○甲田委員 平成26年予算特別委員会に当たりまして、公明党の立場で総括質疑をさせていただきます。質問は通告のとおり。その他では1点、新井薬師前駅周辺まちづくりについて伺います。

 

 まず1点目、子育て支援施策について。26年度予算説明の区政目標の中には、6款子ども教育費3項の「子育て支援費の目標の一つとして、サービスや支援を充実することで子育て家庭の育児ストレスが軽減され、虐待等の件数が減少すること」と掲げられております。大事な目標であると思います。

 

 全国の児童相談所での児童虐待に関する相談対応件数は、厚生労働省のデータによりますと、平成2年から平成6年ごろまでは1,000件台であったのに対して、この20年で右肩上がりに伸び続け、平成24年は約6万7,000件と非常に多くなっております。児童虐待によって子どもが死亡した人数は、平成23年度は1年間に99人で、その前の数年も100人前後と多くなっております。

 

 虐待は実父母によるものが9割近く、虐待を受ける子どもの年齢は小学生未満が多く、43.5%と高い割合を占めております。子どもを虐待して死に追いやったというニュースを聞きますと胸が痛くなりますが、どうしたら虐待をなくすことができるのか、その原因、実態と課題について探り、虐待のない家庭、親子支援のために具体的な取り組みについて、幾つかの質問をしたいと思います。

 

 まず、(1)児童虐待について伺います。中野区における子ども家庭支援センターの相談件数について、お聞かせください。

 

○黒田子ども家庭支援センター所長 お答えいたします。平成24年度の相談者の実人員としましては723名となっております。

 

○甲田委員 そのうち乳幼児・児童虐待が疑われた相談件数や内訳はどのくらいだったのでしょうか、伺います。

 

○黒田子ども家庭支援センター所長 246人の乳児や児童が虐待を受けているのでないかといった相談がございました。

 

 内訳としましては、そういった中では、区民の方からは56件、関係機関からは48件、すこやか福祉センター等で23件、医療機関で4件の相談がございました。

 

○甲田委員 いずれにしても、中野区も虐待が多い区であると思います。虐待が明らかになった場合の子ども家庭支援センターの対応はどのようにされているのでしょうか、伺います。

 

○黒田子ども家庭支援センター所長 まず、虐待の御相談を受けますと、当該の家族や子どもに面接するためのアプローチについて緊急会議を開き、方針を決めております。その方針のもとに、子どもの安否は48時間以内に確認をすることとしております。

 

 また、虐待の状況が危機的な場合には児童相談所に情報を伝えまして、児童の一時保護などを行っているところでございます。

 

○甲田委員 虐待が深刻する前に早期発見、早期対応することが大切と思われますし、現場で対応される方は、さまざまな事例を見て感じていることも多いと思いますが、子ども家庭支援センターでは、虐待をしてしまっている理由、家庭の状況をどう捉えていますでしょうか、伺います。

 

○黒田子ども家庭支援センター所長 最近の傾向としましては、虐待を受けた子どもの半数近くが発達に何らかの課題があるというふうに考えております。保護者の方が発達障害への理解がない場合には、わかりやすく話しかけるですとか生活習慣をゆっくり学ぶといったような子育ての工夫ができず、言うことを聞かないから厳しいしつけをするというようなことに陥りまして、悪循環になっているというようなことがございます。そういったことの結果として、親のいら立ちが虐待につながっていくといったような状況があるというふうに感じております。

 

○甲田委員 発達に課題、また、親のいら立ちということですけれども、早期発見、早期対応は大切と思いますが、それと同時に、虐待に至る前に、気になるレベルでの適切な支援が大切と考えます。それには原因となるものを取り除く必要があります。昨今は育児で孤立化をし、育児不安が強い母親も多いのではないでしょうか。また、発達障害を理解しない親が多いことで、保育園、幼稚園、学校の教育現場では苦労している声も多いと聞いております。しかしながら、何よりも一番親がつらく、苦しいと思います。親を早期に支援していくことが重要です。私は、発達障害の早期発見、支援のためには、親御さんが悩み始めた3歳から5歳ぐらいの早期支援が必要だと思っております。

 

 区は、虐待防止、発達障害の早期発見、支援のために今後どのように対策をとっていくのか、伺います。

 

