平成30年予算特別委員会 総括質疑 2018.2.28 甲田ゆり子

1 区民の健康支援について

 (1)国民健康保険について

 (2)特定健診について

 (3)その他

2 子育て支援について

 (1)子どもの「一時預かり」について

 (2)発達に課題のある子どもの支援について

 (3)その他

3 障害者相談支援事業について

4 ユニバーサルデザイン推進計画について

5 公園の整備について

 

 

 

○甲田委員 平成30年第1回定例会に当たりまして、公明党議員団の立場で予算総括質疑を行わせていただきます。持ち時間99分と長丁場でありますが、時間があると思ってかなり多くの質問をすることにしてしまいまして、聞き直したりする時間がないと思いますので、理事者の皆様には明快でわかりやすい御答弁をよろしくお願いいたします。

 初めに、区民の健康支援について伺います。

 (1)国民健康保険について伺います。きのうお二人から同じテーマで質疑がありましたので、若干質問は削らせていただいたところもございます。それでも重なる部分もあると思いますが、改めて伺いたいと思います。

 中野区で約3割の方が加入している国民健康保険制度につきましては、これまでは加入者が納める保険料と国や都の支出金などをもとに区市町村が運営をしてきました。全国的に国保は、年齢構成も医療費の水準も高く所得水準は低いという構造の中で、国保制度を将来にわたり持続可能にしていくために、いわゆる広域化ということで、この4月から都道府県が財政運営の責任を担うこととなり、区市町村は、保険料の賦課徴収、保険事業の実施など住民に身近な事務を行うこととなります。保険料算定方法も大きく変わります。これまでは23区一律で保険料を決め、区が責任主体として公費を投入して保険給付を行っていました。今後は、都が国保事業費納付金の額を決定し、保険給付に必要な費用を全額区に支払う形であり、区は都が決定した納付金を都に納付することとなります。納付額は各区の医療費水準及び被保険者の所得水準に応じて案分されます。さらに、中野区の医療費水準指数は都平均より低く、1人当たり所得水準は平均と同水準であり、今のところ中野区は23区で大体平均的な位置にいると伺っております。

 予算説明補助資料325ページで、平成30年度の国保事業費納付金を見ますと、127億2,763万5,000円となっております。直近で歳入の結果を見てみると、平成28年度は加入者の支払う保険料歳入は約91億円ですから、大体35億円程度の差があるということで、当然のことながら、区では加入世帯から徴収する保険料だけでは都への納付金を賄えないため、これまで同様、足りない部分については公費を投入していくこととなります。

 そこで伺いますが、制度改革によって繰り入れる公費の内容について教えてください。

 

渡邊区民サービス管理部副参事(保険医療担当) 平成30年度予算案では、一般会計から国民健康保険事業特別会計に繰り入れる公費は、低所得者の保険料の軽減分に充てる基盤安定繰入金や職員給与等繰入金など法定内の繰入金が27億1,159万円。また、保険料負担の激変緩和や収入未済などの補填に充てる法定外繰入金は23億541万円となってございます。

 

○甲田委員 今後も区民の税金から繰り入れることは致し方ないとなりますが、都は、納付金額だけでなく、各区の標準保険料率というものも示しております。きのうもあったと思いますし、1月30日の区民委員会資料にもありますが、平成30年度における中野区の標準保険料率は1人当たり14万2,588円となっており、平成29年度の保険料率、1人当たり11万8,441円と比べると2万4,117円も多い金額となっております。この乖離、差額についてどうするのか、中野区の現状の考え方を改めてお示しください。

 

○渡邊区民サービス管理部副参事(保険医療担当) 基礎分と支援分の保険料で、委員おっしゃるとおり2万4,117円の乖離がございます。保険料が急激に増加しないように、激変緩和措置を講じることとしたものでございます。

 まず、支援分、介護分の賦課総額の算出に当たりましては、国保事業費納付金の9%相当額を控除いたします。さらに、納付金総額等を割り戻す収納率は、直近の収納率実績の85.13%ではなく96%で割り戻すことで保険料の上昇を抑えることといたしました。この激変緩和のための金額は、約19億8,000万円で一般会計から繰り入れをいたします。その後、9年間で赤字補填としての法定外の繰り入れを段階的に削減、解消していくという考えでございます。

