平成28年第4回定例会一般質問議事録
1 子育て支援について
(1)中野の子育て支援の考え方について
(2)児童虐待防止と予防について
(3)その他
2 教育行政について
(1)多様性を尊重する教育行政について
(2)いのちの授業について
(3)その他
3 私道に関わる整備について
4 がん総合対策について
5 その他
○議長(北原ともあき) 次に、甲田ゆり子議員。
〔甲田ゆり子議員登壇〕
○13番(甲田ゆり子) 平成28年第4回定例会に当たり、公明党議員団の立場で一般質問を行わせていただきます。
質問は通告どおりで、5のその他はありませんが、1、子育て支援についての(3)その他の項でB型肝炎ワクチンについて質問いたします。
昨年、国連加盟国は、地球規模でよりよき将来を実現するための「持続可能な開発目標(SDGs)」を掲げました。少子高齢社会の時代にあって、まさに我が国も中野区も持続可能な目標を掲げながらさまざまな政策を推進しています。全国民が自分の地域や時代だけがよくなればよいというのではなく、将来にわたり持続可能な社会を築くため、皆で支え合っていくことが希望の道につながります。その意味で、区長には、今後とも区民の生命と生活を守るため、区の目指す方向性について、区民が希望を持てる説明を常に積極的に発信していただくことを期待するものであります。
初めに、1番、子育て支援について伺います。(1)中野の子育て支援の考え方について、4点伺います。
1点目は、子育て支援の方向性です。
中野区は、ことしある不動産会社のリサーチで、「子育てにあたたかい行政区」の第3位になりました。これは、昨年10月よりスタートした妊娠・出産・子育てトータルケア事業が最大の要因であると考えられ、このような取り組みが始まったことを高く評価いたします。今後、年数を経るにつれ、その効果が明確になってくるものと確信しています。子育てしやすいまちになることは、住民に選んでいただけるまちづくりの大事な要素です。中野区じゅうのどこを歩いても子育てに温かい雰囲気が伝わってくるようなまちづくり、行政の姿勢、取り組みが今後ますます大切であると思います。区長は、そのためにも縦横に切れ目のない子育て支援、教育環境をつくると言って、この数年取り組まれてきました。そういった中で、子育て支援施設に対してはどのような課題と方向性を持たれているのか、いま一度区長のお考えをお示しください。
2点目は、子どもの地域包括ケアシステムについてです。
切れ目のない支援のためにはあらゆるサービスが連携をし、また支援をコーディネートしていくことが重要です。地域の資源に対して行政がかかわる支援はまだまだ網の目が粗いのではないでしょうか。子育てひろば事業を行う箇所数をふやすだけでなく、気軽に寄れてほっとできる場が地域に偏在し、孤独な育児をしている方々が本当に必要とするときに支援の網の目に引っかかるようにしなければなりません。そのために子ども版の地域包括ケアシステムをつくる必要があると考えますが、御見解を伺います。
関連して、今後は民間で行っているサービスの活用体制もよく検討していくべきと考えます。家庭のあり方が多様化している中、一人ひとりに応じた支援が必要です。介護でいうところのケアマネジャー的な人材のように、区の職員が各ステージに合わせたサービスの情報提供をアプローチ型で積極的に行うことや、地域の担い手の掘り起こしにも努力すべきと考えますが、御見解を伺います。
3点目に、在宅で子育てしている家庭に対する公平なサービスのあり方について伺います。
毎年需要がふえる保育園の待機児問題について、保育の定員をふやすということだけで解決しようとしていることに私は一つの課題があると思えてなりません。いわゆる保活に苦しんでいる母親、父親が多くいます。その中にはさまざまな思いの人たちがいます。どう切り詰めても働かなければ生活ができない人、反対に、それほどではないが、育休制度が短いなどの理由で、子どもともっと一緒にいたいが、気持ちと現実が裏腹になっている場合もあります。仕事をやめて専業主婦になることは社会から何の評価もされないような空虚感があるという女性も多いと聞きます。母親は、保育園入園のためにやむなく多少無理な働き方をしている場合もあると感じます。その思いは認可保育園選考のための点数には、当然ですが、反映はされません。シビアな話ですが、ゼロ歳から2歳まで保育所に入る子どもと在宅の子どもとでは明らかに税金の恩恵に格差がかなり出ています。