1 子育て支援施策について
2 平和の森公園の再整備について
3 防災対策について
4 住宅施策について
5 新井薬師前駅周辺まちづくりについて
6 その他
〔甲田ゆり子議員登壇〕
○13番(甲田ゆり子) 平成29年第2回定例会に当たり、公明党議員団の立場で一般質問を行います。質問は通告のとおりで、その他はありません。
初めに、1、子育て支援施策について伺います。
現在親子関係や地域の人間関係が希薄化しているため、密室育児による児童虐待が右肩上がりに増大し、胸が締めつけられるような切ない子どもの虐待死事件も後を絶ちません。中野区は、昨年の児童福祉法改正以降、児童相談所設置に向け、鋭意推進していただいていることを評価しています。今後は、児相設置までにいかに地域の児童虐待防止のための人材、担い手の育成を図るかが重要な課題となっています。
区はこれまでも、妊娠・出産・産後からのトータルな切れ目のない子育て支援施策を構築してまいりました。このことにより、支援の受け皿が要所要所につくられ、時間軸でいう縦の切れ目が解消してきたと考えます。次なる大きな課題としては、地域に広がる横の連携、そしてそれらを効果的につなぎ合わせるため、コーディネート機能を充足させていくことではないでしょうか。気軽に参加できる親子交流の場や子育て広場などの中で自然に相談ができるよう参加を促してあげる人の存在と、常に居心地のよい場所が提供され、そういう場が知られ、つながり、ふえていくことが今後の子育てしやすいまちづくりにとって需要なポイントとなります。
地域にはさまざまな地域団体が子育て支援活動を長年支えてくださっており、中野区には誇るべき子育て支援、児童育成の伝統や人材が多く存在しています。また、民間でニーズに合った事業を展開している団体もあります。しかし、それら多くの団体、支援者に伺ってみたところ、中野区内で現在どのような団体がどのようなフェーズにおいて子どもの育成に貢献されているのか、お互いのことを全く知らないまま一生懸命に活動されていることが多いという現状であると感じます。
中野区から児童虐待を根絶し、子どもの生きる権利、子どもが愛情をたくさん受けた家庭、地域で育つ権利を確立していくために、民間団体、地域団体、そして区の職員が理念を共有してそれぞれ親子支援をしながら次の段階へとつなげてあげるなどのコーディネート機能を果たすことで、子ども版地域包括ケアシステムを早急に構築するべきと考えますが、区は子ども版地域包括ケアシステムをどのように構築しようとしているのか、改めて区長の見解を伺います。
具体策として一つ目に、担い手の裾野を広げるため、里親の周知とファミリーサポート制度の拡充について伺います。
現状、里親は東京都の児童相談所の管轄、ファミリーサポートは区が社会福祉協議会へ委託しているため区の管轄の事業となっています。管轄の違いから、これまで交わったり、ともに高めあったりすることはほぼありませんでしたが、どちらもほかにかわる制度がなく、貴重なサービスを担っている大切な支援者であります。ひとり親も多く需要はふえていると感じます。これらの制度がさらにすき間を埋めるものとなっていくためにも、ファミリーサポートの協力会員をふやし、里親制度の周知、啓発も積極的に行うべきと考えます。取りかかりは、里親の研修をファミリーサポート協力会員さんにも受けてもらうなど、段階的、断続的に両者の研修機会を共有していく制度を検討してはいかがでしょうか。そのことにより、ファミリーサポートだけの協力会員がいきなりハードルの高い里親ではなく、短期間の預かりを行う里親へと徐々にステップアップしたり、里親同士がピアサポートのできる幅が広がると考えられるのではないでしょうか。見解を伺います。
また、このほど総合東京病院にて中野区初の病児保育事業が始まり、地域の保護者だけでなく、孫を持つ祖父母の皆さんも大変に喜んでいます。実際に利用する場合には、5時以降の送り迎えのサービスとしてもすき間を埋めるファミリーサポートがますます重要性を増してきます。今後は、さらにファミリーサポート事業を拡充すべきと考えます。安全対策、マッチングの向上、コーディネート機能の拡充も視野に入れ、時代の要請に応えられる事業としていく検討をしてはいかがでしょうか。伺います。