○甲田委員 このことについて、昨日の質疑にもありましたが、法定外の繰り入れをずっと続けていくことは、確かに社保加入者にしてみれば税金の二重払いになりますので、国保の赤字解消に努力していくしかなく、国保制度を将来にわたって維持していかなければ意味がないと考えます。

 そこで、収納率についてお聞きしたいと思います。中野区の国保加入者数は、平成28年度末で約8万6,000人、世帯にすると約6万5,500世帯とのことですが、中野区の現状、収納率はどのぐらいでしょうか。また、金額による収納率だけではなく、滞納している方の人数とその割合についても教えてください。

 

○渡邊区民サービス管理部副参事(保険医療担当) 平成28年度の実績では、現年分の保険料の収納率は85.6%でございます。また、一部でも滞納のある世帯は1万7,047世帯で、加入世帯のうち約26%でございます。

○甲田委員 収納率85%で、滞納人数の割合は約3割に近いということです。収納率を上げ、滞納を防ぐためには何が求められるのでしょうか。

 

○渡邊区民サービス管理部副参事(保険医療担当) 自主納付よりも収納率が高い口座振替の勧奨を行うこと。また、滞納者には早い段階での督促、催告が重要であると認識しております。このため来年度は、催告書の色を目立つ色にするとともに、納付確認はがきも発送する予定でございます。それでも滞納が続く場合は、早期に滞納整理に着手することが必要であると認識しているところでございます。

○甲田委員 催告書を来年度から目立つ色にするということは、少しでも気づいていただくのに有効であると思いますので、ぜひ早急に取り組んでいただきたいと思います。

 次に、滞納が続き、財産がある場合には差し押さえを行っていると思いますが、差し押さえの現状を教えてください。

 

○渡邊区民サービス管理部副参事(保険医療担当) 平成28年度の差し押さえ件数は約900世帯でございます。滞納世帯1万7,047世帯のうち、財産調査の結果、財産を発見できた場合などに差し押さえを行っております。

○甲田委員 滞納世帯約1万8,000に近い世帯ということで、そのうち差し押さえが900世帯ということは、滞納者のうち5%が差し押さえということで、差し押さえをされる5%の方にも生活ができなくならないような相談には応じているとのことですけれども、この後の95%の人に着目をしたいと思います。大半の95%の方は、財産が発見できないので徴収ができないということもあると思いますが、口座などにお金がないということは相当に困っていると見ることができるのではないでしょうか。滞納を早い段階で支払えるようにと努力をしていますが、滞納になるということは、健康保険のことだけでなく、生活全般にわたって困窮している世帯がほとんどであります。失業したり、事業がうまくいかなくなったり、借金があるにもかかわらず、家賃も滞納してしまっているという方もいます。健康が第一と思って、病気になって病院に行けなくなるようなことだけは避けたいということで、健康保険だけは支払っているけれども、生活は回っていないというケースも少なくないと感じます。その方がやっとの思いで窓口に来て、支払いができないとの相談に来た場合、この機会をとらえて、生活全般の相談をきちんと受けられる仕組みはあるのでしょうか。滞納整理相談は受けていると思いますが、区として健康保険のことだけを回答するのではなく、生活全般にわたって相談することができるということをきちんと伝え、困窮者相談につなげる仕組みとして構築してはいかがでしょうか。

 例えば、滋賀県の野洲市では、生活困窮者への包括的、個別的な支援を提供する自立相談支援事業において、支援の基本的な考え方をまとめ、生活再建が軌道に乗るまでの寄り添った支援をする仕組みをつくっているようです。国保税が支払えないとの相談に来られた場合、まずは滞納相談担当が聞き取り、市民生活相談課へ紹介をします。その際のインテーク、アセスメントは、しっかり聞き取るということ。さらに各関係機関と情報共有するための本人同意をとり、お互いに安心して連携するために相談申込受付票にサインをしてもらいます。聞き取って出てきた課題の整理をして、例えば税金滞納、借金、家賃の滞納、家族が鬱状態にある、家計の見直しが必要、食料がないなど課題に応じてつないだ関係機関をチェックし、活用したサービスも書き出し、その横には済みとか進行中などの評価が書けるシートをつくっています。これをもとに、月1回の支援調整会議では、関係部署、ハローワーク、社協なども含めた関係機関が共有をし、ケースを多方面から検討します。生活困窮者の支援という観点から、生活援護分野と情報共有をするなど、生活保護に至る前にさまざまなアドバイスを受けられるように支援をするべきであると考えますが、いかがでしょうか。

 

