次に、甲田ゆり子委員、質疑をどうぞ。

○甲田委員 平成28年第3回定例会に当たり、公明党議員団の立場で決算総括質疑を行わせていただきます。質問は1から5まで通告どおりに行います。その他はありません。なお、最後の4番の障がい者施策についての一番最後の(3)と(4)を入れ替えて質疑をさせていただきます。何とか今日中には終わりたいと思っております。ボリュームがあるんですが、頑張ってまいります。

 今回の決算は、おおむね良好であったとの話がありました。ただし、区は目先の結果にとらわれず、今後も財政規律をしっかりと行っていくということでありました。当然長期的視点で見ていくことが大切でありますが、私のほうでは今回、特に福祉サービスについては、用意された予算の中で必要な人、必要なところに必要なサービスがきちんと届いたのかといった観点で、区民の皆様からいただいたお声や生活実感をもとに、各項目の質疑、そして提案をさせていただきたいと思っております。明快な御答弁をよろしくお願いいたします。

 1番、健康支援施策について、(1)健康づくり施策について伺います。

 日本は超高齢化社会に入り、医療費の増大は誰もが非常に重要な課題と捉えております。平成27年度決算では、財政白書にも一般会計から国民健康保険事業特別会計への繰出金が56億円となったとの記述があり、これは過去最高であると思います。そこで伺います。平成27年度の国保給付費は幾らで、前年に比べ幾ら伸びたのでしょうか。

○渡邊区民サービス管理部副参事(保険医療担当) 平成27年度の給付費は213億5,802万円余でございまして、平成26年度と比べますと約4億1,800万円、約2%増加しております。

○甲田委員 決特の資料、区民12を見ればわかりますが、国保事業会計全体の歳出合計が10年前の平成18年よりも約105億円以上も増加しています。その中でも国保給付費は確実に毎年右肩上がりとなっていることがわかります。10年前の平成18年度182億8,462万円だった国保給付費は、10年間で30億円以上の増加です。それで、平成27年度の国保被保険者1人当たりの給付費は幾らで、前年からどれくらい伸びたのでしょうか。また、その原因はどんなことと分析していますでしょうか、伺います。

○渡邊区民サービス管理部副参事(保険医療担当) 平成27年度の1人当たりの給付費でございますけれども、23万3,000円余でございます。平成26年度よりも3.8%、約8,600円増加しています。給付費が伸びた原因でございますけれども、主に4点あると考えてございます。1点目が被保険者の高齢化、2点目が医療の高度化、3点目が高額薬剤の使用の増加、4点目が訪問看護の増加でございます。

 1点目の被保険者の高齢化でございますけれども、国民健康保険の被保険者数は毎年1%から2%程度減少しておりますけれども、被保険者のうち、65歳から74歳までの方の全被保険者に占める割合は、平成23年度は21.8%でございましたけれども、平成27年度は25.26%まで増加し、4人に1人が高齢者となっております。

 2点目の医療の高度化でございますけれども、1日当たりの入院に係る自己負担を含めた医療費でございますけれども、平成26年度と比べますと平成27年度は3%増加し、1日当たり4万円増えているという状況でございます。入院以外の1件当たりの医療費につきましても1.4%増加しまして、1万3,690円となってございます。

 3点目の高額薬剤の使用の増加と4点目の訪問看護の増加でございますけれども、平成27年度の中野区の国民健康保険被保険者の医療費は約252億円でございます。前年度と比較しますと1.6%、約3億8,700万円の増加となってございます。そのうちの約2億9,700万円が薬剤費の増加でございます。また、訪問看護につきましても、平成26年度と比較しますと16.1%の増加となってございます。

○甲田委員 高齢化ももちろんありますけれども、高額な薬剤を使わざるを得ない病気の方が多くなったということもあるということであります。1人23万3,000円というのは、あくまでも平均の金額ですが、一体どの世代の人の給付費が伸びたのかなどについては、今のところまだデータの分析が進んでいない現状だと思います。よって、なかなか手が打てないということもあるかと思いますので、データについては今後も調査分析をお願いしたいと思います。

 我が会派では、木村議員がデータヘルス計画、国保のデータやレセプトを活用した医療費の抑制、後発医薬品の活用なども提案してきたところです。とはいえ、データの分析には時間もかかりますし、多岐にわたります。一方、給付費が前年よりも4億円も増えたということですので、大変重大な問題であるという認識を持ち、早急に何らかの支援策をつくることが急務と考えます。世田谷区では、データヘルス計画の策定に先立ち、「データでみるせたがやの健康」を作成しました。これは健康を切り口に部署や関係間を超えて、今あるデータを取りまとめたもののようです。この狙いは、区民の健康状況を明らかにすることで、区民が自分自身の健康に関心を持ち、主体的な行動を継続できるようにすることにあるようです。中野区でも今後参考にし、区民の意識啓発と健康づくり施策の根拠になるようなデータを可能な限り活用して、区民の健康状況を明らかにし、それを区民に情報提供することができないかと考えますが、御見解を伺います。

○宇田川健康福祉部副参事(健康・スポーツ担当) 今年7月に策定しました中野区スポーツ・健康づくり推進計画におきましても、中野区の現状と課題のほうでは、人口ですとか出生率、医療費、平均寿命、健康寿命、子どもの体力、運動・スポーツに取り組む意識、環境など、スポーツによる健康づくりに関連するデータをもとに、現状と課題を明らかにしております。しかし、区の健康づくり施策を総合的に進めるに当たっては、さらに広く健康づくり全般について関連部署が持っている各種データを収集分析し、現状と課題を明らかにすることが必要となります。また、こうしたデータを活用した情報提供は、区民の皆さんが健康づくりに関心を持ち、主体的に行動し、生活習慣を見直す上でも有効であるというふうに認識しております。今後、関連部署と連携を図りながら、関連データを収集分析し、区民にわかりやすく情報提供ができるよう検討したいというふうに考えております。

○甲田委員 今、若い人の心筋梗塞や心不全も急増していると言われております。ある心臓外科医が、このままだと日本は30代、40代で倒れる人が続出すると言っていたそうです。原因は言うまでもなく生活習慣です。働く世代の方たちが急な病に倒れることは、個人にとっても社会にとっても大きな損失です。心臓病だけでなく、糖尿病、脳内出血、がん、認知症なども生活習慣が原因で起こる病気であると言われております。健康支援施策は、実施しても効果がすぐに出てこないことと、また、病気に対して自分だけは大丈夫と楽観しているなど、健康への無関心層の人たちに届く施策がないのが現状です。中野区は先般、スポーツ・健康づくり推進計画を策定いたしましたが、今後の取り組みとしてどのような施策を打って、医療費の増大に歯どめをかけていこうとされているのでしょうか、伺います。

○宇田川健康福祉部副参事(健康・スポーツ担当) 平成27年度の中野区健康福祉に関する意識調査の結果を見ますと、一日一回30分以上の運動を週一、二回以上行っている区民の割合は52.6%でございます。また、こうした運動をしていない65歳未満の区民が運動をしない理由として、時間がないということを挙げている方が44.8%というふうになっております。こうした結果を踏まえて、中野区スポーツ・健康づくり推進計画におきましては、スポーツコミュニティプラザの整備や公園のスポーツ機能の充実を図るなど、気軽に運動できる環境整備を進めるとともに、子どもから高齢者まで無理なく取り組めるラジオ体操やウォーキングを普及し、地域ぐるみで取り組むことを支援することなどを通して、運動・スポーツによる健康づくりを進めるということとしております。このことが今後、医療費の増大の歯どめにつながるというふうに考えております。

○甲田委員 スポーツも本当に大切だと思います。ですけれども、私は食事も非常に重要と考えます。つい最近、私の親友が40代で乳がんの末期と宣告されました。わかったときには肺や肝臓にまで転移しており、手術もできない状況で、医師からは治りませんと断言されました。忙しさを理由に、最近は健康診断も受診していなかったことと、友人とのつき合いを大切にし、好きなお酒をがんがん飲んでいたことなど原因は幾つもありますが、私も非常にショックを受け、眠れないほど心配しました。しかし、そこから彼女は自宅で副作用のない抗がん剤とも言われる食事療法に徹底して取り組みました。その結果、何と2カ月後の検査では、がんが激減していたそうです。医師も本当に驚き、この調子でいけば治療ができると言ってくれたそうです。完全に消えるまでにはまだまだ努力が必要ですが、希望が見えてきました。このことからも、やはり食というものが人間の体をつくっていて、病気をつくるのも予防するのも治すのも食であると実感をしました。免疫力を高める食事は、家庭でつくった和食が一番と言いますが、食の大切さがわからずに親が子どもにコンビニ弁当、菓子パンやカップめん、スナック菓子ばかり与えてしまうような家庭も多くなっております。最近は、子どもにみそ汁をつくってあげられない母親が増えていると言われています。生活習慣病予防の区民への意識啓発をする上で、さまざまなステージにおいて一貫して栄養指導、食の大切さを知らしめる施策はとても大切と考えます。中野区には食育に関して主にどのような事業があるのでしょうか、伺います。