私はその差も鑑みて、本当の親のニーズが選択できるようにすることが大事であり、そのような課題を直視し、もっと柔軟に女性の活躍の仕方、働き方、生き方を後押しすべきと考えます。子育てに専念する期間に、同時にキャリアに生かせる要素をつかめれば将来の不安も小さくなり、焦って早く働きに出る以上のお得感があります。子育てそれ自体が十分キャリアとなるビジネスもあります。そのような意味から、例えば、子育て期間にキャリアアップのための資格がとれるような支援など、在宅ならではのサービスがあれば、保育園入園を1年でもおくらせる家庭や幼稚園を選択する家庭もふえると考えます。ゼロ歳、1歳児の入園希望者が減れば、1歳児、2歳児の枠をふやしていくことができます。
今後はこのような抜本的な取り組みを検討し、在宅家庭への支援によってさらに子育て家庭に温かい区となり、待機児削減にもつながる政策を打ち出してはどうかと考えますが、区長の御見解を伺います。
4点目に、就学前教育の充実について伺います。
幼稚園と保育園の教育プログラムにはまだまだ差があると聞きます。そして、小学校へ連携する際に「小1プロブレム」という課題があります。文科省の国立教育政策研究所教育課程研究センターでは、幼保の側からのアプローチプログラムに対して、小学校側でのスタートカリキュラムの実施を進めていると聞いています。このカリキュラムに沿って幼保の違いをしっかりと認識しつつ、小学校にきちんとつながっていくことのできる幼保側からの連携とともに、小学校の側においても受けとめる際のプログラムの中野スタンダードをつくり進めていく必要があると考えますが、いかがでしょうか。
あわせて、今後、民間の幼稚園、保育園が多くなっていくことに伴い、幼保側からのアプローチプログラムを図り、努力していただいているとは思いますが、特に配慮が必要な子どもに対する情報提供などの体制を一層強化すべきと考えますが、いかがでしょうか。見解を伺います。
次に、児童虐待防止と予防について伺います。
児童虐待は、過去最多を更新している悲しい現実があります。全国では、現状、社会的養護を必要とする児童の約9割、4万6,000人が児童養護施設等に入所しています。
ことし、私は愛着障害に関する幾つかのセミナーに参加し、学ぶ機会を得ました。そこで学んだことは、幼いときに虐待を受けた子どもはその恐怖から自分の身を守るために人を支配することを身につけ、虐待の連鎖を引き起こします。虐待をとめるためには親子を切り離すことだけでは解決しません。温かい家庭で育てられることにより愛着の絆が生まれ、脳が正常に発達をして人とのコミュニケーション能力が身につきます。施設で育った場合にはこの反対で、ほとんどが愛着障害を持ってしまうことになります。その期間が長ければ長いほど愛着障害の修復にも時間がかかると言われています。
中野区では、昨年度、児童相談所により一時保護された児童28名のうち、20名は自宅に戻ったが、残りの8名は全員施設に入所させられていると伺っています。必ずしも虐待を受けた児童とは限らないと思いますが、いずれにせよ、愛着形成の大事な時期を施設で過ごす幼い子どもの心や将来を考えると胸が痛みます。現在のこうした状況を区はどのように認識しているのでしょうか。伺います。
先日、会派で静岡市里親家庭支援センターを視察してまいりました。全国の里親委託率が1割程度なのに対し、静岡市は28年4月現在で46.9%と突出しています。児相とともに里親を支援する体制ができていることが要因です。中野区においても家庭養護に重点を置き、施設偏重ではなく親子支援ができる体制を今から検討すべきと考えます。現実的には里親委託を急にふやすというよりも里親等の研修を拡充させ、子育てに関心のある人、支援を行っている人たちにも一緒に研修を受けていただき、虐待予防の支援として短期間の自宅での預かり等を行ってもらう仕組みを検討してはいかがでしょうか。
今後の虐待予防のための地域の担い手育成には、我が家に他人の子をも招き入れて慈しむことのできる里親のような人材育成がどれだけできるかが試金石となると考えますが、区の見解を伺います。
この項の最後に、予防という観点でもう1点伺います。
中野区の産後サポート事業では、生後2カ月から5カ月の子を持つ親子で参加できる4回連続講座「BPプログラム」を実施しています。毎回の利用率は高く、地域によって年2回のところもあり、タイミングが合わず、電車で別の地域の講座に通っている親子もいました。講座が終わっても参加者同士の交流があると聞きます。ある方が、「本当に苦しいときだった。もしこの講座に参加していなかったならば、自分はこの子に何かしていたかもしれない」とおっしゃっていました。この事業は、一番つらい時期に母親の不安を取り除くことで虐待予防にも効果があります。出生率もふやそうとしている今、全員が受けられるよう、さらに回数もふやし、啓発をして参加を促すべきと考えますが、いかがでしょうか。伺います。