○黒田子ども家庭支援センター所長 まず、虐待の未然防止でございますが、すこやか福祉センター等や子育て支援のほうでの見守りや相談の充実が必要であると思っております。また一方で、児童相談所の移管などを通して、身近な自治体での児童の相談体制の強化も重要というふうに考えております。

 

 発達障害の対応につきましては、保護者の理解を進めるとともに、対象児童もふえておりますので、療育センターアポロ園の充実や、知的発達障害児の通所支援施設等の開所によりサービスの拡充を図ってまいりたいというふうに考えております。

 

○甲田委員 ありがとうございました。

 

 次に、産後ケアの充実について伺います。私は、産後ケアについて、平成25年6月の一般質問で取り上げ、我が会派のやながわ議員は、以前より産後ケアの充実について訴えてきておりました。平成26年度、いよいよ国の子育て支援の予算案に、厚生労働省モデル事業として、産前・産後サポート事業、産後ケア事業等が盛り込まれました。

 

 産後ケアは、出産後に体調が崩れ、精神的に不安定になりがちな母親に対し、助産師などが付き添って心身の回復をサポートしたり、授乳指導や育児相談などを行うものです。今日の産前・産後の課題は、出産が高齢化、核家族化により親も頼れない妊産婦が増加していることです。妊産婦の親もまた高齢化している、もしくは親も仕事をしていることが多くなっています。また、夫も仕事で忙しかったり、離婚、シングルマザーなど、身近に支えてくれる人がいない、悩みを聞いてくれる人がいないという孤立化が進んでいます。

 

 さらに、体力のある20歳代の妊産婦は全体の1割程度ということであり、そのうち望まない妊娠やシングルのケースが少なくありません。

 

 以上のような環境に経済的要因が加わり、母親のストレスが増大し、産後鬱が非常に多くってなっております。その結果、虐待に至るケースも少なくありません。

 

 昨今はほとんどの女性が仕事をしているため、産前から疲れやストレスをため込んでいます。母親と新生児の心身の健康を守るために社会全体で産後ケアの体制づくりを急がなければなりません。

 

 そこで、まず産後ケアの柱となる産後入院の充実について伺います。先進的な取り組みとして参考になるのが、東京都世田谷区が武蔵野大学と共同で2008年に開設をしました産後ケアセンター桜新町です。同センターでは、産後4カ月未満の母子が宿泊や日帰りで滞在ができ、助産師らスタッフによる24時間体制の支援を受けられます。費用は1日3万2,000円ということですが、区民は1割の自己負担で済みます。利用した母親からは、親身なケアを受けられた、久しぶりによく眠れたといった好評の声が相次いでおります。

 

 今後はこういった施設の新たな建設は難しいと思いますが、助産師などを活用してのケアの可能性を探ってほしいと以前も質問をいたしましたが、先日、この件について伺うために中野区内に1カ所しかない助産院を訪ねました。ここでは産後入院での産後ケアを行っておりました。1日2万8,000円と高額ではありますが、世田谷区の産後ケアセンターよりは安く入れます。ちょうど実際に産後入院していた35歳の初産を終えた方にお話を伺ってみたところ、「とても居心地がよく、家に帰りたくなくなる」と言っておりました。

 

 今回、国の補助金を使いモデル事業で取り組みを始める自治体もあると思います。

 

 中野区でも今後、例えば出産して区内に住む妊産婦に対して、産後入院の経費を補助する仕組み等を推進していくべきと思いますが、いかがでしょうか、御見解を伺います。

 

 

○黒田子ども教育部副参事(子育て支援担当) 出産後から母親が1人で子育てをする状況がふえていることですとか、子育ての状況が厳しくなっていることは認識をしているところでございます。区はこうした母親への相談に乗るとともに、育児支援ヘルパー等の紹介も行っているところでございますが、国も母親のこういった状況を受け、産前・産後サポート事業などを創設したものというふうに考えております。今後は国の補助事業の内容、また、産後ケア、産後入院の効果等について研究を行っていきたいというふうに考えております。

 

○甲田委員 ありがとうございます。ぜひ積極的に推進をよろしくお願いいたします。

 

 次に、産後ドゥーラについて、質問いたします。出産後、間もない母親の家事・育児を手伝う専門職である産後ドゥーラという資格を持った人材がおります。アメリカでは、ドゥーラは出産に付き添ったり、産後の世話をする職業として知られています。語源はギリシャ語だそうです。