○宇田川健康福祉部副参事(健康・スポーツ担当) 区は、国が食育月間として定める6月に食育の普及啓発事業として、区役所に横断幕を掲げることですとか、中野駅ガード下のパネル展等を行っております。また、年間を通じて区の食育マスコットキャラクター「うさごはん」の貸し出しを行ったり、区民と共同で作成した中野食育かるたを活用した食育の普及啓発にも取り組んでおります。すこやか福祉センターにおきましては、食育講習会ですとか栄養講習会、離乳食講習会を実施する他、地域の団体などから栄養士の派遣依頼を受けて行う依頼講座等も実施しております。また、各小学校においては、教育課程や体力向上プログラムに食育を位置付けて、給食や授業を通して取り組んでおります。保育園においては、ホームページを活用した食育に関する情報発信を行うほか、子どもたちが食に関心を持てるよう、様々な工夫をしながら取り組みを行っているところです。この他、食品衛生の観点から食の安全などに係る講習会等も実施しております。

○甲田委員 とても色々やっていただいていると思いますが、現在、中野区には食育に関する基本方針、基本計画がないため、その目標や効果の検証がばらばらになっていると感じております。以前、視察に伺った小金井市では、市独自の食育基本計画に基づき、まさに部署を超えてさまざまな取り組みを体系化して実施しております。我が会派で度々訴えてまいりましたが、やはり中野区でも食育という視点を大きく持っていただいて、健康づくりの施策を考えていくということが大事ではないかと思います。そのため、まずは国の食育基本計画(第3次)に対応する取り組みを検討していくべきと考えますが、いかがでしょうか、伺います。

○宇田川健康福祉部副参事(健康・スポーツ担当) 食育につきましては、平成25年3月策定の中野区健康づくり行動プランによって、栄養、食生活の改善と運動の継続について取り組みの方向性と内容を示すとともに、中野区健康福祉総合推進計画2015においても、生活習慣病予防と健康増進を進めるための施策として、健康を維持増進する食の推進を掲げて取り組んできているところでございます。新しい中野をつくる10か年計画(第3次)においては、戦略Ⅳ、生きる力・担う力育成戦略の主な取り組みとして、主に子どもを対象とした食育・健康教育の充実を挙げております。また、戦略Ⅵ、スポーツ・健康都市戦略の主な取り組みとしては、あらゆる世代を対象とした健康づくり・食育の推進を挙げております。現在、10か年計画に基づいて健康づくり施策を総合的かつ効果的に進めるための健康を行っているところでございます。国の食育推進基本計画(第3次)を踏まえた取り組みにつきましても、この中で検討をしていきたいというふうに考えております。

○甲田委員 現在検討中ということですので、よろしくお願いします。また、健診を受けた人の次の行動を変容させ、フォローするためのきっかけとして、相談できる仕組みも必要と考えます。文京区で行った大学祭とコラボしたハッピーベイビー・キャラバン保健室では、無料で骨密度、血管年齢、BMIを測定し、栄養士からのアドバイスも受けられ、世代を問わず男性、女性が長い列をつくったそうです。こういった病院よりも気軽に相談のできる場の提供、取り組みをして、運動や食事のアドバイスまたは精密検査の具体的な助言をすることにより、重症化を防ぐことにつなげてはどうかと考えます。現在やっている健康づくり教室を健診アフターフォローの場としたり、ウエブ上でアドバイスが受けられる仕組みがあると、中野区は区民の健康の支援をしっかりとやってくれているというインパクトを示すことができると思います。

 また、参考になるのが足立区の取り組みです。足立区では、なぜ足立区民の健康寿命が23区平均より2歳短いのかという、こういうどきっとするようなチラシがあります。自覚症状がなくて、スポーツを若いころからやっていたけれども、健診の結果を軽く受けとめていたという区内在住Tさんのことが書いてあるんですが、この秘策は裏へと記載されておりまして、裏面を見ると、野菜を食べよう、野菜から食べようというふうに野菜をしっかり食べる習慣を訴えております。足立区も食育基本計画を持った上で、おいしい学校給食の取り組みや健康になれるまち、長寿になれるまちを目指し、あだちベジタベライフを展開中です。飲食店に協力してもらうなど、野菜をしっかり食べる習慣をまちじゅうで呼びかけております。このように施策を打つ際には、働きかける層の焦点を絞り、インパクトのあるかけ声がまず大事であると思います。その上で、分野を超えた共同の取り組み、多くの人が集まる場所でのアピールができるよう、総合的な健康施策の検討を急いでいただきたいと思いますが、いかがでしょうか、伺います。

○宇田川健康福祉部副参事(健康・スポーツ担当) さきに10か年計画に基づき、健康づくり施策を総合的、効果的に推進するための検討を進めているということで御答弁をさせていただきました。今、御提案をいただきました取り組みにつきましては、この検討の中で参考にさせていただき、急ぎ検討を進めてまいりたいというふうに考えております。

○甲田委員 ありがとうございます。次に、がん検診の向上について伺います。

 最近、がんの罹患者が増えていると言われ、特に乳がん罹患者などは大きく増えております。忙しい女性が増え、生活面の悪化と検診の受診が伸び悩んでいることも影響しているようです。女性の健康は社会の元気につながり、中野の元気につながります。がん検診率の向上については、これまでも我が会派で様々質問に取り上げてまいりました。対象者全員が定期的に検診を受けられることを願っております。中野区では、女性特有のがん、乳がん、子宮頸がんに関して、平成26年、平成27年と、とても目立つデザインの勧奨はがきを送付していますが、その効果はどうだったのでしょうか。がん無料クーポンのときと比べて受診者はどうなったのでしょうか、伺います。

○水口健康福祉部副参事(保健予防担当) 子宮頸がん検診の受診勧奨はがきについては、平成26年度から送付しております。受診者数は平成25年度の8,258から平成26年度8,894、平成27年度9,100と増加しております。乳がん検診については、平成27年度から受診勧奨はがきを送付し、平成26年度の受診者数6,576人から27年度7,863人と増加しております。子宮頸がん検診、乳がん検診とも、平成25年度のクーポンのときよりも900人ほど受診者数自体は増加しております。

○甲田委員 確かに申し込み、受診ともに増えました。そのことは勧奨の成果と評価したいと思います。ただし、それでも対象者に対して見れば、事前にお聞きした数字をこちらで言ってしまいますが、子宮がん検診申込者数は約13%、受診者は約8%、乳がん検診申込者数は約12.6%、受診者は約7.5%だそうで、依然少ないと思います。本当に受けなくてはいけない人たちがこれだけしか受診できていないということでありますが、申し込みの形態についてはどうだったのでしょうか、伺います。

○水口健康福祉部副参事(保健予防担当) 特定健診対象者に郵送申し込み用紙を同封した平成25年度は、郵送の申し込みが多かったのですけれども、その後は電話での申し込みが多いです。若年層の子宮頸がん検診の申し込みはホームページからの電子申請が多くなっております。

○甲田委員 以上のことを踏まえまして、申し込みのしやすさ、わかりやすさ、タイミングよく届くこと、または受診料の安さが鍵となると感じます。無料クーポンのときよりも勧奨の仕方によって効果が上がったということは、無料にすることが必ずしも効果が高いというわけでもないということで、そう考えたとき、がん検診を勧奨すべき区民に申し込み勧奨はがきではなく、直接受診券を送付するようにしてはいかがかと思いますが、いかがでしょう。

○水口健康福祉部副参事(保健予防担当) 現在、年度当初、直接送付をしている対象として、前々年度の受診者、前年申し込んだが未受診の方などを対象に絞り込んでおります。今後、罹患率の高い年齢層等を考慮し、効果的な対象を絞り込んで、直接送付についても検討してまいります。

○甲田委員 また、ウエブ申し込みのアピール、またサイトやアプリを通じた連続性のある検診結果のお届けなども検討してはどうかと思いますが、いかがでしょうか。

○水口健康福祉部副参事(保健予防担当) 今年度もがん征圧月間のパネル展について区のフェイスブックで発信するなど、ITを活用した啓発については今後も考えていきたいと思います。

○甲田委員 受診率アップの取り組みは啓発事業とセットで、検診へ行かなくてはと行動変容につながる取り組みを工夫して、推進していただくことを要望したいと思います。がんの啓発事業はもう少し拡充してはどうかと思います。また、より多くの対象者に届く周知方法としては、例えば小・中学校のPTAに働きかけるなどして啓発事業を行うとか、また帝京平成大学で行っているオレンジバルーン・フェスタというイベント、これは中野区が後援となっておりますけれども、こういったものを区の健康イベントと位置付けて共催とするなど、積極的な取り組みを展開すべきではないかと考えますが、いかがでしょうか、伺います。