子育て支援の(3)その他で1点、乳児のB型肝炎ワクチンについて伺います。
今、慢性肝炎、肝臓がんの患者がふえています。B型肝炎ウイルスに感染しキャリア化するのを防ぐために有効なものが、ことし10月より定期接種化となったB型肝炎ワクチンです。乳幼児が感染し、キャリア化する確率は決して低くありません。厚生科学審議会の報告書によりますと、ゼロ歳児が90%、1歳から4歳の場合が20%から50%の確率でキャリア化すると言われています。一度キャリア化するとウイルスが体内から排出せず、将来的に肝硬変、肝がんといった重篤な疾患へとつながるケースも多いそうです。
今回の公費助成の対象はゼロ歳児ですが、ことし4月1日に生まれた子どもからが対象です。10月から満1歳になるまでに3回のワクチンを接種するとなると、例えば4、5、6月ごろに生まれてお子さんについてはかなりタイトなスケジュールとなります。もし3回目が打ち切れなかった場合には自費となります。区は既に制度の周知を図り、この期間に接種が完了するよう促されているとのことですが、それでも間に合わないケースが懸念されます。経過措置的な救済として、来年度の当初、そういったケースにも接種機会を与える区の制度を検討すべきと考えますが、いかがでしょうか。
あわせて、キャリア化のリスクが高いと言われている低年齢、せめて1歳児を対象にした公費助成ができないかと考えますが、いかがでしょうか。伺って、この項の質問を終わります。
2、教育行政について伺います。
先ほど述べました、国連の持続可能な開発目標の基礎は「平和の文化」という考え方に起因しています。すなわち、平和の文化をつくっていくことが持続可能なまちをつくることとも言えます。私は、他人を尊重できる平和の文化をつくるものは教育と考えます。
そこで、(1)多様性を尊重する教育行政について伺います。
1点目に、現在、20人に1人はいると言われている、性的少数者LGBTへの理解教育については今後真剣に検討すべきと考えます。つい先日も、同性に告白した学生が心ない吹聴をされたことで自殺に至ったとの報道がありました。思春期になり、自身の性について悩み苦しんでいる生徒がかなりいると思います。教員が気づいてからでは遅い場合があります。
そこで伺います。LGBTに対する人権教育プログラム、校長会の通知にはどのように対応していくことを主旨としているのでしょうか。伺います。
教員がもし生徒から相談を受けたときに、まずどのように対応するか、徹底はされているのでしょうか。また、そういう生徒がいると感じ取った場合の対応はどうされるのでしょうか。伺います。
倉敷市の小・中学校が9月より性の多様性について考える授業を始めたとの報道がありました。そのころに芽生える差別意識の目を摘むため、やはり学校教育の中で教員があえて取り入れていくことが大切と考えます。倉敷市では、唐突にLGBTの授業をすると児童・生徒が教室内で当事者を探す恐れがあるとの助言を受け、性的少数者を扱う前に、人の考え方などの多様性に関する内容の授業も行い、工夫をしているとのことです。少数でも自分を否定せず、自信を持って大丈夫というメッセージを伝えるだけでも安心につながります。
また、もう一つの手段としては当事者の体験談を聞く機会です。先日、私は、「普通」を考える図書館・ヒューマンライブラリーというイベントがあるのを知りました。マイノリティーというだけで偏見を持ってしまいそうな「人」を本のように貸し出して、体験談を話してもらうという面白い企画です。毎年、明治大学中野キャンパスで開催されています。そこにはLGBTの代表として石坂わたる議員も「本」として用意され、既に3回話をしているそうです。これまであまり知らなかったマイノリティーの方の体験談を聞き知ることは、触発を受け、偏見、差別から親近感へと変わる機会を得られます。例えば、このような企画を使って外部講師に登場していただき、LGBTの理解を深めることも可能であると考えますが、いかがでしょうか。伺います。
