○甲田委員 平成27年度予算特別委員会におきまして、公明党議員団の立場で総括質疑を行わせていただきます。質問は通告のとおり、その他はありません。

 では、早速質問に入らせていただきます。

 1番、妊娠・出産期からの切れ目ない多様な子育て支援について。

 今月、母親が我が子を殺してしまう児童虐待死のニュースが続きました。千葉県柏市では36歳の母親が4歳と1歳の姉妹を殺害し、神奈川県厚木市では29歳の母親が6歳と3歳の姉妹を殺害したという報道です。どちらも育児に悩んで疲れた、家事や育児がこのまま続けられるか不安になったと、これが動機でありました。本当にこういうニュースを聞くたびに悲しく、もっと早く何かできなかったのかと悔やまれます。生まれた直後から母親は疲れています。そして、心身の限界を超えて不安が増大しています。その中で地域の関係性のない育児はノイローゼになって当然とも言えます。産後鬱は誰にでも起こる可能性があります。

 中野区は27年度、いよいよ産前・産後サポートの新規事業を始めます。この切れ目のない子育て支援と産後ケアの必要性は、我が会派の先輩であるやながわ妙子議員が10年も前から一貫して訴えてきたものです。私もこの数年、多くの自治体へ視察をし、さまざまな専門家からのお話も伺い、何度か質問で取り上げ、提案もしてきました。

 さらに私ども公明党は産後ケアに関する意見書を提出し、中野区議会においてもこの意見書を全会一致で採択していただきました。今回、子育てサポートトータルケア事業の導入に踏み切ったということで、区の英断を大変に評価いたします。国も平成26年10月に内閣府が発表した「すべての女性が輝く政策パッケージ」の最初の項目として、切れ目のない妊娠・出産支援の強化が挙げられ、産後の母子への心身のケア、妊産婦の孤立感の解消のための相談支援などモデル事業を実施し、本気で乗り出し始めました。

 そこで伺いますが、区として新たに取り組むこの事業では、国の示す課題についてどのように取り組んでいくお考えなのか、見解を伺います。

○松原中部すこやか福祉センター副参事(地域ケア担当) 核家族化や地域のつながりが薄れてきたことによりまして、妊娠・出産や子育てに対する不安を抱え、孤立している子育て家庭があり、地域に相談相手がいない、あるいは相談先がわかりにくいといった理由によりまして、公的サービスが有効に利用できないといったこともございます。家事、子育てなどへの男性の参画を促すとともに、妊娠・出産・子育てで悩んで、あるいは苦しんでおられる女性に対して、きめ細やかな支援を充実させる必要があると考えております。

○甲田委員 そのきめ細やかなサービスの充実で今回の新規事業となったわけですけれども、今回の具体的なサービスは何があるのか、新規事業について伺います。どんな新規事業があり、内容はどんなものなのか。現在決まっている範囲で結構ですので、サービス内容が皆さんにイメージできるように具体的に教えてください。

○松原中部すこやか福祉センター副参事(地域ケア担当) 今回の新規事業につきましては三つございまして、母子保健相談支援事業、産前・産後サポート事業、産後ケア事業の三つでございます。

 第1に、母子保健相談支援事業ですが、これまでも母子保健事業といたしまして、リスクが高いと思われる妊婦への支援を行ってきたところでございますが、今後は全ての妊婦の状況を妊娠届、妊婦健康診査の受診状況、それから、拡充いたします妊娠期の各種の講座の参加状況等によりまして詳しく把握いたします。また、状況がわからない妊婦につきましては、電話連絡等によりまして、地域における妊婦の状況把握を行うことといたします。さらに必要な方に対しましては、助産師等による面接を経まして、産前・産後の支援プランを作成いたします。

 2番目に、産前・産後サポート事業でございますが、助産師や子育て経験者によりまして、出産、育児不安、あるいは母体の健康管理、母乳に関する相談や講座、グループワークを産前と産後に行います。

 3番目に、産後ケア事業でございますが、家族から支援を受けられない方を中心にいたしまして、助産院等を活用したショートステイやデイケア、あるいは家事支援、育児支援、母親支援を行う専門的なヘルパーの派遣によりまして、母子への心身のケアと育児サポートを行うものでございます。