○水口健康福祉部副参事(保健予防担当) 帝京平成大学とは現在、勧奨はがきにイラストの提供など、御協力をいただいております。また、新渡戸文化学園など、がんの啓発に対する協定を締結するなど、様々な区内の関連機関の御協力をいただきながら啓発を実施しております。今後も多方面と連携して、広く事業を展開してまいりたいと考えております。

○甲田委員 ありがとうございます。あわせて言わせていたただきますと、乳がん検診については、国の方針では、これからは視触診の検査は行わず、自分で行うように変える方向に動いていると聞きますが、区の検診がもし将来そのようになっていくのであれば、なおのこと、区民がみずから意識して自己触診でしこり等を早期発見しなければなりません。ピンクリボンキャンペーンでは、街頭で10月にティッシュを配ったりしていただいていますが、啓発の意味で乳がんの自己検診用のグローブを配布するなどの工夫があってもよいと思います。こういったことも検討していただきますよう要望しまして、この項の質問を終わります。

 次に、子育て支援について伺います。(1)児童虐待について伺います。

 最近の報道だけを見ても、児童虐待が増え続けています。今後、区として児童相談所を迎えるに当たり、実態や課題についてお聞きしておきたいと思います。報道で児童虐待は増えていますけれども、中野区の実態はどうなのでしょうか、伺います。

○神谷子ども家庭支援センター所長 平成27年度子ども家庭支援センターで新たに受理いたしました児童家庭相談の数は857件、そのうち児童虐待の相談は485件となってございます。いずれも一昨年度の数値を上回り、増加傾向がございます。内訳といたしましては、数回の助言で対応できている案件が多くございますが、継続的に虐待対応に係る支援が必要な案件は年間で150件と、ここ数年横ばいの状況でございます。早期の虐待相談は迅速な対応につながっていると認識しているところです。

○甲田委員 「189」などの通報の体制や相談窓口の体制が確立、周知されてきたことにより、増えたということもあるとは思いますけれども、増加傾向にあるということであります。平成27年度中野区における児童虐待の状況という資料を事前にいただきましたけれども、そこに先ほど言われました児童虐待対応件数というのが150件あるということでしたけれども、そのうち養育者のリスクという分析がありました。複数ある場合もありますけれども、重複して分析しているようですが、その養育者のリスクの中で、1位は家事能力の不足で56%となっております。虐待の対応をしたうち、6割近い親が家事能力の不足ということですが、平成24年度にも私、決算特別委員会でこの質問をしまして、そのときにいただいた資料を見ますと、家事能力の不足は16.8%でした。このことをどのように認識、分析していますでしょうか、伺います。

○神谷子ども家庭支援センター所長 こちらのデータといたしましては、虐待対応件数150件という中でのものでありまして、年度ごとの数字の動向というのは一概には捉えにくいというところではございますが、傾向といたしましては、身体的虐待につながるリスクのみならず、家事能力の不足など育児放棄やネグレクトにつながる事項が多く見られると認識しております。

○甲田委員 さらに、児童のリスクというものもこの資料にありました。ここには発達の遅れ18件、障害10件、多動6件など、多くの児童のリスクは子どもに障害があるということが分析されています。障害があるからといって虐待に至ることはあってはならないのですが、もしかすると親が一人で抱え込んでしまっていることもあるのではないでしょうか。養育者のリスク、子どものリスクの分析、こういったところから予防の支援のあり方も見えてくるし、当然考えていらっしゃるだろうとは思っております。児童相談所に派遣・出向されている職員も3人目と伺っております。今までの都の児童相談所の体制の中で行われてきた仕組みのうち、よいことは引き継ぎ、よくなかったことは思い切って見直していくことも必要です。区に児童相談所が来ると、どのようなメリットがあるか。一方、課題は何でしょうか、確認のため伺います。

○神谷子ども家庭支援センター所長 区といたしまして、児童相談所を設置するメリットといたしましては、民生児童委員など関係機関や関連部署との連携など、区内の地域資源を最大限に生かし、迅速的確に発生の予防から早期発見、相談支援、指導措置、あるいは家庭復帰など切れ目なく展開することができる点、また対応事例の分析ノウハウなど蓄積を集めまして、対応方針の確立や施策の立案を実施し、関係機関や関連部署を含めた対応力、実践力の強化を図ることができる点などが挙げられると考えております。また、こうした点をしっかりと生かせるよう、専門人材の確保や育成など、体制を整備すること、これが今後の課題の一つとなると考えてございます。

○甲田委員 中野区は、(仮称)子ども総合センターの児童相談所の中に一時保護所は設けない。他区との共同設置を視野に入れて検討していくとのことでありますが、他区と共同した場合のメリット、デメリットについてどう捉えていますでしょうか、伺います。

○神谷子ども家庭支援センター所長 一時保護所の共同設置につきましては、建設費などにスケールメリットが生かせること、あるいは区ごとに措置数に係る過不足に対して効率的に対応できる点といった利点がございます。また一方で、複数区の職員を配置することに伴う各区の児童相談所との対応に係る配慮、あるいは経費負担、施設整備などに当たっての関係区との調整が必要になるといった課題もあると認識してございます。

○甲田委員 先ほど予防の支援のあり方と申し上げました。里親さんは家庭における子育てのプロフェッショナルであります。他人の子に愛情を注ぎ、養育するには、愛着心をしっかりと育ててあげなければなりませんが、その究極を日々実践の中で学んでいます。その意味からも、今後ますます大切な資源です。しっかり支援、養成の後押しをする取り組みを始めていただきたいと思っております。そこで伺います。中野区の里親は委託が何人で、また登録者は何人いますでしょうか。また、児相管轄だとは思いますが、現状、里親さんの育成支援はどんなものがあるのでしょうか、伺います。

○神谷子ども家庭支援センター所長 平成28年4月現在におきまして、中野区における里親の登録数は12、そのうち実際に里親委託を行っているのは8家庭となってございます。里親の育成支援といたしましては、児童相談所を中心といたしまして、養育家庭専門員による相談支援、研修、交流会、体験発表会などの実施が行われているところでございます。

○甲田委員 まだまだ少ないと思います。里親の育成のため、現在の里親さんと子ども家庭支援センターとの懇談の場を設けてはいかがかと思います。児童相談所立ち上げまでの助走期間にこういった方々の生の声をヒアリングしておくことも大事であると考えますが、いかがでしょうか。

○神谷子ども家庭支援センター所長 家庭の養護に課題がある場合にも、より家庭に近い環境で養育を進める必要があるという考えでございます。里親の推進はその重要な要素の一つと思っております。これまでも児童相談所を中心とする里親支援の取り組みと区も連携を図ってきたところでありますが、区としての取り組みのあり方についても、よりよい方策を検討してまいりたいと考えてございます。

○甲田委員 今後、児童相談所を受けとめるに当たって、ともかくやっておかなければならないことは、地域資源、孤独な育児をしている親子を家庭ごと支援し、児童虐待を予防していくことと考えます。ぜひ全力で取り組んでいただきたいと思います。

 次に、(2)妊娠・出産・子育てトータルケア事業について伺います。

 この事業は、現代の孤独な育児に陥りがちなお母さんを妊娠期から切れ目なくトータルに支援をし、産後鬱、児童虐待の予防につながる事業です。国の支援を受けて、全国自治体では日本版ネウボラ事業というものを続々と誕生させています。ネウボラとは、フィンランドでアドバイスという意味です。フィンランドでは保健センターのような場所にいる担当のネウボラおばさんが、妊娠期からの子育ての相談はそこに行けば一手に引き受けてくれるそうで、このネウボラおばさんの存在が母親にとって、とても心強いそうです。しかし、日本では保健師、助産師などの専門職が担当制で受け持つとなると、専門職が何十人いても足りないことになり、そこまでの手厚い施策は困難です。中野区の事業はポピュレーションアプローチで門戸を広げていただきました。また、合理的かつ効果的で、まず妊娠期にカンガループランで支援サービスについての案内をしておき、実際にサービスを使う段になって、産後に状況に合わせた支援を受けることができます。この支援の受け皿を取りそろえてつくったことが、他自治体から注目されている理由と言えると思います。新たな事業の立ち上げには、この1年、担当におかれましては本当に御苦労が多い中、よく頑張って構築していただいたと感謝しております。そこで、まず平成27年度の実績と、担当者としてこのトータルケア事業が始まってみての実感をお聞かせください。