また2点目に、親が離婚、再婚などにより血縁関係のないステップファミリーについても差別がないように教育現場でも後押しをすべきです。いろいろな家族のあり方があってよい、これも生き方の違いや尊さを認め合う理解教育となり、ひとり親家庭などもふえている中、とても大切と考えます。
私の友人の里親さんが、小学4年生の里子とともに、みずから先生に頼んで授業の中で体験発表をさせてもらい、クラス内にあった偏見や差別意識を未然に防いだことを伺いました。さらに、その体験談を聞いた後、数人の生徒が手を挙げて、「実はうちもお父さんは実親ではない」「うちもひとり親家庭だ」などみずから言う子もいたそうです。「そういう家庭も全然ありだよ」と肯定し合う雰囲気が生まれたという話を聞き、感動しました。このように体験を聞く教育は多様性を学ぶ機会の一助となり、できるところから取り入れる選択肢を情報提供してほしいと考えますが、いかがでしょうか。伺います。
次に、いのちの授業について伺います。
幾つかの中学校で実施されている「赤ちゃんふれあい教室」では、本物の赤ちゃんを迎え、赤ちゃんのかわいさ、親の愛情を感じ、命の重さを体験し実感する授業です。私も数年前に見学をさせていただきました。区のホームページにも授業風景が掲載されていますが、この赤ちゃんふれあい教室は、2回シリーズとして助産師さんが行う性教育とセットになっています。中学生には大事な教育課題であると考えます。インターネット、SNSの普及もあり、非行、性被害も年々ふえている現状があります。特に女の子については、自分の身体、命を自分で守ることが重要であることを具体的に教えてもらえる貴重な機会であります。教員が指導するには荷が重い分野であり、外部講師の活用を図り、教育委員会として積極的な推進をしていただきたいと考えますが、いかがでしょうか。伺って、この項の質問を終わります。
次に、3番、私道に関わる整備について伺います。
私道整備助成制度について、昨日、市川みのる議員の質問により画期的な方向が示されたところであり、若干重なりますが、私からも質問させていただきます。
私道整備助成制度を使う際、所有者から承諾が得られないケース等について制度の緩和措置がなされる方向であることは長く悩んできた多くの方々が救われるものとなります。相続手続が行われていないケースは非常に多いと感じます。年を経るにつれ、手続も複雑化し、道路の維持管理対策は難航を極めていきます。私が直面したケースもいわゆる所有者不明の私道で、そのうち大正時代より相続がされておらず、昔からその地域に住む方々に聞いてみてもその方の存在、子孫すら浮かび上がってこないというものです。登記の住所にも戸籍が存在していた形跡がないため、不在者の財産管理人申し立てを行い、数十万円の報酬費用を裁判所に払わなければ手続が前に進みません。さまざまなケースがあると思いますが、一部の土地所有者からの承諾が得られないだけでなく、土地所有者が不明な場合でも、私道の舗装や下水が損傷し現状のままではそこを通る一般区民が危険な状況になりかねない場合もあり、私道関係者の維持管理行為として私道整備助成制度を活用できるよう、助成要件の見直しが必要であると思いますが、いかがでしょうか。
もう1点は、不特定多数の方や車両が日常的に多く通行している私道についてです。
区が公道上で安全対策を講じているカーブミラーなどの道路上設置物について、私道がかかわってくる場合には区に設置義務はないと伺っています。私道から車両が出るのは特定住人のためであることから、私道の所有者が責任を持って安全対策を行うのは当然です。しかし、私道の中には沿道住民以外の車両が多く通過するものや、中には公共施設に接道している私道もあります。そのような私道から車両が出る際の区道上の安全対策は場合に応じて区が行う必要があるのではないでしょうか。
公道通行者の安全性を高める観点から、私道の利用状況や公共施設に接続しているなどの環境に応じて、この点についても要件緩和を検討すべきと考えますが、いかがでしょうか。伺って、この項の質問を終わります。
最後に、4番、がん総合対策について伺います。
最近、まだ働ける若い世代でがんにかかり、命を落とす人が大変にふえています。我が会派では、予防と早期発見のための検診率向上、啓発事業について、これまでもたびたび質問に取り上げてまいりました。