○渡邊区民サービス管理部副参事(保険医療担当) 保険医療分野の納付相談におきましては、失業者等には保険料の減免制度の説明をしているところでございます。また、その中で、生活状況等を把握いたしまして、生活が困窮しているような場合は、自立支援に向けた相談の支援を受けることができますよう生活援護分野と連携を図っておりますけれども、今後とも情報共有や緊密な連携を図っていきたいと考えております。

○甲田委員 情報共有を図っているということですので、しっかり図る仕組み、つなぐ仕組みを考えていただきまして、窓口に来た人にさまざまなサービスの情報を提供して、生活を向上させ、再度滞納につながらないようにする予防の意味でも生活相談の仕組みを確立していただきたいと要望をしておきます。

 次に、もう一度国民健康保険料について戻りますが、より区民の負担が減るためには何が一番必要なのでしょうか。

 

○渡邊区民サービス管理部副参事(保険医療担当) 一人ひとりの区民の負担が減るためには、医療費の適正化を図ることと収納率の向上を図ることが必要であると認識しているところでございます。

○甲田委員 先ほど収納率の向上についてはお聞きしましたが、やはり一番は医療費だと思いますが、国保は低所得者、高齢化率が高く、どうしても1人当たり医療費が高くなっております。ですが、少しでもこの医療費を減らすことが大事ということですね。そのために区が今取り組んでいることは何でしょうか。

 

○渡邊区民サービス管理部副参事(保険医療担当) 医療費の適正化のためには、まずレセプトの審査を行っております。また、ジェネリック医薬品の利用促進を図るための差額通知を年3回送付しているところでございます。また、糖尿病性腎症重症化予防など医療費削減に効果のある保険事業を実施しております。また、今年度につきましては、重複して服薬している被保険者に通知を送付したところでございます。

○甲田委員 次に、保険者努力支援制度というのがあると思いますけれども、その概要を御説明ください。

 

○渡邊区民サービス管理部副参事(保険医療担当) 保険者努力支援制度は、医療費の適正化や健康づくり等の取り組みを保険者に促すため、平成30年度の国民健康保険の制度改革とあわせ国が実施するインセンティブ制度で、国が用意した予算額を評価指標の得点に応じて各自治体に案分する仕組みとなっております。平成28年度から前倒し実施しておりまして、特別調整交付金として各自治体に交付されております。

 評価指標の例といたしましては、特定健診・特定保健指導の受診率、糖尿病の重症化予防の取り組みや医療費通知の取り組み状況、重複服薬者に対する取り組みの実施状況、またデータヘルス計画の策定状況となっております。

○甲田委員 ありがとうございます。この制度は平成28年度から始まったということですので、成果を出すのはこれからだと思っておりますが、今年度、中野区としてこの制度の中でどこに重点的に力を入れてきたのでしょうか。

 

河村区民サービス管理部副参事(保健事業担当) 平成29年度に重点的に取り組んだ保険者努力支援制度の項目につきましては、糖尿病性腎症重症化予防事業と国保データヘルス計画の策定でございます。糖尿病性腎症重症化予防事業は、糖尿病性腎症が重症化するリスクの高い方に対し、食事や運動などの保健指導を6カ月間行い、生活の質を高め、高額な医療費を要する人工透析療法への移行を阻止し、医療費の抑制を目指すものでございます。データヘルス計画は、レセプトデータや健診データから被保険者の健康課題を抽出し、効果的な保健事業を展開することにより、被保険者の健康維持・増進、医療費の抑制を図るものであり、それぞれの保健事業ごとに6年間の達成目標を設定し、保健事業の効果を評価するものでございます。

 

○甲田委員 ようやく中野区もデータヘルス計画が整いまして、さまざまなことが見えてきたと思います。また、保険者努力支援制度につきましても、重症化予防の取り組みというのが一番点数が高いとなっておりまして、その高いところをとりにいくという姿勢で早速取り組みを開始されているということですので、ぜひ頑張っていただきたいと思っております。

 次に、ただいまの保険者努力支援制度に関連しまして特定健診について伺います。特定健診を受診することは、生活習慣のリスクを把握するために有効であります。生活習慣病のリスクを早期に把握し対策を講じることは、糖尿病性腎症の重症化予防につながっていきます。それは区民の健康寿命を延ばすことだけではなく医療費削減にもつながることから、自治体における受診率の向上は急務であります。透析治療費は年間約500万円かかると言われておりまして、昨日の質疑にもありましたが、中野区の国保加入者の中でこの治療費に年間8億円近い金額が使われていると伺いました。今後、国保制度全体を持続可能なものにするためには、区や関係医療機関が地域一体となり、重症化予防の第一歩である健診の受診率向上に取り組むことは重要です。