○只野中部すこやか福祉センター副参事(地域ケア担当) 妊娠・出産・子育てトータルケア事業の実績と実感についてお答えいたします。

 平成27年度は対象の妊婦約2,300名のうち、約65%の方と面接し、支援プランを作成いたしました。また、産前産後サポート事業の参加者数は延べ956人であり、産後ケア事業では利用者数は262人でありました。ショートステイ、デイケアなどの産後ケア事業のうち、ケア支援者派遣事業については思いのほかニーズが高いものと感じているところでございます。

○甲田委員 私も多くの区民の方からお声を寄せていただいています。産後に鬱状態になり、つらいときがあった。早くこういう事業があったらよかったという声も聞きます。しかし、まだまだ妊産婦の周囲の理解は浅く、ケアが必要と思わない方々、家族が、そんなの要らないよという方もいますので、本当のところ、まだ必要なところに支援の手が届いてはいないこともあるのではないかと感じています。大きな課題は、産後は赤ちゃんを連れて出かけることの難しさがあります。私はそういったときに、家庭に支援者が派遣されるアウトリーチ型のいわゆる産後ドゥーラの支援があることがもっと知られていくとよいと思っております。家庭に支援者が入っていくことの大切さについて、御担当の実感はいかがでしょうか、伺います。

○只野中部すこやか福祉センター副参事(地域ケア担当) 出産年齢の高齢化に伴いまして、妊婦の親世代も高齢となり、出産や産後における支援を受けにくい状況下となっているところでございます。産後に家庭へ支援者を派遣し、家事や育児の援助、そして母親の支援を充実させたことにより、区民が安心して出産や育児に臨めるまちづくりを進めていると感じているところでございます。

○甲田委員 ありがとうございます。産後の母親に寄り添って専門的に支援できるドゥーラは、従来からあります育児支援ヘルパーさんとは違いまして、やってほしいことを何度もやってくれるお母さん役であり、さらに昔の時代錯誤の育児を押しつけることなく、現代の育児を学んだ先輩ママでもあります。母親の気持ちに寄り添って聞いてあげ、アドバイスをしながら支援をしてくれているようです。これが今、口コミで評判が広がっている状況です。しかし、家庭派遣型の支援の上限は1人15時間であっという間です。それを超えて使いたい場合は自己負担ですが、やはり金額も高く、無理な方が多いのが実態です。せっかくそろえていただいたサービスをもう少し柔軟にして、産後ケア全体の範囲の中で流動的にその利用者にとって使えるサービスに振りかえられることも可能にすれば、より使いやすく、産後鬱を防止することにもなると考えます。また、双子や障害を抱える困難度の高い家庭にも支援を2倍にするなどの対応があってもよいのではないかと考えます。特に2倍以上の手がかかる双子については、赤ちゃんは2人なのにサービスは1人分ということになっているのは是正をすべきです。障害のあるお子さんについては、虐待の原因の一つにもなっていることが先ほどの例からもわかっております。乳児の上に小さな兄弟姉妹がいると、これまた支援を受けたくても受けられません。2歳くらいの上の子は下の子に嫉妬して、赤ちゃん返りをしたり、母親を困らせます。そのことで疲れ切ってしまうお母さんの相談も随分受けました。そこで、ショートステイやデイケアについては、ケア中、上の子の保育ができないかと考えます。保育については全てのデイケアの場所で無理だとすれば、まずは日にちを決めて、すこやか福祉センターで預かり保育をしてはいかがでしょうか。さらには、助産院やすこやか福祉センターへ行く際にも、体調が悪い中、赤ちゃんを連れていくにはタクシー券を出してあげることなども必要だと思います。

 色々と申し上げましたが、以上のような対策も含めて、本当に支援が必要なところに必要なサービスが届くよう、今後より効果的な財源の活用として検討していただきたいと思いますが、御見解はいかがでしょうか、伺います。

○只野中部すこやか福祉センター副参事(地域ケア担当) 新たな事業ということで、その効果や取り組み方について利用者からのアンケートも活用しながら、事業の検証を行っているところでございます。事業分析により利用者のニーズを適切に見きわめるとともに、国や都の補助制度の動向も視野に入れ、財源の効果的な活用が図れるよう、トータルケア事業全体として支援の必要な妊産婦が安心して出産、子育てに臨めるように工夫をしていきたいと考えてございます。

○甲田委員 アンケートをとってニーズを把握していただいているということですので、産後ケアの3事業の利用割合と声も踏まえて、ぜひとも検討してみていただきたいと思います。

 次に、産後サポート事業についても触れておきたいと思います。産後サポート事業と平成27年度の実績を簡単に説明していただけますでしょうか。

○只野中部すこやか福祉センター副参事(地域ケア担当) 産後サポート事業といたしましては、助産師とともに赤ちゃんの性格や悩みなどを情報交換する「ほっこり~の」という事業、またBPプログラムにより子育て学習、親支援講座の二つの講座を実施してございます。こちらの平成27年度の事業ですが、「ほっこり~の」は実施回数が33回、参加339組、BPプログラムにつきましては、実施が4回、参加60組、合計37回の399組でございます。

○甲田委員 BPプログラムにつきましては、一度見学をさせていただきましたが、すばらしい産後の親子交流ができるようになっている講座です。完璧な親なんていないというカナダ州政府が制作した親支援プログラム、ノーバディーズ・パーフェクトという考え方に基づき、日本文化と子育て現場のニーズを踏まえた参加者中心型のプログラムとなっておりまして、この講座によって、ちょっとした疑問や不安の解消が図られ、お母さんの顔がみるみる変わっていきます。とても安心につながっている大事な取り組みだと感じました。こういったものに対しても予算をつけていただいたことを高く評価したいと思います。私が見学したときもそうでしたが、定員はかなりいっぱいだと伺っています。ニーズが高いこともありますし、まだまだ受けていない人のほうが多いと思いますので、さらに多くの人にこういう場を提供できるよう努力が必要と考えます。この点はいかがでしょうか。

○只野中部すこやか福祉センター副参事(地域ケア担当) 産後サポート事業を開始したことにより、妊娠期から産後期への一貫したサービス提供が切れ目なく行えるようになりました。利用者のニーズも高いことから、産後サポート事業のうち、BPプログラム、地域子育て支援者による子育て学習講座につきましては、平成27年度の4回実施より28年度は13回へと大幅にふやしまして、必要な支援が提供できるように工夫を図ったところでございます。

○甲田委員 平成28年度大幅に増やしていただいたということで、ありがとうございます。ある不動産会社のサイトでは、今年出産・子育てに温かい行政府の第3位に中野区が入りました。このトータルケア事業の成果だと私は思っております。家賃は高いけど、子育てに対して温かい区だから引っ越したくないと言っている方もいるそうであります。ぜひ期待を裏切らない今後のさらなる支援をよろしくお願いいたします。

 次に、(3)子育て版地域包括ケアシステムについて伺います。

 まず、子どものための施設の削減ということについて考えてみたいと思います。全国的にも公共施設が一斉に更新時期を迎える中、施設をそのまま維持管理するのは言うまでもなく困難であります。施設の建設当時とは違い、人口減少が進む状況で、対策を先送りするわけにはいかないということで、総務省が平成26年に策定をした公共施設等総合管理計画に基づき、中野区においてもいち早く施設白書をつくり、また、新しい中野をつくる10か年計画(第3次)の中で持続可能な財政運営のための考え方を示してきました。持続可能な財政運営のためと言っても、区民が住みやすさを感じなければ住み続けていただけなくなってしまいます。高齢者福祉などの扶助費もふえて、公共施設に回るお金が減り続ける中で、住民は行政サービスが維持されるのかどうか、不安に思っています。その観点から、区民サービスの向上がどのように図られているのか、区民にしっかりと説明をしていくことが不可欠であると考えます。

 そんな中、東洋大学客員教授の南学氏は、施設を縮小しても機能を充実させるという意味の造語で「縮充」という提案をしています。すなわち、これからは既存施設が最大限に利用されるよう、市民利用施設の見直しが必要であるということです。この南教授が先日ある新聞に特集の中で次のように言われておりました。こういった施設の廃止には議員が一番の抵抗勢力になり得る。特定の支持者だけの話を聞いていると、結果的に市民負担は増えてサービスが低下していく。老朽施設などで事件や事故が起きた場合、責任をとるのは行政だ。議員には財源を生み出す支援者になってもらいたいと、厳しいお言葉ではありますが、心しなければならないと思いました。