二つ目に、より困難な人を救う施策のため、産後ケアにおける多胎児と早産などにおける母親の支援について伺います。
多胎児、いわゆる双子等の子育てについて私は何度か相談を受けています。双子は特に産後、二人の赤ちゃんのお世話に母親は休まる暇がなく、本当に大変な毎日を強いられ、産後うつになりやすいようです。区の産後ケアについて、双子の場合、面談時の子ども商品券は二人分いただけますが、産後ケアを受けられる時間の限度は子ども一人分となっています。確かにケアを受ける母親は一人ですが、子どもが二人いるということは、2倍以上の手がかかると言われています。当然、せめて2倍のケアが受けられるようにすべきと考えますが、いかがでしょうか。伺います。
あわせて、早産や未熟児の対応にも改善が必要と考えます。早産により未熟児で生まれた赤ちゃんが数カ月たって退院した際、既に産後ケアの対象期間が残り少なくなっています。そしてケアがほとんど受けられていないというケースが実際にあります。早産や病気で育児に不安を抱える母親こそ産後ケアが必要と考えます。このような場合には、例外規定を持たせ、利用できる期間を伸ばす必要があると思いますが、いかがでしょうか。伺います。
産後ケア事業創設の趣旨を踏まえれば、必要なところに支援の手が入っていないことは課題であると考えます。携わる職員にはいま一度政策の目的観を共有して遂行していただくよう求めます。
この項の最後に学童クラブについて伺います。5月1日現在、中野区の学童クラブの待機児童が118名となりました。学童クラブ全体として毎年4月から6月に待機児が多く、3年生などが学童クラブから自然に退所する夏ごろにやっと解消していくと聞いています。いわゆる小1の壁の課題です。特に入学したばかりの児童を持つ家庭が安心できるよう、4月時点からの待機児童ゼロを目指し、このような状態の早期解消をしていくべきと考えますが、区としてどのような対策を考えているのでしょうか。また、今後の学童クラブのあり方についてどのように考えているのかお聞かせください。
学童クラブに一旦入ることができても、下に兄弟が生まれ、生後57日を過ぎるといわゆる産休終了時点で上の子は学童クラブを退所しなければならないという規定があります。つまり、母親が育児休暇中は上の子の学童クラブ入所対象外ということであります。その後、仕事復帰をして下の子が保育園に入園できたとしても、定員がいっぱいのためすぐに上の子が学童クラブに入れるとは限らないということになります。そうすると、結局安心して仕事復帰ができないなど、困惑している区民の方もいました。区はこうした制度のはざまにおける育児不安を解消できるよう、保育園入園の問題と連携して相談に当たるべきではないでしょうか。見解を伺って、この項の質問を終わります。
次に、2、平和の森公園の再整備について伺います。
初めに、公園の森の再整備について伺います。現在、平和の森公園の再整備において、周辺地域の一部の方々を中心に、木が伐採され自然が破壊されると喧伝され、公園再整備事業が木を切る、切らないといったことに矮小化されて全体像が正確に伝わっていないことを憂いている区民の方の声をお聞きしました。私は、平成28年第1回定例会の際、環境保全の意味において専門家に相談をしながら整備をし、都会の中の小さな森として地域に広く愛され、子どもたちが自然の生物や植物を観察して楽しみ、ふるさとの思い出をつくれる公園として整備すべきと質問しました。大人から子どもまでこの公園の森で、例えば木々や昆虫、鳥などの観察会や写生会など、自然体験プログラムを行うことによって、環境問題や生物多様性、自然の大切さなどについて学ぶことができ、そういった取り組みにより、環境意識の高い、区、区民づくりに資する森を再創造することが大切であると考えます。
平和の森公園再整備基本設計の中で示されている四つの大きな方針の一つには、「既存の森を継承し、四季を彩るみどり豊かな公園 既存の豊かな水辺と緑を継承しつつ、花や実のなる植物を植えることでより四季を楽しめ、かつ多くの生き物と共生する健やかな自然を次世代へ引き継ぐために適切な管理を行います」とあります。これはまさに生物多様性の回復・保全に配慮した森づくり、森の再構築、再創造をしていくことがうたわれていると考えますが、こういったことが周辺住民をはじめとする区民にあまり伝わっていないと感じます。平和の森公園再整備基本設計では、植栽のコンセプトについてはっきりと表現されていますが、それ以外の多くの情報とともに並列で記載されており、一般的には具体的な内容を理解することが難しいのが課題となっています。このコンセプトを生かすものとするため、区は今どのような努力をしているのでしょうか。
