次に、2番、教育行政について伺います。

 

 1番、食物アレルギー対策について伺います。今、小中学校では食物アレルギー児が激増しております。調布の事故を受けて各学校でも真剣に研修に取り組み、ほぼ全員の教職員がアレルギー児の日ごろの対応や緊急時の対応に関する研修を受けたと聞いております。現場の教職員の皆様の御苦労や緊張感は並々ならぬものがあると察します。

 

 今般、東京都の方針を受けて区独自でもマニュアルをつくり、教育委員会から各学校に徹底をしたということを聞いておりますが、改めてどのような徹底をされたのでしょうか、伺います。

 

 

○伊東教育委員会事務局副参事(学校教育担当) マニュアルの主な内容でございますが、児童生徒に対する食物アレルギーの調査は毎年実施すること、管理職、担任、養護教諭等を構成員としました食物アレルギー対応委員会を設置すること、給食室での調理から教室での喫食までの各段階におけるチェック表での確認、そして教室での担任による確認の徹底、そして緊急時のシミュレーションですとか、アドレナリン自己注射薬、通称「エピペン」と言っていますが、これの実施を含めた研修の実施など、これらについて各学校に徹底をしたものでございます。

 

○甲田委員 ありがとうございます。

 

 今、各段階のチェックと教室での担任による確認ということでありましたけれども、もう少し具体的にイメージできるような形で教えていただけますでしょうか。

 

 

○伊東教育委員会事務局副参事(学校教育担当) 各段階におけるチェックでございますが、4段階ございまして、まず給食室での調理の段階でございます。それとでき上がった給食、除去食の食器への盛りつけが2番目。3番目は、でき上がった除去食を給食室から教室へ運ぶ際のチェック。4番目が教室でのチェックでございます。

 

 4番目が教室での担任による確認の徹底ということでございまして、主に三つございます。学級担任によりまして献立のチェック、対象児童への食べる前の声かけ、喫食前の児童の様子のチェック、こういったものを教室で担任が確実に実施するというものでございます。

 

○甲田委員 今、聞いただけでも調理の段階で4段階、それから教室の段階で3段階、チェック表でこうやってチェックしているのかなというふうに思いますけれども、大変なチェックだと思います。また、食物アレルギーの児童生徒は現在、何人ぐらいいるのでしょうか。ここ3年くらいの推移とともに教えてください。

 

 

○伊東教育委員会事務局副参事(学校教育担当) まず、平成23年度でございます。小学校が260人、中学校60人、合計で320人でございます。平成24年度でございます。小学校331人、中学校73人、合計で404人でございます。平成25年度、今年度でございますが、小学校416人、中学校126人、合計で542人となってございまして、年々増加傾向にございます。

 

○甲田委員 年々増加というか、100人単位でふえていると。320人、404人、542人ということですので、相当の数だと思います。

 

 では、25年度、小学校には何人の食物アレルギー児がいるのでしょうか。多い3校を教えてください。

 

 

○伊東教育委員会事務局副参事(学校教育担当) 食物アレルギーの児童数の割合が多い小学校でございますが、まず一番多い学校が417人中35人、率にしますと8.4%。2番目の学校が271人中22人、8.1%。そして3番目が405人中30人の7.4%となってございます。

 

○甲田委員 ありがとうございます。

 

 そのうち食べられない食材を抜いて給食を提供している、いわゆる除去食の対象者数についても教えてください。

 

 

○伊東教育委員会事務局副参事(学校教育担当) アレルギー症状を起こす食材を除いて調理をする、いわゆる除去食の対応をしている児童数でございます。一番多い小学校は26名でございます。2番目に多い小学校は24人。3番目に多い小学校は22人ということで、こちらは2校ございます。

 

○甲田委員 除去食の対象者が20名以上もいる学校もあるということで、食材によって毎日対象者が違ってきたりもしますので、相当複雑な業務で大変であるのではないかと思います。ただでさえ多忙な教員が頑張ってくださってはいると思うのですけれども、本当にそのとおりに、常に間違いなくできるのか心配です。失敗が許されないことであり、対象者がふえ続ける中で、いつか限界が来るのではないかと危惧をしております。教育委員会としてもう一歩深く踏み込んで、無理は生じていないのか、今後の対策をどうしていったらよいのかということをさらに真剣に考えていく必要があるのではないかと考えます。

 

 私は、先月、横浜市で開かれた食物アレルギー児を家庭と地域で支える研修会に参加し、東京都立小児総合医療センターアレルギー科部長の赤澤晃先生の講演などを聞き、アナフィラキシーショックの際のエピペンの打ち方なども学んでまいりました。

 

 その中で、正しく診断されていますかという話がありました。個人差もありますが、食材によっては、子どもが成長するにつれ、年々食べられるようになるという場合があります。高学年になれば減っていくということが多く、医師の検査を受けてみないとわからないということです。実は食べられるものまで除去していると栄養が偏り、子どもの健康にとってよくないと赤澤先生は言われておりました。