 ただし、全体感に立ってみても、中野区の子ども施設は昨今あまりに廃止、統合、複合が多くなり、やはり区民にはどうしても子どもの施設だけが大きく削減をされていくというイメージと、「縮充」の「縮」の部分がクローズアップされ、それを補うハード、ソフトの面の充実があるということがいま一つ見えにくいのが現状です。地域の中では、子育て支援を無償で行ってくださっている方々がたくさんいらっしゃいます。まずはそういった民間活力である地域の担い手の方々にある意味、「縮充」による理解者、協力者となっていただかなければなりません。そのような方々は、ほとんどが区民活動センターや児童館など地域の公共施設を利用しています。現状、その施設が最高に使いやすいというわけではなく、老朽化等により、いろいろと不便は感じながらも、その場所をうまく使っていることが多いと思います。

 時代はどんどん変化していきます。何十年も前とは子育て支援のあり方も変わってきています。日ごろ子育てひろば事業などで親子支援に当たっている方々の声を聞けば、施設の広さだけではなく、様々使い勝手の面でも御意見があるところであります。そのような皆さんの活動や思いに耳を傾けることで合意点を見出すことができるのではないでしょうか。これを機に、そのような地域資源となる皆さんの日ごろの活動、支援のステージなどを細かく聞いていくことが必要と考えますが、区の御見解を伺います。

○石濱北部すこやか福祉センター副参事(地域子ども施設調整担当) 区の子育て支援事業と地域で子育て支援をしている皆さんの活動についてですけれども、子育てをしている保護者の孤立感や不安解消のため、無料で親子が交流し、相談を受けることができる子育てひろば事業をすこやか福祉センターやキッズ・プラザなどの身近な施設を活用して、区内全域に展開していくこととしております。事業の展開には、地域で子育て支援活動を担っていただいている皆さんの力が欠かせないものと考えており、これからも地域で活動している皆さんの声をお聞きしながら、今後の子育て支援施策の展開に生かしていきたいというふうに考えております。

○甲田委員 民間活力の拡充のためには、地域資源をすこやか福祉センターが把握し、コーディネートすることが必要と考えます。しかし、すこやかの中は結局、各部門が縦割のままとなっており、全体を見て、民間の資源までを把握し、コーディネートをするような仕組みとはなっていないようにも感じます。経験豊かな専門職の人材もたくさんいらっしゃいますが、現状、アウトリーチもできないほど手いっぱいの状況と聞きます。今後は各すこやかごとに地域の子育て支援の団体などの資源と行政のサービスを全体的にコーディネートできる人材の配置が必要ではないかと思います。そうすることによって必要な機能、足りないサービスも見えてくると思います。地域の支援者、担い手の団体などは、その活動内容、思いを区に認めてほしいと思っています。何かあったときに相談に乗ってほしいとも思っています。児童館やU18はそういう役割も果たしていました。その場がなくなることで、そのようなソフト面、安心面がなくなるということにも危惧を抱いております。そこで、子どもに特化した支援をコーディネートする担当を各すこやかに配置してはどうかと考えますが、いかがでしょうか。例えば最前線で地域の方と一緒になって親子支援に当たってきた児童館長、職員などが適任ではないかと思いますが、見解をお伺いいたします。

○吉沢北部すこやか福祉センター副参事(地域ケア担当) 児童館長やキッズ・プラザ所長などの福祉職は、子育て支援を通じて地域の人や各種活動とのつながりを持つよう努めております。そうした地域の方の顔が見える関係は財産になるものと考えております。区では今後、区民活動センターを単位とした地域への対応で職員がチームを組みまして当たっていくことを考えています。そのチームには福祉職の活用も想定しているところであります。

○甲田委員 今後、地域の子育て支援を担っている皆さんがどのように活動しているのかを地域にアピールしながら、区の職員も認識することができるようにしていくと、お互いに理解し合うことができ、担い手も増え、支援が充実していくのではないかと考えています。そのため、そういった場の一つとして、例えばすこやか親子福祉まつり、名前は何でもいいんですけれども、といった各すこやか単位で定期的に子育て支援団体、地域の子どもたち、区の職員などが交流できるような催しを行ってみてはどうかと思いますが、見解を伺います。

○吉沢北部すこやか福祉センター副参事(地域ケア担当) 地域イベントにおきましては、地域での情報共有や人、団体との交流のきっかけづくり、また地域の人たちに関心を持ってもらうための有効な手段だというふうに考えております。地域の力を生かした情報共有のための地域行事等の開催等の可能性につきまして、検討してまいりたいというふうに考えております。

○甲田委員 ありがとうございます。最後に区長にお聞きをいたします。私が今回こういった質問をしているのは、家庭で子育てをしている親子に対するケアを充実させていくことによって、ぜひ子育て版地域包括ケアシステムを構築してほしいとの思いからです。子どもから障害者、高齢者まで地域でケアできる包括ケアシステムを構築し、整えていくことは大切であると思いますが、とはいえ、子どもから高齢者まで同じような目線でコーディネートしていくというのでは、子育て支援資源の全体像が薄くなってしまい、孤独な育児をされている方の本当の意味での支えにならないと感じています。子ども・子育ての分野で汗を流してくださっている方々の思い、活動を通して現状を知り、地域の資源をつなげ、後押ししていくことで、行政にはできない課題のすきまを埋めることができます。それには地域の力を伸ばしていく支援を本気でやっていく心あるかなめの人材を育成し、配置していただくこと、そして、その現場のコーディネーターの意見をもとに、ソフト面の支援を随時見直していくことが必要です。子育て版地域包括ケアシステムを構築するためには、若い方たちが中野区で安心して子育てしていただけるよう、目に見えて施設にかわる機能充実を区民に広く示し、現場の声が反映する体制をつくることが重要と考えますが、いかがでしょうか、御見解を伺います。

○田中区長 箱物があれば施策がいかに充実しているかというような時代でないということは、もう全くおっしゃるとおりだというふうに思います。例えば児童館にしましても、小学校区に1個ずつだったもの、これを小学校に一つずつキッズ・プラザを設置していく。また、子育てひろばを様々な身近な施設とすこやか福祉センターなどを使いながら拡充していくといったようなことで、施設的な事業、事業の場のボリュームというものは決して地域のお子さん、あるいは親子にとって減っていくというふうにも考えておりません。しかし、子ども・子育て、これを中心とする地域包括ケアということを考えていくときに、そうしたソフト面の充実、これが非常に重要だというふうに思っております。地域や民間で本当に豊かにさまざまに活動していただいている、そうした力を活用していくということが何より重要だと思っております。そのためにも、すこやか福祉センターが中心となって、区民活動センターの区域ごとに区の職員が地域の声や実情を踏まえながらコーディネート役を担う。これらとともに、子どもの虐待の未然防止や養育支援など、子ども家庭支援の役割もしっかりと果たしていきたい。こう思っております。こうしたことによって、地域の力で子どもたちを育み、育てていける子育て領域における地域包括ケアシステム、この構築を進めていくことができると考えております。

○甲田委員 ありがとうございます。しっかりとソフト面の充実を図っていただきたいと思いますし、区長のその熱い思いがしっかりと伝われば、子育てに温かい区第1位にもなれるかと思っておりますので、引き続き、どうかよろしくお願いいたします。以上でこの項の質問を終わります。

 次に、3番、地域猫事業と動物との共生について伺います。

 9月20日から9月26日は、環境省が定める動物愛護週間となっております。まさにきょうからであります。そこで、動物の愛護と適切な管理について考えたいと思います。まず、飼い主のいない猫、いわゆる地域猫の事業について伺います。助成制度ができて、ことしで3年目ですが、27年度までの過去2年間で不妊去勢ができた猫は何匹でしょうか、伺います。

○浅川環境部副参事(生活環境担当) 助成事業で不妊去勢手術ができた猫は、2年間で雌が64匹、雄が67匹、合計131匹でございます。

○甲田委員 それで、いわゆる野良猫は減ったのでしょうか。また、指標になるとされる路上死体の数は減ったのか、お伺いいたします。

○浅川環境部副参事(生活環境担当) 野良猫、しかも路上死体が減ったのかということでございますけれども、区道、それから都道、公園、そして清掃事務所に引き取り依頼のあった民地を含めまして、区で行っている猫の死体処理の数、これは助成事業開始前の平成24、25年度の平均が675匹、開始後の平成26、27年度の平均が689匹と、ほとんど変わりはございません。地域猫対策は捕獲、不妊去勢手術を行い、新たに生まれる飼い主のいない猫の頭数の増加を抑えていくものでございまして、対策を講じてから頭数の減少という効果が出るまで一定の期間がかかると認識してございます。

○甲田委員 そうだと思います。それでは、猫によるトラブル、苦情は減ったのでしょうか。町会以外からの相談の件数もいかがでしょうか、伺います。

○浅川環境部副参事(生活環境担当) 苦情相談件数でございますけれども、平成24年度が282件、平成25年度286件、平成26年度319件、平成27年度394件であり、徐々に増加している傾向にございます。また、ほとんどが町会以外からの御相談でございます。これには実際の被害等が増えている部分がある一方、助成制度等を通しまして、地域猫という考え方が一定程度広まりまして、それによる対策を期待する方が増え、相談件数も増えたということも考えられると思っております。