基本設計は専門家による公園内の動植物調査をもとに作成されているという話を伺いましたが、そうであれば、その調査内容を示した上で、区の方針が間違いなく遂行されていることを示す意味でも、具体的な整備内容を周知してはいかがでしょうか。伺います。
その際には、森の再整備がそれらのコンセプトに基づいた植栽計画であることを示して、平和の森公園の森が、さらに魅力あるものになることの区民理解を深めるようにしてはいかがでしょうか。
あわせて、平和の森公園の機能は、スポーツ、防災、憩い、平和の四つが大きなテーマでありますが、それぞれのテーマ項目が今回の再整備によりどのように向上するのか。地域の方々に完成後のイメージがわかりやすくなるよう、工事の進捗に合わせて示すべきと考えますが、区の見解を伺います。
この項の最後に、今回、平和の森公園の防災機能が低下するといまだに勘違いされている区民の方もいます。公園と体育館という屋内外施設を擁する防災公園としてどれだけの防災機能が向上するのかいま一度お示しください。今後、区民理解を深めるため最大限の広報周知に努めていただくことを要望し、この項の質問を終わります。
次に3、防災対策について伺います。
初めに、図上訓練の目的と検証について伺います。中野区では、年1回の震災図上訓練を行っていますが、昨年度は震災発生後24時間経過後の状況を想定した訓練を行いました。さらに、熊本地震を踏まえ、各応援団体の受け入れについても図上訓練を行っています。この訓練は、地域防災計画及び震災マニュアルを事前に確認して訓練に参加し、問題への対処を震災マニュアル等に従い的確に対応できたかどうかなど、評価・検証して震災マニュアルの見直し・検証につなげることになっていますが、区は訓練実施後、評価・検証を踏まえて震災マニュアルを見直し、修正しているのでしょうか。あわせて、災対各部の震災マニュアルも修正されているのでしょうか。伺います。
図上訓練の目的の一つとして、困難な状況下における的確な判断力を養うことであると考えますが、具体的な判断、行動の事例についてお聞かせください。
図上訓練後、評価・検証した結果を訓練参加者にフィードバックするとともに、担当分野における訓練状況の情報を他の分野の職員とも共有化すべきと考えますが、どのように対応しているのでしょうか。お伺いいたします。
次に、大震災等の復旧・復興期における被災者支援システムの導入について伺います。熊本地震、阪神淡路大震災のような大災害が発生した場合、被災自治体は通常の業務に加え、膨大な臨時的な業務を処理しなければなりません。大量の業務を効率的に処理し、復旧・復興を進めるには事前に情報システムを構築していくことが不可欠と考えます。中野区地域防災計画及び新しい中野をつくる10か年計画(第3次)では、被災者を支援するシステムの導入について記載されていますが、進捗状況はいかがでしょうか。伺います。
代表的な支援システムである阪神淡路大震災の発災を受け、西宮市で開発された被災者支援システムとその後、京都大学、新潟大学及びNTTの産学連携で開発された被災者生活再建システムの実災害での使用実績はいかがでしょうか。お伺いします。
被災者生活再建支援システムは、建物等の被害状況の調査やり災証明発行業務を効率的に行うことができます。しかし、り災証明書発行機能以外の大震災発生後に膨大に発生する業務を処理するために、必要な機能は十分とは言えません。その点、西宮市が開発した被災者支援システムは、住民基本台帳を基本に各種のシステムが構築され、東日本大震災を経てさらに改良されており、大震災時に実績があります。緊急物資や避難所の管理、倒壊家屋や仮設住宅の管理、義援金の配分管理、さらには災害援護金の貸し付け業務などを処理する機能が備わっております。