 そこで伺います。中野区の特定健診についての実施率と現状の課題はどうなっておりますでしょうか。

 

○河村区民サービス管理部副参事(保健事業担当) 特定健診開始時の平成20年度の受診率は41.4%でございました。平成25年度以降は40%を下回り、平成28年度の法定受診率は38.2%となってございます。特に40歳代や男性の受診率が低くなっており、大きな課題として認識しているところでございます。

○甲田委員 特定健診は40代からなので若いほど低いということでしょうか。意外に受けていない人が多いということが私の周りの人からも実感するところであります。まず、なぜ健診に行かないのかということですが、有料だからなのかというとそうでもないようです。健診無料化についてはさまざま議論がありましたが、無料化しないことの考え方については、平成20年ごろの特定健診開始時に、受診料のワンコインをいただくかわりに、健診項目については他の区を上回る内容にするとして、当時としては大変よい内容で実施してきたと認識しております。さらに効果的な受診勧奨が大切であると考えます。

 そこで、現在の未受診者への受診勧奨方法と来年度の改善策について教えてください。

 

○河村区民サービス管理部副参事(保健事業担当) 今年度は年に2回通知のほうを送らせていただいてございます。延べ2万3,000人程度の方にはがきによる勧奨を行っているところでございます。来年度以降は、過去の健診結果から、勧奨効果の高い対象者を選定するほか、対象者をグループ分けし、対象者に応じた効果的な勧奨物の発送を行います。加えて、生活習慣病等の治療を受けている特定健診未受診者を対象として、診療で行っている血液検査等に加え、特定健診の必須項目を実施し、その結果を収集して、特定健診受診率の向上を図りたいと考えてございます。

○甲田委員 ありがとうございます。データを活用して効果的な通知の仕方に工夫をするということはぜひ進めていただきたいと思います。

 さらに、特定健診受診率向上の取り組みとして、例えば受診券の中に以前の受診状況や、健診結果を同封して意識を喚起できないものでしょうか。また、重症化予防の観点から人間ドックの助成をすることの効果も否定できないと思いますが、検討してみてはいかがでしょうか、伺います。

 

○河村区民サービス管理部副参事(保健事業担当) 平成30年度は勧奨方法の改善と診療情報の収集の取り組みを行い、特定健診の受診率向上を図りたいと考えてございます。また、人間ドックの助成を含め、効果的な特定健診受診率向上対策につきましては引き続き検討してまいりたいと考えてございます。

○甲田委員 区が以前実施したアンケートの結果によりますと、忙しいことを理由として健診を受診していない人もいるようです。忙しいといっても365日全く時間がないという人はまれでありまして、優先順位が低く、意識が薄いことが多くを占めているのではないかなと思います。また、初めての場合には、病院に自分から行くということにハードルが高いという場合もあります。ちょっとしたきっかけが大事な場合もありますので、さまざまな区民が健診を受けやすくする取り組みについて、さらに検討してはいかがでしょうか。

 

○河村区民サービス管理部副参事(保健事業担当) 来年度以降、勤労者等が特定健診を受けやすい環境についても検討を進めてまいりたいと考えているところでございます。

○甲田委員 この項の最後に特定保健指導について伺います。特定健診の結果から、生活習慣病の発症リスクが高く、生活習慣の改善による生活習慣病の予防効果が多く期待できる方に対して、専門スタッフが生活習慣を見直すサポートをするものでありますが、特定保健指導の現状と課題を教えてください。

 

○河村区民サービス管理部副参事(保健事業担当) 特定保健指導の平成28年度の実施率は4.4%と極めて低くなってございます。特に特定保健指導の積極的支援に対応する機関の数が限られているということも大きな課題として認識しているところでございます。

○甲田委員 それでは、その課題として実施率を向上させるためにどのように取り組むのでしょうか、伺います。

 

○河村区民サービス管理部副参事(保健事業担当) 3点の取り組みを来年度以降予定してございます。まず1点目としましては、はがきによる一律の勧奨から、はがきと電話による個々の健診等の状況に合わせた勧奨に変更いたします。