○甲田委員 あと、猫がふえ過ぎているという苦情や相談の際に、中野区としてはどのように対応しているのかを伺います。

○浅川環境部副参事(生活環境担当) 忌避剤、これは猫が嫌がって避けるという意味での忌避剤でございますが、これらのサンプルを提供しながら、飼い主のいない猫が私有地に入ってこない方法等の指導を行うことが一般的でございます。その他、無責任なえさやり等につきましては、職員が現場に出向いて指導する場合もございます。また、地域猫の活動を知り、取り組みたいという御相談につきましては、東京都動物愛護推進員を紹介し、アドバイスをいただいたり、相談者の住所が当該年度の助成対象町会だという場合などは、町会の地域猫の取り組み内容を紹介するなどの対応をとっているところでございます。

○甲田委員 そもそもこの事業は何のためにやるのかというと、動物の共生、そして地域のトラブルをなくすためだと私は考えます。こういった中野区の方式はどこもやっていません。つまり、個人やボランティアの方への助成をするというのではなく、猫と共生しつつ、少しずつ減らしていくという、いわゆる地域猫活動をする町会に助成をするという制度は中野区独自のものであります。実は、本来あるべき先駆的な取り組みと言ってよいと思います。そして、これまでにない取り組みに他区はうまくいくかどうか、注目しているとも聞きます。地域猫というぐらいですから、地域が猫の取り組みをするということであります。区は地域の見守り、支え合いを町会と二人三脚で行っていますので、町会が主体ということが本当にできるならば、ベストな姿勢であると考えます。今後もこの枠組みでさらに推進のスピードが上がるように努めていっていただきたいと思っております。

 そこで提案ですが、そのために町会、自治会の負担軽減策を検討してはどうかと考えます。例えばここにあるんですが、ハンドブック「町会長のための野良猫講座」という小冊子は参考になります。これは日本捨猫防止会が作成したものを、これは高知市なんですが、高知市のように許可を得て複製をして配布している自治体もあります。こういうものも活用して、地域猫の取り組みをきっかけに町会活動への協力者が増えるような後押しをしていただきたいと思います。

 また、ある町会では助成制度に手挙げをして、取り組みの際に猫の避妊去勢手術よりも広報費のほうに力を入れたと言います。それは、地域に理解を促すための広報こそが地域のトラブルをなくす助けになるからということです。助成金の3分の2以上を広報費として、こういった取り組みの、こういう地域猫ハンドブックみたいなものをつくって、作成をして、スタッフの活動に着るジャンパーなどもつくりました。こういうものがあると活動しやすいそうです。ちなみに江東区では、活動の際につける共通のすてきな腕章を区でつくっているそうです。こういう手挙げをして活動に取り組む町会が、その度につくるものというのではなくて、共有をしてもよいのではないかと思います。区として広報活動の工夫をして、町会が取り組みやすいような協力をしてはどうでしょうか。また、取り組んだ町会の生の声、体験談を聞く場の調整など、区民全体の意識を高めるための取り組み欠かせないと思います。現在の動物愛護週間では、中野駅ガード下に掲示物を張るだけで、ほかには動物愛護を促すような取り組みが見られません。せめて来年からは区役所1階ロビーなどで動物愛護の取り組みに関する展示をし、意識啓発も行うべきと思います。

 また、千代田区では、「ちよだ猫まつり」というイベントを行っていました。私も2月に猫まつりを見学しましたが、空前の猫ブームということで盛り上がっておりました。8月には我が会派で千代田区の地域猫の取り組みも含め行政視察をし、詳しくお聞きしてきましたが、この「ちよだ猫まつり」は完全に民間主導で行い、区は区役所のロビーや会議室などの場所の提供と当日のお手伝いだけだそうです。財源は多くの企業、団体が協賛という形で支援していました。千代田区は平成12年度にこの事業を始めてから、猫の動物愛護センターへの引き取り数は減り、平成23年度から現在に至るまで、ずっとセンター引き取り数、すなわち殺処分はゼロとなっております。

 以上のようなさまざまな区の後押しをもう一歩加えることにより、中野区の事業も区民の理解を得て、活動町会の負担軽減につながると考えますが、いかがでしょうか、伺います。

○浅川環境部副参事(生活環境担当) 区は地域猫の活動を動物愛護精神普及の一環と捉えまして、飼い主のいない猫の増加を抑えるとともに、町会等がボランティアや獣医師会と連携しながら、地域で見守っていく活動を支援していきます。このため、助成では単に不妊去勢手術費用だけでなく、広く動物愛護精神の普及啓発の取り組みもあわせて取り組むことができるよう、その対策経費をも盛り込んでいるところでございます。これら町会等の取り組み事例を区のホームページ等で紹介し、成功した事例を新たに取り組む町会の参考にしたり、地域間の連携促進につなげていきたいと思っております。

○甲田委員 よろしくお願いします。また、保健所だけでなく、地域住民と接するあらゆる分野の区職員が地域猫活動の意義や実際の取り組みをもっとよく知り、さまざまな場面でアドバイスを行っていただきたいと考えます。そのためには、職員への周知も必要ではないでしょうか。これから活動に取り組む町会、自治会への後押しのためにも広く発信していただきたいと思いますが、見解を伺います。

○浅川環境部副参事(生活環境担当) 区職員に対しましては、中野区ホームページにも掲載されてございます地域猫活動のガイドラインや、広く地域で行われております地域猫活動を情報提供するなど、職員の理解促進に努めていきたいと思っております。

○甲田委員 また、災害時にペットの問題はとても大きいものがあります。避難所の体制でペットの面倒を見る人や場所の体制も必要ですが、犬や猫自身が避難所に収容された際に我慢ができるよう、日ごろのしつけも大事になってきます。そういう意味で、しつけ教室をする場の確保を提供してはどうかと思います。平和の森公園のいわゆるドッグラン、犬の広場は、今回、平和の森公園整備計画によりますと拡充されることとなったようですが、今のところどのように拡充される予定なのか、教えてください。

○千田都市基盤部副参事(都市基盤整備担当) 平和の森公園再整備事業により、現在の暫定犬の広場は2倍強の面積規模に拡充いたします。整備の内容ですが、現在同様、小型犬用と中型犬用の2面を整備する他、犬のアジリティー施設を設置して、限られた空間を機能的に利用できるようにいたします。また、愛犬家同士が交流するコミュニティの場所づくりにも寄与するベンチをドッグラン利用者の休憩施設として新たに設置する予定でございます。

○甲田委員 ぜひこの犬の広場を使って、ペットのしつけ教室などを実施している団体にも獣医師会と連携して積極的に取り組んでいただくよう依頼をしてはどうかと考えます。この場所を利用して、しつけ教室を行えるよう検討してはどうでしょうか、伺います。

○千田都市基盤部副参事(都市基盤整備担当) 今回の再整備により、スポーツ・健康づくりやレクリエーションなどの公園機能の他、防災機能も大幅に増強されることから、再整備後は災害に備えた様々な防災活動にも活用できると考えております。新たに整備する施設を活用した公園運営やイベント企画などの具体的な検討は今後行うことになりますが、災害時のペット問題はこれまでの震災からの教訓で課題になっていることは認識しておりますので、犬の広場を活用したペットのしつけ教室など、愛犬家が楽しみながら参加して、災害時のペット問題の備えにもなるようなイベントについてもニーズや効果の検証を含め、今後検討してまいりたいと考えております。

○甲田委員 ありがとうございます。また、犬や猫のペットを飼っているひとり暮らしのお年寄りが亡くなった場合、どうにもならず困るケースがあります。引き取り手がいなければ、保健所に引き取ってもらい、やがて殺処分という流れとなってしまいます。東京都では「ペットと暮らすシニア世代の方へ」というパンフレットを作成しています。終生飼養と飼い主責任のことや相談窓口なども記載されていて、わかりやすくなっております。区としてこういったものを、まずは高齢者を援助し、相談に乗るような身近なケアマネジャーやヘルパーなどに高齢者とペットの問題を理解してもらうことも大切だと思います。地域包括支援センターや社会福祉協議会などを通じて周知していただくよう進めてはいかがでしょうか、伺います。

○浅川環境部副参事(生活環境担当) 区といたしましても、超高齢社会の中で高齢者とペットが幸せに暮らせるよう、高齢者に直接接する職場の職員はもとより、地域包括支援センター等ともこうした情報共有に努め、高齢者に適切なアドバイスができるようにしていきたいと存じております。