○甲田委員 ありがとうございます。本当にどれも大切な新規事業であると思います。さらに新たな子育て支援メールというものも実施される予定ということを先月の子ども文教委員会でも伺いました。メールや電話、面談など、あらゆる方法で助産師などの専門家が入ってしっかりアプローチしていくことはすばらしいことだと思います。これらの事業は27年度中に開始ということですが、いつごろから実施できるのでしょうか。伺います。

○松原中部すこやか福祉センター副参事(地域ケア担当) 新規事業でございますが、27年の10月からの開始を目指しまして、現在調整を行っているところでございます。

○甲田委員 最初ですので、できるところから始めていただくしかないと思っております。いずれにしても、これまでの妊娠・出産を中心とした支援はどうしても切れ目があったということを考えますと、大きな拡充です。今回の新規サービス、本当にどれも大切ですが、特にこれまでも再三申し上げてきました産後ケアの事業が大切であると私は思っています。中でも、産後直後の1カ月間ないし3カ月間が一番大事です。母子の愛着形成ができる最も大事な時期と言われているからです。赤ちゃんがかわいいと思うことにより、母親の体からオキシトシンという愛情ホルモンが出て、母乳にも影響し、母体の心身も安定すると言われています。しかし、産後のお母さんの体は想像以上のダメージを受けていて、一番不安定な時期でもあります。里帰りもできず、孤独な育児をし、頑張り過ぎる母親が産後鬱となっています。

 例えば、産科の医療施設から今は5日間で退院してしまうわけですが、5日で退院してしまった後、自宅に戻ってから3時間ごとに目覚ましタイマーをかけて母乳での授乳をきっちり守り、ほとんど眠らずにへとへとになっている母親、また、集合住宅で夜中に夜泣きがうるさいと警察に通報されて、自分は母親失格だと自己嫌悪に陥る母親などなど、自分の育児が正しいのか不安で焦りを持っている場合が多いと聞いております。そんな状況が何週間も続くうちに、育児ノイローゼとなっていきます。つらい思いを受けとめ、不安を解消してあげ、たまにはゆっくり眠らせてあげるなど、助産師をはじめとする専門家による手助けがあれば、母親は自分の体と心を早く回復させ、育児に専念ができます。それが産後ケアです。

 先ほども申し上げましたように、産後鬱や虐待が誰にでも起こる可能性があり、必ずしも望まない妊娠や妊婦健診未受診の場合や経済状況が悪い家庭とは限りません。母親は、我が子のためには自分の身を削ってもという思いがあります。頑張るのは仕方がありません。しかし、孤独と不安を解消してあげることが重要だと思います。

 中野区では、これまでもすこやか福祉センターなどで地域の方のさまざまな福祉や保健の相談を受けてきました。これまでの相談やサービスの機会も生かしながら、より有効な対応を図ることもできると考えます。拡充した事業などもあるのかどうか伺います。

○松原中部すこやか福祉センター副参事(地域ケア担当) 現在実施している事業でございますけれども、27年4月から充実し拡充する予定がございます。まず、母親学級と両親学級、こちらを再編いたしまして、土日を中心にして実施回数をふやすことによりまして、毎月、身近なすこやか圏域において、出産を迎える御夫婦とその家族が参加しやすくなるよう改善いたします。

 また、妊婦栄養講習会に歯の健康の項目も含めるとともに、実施回数をふやすことといたしました。

 これまでもすこやか福祉センターにおきましては、総合的な子育て支援の仕組みを構築してまいりましたけれども、今後、地域で活動する助産師や保育士などと一層協働するとともに、リスクが高いと思われる家庭だけではなく、幅広く子育てに不安を抱える家庭へのきめ細かな支援に取り組んでまいりたいと考えております。

○甲田委員 ありがとうございます。産後にケアをするため母子にかかわるためには、産前からのアプローチが重要です。中野区は切れ目ない支援とちゃんと相談ができるところがあるんだということをあらゆる世代の人にもきちっとわかりやすくお伝えしていく必要があります。区民がみんなで、まちじゅうで子育てを応援していくという意識がとても大切であります。知っていれば身近な人に教えてあげることもできます。今回初めて行う事業でもありますので、制度が固まり次第、区報に大々的に特集で掲載してはいかがでしょうか。伺います。

○松原中部すこやか福祉センター副参事(地域ケア担当) 新たな事業の周知が行き届きまして、本来サービスが受けられる方へ適切に情報が行き渡りますように、区報、ホームページをはじめといたしまして、さまざまな機会を捉えて積極的なPRを工夫し、強化してまいりたいと考えております。