 

 日本でも東京都助産師会が後援をしてドゥーラ協会が立ち上がり、都内を中心に2年ほど前からドゥーラを養成する仕組みが始まっております。たびたび新聞やテレビ等でも取り上げられています。現在、都内を中心に約50人が養成されています。定期的に3カ月の実習も含めた養成講座を行い、今年中にはさらに40人ほどふえる見込みだそうです。

 

 養成されたドゥーラは、ドゥーラ協会がその活動を支えて職業として確立をしております。単なる家事援助ではなく、それぞれの母親の状況を踏まえ、時には赤ちゃんの世話だけではなく、子育てのアドバイスもできる人材として活躍しています。このような人材を活用しながら、区民に真に子育てしやすい中野区と思ってもらえるような支援ができないかと思っております。

 

 区は現在、区内在住で日中に家族などから家事などの援助を受けられない家庭に対して、産前・産後に育児支援ヘルパーを派遣するサービスを行っていますが、これはどちらかというと家事等の援助をするヘルパーです。産後ケアの充実のため中野区で現在行っている育児支援ヘルパーのうち、ニーズを捉えてトータルな支援が期待できる産後ドゥーラも活用ができないでしょうか、伺います。

 

 

○黒田子ども教育部副参事(子育て支援担当) 御紹介のあった産後ドゥーラの資格でございますが、家事や育児を支えるスキルを学んだ方が持つことができるというふうに聞いているところでございます。区で実施している育児支援ヘルパーの派遣事業は同様の趣旨を目的としておりますので、登録要件を満たしていく中で、ヘルパーとしての活用は可能というふうに考えております。

 

○甲田委員 ありがとうございます。これもぜひ活用の仕方を考えていただければと思います。

 

 次に、3番、子育てセミナー開催の充実について伺います。昨年11月に区役所で開催された子育てセミナーと養育家庭体験発表会に参加をいたしました。第1部は、子ども家庭支援センターの主催で開催された児童施設等で勤務経験のある臨床心理士による講演、日常の親子の会話の仕方など、非常に実践的でわかりやすいものでありました。

 

 第2部は、東京都福祉保健局の主催で、養育家庭(ほっとファミリー)の里親の体験発表会でした。これは都内51会場で開催されたものの一つだそうです。区内に住む里親家庭の御夫婦の体験が語られ、里親希望という人でなくても、子育て家庭において大いに聞く価値のあるものと感じました。

 

 私は、その日の発表者ではない里親さんにも話を聞くことができました。自分の子どもを2人育てながら我が子と同世代の児童施設にいた子どもを預かって育てている方で、子どもに対する愛情あふれる思いに胸を打たれました。里親さんは、普通の家庭に育ったこと、施設で家庭の味を知らずに育ったことの違いを肌で感じております。家庭での愛情がどれだけ大きな自信と生きる力をもたらすか、身をもって体験しています。このような里親制度について余り知られていなく、貴重な里親さんたちの苦労や秘訣、体験談を聞く機会が余りにないのはもったいないと思います。里親さんの体験発表は、日ごろ子どもに向き合う心の持ち方を学び、きょうからまた頑張ろうという決意ができるよい機会になると確信します。

 

 そこで伺います。このようなセミナーを開催することはとても大事であると思いますが、中野区で子育てセミナーは年間どのくらい行われているのでしょうか。また、今後の予定を教えてください。

 

 

○黒田子ども教育部副参事(子育て支援担当) 里親の体験発表会と子育てのテーマを合わせたセミナーは、虐待防止月間に合わせて行っているところでございます。毎年1回実施しております。来年度も同様の趣旨で実施をしていきたいというふうに考えております。

 

○甲田委員 また、先ほどの里親さんがこんなふうに言っておりました。「最初は虐待を受けて震えていた子が、私たちの愛情で包むことにより変わっていく姿がうれしい。家庭を知らない子を1人でも減らしたい。私には1人しか育てられないけれども、夢は、この1人から世界を変えていきたい。里子の子どもと私は家族であり、同志です」と自然に言う彼女の言葉を聞いたとき、この偉大な母の思いを共有し、伝染させていくことが大事だと感じました。体験にまさる雄弁はありません。

 