そこで、被災者支援システムの導入については両方のシステムを導入し、り災証明発行業務は被災者生活再建支援システムを使って処理し、その他の被災者支援業務、復旧・復興業務は被災者支援システムを使って処理する体制を構築し、大震災等に備えるべきであると考えますが、区の見解を伺って、この項の質問を終わります。
次に4、住宅施策について伺います。
初めに、空家対策について伺います。空家等対策の推進に関する特別措置法が平成26年11月27日に成立し、翌年5月26日に施行され、本年で2年が経過しました。この間、中野区においても空家等対策に関する取り組みが進められ、平成28年度には中野区全域の空家実態調査が実施されるとともに、中野区空家等対策審議会が設置され、基本計画の策定に向けた検討が進められています。空家等対策は、倒壊のおそれがあるなど、保安上の危険性が高い特定空家の解消だけではなく、空家の利活用についても検討が必要です。昨年度実施した空家等実態調査では、特定空家だけでなく利活用可能な空家についても把握をされているのでしょうか。伺います。
空家特措法の施行により、地域住民の生活環境に重大な影響を及ぼす特定空家に対して、行政代執行などの措置も可能となりましたが、空家所有者の経済的な事由等により費用の回収が困難なケースも想定されるなど、その執行に際しては慎重な判断が求められています。しかし、人の生命、身体または財産に著しい損害が生じるおそれがあり、緊急性が高い場合においては、行政として必要最小限度の応急措置を講じる必要があると考えます。こうした即時執行の考え方は、他の自治体においても緊急安全措置であるとか、応急措置という名目で空家に関する条例に組み込まれている例が見受けられます。周辺住民の生活環境保全を担保するため、中野区においても空家特措法の実効性を補完し、この即時執行の考え方を含んだ空家条例の制定が必要であると考えますが、いかがでしょうか。
あわせて、これまで建築基準法による規定だけでは対応が難しいケースがあったごみ屋敷や火災により放置された建物などにおいても、近隣住民の生活環境保全のために必要な措置が可能となるような規定を条例に盛り込む必要があると考えますが、いかがでしょうか。区の見解を伺います。
特定空家の抑制と空家の利活用促進には、まずは所有者の責任による適切な管理が必要です。条例では、改めて空家所有者の責任を明示するとともに、区の支援策についても明らかにすべきと考えますが、いかがでしょうか。また、空家利活用の促進のためには所有者への相談対応や積極的な情報提供が必要であり、不動産事業者のほか、弁護士、司法書士、行政書士といった相続や税制の専門家との連携が欠かせないと考えますが、区の見解をお伺いします。
次に、小規模集合住宅について伺います。現在、中野区内に寄宿舎と言われる小規模な集合住宅が多数建築され始めています。以前、上高田における脱法ハウスが問題になったことがありましたが、いわゆるシェアハウスとも言いがたい、共有のリビングもない2階建ての宿舎であり、50坪の敷地に1室7.2平米の部屋が各階10部屋程度あるような建物であります。近隣への説明もないままに建築され、ターゲットは若い学生や地方から出てきて一時的に住まいを求める若者、または外国人の方たちなどです。地域住民として心配になるのは当然のことながら、ごみ出しの問題、路上へのはみ出し駐輪、室外機を含む騒音、路上での喫煙などであります。
こういった寄宿舎は地主が土地を売った不動産会社がさらに転売し、サブリース契約を取り扱う管理会社が買い取り、投資ビジネスとして地方の投資家に土地建物と家賃保証つきで売られているケースが多いようです。よって、地域のことなど全く知らない所有者が管理会社に任せて関知していないといった形です。
このような一見タコ部屋のような建物であっても、国の基準、東京都の建築安全条例の基準をクリアしているため、違法ではありません。しかし、入居率が低い寄宿舎も多く存在しており、それでもなお次々に建築されるところを見ると、近隣住民からはいつか転用されて民泊などに使用される可能性があるのではないかという心配の声も出ています。区内の寄宿舎は、26年度から28年度までの3年間で24棟から45棟へと倍増しています。こういった建物が違法ではないからといって区内各所に軒並み建築されてしまっては、住民の不安は増大するばかりで住みにくい中野区と言われてしまいます。