○甲田委員 ありがとうございます。ぜひよろしくお願いいたします。以上でこの項の質問を終わります。

 次に、4番、障がい者施策について伺います。(1)障がい者施設の拡充について伺います。

 先日、生活介護や自立訓練のため通所施設に通われている方、親御さんよりお話を伺い、区内施設の視察もさせていただきました。お話を伺って、障害のある方の通所施設の充実、家族のレスパイトとなるショートステイの充実が必要であり、また、親亡き後、入所できる施設やグループホームが不足していると感じました。そこで伺います。中野区のグループホーム、ショートステイについての計画をお聞かせください。

○岩浅健康福祉部副参事(障害福祉担当) 障害者のグループホームにつきましては、第4期中野区障害福祉計画におきまして、平成27年度からの3年間、毎年2カ所、2ユニットの開設を見込んでいるところでございます。この2ユニットにつきましては、民間施設の誘導によることを想定しております。ショートステイにつきましては、施設数の計画等はされておらず、グループホームの開設を予定している事業者に対しまして、ショートステイのニーズをこちらから説明し、実施の協力をお願いしている状況でございます。

○甲田委員 グループホームについて、毎年2ユニットということですが、どんな方法でふやしてきたのでしょうか。

○岩浅健康福祉部副参事(障害福祉担当) 中野区の自立支援協議会と協力をいたしまして、協議会の事業として大家さんセミナーというものを開催しております。障害者の賃貸住宅への入居の協力依頼とあわせまして、土地やアパートの所有者に対しまして、グループホームの内容や定義について説明を行いまして、土地建物活用の一つとしてグループホームについても考えていただきたいというような周知を行っております。あわせて、整備の際、活用できる東京都や区の補助金についても説明を行っているところでございます。また、昨年は区内の金融機関に対しまして、グループホームの説明をさせていただきまして、関心のある方を御紹介いただきたいというようなお話をしたところでございます。

○甲田委員 ある障害者施設を運営する法人が地元の不動産屋さんより民間のアパート等の情報を提供していただき、うまく調整がついて、グループホームの開設に結びついたと語っておりました。区として不動産会社へさらに働きかけ、積極的なマッチングや相談ができることの周知をする取り組みを要望したいと思いますが、いかがでしょうか。

○岩浅健康福祉部副参事(障害福祉担当) グループホームに関するセミナーの開催の際には、区内の宅地建物取引業協会を通じまして、不動産会社への周知をお願いしたところでございます。不動産会社により関心を持っていただけるような内容ですとか周知方法については検討してまいりたいと思います。

○甲田委員 ありがとうございます。重度の方に対するグループホームについて、現在の実態をお聞かせください。

○岩浅健康福祉部副参事(障害福祉担当) 区内には現時点で、重度障害者や医療的ケアに対応できるグループホームはございません。現在、江古田三丁目の旧アポロ園跡地に障害支援区分5、6の重度の方を中心に、医療的ケアのある方の利用も見込んだグループホームの整備を進めるため、公募を行っているところでございます。この施設につきましては、グループホームが17室、ショートステイを3室としておりまして、また、これに加えて、在宅の障害者への緊急対応や相談支援等を行います地域生活支援拠点をあわせたものを予定しているところでございます。

○甲田委員 先日、9月8日の区長記者会見の翌日、2社の新聞に重度のグループホームを推進する発表と、区長の今後も推進していくとの力強い御決意があらわれた記事が掲載されていました。皆さん、本当に希望に感じていらっしゃると思います。重度障害者のグループホームについて、今後の必要数は把握できているのでしょうか、伺います。

○岩浅健康福祉部副参事(障害福祉担当) 区内にあります自宅で生活をされている障害者の方で、障害支援区分5、6、また年齢が35歳から74歳の方が95名いらっしゃいます。親亡き後、親の高齢化などを踏まえまして、今後の生活する場を考えていくと、グループホームですとか施設入所、介護サービスを利用しながら在宅生活、幾つかの選択肢があると思っております。区も95名の約半数の47名程度の重度のグループホームが必要であり、あわせて在宅生活を支援するショートステイの需要も高まるというふうに考えております。この場合ですと、江古田三丁目に整備予定のものを除きまして、あと3カ所程度の新たな整備が必要になってまいります。現在、区内の日中活動系の事業所を利用されている方を対象に、グループホームの利用意向も含めましたサービスの意向アンケートを実施しております。その結果を踏まえて、今後具体的な計画については考えていきたいと考えております。

○甲田委員 アンケートを実施していただているということで、ぜひこれからも必要数把握に努めていただければと思います。一方、通所施設を拡充する計画はどのようになっていますでしょうか。

○岩浅健康福祉部副参事(障害福祉担当) 現在進んでおりますのは、中野五丁目の区有地を活用いたしました就労意向支援、就労継続支援B型、生活介護、ショートステイといった多機能型施設を民間事業者により整備することで動いております。平成30年の4月の開設予定となっております。

○甲田委員 通所施設の中で全体的に日中の施設外活動が縮小していると伺っておりますが、原因は利用者の高齢化、重度の方の増加、職員の定着等、厳しい現状も色々とあると思います。障害があっても毎日単調な生活を強いられるのではなく、遠足などの催しを楽しみに心待ちにしている方もいらっしゃいます。区としてぜひ支援をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか、伺います。

○岩浅健康福祉部副参事(障害福祉担当) 特に生活介護を御利用されている方にとりましては、遠足などの施設外の活動を楽しみにしているというようなお話を伺っているところでございます。各施設ではイベント開催時にボランティアの活用を行うなど、様々な工夫もしているところでございます。多様な利用者に対応できるよう、職員のスキルアップについても必要というふうに考えております。職員のスキルアップにつきましては、区内の事業所の職員が一日単位で他の事業所に出向いて、その施設の利用者さんの支援を学びまして、みずからの施設の支援向上に役立てるという事業所の交流研修を昨年度から実施しているところでございます。今後もスキルアップの支援のあり方については検討してまいりたいと思います。

○甲田委員 ありがとうございます。今回取材をさせていただいて、障害福祉分野の方の本当に御努力にも感謝を申し上げたいと思います。今後もどうか引き続きよろしくお願いいたします。

 次に、(2)番、障害者差別解消法の浸透のための啓発イベントについて伺います。

 今年4月より障害者差別解消法が施行されました。その法律の内容について中野区報に詳しく掲載をされたことで、障害者関係団体の皆様は喜んでおられました。この法律施行について、さらなる周知のためのイベントなど、実施予定はあるのでしょうか、伺います。

○岩浅健康福祉部副参事(障害福祉担当) 障害者差別解消法では、差別解消に必要な啓発活動を行うこととされております。年内に啓発イベントを開催できるよう、現在調整を進めているところでございます。このような事業につきましては単年度で終わることなく、継続して実施したいというふうに考えております。

○甲田委員 ぜひ周知徹底をうまく行い、多くの参加者を募っていただきたいと思います。私はできれば、皆さんが楽しめる演劇、ダンス、音楽、映画などを企画してはどうかと思います。目が見えなくても、耳が聞こえなくても楽しめるバリアフリー映画というものもありますので、そういった企画、また福祉団体だけでなく、広く多くの企業、団体に呼びかけて、来ていただくようにアピールするべきと考えますが、いかがでしょうか。

○岩浅健康福祉部副参事(障害福祉担当) 差別の解消に向けては、ふだん障害のある方に接する機会のない方、また障害について考えるきっかけのない方等への周知も必要と考えております。少しでも多くの方に関心を持っていただけるよう研究していきたい、工夫していきたいと考えておりまして、委員御紹介いただきました芸術性の高いイベント等についても参考にさせていただきたいと考えております。

○甲田委員 できれば毎年工夫をして開催していただきたいと思いますし、様々な思いを持っていらっしゃる当事者の家族を支えている地域、福祉団体の意見も伺いながら、よりよいイベントにしていただきたいと要望いたしまして、この項の質問を終わります。

○若林委員長 理事会を開くため委員会を休憩します。

午後4時58分休憩

 

午後5時02分開議

○若林委員長 委員会を再開します。

 理事会の報告をします。

 午後5時を過ぎましたが、甲田委員の質疑時間はあと10分ほどとのことなので、質疑を続行することを確認しました。

 以上が理事会の報告ですが、質疑はありませんか。

〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○若林委員長 それでは、ただいまの報告どおり委員会を運営することに御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○若林委員長 御異議ありませんので、そのように決定します。