先般の決算特別委員会総括質疑において、私は、がん検診の勧奨はがきで効果があったことを評価し、対象者には直接検診の受診券を送付するようにしてはどうかとの質問をし、検討するとの答弁をいただいたところであります。そのような受診勧奨対策が重要である一方、これだけがん患者がふえている以上、がんになった後のきめ細かい支援策もまた重要です。昨今、がん治療や生活の形態も多様化している中、そうしたがんになってからの治療方法の選択、医師の選び方、仕事、介護サービスの受け方、経済的な問題等々については、がんの種類やステージ、発症した年齢などに応じて相談できる窓口が必要ですが、現状はほとんどないことが課題であります。医療機関と在宅をつなぐ看護師などの専門職を活用した、気軽に相談ができる相談窓口が必要であると考えますが、区はがん相談窓口について設置を義務付けているがん対策基本法にのっとりどのように推進していこうとされているのか、伺います。
さらに、今後は緩和ケアの体制を充実していくことも重要であります。
在宅とホスピスとの連携ネットワークがあれば、在宅での緩和ケアが可能となります。国が目標としている「患者とその家族などががんと診断されたときから、身体的・精神的・社会的苦痛などに対して適切に緩和ケアを受けられる体制を図る」というものにはまだ遠く、末期がん患者のための在宅での緩和ケアの受け皿やサポート体制には課題があると考えますが、どのように改善していく方向であるか、伺います。
次に、がん教育について伺います。
これまでも、我が会派ではがん教育の推進を訴えてきました。つい先日は、国会議員のがん教育議員連盟が立ち上がりました。文科省も平成26年度からモデル事業を展開、厚労省と連携してがん教育のガイドラインを策定し、29年以降の全国展開を目指しています。私も、昨年会派で豊島区におけるがん教育授業を視察した折、生徒の理解力のよさ、また両親に向けて、「がん検診を受けてほしい」、「たばこやお酒を飲み過ぎないで健康でいてほしい」という手紙を書くなど、健康に対する意識が変わったことについて大変感銘を受けました。全国的には外部講師の十分な確保など課題は山積しているそうですが、ことしは一度、中野本郷小学校でがん教育授業が実施されました。中野区には協力してくださるすばらしい講師もいらっしゃいます。
先進的にがん教育を継続的に進めてきた埼玉県の熊谷市では、平成26年度からがん教育を実施、副次的な効果として、がん受診率が大幅に伸びるという実績が出ています。特に乳がんの検診受診率は、がん教育を始める前よりも7ポイントも上昇する結果が出ています。このような実績が出ている以上、国の方向性も受け、中野区全域の小・中学校においてがん教育を一層推進する方策を検討してはいかがでしょうか。御見解を伺います。
ほかにもがんの対策にはもろもろあると考えます。がんの手術等で休業を余儀なくされ、生活困窮になった場合の一時的な補給制度や就労相談なども強化が必要です。昨日の小林ぜんいち議員からも要望した骨髄ドナー提供者への支援など、区民がいざというときに救ってもらえるような温かい政策は、死に直面しせっぱ詰まっている方や家族の不安を感謝と希望に変え、予算以上の効果があるものと考えます。このような取り組みも含め、中野区民の健康寿命を伸ばし、まだ若い世代ががんによって命を落とすことを防ぐための政策として、がん対策の総合的な政策、計画が必要な時期に来ていると考えますが、御見解はいかがでしょうか。伺って、私の全ての質問を終わります。
答弁
〔区長田中大輔登壇〕
○区長(田中大輔) 甲田議員の御質問にお答えをいたします。
子育て支援について、子育て支援施策の課題と方向性についてということでした。子どもの育ちや教育の課題は多様化、複雑化しており、新しい中野をつくる10か年計画で示したように、子どもの育ちを支える地域づくりや妊娠・出産期からの一貫した相談支援体制の整備、配慮や支援を必要とする子どもと家庭への支援強化が重要だと考えております。御質問の中でもお示しをいただいたように、縦に切れ目なく、つまり妊娠・出産期からの一貫した相談支援体制、そして横に切れ目なく、地域で暮らすさまざまな方に温かく配慮の行き届いたケアの目、支援の網の目というものを用意をしていくということだと認識をしております。
また、児童相談所の設置を視野に入れ、(仮称)総合子どもセンターを整備し、地域の関係機関との連携やアウトリーチによる支援の充実を行うことで、中野区で子育てをする世帯が安心と自信を持って子どもを産み育てていくことができるようにしてまいりたいと考えております。
子ども版地域ケアシステムの推進が必要であるということであります。区が目指している地域包括ケアシステムは、子どもから高齢者まであらゆる区民がそのライフステージに応じて切れ目なく一貫した相談や支援を受けられる体制の整備であり、今後構築を進めてまいりたいと考えております。