 

 保育園では半年に一度医師の診断書を出してもらっていると聞いておりますが、小中学校ではどうなのでしょうか。当然入学時には提出してもらっていることと思いますが、その後、定期的に医師の指導を受けているか、確認体制はどのようにしているのか、伺います。

 

 

○伊東教育委員会事務局副参事(学校教育担当) 毎年、医師の診断を受けていただきまして、そのようなアレルギー内容の有無にかかわらず、医師の診断による学校生活管理指導表、これを提出してもらうこととしたところでございます。

 

○甲田委員 多分今まではやっていなかったと思いますけれども、ことしからそのようなことで、毎年、アレルギーの有無にかかわらず、医師の診断書をもって確認をするというふうなことに変えたということでよろしいですか。

 

 

○伊東教育委員会事務局副参事(学校教育担当) 今回、マニュアル等を整備しまして、新たな取り組みを行うことで、来年度から、委員御指摘のとおり、管理指導表については、医師の診断を受けていただいて、毎年提出していただくということでお願いしたところでございます。

 

○甲田委員 診断書料もかかり、保護者には負担もあることとは思いますが、正しい診断でできるだけ重篤な子どもをしっかりと見られる体制にしていくことも大事と思います。

 

 また、複数の食物アレルギーに対処できない場合は、全部お弁当にしている子が中野区全体で8人。一部お弁当がさらに何人かいると聞いております。特に重篤な子については、該当日はお弁当にするという対策も今後は必要かもしれません。その決め方、方向性のかじ取りは非常に難しいと思いますが、除去食を多くの人数で行うには、設備的にも人の配置の数的にも限界があるということを保護者等にも理解していただくことが、事故を起こさないことにつながる場合もあると思います。それとともに、対象者ではない周りの児童生徒や保護者にも理解してもらえるような対策が必要です。教育委員会の見解はいかがでしょうか、伺います。

 

 

○伊東教育委員会事務局副参事(学校教育担当) 学校給食も教育の一環でございまして、教室で友達と食事を一緒にするということは心を豊かにするというような効果もありまして、とても大事なものというふうに認識してございます。しかしながら、学校給食でこういったアレルギーに対応ができない場合につきましては、委員御紹介のとおり、保護者に弁当の持参を現在お願いしているというケースもございまして、今後、食物アレルギーを持つ児童が増加していった場合の対応につきましては、十分に検討していく必要があるというふうに現在考えてございます。

 

 また、保護者等への理解につきましては、例えば学校で発行します「給食だより」といったものに食物アレルギーの特集記事を掲載するなど、家庭と連携しながら進めていきたいというふうに考えてございます。

 

○甲田委員 除去食にしろ、お弁当にしろ、親にとって難しい対策や、子どもにとってつらいこともあると思います。また、子ども同士の中でも理解がないためにいじめなどに波及することもあるかもしれません。日々成長し、日々発達していく子どもであり、親も子もつらい病気であるがゆえに、このことをどう克服していくのか、共有する場、話し合う場もさらに重要です。そういったことを含めて、家庭、学校が共通の認識を持つことや、周りの子どもの理解を促せるよう真剣に考えていただきたいと思います。

 

 この項の最後に、今後ふえていくであろう食物アレルギーの対策に当たっては、限界をどこにするのか見きわめるのは非常に難しいとは思いますが、教育委員会として、特に対象の子どもが多い学校の実情、実態をよくよく把握していただき、よりよい対策がとれるよう、さらに検討していただきたいと思いますが、御見解を伺います。

 

 

○伊東教育委員会事務局副参事(学校教育担当) 食物アレルギーを持つ児童の多い学校も年々ふえてきてございます。こういったことから各学校の給食の現場、調理の現場、こういった実態の把握に努めるとともに、今後、さらにどういった対策が効果的なのかということについては検討していきたいというふうに考えてございます。

 

○甲田委員 ありがとうございます。

 

 これでよいということではないという思いで、今、申し上げた観点からも、対象者、家庭、そして学校現場を支援していっていただきたいということを強く要望いたしまして、この項目の質問は終わります。

 

 次に、2番、特別支援教育について伺います。

 

 食物アレルギー児と並んでふえているのが発達障害のお子さんです。発達障害について悩んでいる御両親も本当に多く、私もよく相談を受けますが、今後、あらゆる角度から対策が必要です。

 

 昨日、我が会派の南委員が発達障害の早期発見のための5歳児健診の実施について質問しましたように、発達障害には、まずは早期発見とともに早期支援が重要です。しかし、まだ早期発見の体制も十分でない状態において、小学校に入ってからその障害の特質が顕著にわかり、困っている子どもが多いのは、多くの人が実感していることだと思います。

 

