次に、2番、障害者相談支援事業について伺います。

 相談支援の充実強化が求められている中、障害のある方が安心して相談ができる体制について伺いたいと思います。平成22年より中野区はワンストップ構想を打ち出し、現在体制を整備中です。ワンストップ構想とは、いわゆる区民が生活している圏域において、子ども、高齢者、障害者など、全ての支援を必要とする区民を対象に、あらゆる相談がワンストップで行えるよう、4圏域の各すこやか福祉センターがワンストップ総合相談窓口として位置付けられたというものです。この方向性は大いに賛同するものであり、この構想が成功していけば、支援の必要な区民が役所の縦割りサービスのはざまに落ちることがなくなり、切れ目のない支援で安心して自立したよりよい生活を送ることができます。この構想はまだ発展途上であると思いますが、本当に成功してほしいとの思いから、一番光が当たらず難しい問題の多い障害者の分野におけるワンストップの現状と課題をお伺いしたいと思います。

 現在、障害者の総合窓口は、4圏域に一つずつ障害者のワンストップ窓口、すなわち障害者相談支援事業所が置かれていくことになっており、今後はそこに行けばいつでも相談ができ、サービス利用の受け付けもしてくれるということになっております。しかし、障害者は一人ひとり状況が異なり、画一的な支援策では全く用をなさないものと思っています。したがって、障害者に寄り添った支援を行うには、障害者個々の状況を知り、多岐にわたる障害者への支援策を熟知した、経験豊かで専門性を身につけた人材が窓口業務には必要と思われます。その意味からも、現在相談支援事業は、長年障害者支援に携わってきた民間の事業者に委託をしています。

 平成27年度の予算では、地域支えあい推進費の中ですこやか福祉センターの障害者相談支援事業に中部・南部圏域で約3,100万、北部圏域・鷺宮圏域でそれぞれ約2,100万が計上されています。相談支援事業といいますと、単に障害者の方から相談を受ける事業と思いがちですが、この事業、実際のところ何をやっているのでしょうか。委託の内容を教えてください。

○朝井地域支えあい推進室副参事(地域活動推進担当) 障害者相談支援事業所には、障害のある方や御家族に対する相談、また精神障害者の医療助成の受け付けのほか、福祉タクシー券の受け付け、ホームヘルプサービスなど障害者総合支援法のサービスの受け付けを委託しています。相談や支援に当たりましては、訪問も実施することとしています。さらに、区がサービスの支給決定を行う際に必要となる御本人や家族の状況調査についても委託しているところでございます。

○甲田委員 相談のほかに、アウトリーチも含む相談、またサービス利用の受け付け、そしてサービス支給に当たっての状況調査、いわゆる勘案調査ということでありましたけれども、たらい回しにされず、ワンストップで受け付けるというのは大変よいことだと思いますが、今の御説明を聞きますと、窓口業務の側から見れば、相当多岐にわたる業務があるようです。障害のサービスというのは、先ほども申し上げましたが、それぞれ個々に異なる特性がありますし、支援するサービスも種類が多く、さらに恒常的に取り扱うような支援策ばかりではなく、年に1度しか取り扱わないような種類の業務、支援策さえあるようです。また、付随したさまざまな生活上の悩み、絡み合った問題も多くあると察します。複雑で深刻な相談にどう支援していけばよいか、日々悩まれていることと思います。

 本来は、福祉というのは行政が行う性質のものであり、お掃除や建物をつくることを委託するのとは違いがあると思います。委託してはならないということではないですけれども、委託したのだから、全て委託先で解決してくださいなんていうことはないと思いますが、例えば窓口において、事業所だけでは解決できないような問題については庁内のどこが責任を持って解決する担当になっているのでしょうか。伺います。

○朝井地域支えあい推進室副参事(地域活動推進担当) すこやか福祉センターは事業所の委託者としまして、事業者が円滑に業務ができるように必要な対応をしています。また障害者の場合、医療的な相談が必要な場合など、事業所のみでは対応が困難なケースにつきましては、すこやか福祉センターの職員が対応するとともに、主に身体障害や知的障害については障害福祉分野と連携し、対応しています。また、障害児の対応につきましては、各すこやか福祉センターが子ども家庭支援センターと連携しながら対応している、そういった状況でございます。