また、今後、すこやか福祉センターや区民活動センターに配置する職員がアウトリーチ機能として地域で展開される子育てひろば等の事業の場に赴くなど、支援をする側や子育て世帯の状況を把握しつつ、子育て相談や情報の提供、サービスのコーディネートなどを行うとともに、子育て支援活動の担い手への支援も行っていく、そうした考えであります。
在宅での子育てにかかわる独自の政策についてであります。子どもを預けて働くのか、在宅で子育てをしていくのかといった働き方や生き方にかかわる選択については、保育施設などの環境条件をはじめ、育児休業のとりやすさやその期間、あるいは育児のために一旦職を離れた場合の再就職のしやすさなど、就労や雇用の慣行といったことも含めて社会全体で考えていくべき、対応するべき課題も多いと、このように考えております。
厚生労働大臣や都知事とのミーティングの中では、特別区長会のメンバーはそれぞれにこうした働き方の問題、社会全体で子育てを支えていける、そうした全員参加型の社会をつくっていくといった問題意識、こうしたことについて主張をしてきている、そういった状況であります。そうした条件を整えていくということを前提にしつつ、ゼロ歳から2歳までの子どもについて在宅で子育てをしようという家庭に対して何らかのインセンティブのある施策を構築すること、これについては税の公平性の観点からも意味のあることと考えており、今後研究をしてまいりたいと考えております。
配慮が必要な子どもへの小学校へのスムーズな接続について、私のほうからは、幼保側からのアプローチプログラム、このことについてのお答えになります。これまでも配慮が必要な子どもについては、小学校への円滑な接続の観点から、配慮や支援が必要な状況や教育、保育に関する内容について幼稚園、保育園から小学校への情報提供や、就学に当たり不安や心配を抱えている保護者へは就学相談の活用などを促すことを行ってきております。現在、就学前教育の充実に向け検討を進めているところであり、配慮を要する子どもへの取り組みの拡充や推進体制の強化などについて明らかにしていきたいと考えております。
家庭的養護、里親の育成について。施設入所については、虐待等により親の養育が著しく困難な場合や集団生活により子どもの生活指導を行う必要がある場合などにおいて児童相談所の判断で措置されているものと認識をしております。また一方で、子どもが地域において暮らすことが安全に確保ができる場合には、より家庭的な環境での養育を進めることが子どもの健やかな成長にとって重要であると考えております。区としては、児童相談所設置に向け準備を進めているところでありますが、児童養護施設への措置のあり方や地域に根付いたきめ細かい里親の開拓、支援の方策等についても積極的に検討をしてまいりたいと考えております。
産後サポート事業の工夫・拡充について。産後サポート事業には、主に母体ケアなどを目的とした助産師型講座と、お尋ねにあった、子育て学習と仲間づくりを目的とした地域子育て支援者型講座があります。利用者ニーズの高い地域子育て支援者型講座については、お住まいのすこやか福祉センター圏域での開催回数が少なく、他の圏域での講座を利用する方がいる、こうした現状を踏まえて、各圏域ごとに十分な開催回数を確保し、ニーズに応えられるよう工夫を図ってまいります。
B型ワクチンの定期接種外の助成制度についてであります。タイトなスケジュールとなる4月から7月生まれにつきましては、事前に個別通知するなどの通知に努めて周知を行ってまいりました。今後も定期接種の期間内に適切に接種できるよう努めてまいります。なお、病気などで期間内に接種できなかった、こうした方については接種年齢を過ぎても一定期間定期接種の対象者とすることができる、国の救済制度があります。B型肝炎の持続感染になる危険性が著しく高いのはゼロ歳児の時期であります。このゼロ歳児、出生後早い時期に漏れなく定期接種できるようにすることが早期予防として肝要であると考えて、現在重点的に行っているということについて御理解いただきたいと思います。
私からは以上です。
〔教育長田辺裕子登壇〕