民泊新法については、国の動向を見きわめ、区の条例をよく検討すべきですが、新たな寄宿舎を含む同じような心配事が重なる既存の小規模集合住宅についても当面の不安解消の手段として、中野区として現在できることをすべきであると考えます。
中野区の集合住宅条例が成立してから6年が経過しています。この条例では、3階以上かつ12戸以上の集合住宅を特定集合住宅と位置付け、標識設置期間なども厳しくしていますが、今回の寄宿舎のように、2階建てであれば標識の設置も必要ないなど、かなりの基準の緩さがうかがわれます。また、ごみ出しのルールなどを徹底するための手段も清掃事務所との協議だけではなく、地元町会との協議や定期巡回管理の回数の取り決め、連絡先の表示、苦情窓口の明確化なども検討すべきではないでしょうか。そのような観点から、今後の小規模集合住宅の管理に関する条例手続や建築計画書のよりきめ細やかな報告体制などを見直す時期に来ているのではないかと考えますが、区の見解を伺います。
区の住宅施策としては、できるだけファミリー世帯層をふやす努力をすべきと考えます。今後、地主の方たちが相続対策により土地を手放すことも多くなり、いつの間にか転売されて思いもよらない投資家の手に渡ることも考えられます。そういった際にも地域住民にとって良好な住環境や地域コミュニティが維持されるような住宅や施設を誘致できるよう、何らかの支援をしていくべきと考えます。そのためにも、地元の不動産会社や建築関係の専門家からも協力を得ながら、施策について検討していくべきと考えますが、いかがでしょうか。伺ってこの項の質問を終わります。
最後に5番、新井薬師前駅周辺まちづくりについて伺います。
本年2月、新井薬師前駅駅前の区画街路第3号線、いわゆる交通広場が東京都より街路事業の認可を取得しまた。また、西武新宿線沿線まちづくり整備方針の詳細版として、まちづくり推進プラン(案)が新井薬師前駅と沼袋駅周辺地区編のそれぞれが作成され、5月の建設委員会にて報告されました。
新井薬師前駅周辺まちづくりについては、まちの活性化が大きな課題と考えます。門前通りや哲学堂通りの歩道は狭く、バスが両面通行のため、歩行者や自転車が安全に走行できず、事故も頻繁に起きています。商店街は住民が安心して買い物ができる環境でなければなりません。私はこの課題に真正面から取り組まなければならないと常々感じているところです。また、連続立体交差事業の完成予定は、平成32年度となっておりますが、地下化が完成した後に交通広場予定地である鉄道施設を撤去しなければ街路整備には入れないため、平成33年度から34年度、2カ年にかけて街路整備を行っていくこととなります。その間、交通広場の部分は工事中になることが想定されています。つまり、地下化事業が終わってすぐには安全で利便性の高いまちができるわけではなく、交通広場予定地の用地買収で商店等が立ち退きとなり、2年もの間、駅前の顔となる場を失う時期をつくってしまうことは、にぎわいが今よりも低下する期間が出ると危惧しております。
推進プランにおいては、商店街のにぎわいの再生・創出をうたっており、新たに創出された駅前のにぎわいが区画街路第3号線沿線に波及するよう、地区計画の導入も視野に入れていると記載されていますが、具体的にはどのようなことでしょうか。お考えを伺います。
このほど哲学堂公園・旧野方配水塔の歴史文化的価値を高め、都市観光の拠点として形成するプランも示されております。哲学堂公園及び哲学堂公園周辺都市観光拠点整備計画(素案)では、中野駅周辺との対比を生かした相互に引き立て合う魅力あるまちづくりを目指すとしています。中野駅周辺から徒歩で30分から40分程度で哲学堂公園へと至りますが、その間の新井薬師の各商店街は、まち歩き・回遊ルートであり、近い将来まさに観光拠点そのものにしていくことができます。この商店街が歩くだけで楽しい場所となっていれば、観光拠点として人を呼び込むのにふさわしいものとなります。それを実現するためには、商店街のコーディネーターやコンサルタント等が必要と考えます。駅周辺のまちづくりが進んでいく中で、商店街の広報をはじめ、専門家や職員によるまちの人たちの機運を高めるようなソフト面の支援が一層重要な時期になってくると考えますが、区の見解を伺います。