 そこで、里親体験を聞く機会とともに、第1部で行ったようなセミナーもあわせて区内各地域のすこやか福祉センターなどで定期的に開催すべきと考えます。里親制度の周知とともに、虐待の芽を摘むことにも大きく寄与すると思いますが、いかがでしょうか。

 

 

○黒田子ども教育部副参事(子育て支援担当) 里親制度のPRは、児童相談所の所管となっております。子育て支援セミナーとの共同実施が可能であるか、児童相談所との調整を図ってまいりたいというふうに考えております。

 

○甲田委員 児童相談所との調整をぜひ図っていただき、開催をお願いしたいと思います。

 

 そこで、周知方法も工夫していただければと思います。最近は、同じ年のお子さんを持つママ同士でラインやツイッターなどでグループをつくり、こういったイベントの情報共有や悩みの相談をしている方が多いようです。紙媒体、ホームページ、メルマガだけでなく、ツイッター、フェイスブックとあらゆる方法で子育て支援の情報を発信すべきと考えます。

 

 また、開催前だけでなく、開催の様子などのニュースが掲載されれば、次は行ってみようなどと参考になるので、参加者をふやすためにはそのような工夫も大切と考えます。

 

 今回ホームページもリニューアルをすると聞いていますが、子育てに関する情報の発信の仕方はどのように変わるのでしょうか。今、申し上げたようなことも含めて知恵を絞っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

 

 

○黒田子ども教育部副参事(子育て支援担当) 子育て情報を有効に発信することは大切だというふうに認識しております。ホームページのリニューアルに合わせて子育て支援の情報が効果的に届くように工夫を図ってまいりたいというふうに思います。

 

○甲田委員 ありがとうございます。ぜひ工夫をよろしくお願いいたします。

 

 次に、4番、異世代交流の場づくりについて伺います。戦後、大家族が当たり前だった時代から、現代の核家族が当たり前になった日本社会にあって、御近所づき合いが不得手な人、親子が多くなっております。地域でコミュニケーションがとれない親のもとで育った子どもは、大人になってからも地域でのきずなを結べるはずはありません。昨今は親子でも連絡をとっていない人もあり、ましてや、祖父母への法要もなく、孤独死も増加しているといった憂うべき社会となってしまっております。

 

 地域のきずなを取り戻すにはどうしたらよいのか。それには核家族では体験することのできない異世代間交流を活発にしていくことが大事であると私は思っております。お年寄りと触れ合うことは子どもたちの成長過程において大変に重要なことだと思います。核家族だけでは聞けない話や貴重な体験があります。何よりも異世代が心を通い合わせ、お互いの足りない部分を補い合おうとするとき、自分の必要性というものも感じることができます。また、子育てするお母さんの安心の源は、経験豊かな人、そして寄り添ってくれる人がいることであると考えます。

 

 そういった、ここに行けばその安心が得られる、癒しが得られるという異世代間交流の場所をつくっていくことは、中野の未来を考えるとき、地域のきずなを強めることに必ずつながると確信します。

 

 そこで伺います。地域には児童館があり、すこやか福祉センターがあります。そういう中では「子育てひろば」などを行っているものと思います。しかし、もっと全区的な子育て支援の場があってもよいのではないでしょうか。ここに行けば子育ての情報が何でも得られるというような親子支援の場、高齢世代も一緒に癒され、活気づくような場づくりが今こそ必要であると考えますが、区の見解を伺います。

 

 

○濵口教育委員会事務局副参事(学校・地域連携担当) 子どもたちは、地域の中で幅広い年齢層の方と交流し、成長することが望ましいと考えてございます。地域では、地域の中での支え合いを推進するため、すこやか福祉センターや区民活動センターの運営委員会が企画した世代間交流事業なども展開しております。また、地域の子ども施設である児童館、すこやかにおいても、乳幼児親子の利用やボランティアなどにかかわる地域の方の利用がありまして、異世代交流も図られていると認識しております。こうした機会を引き続き推進してまいりたいと考えてございます。

 

○甲田委員 場の確保については、ふれあいの家なども地域の中でもっと有効に使っていただければと思いますし、U18についても全区的な異世代交流の場と位置付けてもよいのではと考えます。

 