○甲田委員 それぞれの困難ケースに伴う指導・助言の担当はわかりました。

 では、困難事例という個別のケースではなくて、相談支援事業所の運営も含めて全体的・総合的に業務のボリュームなどを把握し、判断する部署はどこなのでしょうか。

○朝井地域支えあい推進室副参事(地域活動推進担当) 相談支援事業所につきましては、各すこやか福祉センターが実態を把握し、運営しているところでございますが、地域活動推進分野が総合的に把握しています。運営のあり方につきましては、地域活動推進分野が各すこやか福祉センター、障害福祉分野、子ども家庭支援センターと十分協議し、判断し、把握する、そういった所管になっているところでございます。

○甲田委員 この事業について、地域支えあい推進室が委託者でありますので、そうなるのだと思いますが、しかし、中野区障害福祉計画によれば、すこやか障害者相談支援事業所の整備や計画相談支援の対象者拡大に伴う相談支援事業所が増加する中、平成26年4月、障害福祉分野が基幹相談支援センター業務を行うこととし、困難事例に対する指導・助言、相談支援機関の人材育成などに取り組むこととしましたとありました。この計画のとおり、本来は障害者のことですから、私は障害福祉分野が基幹相談支援センターとしての機能を発揮し、障害者の自立支援や社会参加を目標に、常日ごろから全体観に立って、運営もスムーズにいっているのか、また業務のボリュームは適切かなどを確認していくのだと思っていました。ともあれ、障害のある方の自立支援の現状を一番最前線で相談を受けてわかっている事業者の生の声をよく聞き、課題を明確にしていくことが重要だと思います。

 今、あちらこちらの障害者団体や事業所からよく聞きますのは、障害者自立支援法から総合支援法へと法律が変わり、一人ひとりの障害者に合ったプランの作成が必要になった。障害のある方にとっては大切なことだが、それに見合ったような報酬もない。人材確保の先立つものもない中で、事業者が大変な業務を抱え込んでいる現実があるということですが、それはそのとおりでよろしいのでしょうか。これは一般的なことでありますが、確認の意味でお伺いします。

○岩浅健康福祉部副参事(障害福祉担当) 平成24年の総合支援法の施行によりまして、障害福祉サービスを利用する全ての障害者の方が計画相談支援というものの対象となりました。これによりまして、3年間のうちにサービスの利用決定に先立ちまして、サービス等利用計画プランを順次つくっていくということになっております。最終的には平成27年度、来年度の4月以降、サービスを決定する方については、全員にサービス利用計画を作成するという必要がございます。また、その計画を立てた際にはモニタリングというものも必要になってまいったため、計画相談の支援事業者の方にとっては、その役割ですとか、業務がふえているという状況にございます。

 計画相談支援給付費が少ないということは、中野区内だけではございませんで、多くの事業者から声が上がってきております。昨年12月には特別区長会といたしまして、計画相談支援の報酬単価の引き上げにつきまして、厚生労働大臣に緊急要望をしたところでございます。

○甲田委員 ありがとうございます。相談支援事業が中部すこやかで始まったのは平成22年、初めに委託を受けた事業者はことしで5年目を迎えるわけですが、この間の平成25年に今おっしゃっていただいたように法改正もあり、環境が変わったこと、また、対象者も拡大しているという中で、5年前から仕様書はほとんど変わっていないと聞いています。仮に仕様書に不具合が生じている場合には、どこが責任を持って見直しをしていくのでしょうか。伺います。

○朝井地域支えあい推進室副参事(地域活動推進担当) 障害者相談支援事業所の仕様書につきましては、基本的に各すこやか福祉センター共通のものとし、地域活動推進分野が各すこやか福祉センターと調整し、見直しをすることとしています。なお、この障害者相談支援事業所の委託につきましては、更新が一定の年数に達した場合を含めまして、企画提案公募型事業者選定方式により事業者の募集を行っています。選定に当たりましては、事業者の企画提案内容をもとに専門性や運営体制などを審査し、最も評価点の高い事業者を選定し、契約をしてきているものでございます。