 それでは、休憩前に引き続き総括質疑を行います。甲田委員、質疑をどうぞ。

○甲田委員 すみません。ボリュームが大きくて申しわけありません。もう少しで終わります。

 (4)番、道路のバリアフリーについて伺います。

 車椅子の利用者のために道路のバリアフリーを進めていただきたく、質問をします。国土交通省の定める歩道の一般的構造に関する基準等には、歩道の構造として、車道との段差は2センチを標準とするとあります。しかし、2センチの段差は自転車に乗っていても、がたんとなり、車椅子にとっては乗り心地が悪いどころか、乗り越えることができない障害物となります。ちょっとわからない方もいらっしゃるかもしれませんで、一応写真を撮ってきたんですが、こういう場所で、歩道から車道に上がるときに一般構造2センチということになっているそうです。特に地形自体に勾配のあるところでは車椅子が進まず、非常に困難な状況です。自走式の車椅子や足こぎ車椅子の方は、特に転倒する危険度が高く、先日ある方が車椅子からおりて人の手をかり、一旦体勢を直して通行しようと御苦労されているところに遭遇しました。当事者の方に聞くと、区内にそういった危険箇所は幾つもあり、車椅子で出かけるのは困難が多いとのことでした。このようなことについて現在どのように認識されていますでしょうか、伺います。

○千田都市基盤部副参事(都市基盤整備担当) 歩道等が横断歩道に接続する縁端部の段差、すなわち歩車道境界縁石の段差につきましては、委員御発言のとおり2センチが現行の基準となっております。2センチの段差につきましては、視覚障害者が位置や方向を確認するサインとして重要な役割を果たしておりますが、高齢者や車椅子使用者にとってバリアとなるケースがあることも認識しております。

○甲田委員 そうですね。視覚障害者にとっては、つえを当てて歩行の助けにする関係もあり、この段差が重要で、全面的にはフラットにできないということであります。中野区内に限らず、こういった場所が随所にあるようですが、これからは高齢化に伴い、車椅子利用者が増えていきます。視覚障害者にも配慮しながら、このような箇所の改善を図れる方法、余地はないものでしょうか、伺います。

○千田都市基盤部副参事(都市基盤整備担当) 2センチの段差解消についてですが、道路の移動円滑化整備ガイドラインでは、横断歩道に接続する歩道等の縁端の段差は標準2センチとするが、車椅子使用者、視覚障害者、高齢者等の行動特性と縁端構造に対する評価を十分把握した上で、さらに望ましい縁端構造について検討し、縁端の構造を決定することが望ましいとされる一方、視覚障害者の識別性について工夫することなく、安易に2センチ未満の縁端部段差を採用することは厳に慎まなければならないとされております。望ましい縁石モデルの検証につきましては、東京都土木技術センターで歩車道境界縁石モデルの現道歩行実験による検証を行っているほか、障害者団体や地元住民と協力した検証実験を行っている自治体もございます。今後、各種検証事例を研究し、中野区の道路環境においてどのような縁端構造が望ましいか、検討してまいります。

○甲田委員 一応研究がされているということを知り、うれしく思います。中野区ではそういった構造物を今後研究していただいて、車椅子利用者の安全確保に努めるべきと思いますが、検討ができないでしょうか、伺います。

○千田都市基盤部副参事(都市基盤整備担当) 昨今でも現実に色々障害者団体のほうからもお声かけいただいて、現場で現状のこの段差についての取り扱いを議論したこともございます。今後そういった団体の方、特にこの2センチの段差という効果が相反する場合がございますので、それぞれの団体等から丁寧な意見を聞くような機会をつくり、その中で今後、中野区といたしましても、中野区の道路環境においてどのような縁端構造が望ましいかの検討を行ってまいりたいと考えます。

○甲田委員 ありがとうございます。中野区バリアフリー基本構想には、駅周辺など重点地域に関する取り組みは具体的になっておりますけれども、重点地域でないところには具体的な計画はされておりません。ちょっとした段差が命取りになることもあるため、明らかにこれは基準の2センチを超えていると思われるところについては改修を図っていただけるということでよろしいですよね。

○千田都市基盤部副参事(都市基盤整備担当) 基準の2センチを超えて、なおかつ車椅子利用者にとって障害となるような箇所につきましては、維持工事として対応してまいります。

○甲田委員 ありがとうございます。福祉団体に聞き取るなどの調査や総点検を行うなどして、せめて危険度の高い箇所からぜひ整備を行っていただきたいと思います。これは要望といたします。

 最後に、子どもの発達支援について伺います。子どもの発達に遅れがある、気になる子については、児童福祉法に基づき、児童発達支援サービスが受けられることになっていますが、そういった事業を行っている施設に通所するなどの支援給付を受ける場合の手続の流れはどのようになっていますでしょうか、伺います。

○平田子ども教育部副参事(子育て支援担当) 手続についてお答えいたします。

 まず児童福祉法に基づく児童発達支援事業を利用しようとするときは、すこやか福祉センターに相談することになっております。すこやか福祉センターでは、子ども、保護者と面談した上で、子どもの状況に応じて療育相談など障害児通所支援事業所の利用を案内してございます。障害児通所支援事業所との間でサービス内容の調整がつきましたら、通所受給者証の利用申請をすこやか福祉センターの障害者相談支援事業所に提出することになってございます。申請書につきましては、障害福祉担当で審査の上、支給決定を行ってございます。決定通知を受けましたら、保護者は障害児通所支援事業所と契約をし、サービスの受給決定が開始されることになってございます。

○甲田委員 障害児の担当というふうに言うと、どこになるのでしょうか、伺います。

○平田子ども教育部副参事(子育て支援担当) 子ども教育部の子育て支援分野でございます。

○甲田委員 それで、障害児の通所施設等への給付費支給申請に関わる事務というのはどこがやるのでしょうか。また、そういったことについての相談はどこが受けるのでしょうか。

○平田子ども教育部副参事(子育て支援担当) まず受給者証の申請につきましては、すこやか福祉センターの障害者相談支援事業所を経由しまして、給付決定に係る事務につきましては健康福祉部の障害福祉担当で行ってございます。また、子どもの発達に係る相談につきましては、すこやか福祉センターで受けてございます。

○甲田委員 申請の手続は障害福祉担当、相談はすこやかで、保健指導が受ける。また、障害者相談支援事業でも受けるということですが、中野区では、まずすこやか福祉センターが相談する場所となりまして、給付を受ける際は障害福祉分野への申請が必要になるということです。そのときに、私は子育て支援分野が関わらないというか、関わりがないということが気になります。子どもの発達に関する相談支援について専門のセンターを設けている自治体もあります。中野区では全てすこやか福祉センターでワンストップでやりますということかもしれませんが、実際のサービスを受けるまでの過程で、どうしても担当が分かれており、分担して行っているため、せっかく入り口に入ってきても、その先の道筋がわからずにこぼれてしまう。いわゆる支援のすきまに落ちてしまうケースがあるものと感じます。このような課題について、今後、区としてどのように改善を図るべきか。また、子どもの発達支援の充実について見解を伺います。

○平田子ども教育部副参事(子育て支援担当) 現在につきましても、子どもの相談については広くすこやか福祉センターで対応しているところでございます。また、状況によりまして、個々のサービスや支援につなげているところでもございます。今後も十分に留意して対応してまいりたいと考えてございます。

○甲田委員 この問題はまた私もしっかり勉強して、お話しさせていただきたいと思いますが、要はどのような場合でも未来のある、本来は中野区の大事な子どもとして、一人の子どもとして支援をすることなので、入り口は子どもという意味で、一貫して子育ての分野で見てあげられれば一番よいと思います。障害があったとしても認めたくない親御さんも多いと思います。通所施設の給付を受ける際、中野区からの通知が届きますが、その封筒の差出人が障害者相談支援担当と書いてあるだけでショックを受けてしまったという方もいらっしゃいます。こういったことは一例でありますが、分担が分かれることによってフォローがしづらい事例であると思います。子育て支援の施策の中で何らかの配慮をできないものか、検討していくべきではないかと思いますが、見解を伺います。

○平田子ども教育部副参事(子育て支援担当) 妊娠・出産に始まりまして、子育て、障害、高齢者まで全ての相談対応につきまして、地域の身近な相談窓口である区内4カ所のすこやか福祉センターで受けているところでございます。すこやか福祉センターに限らず、区の相談対応では相談者の気持ちに寄り添った対応が重要だと考えておりまして、今後も十分配慮してまいりたいと考えてございます。

○甲田委員 ありがとうございます。子どもについては、ぜひ寄り添った配慮のある対応をお願いしたいと思います。分担がされて、分野や機関をまたがってしまう部分については、そこで支援が切れてしまっていないかなど、十分に配慮をして進めていただきたいと思いますので、ぜひよろしくお願いいたします。

 以上をもちまして、私の全ての総括質疑を終了いたします。御清聴ありがとうございました。

○若林委員長 以上で甲田委員の質疑を終了します。

 以上で本日の総括質疑を終了します。

 次回の委員会は、9月21日(水曜日)午前10時から当委員会室において開会することを口頭をもって通告します。

 以上で本日の決算特別委員会を散会します。

午後5時15分散会

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