推進プランにおいては、この地域の防災性向上のために、補助220号線の推進と220号線整備に合わせた上高田五丁目地区の街区再編、木造密集地域である上高田一丁目から三丁目における防災まちづくりの推進も明示しています。大災害に備えるまちづくりは重要と言えますが、これは推進プランにある地区の将来像、歴史文化の薫りを求めて、誰もがゆっくり散策できるまちというものを実現するための施策の一つであり、まずは将来像を本気で進めていくという区の方向性を区民の隅々にまで理解していただく広報やアピールの取り組みが必要と考えます。哲学堂公園の観光拠点政策とあわせて、新井薬師前駅周辺をすばらしいまちに変えていくという意気込みをさらに示すとともに、これまでにない周知を図っていくべきと考えますが、いかがでしょうか。区長の決意を伺って、全ての質問を終わります。ありがとうございました。
〔区長田中大輔登壇〕
○区長(田中大輔) 甲田議員の御質問にお答えいたします。
まず、子育て支援施策についての御質問であります。子ども版地域包括ケアシステムについて。中野区が目指す地域包括ケアは、子どもから高齢者まで、そのライフステージに応じた一貫した相談支援や支え合いの体制を構築するために、区と区民、団体や医療・介護・福祉等の専門機関とが協働して取り組むものであります。子ども版の地域包括ケアについては、さらに妊娠期から子育てまでのトータルケアの充実とともに、子ども施設や学校との連携や地域のさまざまな団体の子育て支援活動をコーディネートすることで、子どもとその家庭を支える仕組みをつくるものであります。すこやか福祉センターや区民活動センターに配置される職員などを中心に、地域で活動するさまざまな資源の掘り起こしや、またそれらの団体活動の連携の促進、そして潜在的に存在する支援の必要性といったようなものを掘り起こして具体的な支援につなげていく。そうした活動が不可欠であると考えているところであります。
里親周知、ファミリーサポート事業の拡充について。より家庭に近い環境での養育を進めるためには里親の推進が重要であります。ファミリーサポートの協力員への里親に係る理解促進、普及啓発も含め、里親の拡充を図るためのよりよい方策を検討していきたいと考えております。
ファミリーサポート事業の拡充について。ファミリーサポート事業は、子育ての援助を行う協力会員と援助を受けたい利用会員が子育ての相互援助活動を行うものであります。この事業の趣旨や実態をはじめ、類似事業の状況等も踏まえて対応について検討していきたいと考えております。
産後ケア事業の改善について。産後ケアのショートステイ事業では、産後4カ月までの母子を対象に五日を限度とし、またケア支援者派遣事業では、産後6カ月まで15時間の派遣を原則として実施をしております。現在、区では、低体重による出生や多胎児等、それぞれの産婦が抱える困難状況を勘案した対応策を検討してきており、早急な改善を図り、安全・安心な子育て支援に取り組んでまいりたいと考えております。
学童クラブの待機児童解消について。学童クラブの待機児童は、現在のところキッズ・プラザ内での見守りなどで対応をしているところであります。こうした待機の状況については、特定の学校区に集中する傾向があることから、今後は需要予測の精度を上げるとともに、適切な民営学童クラブの誘致によって早期解消に努めていきたいと考えております。
保育園・学童クラブの利用相談についてであります。育児休業中の学童クラブの利用、これについては難しいところですが、仕事への復帰に際し保護者の不安を解消できるよう、保育園と学童クラブの同時利用については、子ども総合相談で十分に連携のとれたワンストップ対応を行っていきたいと考えております。
次に、平和の森公園の再整備についての質問がありました。動植物調査結果と設計内容の関係を明示することについて。公園内の生物調査は、緑地の構造、植物層、動物層の分野で行っており、基本設計の基礎資料の一つとなっております。この生物調査では、重要種の生態も確認されており、その保全を設計に反映しているところでありますが、この資料の公表によって持ち去りといった事態なども懸念されることから、公表の可否について専門家の意見も聞いて今後検討してまいります。