○甲田委員 通常の委託では、仕様書は普通変えないというものだと思いますけれども、法改正などの環境の変化が大きい場合には不具合も生じると思います。それぞれの委託事業者によく現状を聞くという詳細の調査が必要と思います。現在、事業者にそういった意味での意見を聞く場は持たれているのでしょうか。

○朝井地域支えあい推進室副参事(地域活動推進担当) これまでも委託の事業者の方から個別に意見や要望をお聞きしているところではございますが、この障害者相談支援事業所のあり方などについて、事業者と意見交換する場というものは設けてはおりません。今後はそういった意見交換の場についても持つよう検討していきたいと考えているところでございます。

○甲田委員 ありがとうございます。

 それでは、今後そのような場、事業者との意見交換の場の設定はどの部署が責任を持って行うのでしょうか。

○朝井地域支えあい推進室副参事(地域活動推進担当) 障害福祉分野、子ども家庭支援センターと協議しつつ、場の設定につきましては、地域活動推進分野が担っていきたいというふうに考えております。

○甲田委員 ありがとうございます。ぜひ働きかけをしていただき、4圏域が公平に課題を改善しながら進んでいくためにも、担当からの現状課題把握の働きかけをできるところから始めていただくようお願いしたいと思います。専門のノウハウを持った、中野区にとって大切な資源とも言うべきそれぞれの事業者が存分に持てる力を発揮できるようにしていただきたいと思います。

 中野区の福祉のワンストップ構想が形となってきた今、とても感じることは、個々の事業の担当は明確なのでありますが、本来の目的、目標を達成させるためにはいろいろな部署が関係している場合があります。それぞれが連携を強化していくというふうにいつもお答えいただくのはよいのですが、連携の際のそれぞれの分野をつなぐ統括責任部署を明確にすることが重要ではないかということです。言いかえれば、4圏域に分かれたそれぞれのすこやかがそれぞれの責任者ですと言うのではなくて、区としての政策目標がどこまで達成されているのかを見きわめるためには、やはり連携の中心になって積極的に働きかける役目の担当が必要ではないでしょうか。特に福祉政策における課題として、今、ここが一番大切なのではないかと考えます。

 地域包括ケアシステムの構築についても、子どもの相談についても同様であると思います。窓口に出る人、最前線の人が区の職員であればいいのですが、それを委託して民間に委ねる場合は、ここからここまでは委託ですが、ここからは区が対応します。しかも、どこの部署が対応しますということを明確にしておかなければ、委託事業者はあまりに荷が重過ぎると思いますし、結果、それは区民に不利益を与えることにつながります。そして、委託か委託でないかにかかわらず、区が区民の最前線にいる職員、または最前線にいる事業者の方々を大切にする精神を持つときに、対応も迅速で丁寧になり、その向こうにいる区民は安心感を持てると思うのです。今後そのような中野区であってほしいと要望いたしまして、最後にこのことについての区の御見解を伺って、質問を終わりたいと思います。

○瀬田地域支えあい推進室長 区は四つのすこやか福祉センターを整備いたしまして、今御質疑がございました障害者の相談支援事業所をはじめ、地域包括支援センターといった委託先の機関も含めまして、総合的な相談の仕組み、これを構築してきてまいっております。また今後につきましても、区の目指す地域包括ケア体制の構築に向けまして、各すこやか圏域でのさらなる拠点機能の発揮、こういったものが求められているところでございます。すこやか福祉センターでの総合相談としての機能、メリットが最大限に生かされますように、また、区民お一人お一人にとっての価値のあるサービスの提供、そしてまたおもてなしの視点を大切にしながら、職員への接遇向上など、さらなる質の向上につながりますように、庁内の関係部署、また関係事業者との連携を強化しながら、必要な体制に取り組んでいきたいと考えております。

○甲田委員 ありがとうございました。さらなる向上を期待いたしまして、質問を全て終わらせていただきます。ありがとうございました。

○内川委員長 以上で甲田ゆり子委員の質疑を終了します。

 

カテゴリ

月別アーカイブ