 文科省が調査したデータによると、発達障害の可能性のある児童生徒の割合は全体の6.5%と言われておりますが、その障害の程度ははっきりと分かれているわけではなく、グラデーションであり、発達障害に限りなく近い状態のお子さんもいます。そう考えますと、これからは通常学級で特別支援教育が行われていくことが時代の流れと言えます。

 

 中野区でも平成28年度からは特別支援教室を全小中学校に置くことを決めており、その流れに沿った対策が必要になってまいります。そして、これからは通常学級での理解教育も促進していかなければなりません。

 

 その上で、就学相談について質問いたします。教育要覧によりますと、初回相談の件数は、24年度で小学校39件、中学校29件、合計68件となっております。この就学相談の就学相談支援員にはどのような経験の方が何人いらっしゃるのか、体制について教えてください。

 

 

○伊東教育委員会事務局副参事(学校教育担当) 就学相談専門員でございますが、現在3名の体制となってございます。そのうち2名につきましては教員の経験者、1名につきましては臨床心理士の有資格者でございまして、いずれの3名も教育分野での相談業務の経験を有しているという者でございます。

 

○甲田委員 また、就学相談の流れについて、簡単に御説明をお願いいたします。

 

 

○伊東教育委員会事務局副参事(学校教育担当) 就学相談の流れでございますが、まず、発達のおくれや障害のあるお子さんの保護者が、就学の前年に区の就学相談に申し込むことから就学相談が始まります。最初の面接、初回面接と言ってございますが、必要に応じて発達検査を実施します。主治医がいない場合につきましても必要に応じて医学相談を行います。そして、就学支援委員会の委員が、複数の子どもさんに集まっていただきまして合同面接というものを行います。そういったことを行いまして、初回面接ですとか医学相談、合同面接、それと保育園や幼稚園での子どもの様子などをもとに、就学支援委員会で適切な就学の場の検討を行うというものでございます。

 

 そして、就学支援委員会での判断結果につきましては、就学相談専門員から保護者の方に伝えさせていただきます。また、必要に応じて面談ですとか、特別支援学級での体験入級を行った上で就学先を決めていく、そういった流れになってございます。

 

○甲田委員 ありがとうございます。

 

 現状、知的障害のある子ですら保護者が希望して通常の学級になっているところがあると聞きます。発達障害のある子については、通級の特別支援を受けずに通常学級にいる子どもさんがさらに多いと思われます。

 

 また、通常学級で困り感が顕著になっていき、トラブルが起きるというケースもあるように聞いております。学校側には特別支援学級で学んでほしいという気持ちもありますが、この問題は一旦こじれてしまうと、そのようなことも言える状況ではなくなってしまいます。そこで、なるべく最初の段階で本当にその子のための学習環境としてはどうしてあげることが一番よいのかということを保護者にもうまく理解させることが重要です。

 

 就学支援委員会で固定の特別支援教室が適当と判断をし、また、通級学級への取り出し教育が必要と見られる場合、この初期の段階では親御さんを説得したり、アドバイスしたりすることができるのは、就学相談支援員の先生方だと思います。ここが一つのポイントであると私は思っております。

 

この段階で子どもの将来のためには理解と支援が必要だということを、保護者を励ましながら前向きな方向に持っていける経験豊富な指導力のある人材、特別支援教育に通達している人がアドバイスをしていけば、保護者も安心することができると思います。例えば退職された先生の中にもそのような人材がいらっしゃるはずと思います。今の支援員を変更してということではありません。

 

 国も26年度予算案には特別支援教育についてのさまざまなモデル事業などを打ち出しております。その中に早期支援コーディネーターというものも入ってきています。就学相談の件数も、困難なケースも今後ますますふえていくと思います。大事な問題に対処するため、就学支援員には、学校や保護者に的確なアドバイスをしていけるような人材がさらに必要だと思いますが、いかがお考えでしょうか。

 

 

○伊東教育委員会事務局副参事(学校教育担当) 就学相談専門委員には、就学支援委員会での判断結果につきまして、保護者の理解と納得、こういったものを得られる説明ですとかアドバイス、これを行うことのできる人材が不可欠だというふうに考えてございます。現在、3名の就学相談専門員も専門性とこれまでの教育分野における相談業務の十分な経験を有しており、適切な対応ができているというふうに考えてございますが、今後とも保護者への丁寧な説明やアドバイスに努めていきたいというふうに考えてございます。

 

○甲田委員 発達障害の問題はここだけやればよいというものではありません。切れ目のない支援をし、最終目標である就労に結びつけるまで、本人のみならず、親御さんをも励ましていくことが大事だと思います。そのようなことのできる人材の育成、確保に努めていっていただきたいということを要望し、今後、私自身もまだまだ勉強し、考え、取り組んでいきますので、よろしくお願いいたします。ありがとうございました。

カテゴリ

月別アーカイブ