○教育長(田辺裕子) 初めに、子育て支援について。私からは、小学校側のプログラムの作成についてお答えをいたします。御質問にありましたスタートカリキュラムとは、小学校へ入学した子どもが、幼稚園や保育園などの遊びや生活を通した学びと育ちを基礎として、主体的に自己を発揮し、新しい学校生活をつくり出していくためのカリキュラムでございます。保育園・幼稚園と小学校間における円滑な接続については、切れ目のない支援を行っていく観点からも重要であると認識をしておりまして、各学校においても入学時のカリキュラムを工夫しているところでございます。現在、就学前教育の充実に向け検討を進めておりまして、この中でスタートカリキュラムについても実践等を踏まえ検討していく考えでございます。
続きまして、教育行政について。多様性を尊重する教育行政の御質問のうち、いわゆる性同一性障害等に対する対応の趣旨についてです。
人権教育プログラムでは、いわゆる性同一性障害等について、人権課題の一つとして取り組むこととしておりまして、これを踏まえ、教員の正しい理解に基づき、多様性を踏まえ一人ひとりの人権を尊重する旨の周知を行ったところでございます。
次に、生徒からの相談や教員の気づきがあった場合の対応についてです。文部科学省の通知を踏まえ、児童・生徒の性同一性障害等についての悩みの相談や教員の気づきがあった場合は、まずは児童・生徒の心情に寄り添い、共感することから相談等を進めることとしております。また、校内の支援体制を整え、組織的な対応を行うとともに、関係機関との連携を図ることとしてございます。
続きまして、当事者からの体験談を聞く機会についての御質問です。性同一性障害やステップファミリーなどの家庭など、内面的な悩みを抱える児童・生徒については、その実情を踏まえ取り組むことが重要であると考えています。体験談を聞く取り組みについては、児童・生徒の発達段階を踏まえ、適切な対応を図ることが必要なことから、各学校の取り組みの中で判断をすることとしてございます。
次に、いのちの授業についてです。命にかかわる教育は、教員が主体的に取り組む内容であると判断しており、各学校では性に関する全体計画を作成し取り組んでいるところでございます。その一つとして、御紹介にありました、赤ちゃんふれあい教室の取り組みの例もございますので、生命尊重教育の取り組みの一つとして各学校へ情報提供してまいりたいと考えてございます。
最後に、がん総合対策について。小・中学校におけるがん教育の推進についてです。がん教育の導入に向けては、平成27年度から人権教育の一環として人権尊重推進校1校において実施をしております。また、小学校における体育の保健領域、中学校の保健体育の病気の予防の中でがんについては取り上げられており、全校で取り組んでいるところでございます。今後も積極的に取り組みを進めてまいりたいと考えています。
〔都市基盤部長尾﨑孝登壇〕
○都市基盤部長(尾﨑孝) 私道に関わる整備についての御質問にお答えをいたします。
まず、私道助成制度の要件見直しについてでございます。土地所有者が不明なため、私道助成制度を活用できず、損傷した私道の維持管理が関係者間で進まないケースがあることは認識しております。御指摘のようなケースなども踏まえ、私道関係者による整備が着実に進行するよう、現行の助成制度の見直しを早急に検討し対応していく考えでございます。
次に、公共施設に接道する私道のカーブミラーの設置などについての御質問でございました。私道の交通量増加の一因が私道にしか接道していない公共施設にあるケースにつきましては、今後調査をして対応を検討してまいります。
〔健康福祉部長瀬田敏幸登壇〕
○健康福祉部長(瀬田敏幸) がん総合対策の御質問のうち、がん患者のケア相談窓口、サポート体制、そして総合的な政策、計画についての御質問にお答えをいたします。
がんの相談は、保健所やすこやか福祉センターで応じることもございますが、がん患者の支援、相談には医療との連携が重要であると認識してございます。今後は、がん診療連携拠点病院等との連携や地域でのケア体制を踏まえた相談窓口のあり方について検討してまいります。
国のがん対策基本法改正や都のがん対策推進計画の動向を注視しつつ、がん総合対策について区として必要な施策、体制を検討してまいります。
〔地域支えあい推進室長野村建樹登壇〕
○地域支えあい推進室長(野村建樹) がん総合対策のうち、緩和ケアの御質問でございました。在宅における緩和ケアあるいは看取りに関する在宅療養体制の構築につきましては、在宅医療介護連携推進協議会の重要な課題の一つというふうに認識してございます。これを支える医療、介護の多職種、多機関連携の推進や区民理解の促進などの方策につきまして今後検討してまいりたいというふうに思ってございます。
○議長(北原ともあき) 以上で甲田ゆり子議員の質問は終わります。