 先日、U18上高田を視察させていただきました。そこでは、館長を初め職員の方々がコーディネートし、地域のボランティア、すこやかの専門職の方を講師として招き、利用している乳幼児親子のニーズに合わせた内容を行っていました。また、中学生の学習、テスト勉強のために地域の大学生に複数来てもらって教えてもらったり、地域の高齢者から「おばあちゃんの知恵袋」と銘打って小物のつくり方を教えてもらうなど、ここはまさに異世代交流の場として最大限有効に使っていると実感をいたしました。このような取り組みは、さらに発展させ、全体に広げていくべきと考えます。ただ、全区的なものとして手狭であるとすれば、例えば学校再編で閉校となった学校の跡地を活用することも検討すべきなのではないかと思います。

 

 また、発信拠点としての機能も必要です。京都市にこどもみらい館があり、12月に同僚議員とともに視察してまいりました。学校の跡地を活用して、京都市の子ども政策の全てが凝縮された、とてもまねできないような大きなセンターでした。全国に類を見ない乳幼児の子育て支援の道しるべとうたい、研究事業や就学前教育の充実、学生のための保育士養成講座、相談事業、子育てセミナーなどの情報発信事業、図書館でのお話し会、親同士の交流の場、ボランティアの養成支援、イベントなど、多岐にわたる事業を行っています。

 

 中野区には現在、そういう子どもに関する政策の発信源になるような機能としての拠点がありません。私は、こういったことに加え、U18で既に行っているような事業を一緒に行う場が必要であると考えています。

 

 例えば中野区版こどもみらい館として、子どもに関する全ての情報はここでわかるという発信のセンター、子どもたちだけが主体者ではなく、親支援にもなり、高齢者自身の活力にもつながっていくような場をつくり、異世代間交流を促進していくべきではないでしょうか。御見解を伺いますが、未来を見据えた夢のある答弁をお願いいたします。

 

 

○濵口教育委員会事務局副参事(学校・地域連携担当) 子育て支援の制度や事業に関する情報発信は、子育て支援総合相談窓口で問い合わせをやってございます。地域に向けての情報発信は、すこやか福祉センターを中心に、児童館、キッズ・プラザが地域とのかかわりを重視しながら行っているところでございます。そのため、こどもみらい館といった構想は現在のところ持ってございません。

 

○甲田委員 とても夢のある答弁とは思えなかったのですけれども、今、私が申し上げた趣旨を理解していただき、これからいろんな考えの中に入れていっていただければなというふうに思いまして質問をいたしましたので、よろしくお願いいたします。

 

 次に、5番、子育て世帯の住宅支援について伺います。

 

 中野区は「住んでよかった街」の上位ということですが、本当に住み続けたいまち、住み続けられるまちにしていくためには、若い独身のときだけではなく、家庭を持ち、子どもが大きくなっても住んでもらえるようにしなければならないと思います。

 

 若者、学生や年金暮らしの高齢者だけではなく、働く世代の方により多く住んでいただくことこそ何よりの税収対策にもつながることは当然です。中野区から転出せざるを得ないのは、区内にはファミリーで住める広さのマンション、一戸建ての賃貸が他区に比べて少ないことからです。中野区住宅白書によりますと、一戸建て住宅は、23区の平均が全体の約23%であるのに対し、中野区は約19%となっており、木造集合住宅は、23区平均が全体の約14%であるのに対し、中野区は27%となっております。このことは、他の区に比べて、中野区には一戸建て住宅が少なく、木造集合住宅、すなわちアパートが非常に多いということを示しております。

 

 子育て世代の支援施策として、かつては区民住宅というものがありました。第3次中野区住宅マスタープランでは、区が一定期間借り上げてファミリー世帯向け住宅として運営してきた区民住宅は、制度上、家賃が民間相場と合わなくなり、空き室が生じたことから、今後新たに展開することはしないとして、施策の見直しを明記しております。

 

 そこで伺います。現在、中野区に区民住宅にかわるファミリー世帯を応援し、住み続けられるような住宅の支援施策はあるのでしょうか、伺います。

 

 

○豊川都市基盤部参事(都市計画担当) 中野区にはファミリー世帯に的を絞った住宅の支援制度はございません。なお、区では都営住宅や東京都住宅供給公社の賃貸住宅建てかえに当たりましては、さまざまな世帯が居住できるよう、子育て期のファミリー世帯向け住宅の建設を東京都等に要望しているところでございます。

 