○甲田委員 さまざまな媒体の活用で、ぜひわかりやすく広報していただきたいと思います。

 次に、出産直後の支援と並んで大切なのは、兄弟姉妹、いわゆる第2子、第3子の対応です。冒頭申し上げました虐待死亡事件も小さな姉妹でした。乳幼児を複数抱えるということが孤独な育児に拍車をかけて不安にさせています。現在、保育園の待機児童が解消しない中では、例えば1歳、2歳の上の子どもを抱え出産する場合、母親が育休中などで働いていないことから、保育園に申し込んでも入ることはできない状況です。このような場合には、一応、短期特例保育という制度があります。数年前に私は一般質問で取り上げ、短期特例保育の期間を20日間から1カ月間に延ばす提案をし、そのようにしていただきましたが、現在の課題として、やはり一時保育事業―― 一時保育事業の中に短期特例保育もあるわけですが、この期間が短過ぎることと、定数枠が少ないということです。

 昨年9月の質問で私は、在宅で保育をする家庭の応援としてリフレッシュの仕組みをと提案しました。区は育児疲れの解消などに利用できる一時保育などを実施している、まずは実際のサービスを充実、拡大していくと答弁されていました。まずは一時保育の充実などを図ると答弁されたと捉えていますが、一時保育事業をどのぐらい拡充しようとされているのか、伺います。

○永田子ども教育部副参事(子育て支援担当) 平成27年10月から新設されます私立保育園2園におきまして、それぞれ定員5名の専用室を設けまして一時保育事業を開始する予定でございます。これによりまして、保護者が病気や出産などで入院するときなどに御利用いただけます短期特例保育と、リフレッシュなどにも御利用いただけます一時保育等を合わせまして、合計10名分の拡充が図られる予定でございます。

○甲田委員 大変に大幅な拡大であり、歓迎いたします。しかし、一時保育の仕組みがわかりにくく、まだまだ周知が必要と思っています。申し込みの仕方や使える期間などがさらにわかりやすく理解できる方法を工夫していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○永田子ども教育部副参事(子育て支援担当) 子育てに関するサービスの案内や利用受け付けなどにつきましては、区役所3階の子ども総合相談窓口のほか、各すこやか福祉センターで対応しているところでございますが、こうした窓口での対応をより丁寧にきめ細かく行っていくということをはじめといたしまして、今後さらに乳幼児健診の機会や子育てひろばなどの場を積極的に活用して情報提供を行うなど、周知のあり方についても工夫してまいります。

○甲田委員 ありがとうございます。今後このような多様なニーズに応える保育コンシェルジュのような人材もますます重要であると思っております。助けてもらいたいのにサービスがなく、見捨てられたという気持ちにさせないことが切れ目ない支援であると思います。今後は産後ケアの充実により、コーディネーターの機能を拡充していくという可能性もあるのかなと思っております。私も今後さらによりよい提案を行ってまいりたいと思いますが、今回こういった産前・産後ケアを中心とした切れ目ない子育て支援の事業が始まることについて、中野区の方向性を誇りに思います。今後もよりよい取り組みを加えながら、中野が子どもを産み育てやすいまちとなっていくために、ぜひ頑張っていただきたいと思います。

 最後に、切れ目ない子育て支援の確立に対する区の見解、今後の決意を伺って、この項の質問を終わりたいと思います。

○田中区長 答弁で申し上げていますけども、中野区でもこれまでもさまざまな形で子育て支援の施策をやってきたところですけれども、いろいろな担当がそれぞれの側面から必要性を切り取った支援ということになっていたというふうに思っています。今回、切れ目のない支援を確立していこうということで、私も含めて担当者が一堂に会して、切れ目のないというところでの総合的な施策の構築というのを行ったところです。産前から産後までという時間的な切れ目のなさということもそうですし、精神・身体の状態、これもさまざまな状態、これの切れ目のなさというところも大事だと思っておりますし、また、家庭環境、地域での環境といったような環境という面での切れ目のなさということも大事だと思っております。そうした三つの側面での切れ目のない支援ということについて、総合的に構築してきたつもりであります。これからもこうした切れ目のない支援ということについて、改善すべき点は改善を加えながら、より充実していきたいと、このように思っております。

○甲田委員 ありがとうございます。

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