工事の進捗に合わせた完成後のイメージの周知について。公共工事では、一般住民への建設事業の広報活動に充てる経費が計上されております。そうした広報活動の中で、完成後のイメージがより深まり、多くの区民が楽しみに思ってもらえるような情報発信を行うことについて、建設事業者と協議をしてまいりたいと思います。
防災機能の向上について。再整備により平和の森公園に警察、消防、ボランティアなどの各種支援団体の活動拠点や救援物資の輸送拠点、帰宅困難者の一時滞在施設などの防災機能が追加され、防災機能は大幅に向上すると考えております。災害用トイレの増設や平和の森公園の未開園部分の一部を草地広場として整備すること、このことによって避難有効面積が拡大し、避難場所としての機能は向上すると考えております。また、公園外周部の防火樹林は、適切に維持することで防火性能はこれまでどおり維持されるものと考えております。
次に、新井薬師前駅周辺まちづくりについての御質問がありました。駅前のにぎわいの区画街路第3号線への波及について。まちづくり推進プランでは、新井薬師前駅交通広場――駅前広場のことです――に隣接する街区において、市街地再開発事業等の共同化を行い、日常生活を支える生活利便施設を充実させることで、人が集い、にぎわいを創出することを想定しております。また、新たに創出されたにぎわいは、駅前にとどまらず、中野通りまでつながる区画街路第3号線、五中つつじ通りですね。その沿道に波及することを目指すものであります。地域の合意形成に基づき、地区計画の導入なども含め、区画街路3号線の沿道のにぎわいを連続させることのできる環境づくりをしていきたいと考えております。
商店街活性化支援について。商店街のイベント事業や活性化事業に対して、専門家を活用できる体制をつくっていくことは有効だと認識しています。今年度から商店街への専門家派遣を支援するため、東京都が行う商店街ステップアップ応援事業が新たに創設されたところであります。区は、商店街が新たな支援制度を活用できるよう、中野区商店街連合会とともに検討を行っているところであります。
新井薬師前駅周辺まちづくり推進にかかわる、それに向けた決意についてという御質問もありました。新井薬師前駅周辺については、連続立体交差事業を契機として、駅を中心として生活利便性が高く、安全・安心で住み続けられるまちを構築したいと考え、取り組みを進めているところであります。また、新井薬師前駅は都市観光のアクセス拠点である中野駅と哲学堂公園との中間に位置することから、双方を結びつける哲学の回廊を整備するためにも、にぎわいにあふれ、かつ、歩きやすいまちにしていきたいと考えております。地域と協働したまちづくりを一層加速するために、西武新宿線沿線まちづくり推進プランについては、ホームページの掲載や地域における丁寧な説明はもちろんのこと、さまざまな機会を通じて、その周知と理解を図っていきたいと考えております。
私からは以上です。
〔都市基盤部長豊川士朗登壇〕
○都市基盤部長(豊川士朗) 防災対策について、それから住宅施策についてお答えいたします。
まず防災対策についてです。震災マニュアルの見直し、修正についてございます。中野区では、平成29年1月28日に大規模地震が発生して24時間経過後の想定として迅速な応急対応に習熟するとともに、平成28年熊本地震の教訓を踏まえ、各応援団体の受け入れ及び関係機関との連携等に対応することを目的とした図上訓練を実施いたしております。後日開催されました検討会の結果や、訓練参加者のアンケート及び評価・検証等は報告書に取りまとめてございます。今回の訓練では、受援体制を実践する際の問題点もある程度把握することができました。こうした課題につきまして、東京都と連携して内容の検討を行い、地域防災計画の修正を行う予定でございます。報告書で指摘されたその他の課題等につきましては、災対各部において職員防災マニュアル震災編の見直し作業を進めているところでございます。
次に、訓練時の具体的な判断、行動の事例についてでございます。まず、訓練中、応援部隊の進出拠点及び救援物資の輸送ルートをどのように確保するかという状況付与に対しまして、地震による道路、橋梁等の被害状況を早期に把握し、応援部隊や救援物資輸送隊の進出拠点、避難所へのアクセス等を考慮しつつ、道路啓開の優先順位を設定する的確な判断・指示がございました。また、一方では、的確でなかった事例といたしまして、災害対策本部内の情報共有が遅延したことがあり、本課題への対応といたしまして、今後情報共有の効率化を図るため、防災情報システム導入を検討してまいります。
