アール・ブリュット実行委員会が発足しました。今後の中野区内での展覧会などの構想を具体的に検討されているそうです。その中で美術館構想も出ております。単なる美術館ではなく、アール・ブリュットを中心として文化芸術を発信し、まちおこしができるようなカフェやワークショップその他のスペースも取り入れた、子どもたちからお年寄りまで、障害のある人もない人も集えるような、人々の交差点としての複合的施設を考えているそうです。今後、民間助成団体や国の補助金等も活用しながら、適切な場所を探しております。悲願である、中野区から発信する拠点の開設に向かい、実現へと一歩一歩着実な歩みを続けられています。まさに多様な文化芸術活動を通して刺激し合い、まちの活力が生まれるような拠点づくりは、中野区の先駆性をアピールすることにも役立つものと思います。
 また、今や世界から注目される文化芸術は、中野の財産でもあると思います。その意味で、区としてこのような活動をされる方々に対し、積極的な支援と複合的美術館構想に向けた適切な場所探しに対する情報提供、協力をしてはどうかと思いますが、いかがでしょうか。


○滝瀬都市政策推進室副参事(都市観光・商業振興担当) アール・ブリュットを活用いたしました芸術によりますまちの活性化、商店街活性化、こういった取り組みに対しまして、商店街や企業、主催団体が、実行委員会など組織的に行ってきているところでございまして、こうした活動に対しましては、区も後援名義などの支援をしてきているところでございます。
 中野区都市観光ビジョンの中では、区の主な役割ということで、表現・文化・芸術にかかわる活動へのPRの支援の推進を位置付けているところでございます。今後も都市観光ホームページ「まるっと中野」をはじめとする各種媒体での広報PR、区外で行われるさまざまなイベントへの出展調整、また、主催団体の活動に資する必要な情報提供など、文化芸術の振興に資する活動への支援を行ってまいりたいと考えてございます。


○甲田委員 現在、ヨーロッパ巡回展には、中野区長のアール・ブリュットを応援するメッセージが作品とともに各国を巡回しております。ヨーロッパ展で展覧会に参加した何十万人という方が、アール・ブリュットと言えば中野と思っているに違いありません。今後、2020年の東京オリンピック開催に向けて海外からの来街者は、中野にアール・ブリュットの本拠地があると思って来られる方も少なくないと思います。中野らしい個性的なおもてなしができる一助になると思いますので、今後とも応援していただきたいと思います。ぜひ区としても協力を惜しまないでいただきたいことを要望いたしまして、私の全ての質問を終わります。ありがとうございました。

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