○甲田委員 小林ぜんいち議員の一般質問でも取り上げましたが、墨田区の良質な集合住宅認定制度は、特に配慮された集合住宅を区が認定する制度で、私も視察に行ってきました。こういった認定制度の手法を取り入れることについて、既に一般質問でも前向きなお答えをいただいていると思っておりますが、ここでは子育て世代の住宅政策に絞ってお聞きしたいと思います。

 

 認定された集合住宅の情報は、墨田区のホームページなどで公表しておりますので、住民は住みかえをするときの良質な居住環境の指針として参考になります。認定の型には防災型と子育て型があり、ハード、ソフト面で数十個もの認定基準項目があります。

 

 例えばハード面で児童が安全に遊ぶことができる屋外の遊び場がある、通園時に送迎のバス等の待機・集合場所があるなどです。

 

 ソフト面では、1階併設の保育所を運営しているということにより点数をとっているマンションもありました。

 

 大規模な集合住宅の場合には集合住宅条例の基準をクリアすることは当然のこととして、さらに区が良質な住宅と太鼓判を押すことで価値がアップします。

 

 また、大阪市でもマンション認定制度を行っておりますが、大阪市が認定するマンションを購入する人向けに、大手銀行が主体的に特別金利プランという形でバックアップしています。自治体が認定をするだけで価値は上がり、銀行などの民間企業も自社の営業にうまくつなげながら応援してくれる可能性が出てきます。

 

 このような制度をうまく取り入れて、少しでも子育て世帯をふやすことのできる、中野区らしい、住みやすい住環境を整えていくことが重要だと思いますが、このような施策について、いかがお考えでしょうか。伺います。

 

 

○豊川都市基盤部参事(都市計画担当) 中野区としましても、子育て世帯をふやすことは重要であると認識をしております。第3次中野区住宅マスタープランでは、施策の方向性としまして、ファミリー向けの住宅の誘導ですとか子育て環境等への配慮が示されております。今後とも効果的な施策につきまして、委員御紹介の事例なども参考にしながら取り組んでまいりたいと考えております。

 

○甲田委員 さらに別の手法ですが、実は私の地元の不動産会社で賃料の安い一戸建てを地主さんに協力して建ててもらい、ファミリー世帯をふやすように促すことで、区の少子化抑制に貢献してくれている会社があります。地主で大きな土地を持っていて、古くなったアパートの建てかえなどの場合に、大きな土地が更地になることがあります。その際、地主さんに「次は単身者用アパートではなくて、賃貸の一戸建てを建ててもらえませんか」と持ちかけます。「中野区の少子化対策に貢献しましょう」と言って協力してもらい、駐車場つき3LDK一戸建てで家賃を16万円ぐらいにしてもらうそうです。このあたりの相場よりは家賃が安いので、すぐに埋まり、一度住めば長く住んでくれるため、空き室にもならず、回収率が高いということで、七、八年で建物代金は回収できるそうです。

 

 これを目玉にして、ここ一、二年でその不動産屋さんが主導して既に合計で25棟くらいの戸建て賃貸をつくってもらっているとのことです。それぞれ複数の子どもがいる家庭ということですので、それだけでも上高田、新井に50人近い子どもがふえたというのです。仮に1LDKのマンションばかりであれば、子どもが就学前くらいまでは住むことができても、小学校に上がるころにはほとんど転居していきます。私の同級生もほとんど区外へ転居してしまいました。一戸建てであれば、子どもが大きくなっても住み続けることができます。このような取り組みは、子育て世代や稼働人口をふやすことに大変有効と思います。

 

 こういった民間の取り組みを、先ほどの認定方式でもよいと思いますし、何らかの方法でしっかりとサポートし、区内全域の取り組みに広げてはどうかと思いますが、区の御見解を伺います。

 

 

○豊川都市基盤部参事(都市計画担当) ただいま委員からさまざまな取り組みを紹介いただきましたが、住宅の確保は、基本的には民間のストックを有効に活用して行われていくものであると考えております。民間と適切に連携しながら、どのような支援ができるか等について検討していきたいと考えております。

 

○甲田委員 ありがとうございます。子育て世代が長く住み続けられる住宅の誘致は、今後、中野区にとって大変重要であると思います。しっかりと具体的な施策を打ち出して強化していただきたいということを要望いたしまして、この項の質問を終わります。

 

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