次に、訓練状況の情報共有化についてでございます。図上訓練の評価・検証結果については報告書として取りまとめ、災対各部指揮班と情報を共有することにより、訓練参加者及び図上訓練に参加していない他の職員に対し、訓練で明らかになった課題等についてフィードバックしております。今後、庁内で報告書に基づく報告会を開催することとしております。
それから、被災者生活再建支援システムについてでございます。被災者生活再建支援システムは、各災害での使用を受けまして、システム機能の検証・検討を重ねまして、り災証明書のデータ化からり災者台帳を作成し、り災者の生活再建を支援する多様な業務に対応可能なシステムとなっております。費用対効果も含め、被災者生活再建支援システムが区の導入システムとしては優位性があるものと考えてございます。二つのシステムを比較いたしまして、被災者生活再建支援システムのほうが区の求める機能に幅広く対応していること。また、今後のシステムの拡張性も十分備えていることから、被災者生活再建支援システムを導入して機能拡充を図っていきたいと考えております。現在、被災者生活再建支援システム導入に向けまして、東京都が主催する東京都被災者生活再建支援システム利用協議会に参画いたしまして、システムについて検討をしておるところでございます。
次に、住宅施策についてでございます。まず利用可能な空家についてです。昨年度実施いたしました空家等実態調査では、建物の老朽度や管理状態を確認することによりまして、利活用が可能と考えられる空家につきましても把握をしているところでございます。
それから、緊急時における応急措置についてでございます。空家は個人資産でございまして、所有者の責任により改善が図られることが原則でございます。しかしながら、近隣への危険性が高く、早急な対応が求められる際には、区が応急措置を講じる必要性も認識しているところでございます。空家等対策審議会での議論を踏まえながら、空家条例における緊急時の応急措置につきまして区の実情に応じたあり方を検討してまいります。
空家条例の対象についてでございます。空家条例では、空家法の規定による特定空家に対する措置だけではなく、特定空家にまでは至らないものの、近隣住民の生活環境に悪影響を及ぼすような空家についても、他の関係法令等とも照らし合わせながら、適切な規定のあり方を検討してまいります。
空家所有者の責任と区の支援についてでございます。空家の適切な管理は、所有者の責任であることを明確にするとともに、所有者への周知や適切な管理に関する情報提供を進めてまいります。また、空家所有者や民間事業者による積極的な空家利活用の推進に向けまして、必要となる区の支援やかかわり方について検討いたしまして明らかにしてまいります。
専門家との連携についてでございます。空家所有者や区民が空家のあらゆる悩みを気軽に相談し、その後の対応にまで結びつけることのできるそういった体制のあり方につきまして、民間事業者や各種専門家と連携しながら検討をしてまいります。
それから、集合住宅の管理に関する条例の見直しについてでございます。中野区集合住宅条例では、3階かつ12戸以上の建物を特定集合住宅といたしまして、条例により種々の義務を課してコントロールをしているところでございます。また、それ以外の規模のものにつきましても、届け出義務を課しまして指導しているところでございます。今後は、小規模集合住宅の建築にかかわる実態把握に一層努めるとともに、課題等の検証を進めまして必要に応じて見直しを図ってまいります。
それから適切な住宅の誘導についてでございます。地域にとって適切な住宅の誘導や良好な地域コミュニティの形成につながる取り組みにつきまして、地域の実情や問題の本質をよく見きわめることから出発する必要があると考えてございます。区としては今後、御質問のような事例について実態把握に努めるとともに、地域住民や民間事業者等と連携しながら検討してまいります。
○副議長(南かつひこ) 以上で甲田ゆり子議員の質問は終わります。