 次に、保健指導を実施している医療機関で、健診経過から保健指導対象者を判定し、結果説明日の保健指導を実施できるようにいたします。また、特定保健指導の委託先をふやし、訪問やICTを利用し、自宅で保健指導利用を可能にいたします。また、日曜日の利用を可能にし、勤労者でも利用しやすい環境を整備いたします。

○甲田委員 ありがとうございます。中野区の特定保健指導は、再通知、再々通知とはがきによる勧奨を今までも行ってまいりましたけれども、また、一生懸命来年度取り組みをしていただけるということで期待をしたいと思います。

 国民健康保険料の納付を下げる取り組みは、医療費の抑制のための予防と支払うべき被保険者がきちんとお支払いをするという両輪にかかっていると言えます。いずれも区の責任において取り組みいかんで変わってくるということになりますので、区民への意識啓発も含め、さらなる取り組みをよろしくお願いいたします。

 以上でこの項の質問を終わります。

次に、子育て支援について伺います。

 子どもに対する予算が大幅に拡充されてきています。子ども教育費は429億7,600万円余と、歳出合計の実に30.1%を占めており、近年の中で最高に高い割合となっています。地域支えあい推進費や健康福祉費の中にも子ども・子育て施策がありますので、さらに多くの経費が子どもに使われる子ども第一の予算と言えると思います。

 待機児童の問題に対しては、緊急対策による区立保育室の運営や保育士の人材確保支援対策も大きく拡充されています。保育園の定員拡大ばかりが取り沙汰されがちではありますが、生まれてきた子どもを地域社会のみんなで育てる視点から、在宅家庭も含めた子育て支援をすることにより、保護者の本当のニーズによる選択と健全な子育てを支援することになると考えています。

 そこで(1)子どもの「一時預かり」についてという視点で、どれだけ拡充されているのか伺います。現代の孤独な育児や核家族で共働きなどで忙しい家庭の支援をするには、子どもの一時預かりが大変重要な支援となります。その預かりという切り口から施策を見渡してみますと、保育園・幼稚園の中での預かりから在宅子育て家庭へのケアとしての預かり、また障害のあるお子さんのケアという観点でも多種多様な預かりの施策が拡充されてきています。これまでも保育園の一時預かり事業、病児・病後児保育事業などが推進されています。

 それでは、30年度予算の中で、新規拡充施策について何点か伺っていきたいと思います。

 1点目に、待機児童代替保育支援について。新規施策として、保育園の入園を待機している子どもの保護者が代替手段を講じて就労継続している場合に、施設入所等が可能になるまでの間、一定の補助を行うとして4,272万円余を計上しておりますが、代替手段といいますと、一般的には認可外保育所やベビーシッターを想定できます。東京都でも待機児童と育児休業明けの子どもが対象で、利用者負担4万円を想定し、公費として最大月額28万円を設定し、30年度予算に盛り込んだと伺っております。中野区として、この補助も使って実施するものと思いますが、具体的な利用者負担と補助額の想定を教えてください。

 

○荒井子ども教育部、教育委員会事務局副参事(幼児施設整備推進担当) この代替保育支援におきましては、補助額につきましては、保護者が保育に要した費用の月額と現在保護者補助制度がございますが、その限度額の6万2,000円、このいずれか低い額から当該保護者が認可保育所に子どもを預けた場合の保育料月額、これを控除した額を補助額として予定しているものでございます。このため、保育に実際に要した費用と認可保育所に子どもを預けた場合の保育料との差額が利用者の負担額となるというふうに考えてございます。

 なお、この支援につきましては、保育について何らかの公的補助を受けていないことを条件とする予定でございまして、委員御指摘の東京都のベビーシッター補助事業、これに基づく補助を受けた場合には、この支援の対象から外れるものと考えてございます。

○甲田委員 ベビーシッターも一応含むということですので、担い手不足等であったりと、さまざまな課題もあることと思いますが、知恵を出しながら進めていただきたいと思います。

 次に、2点目に幼稚園教諭の人材確保支援施策について伺います。これも新規の施策です。これはどのような施策でしょうか。具体的に教えてください。

 

○長﨑子ども教育部副参事(保育園・幼稚園担当) 今回、多様な教育や保育、また待機児童の受け皿拡大といったようなさまざまなニーズに対応するために、私立幼稚園に対する補助を計上したところでございます。具体的には、幼稚園型の一時預かり事業を行う私立幼稚園に対しましては、保育士と同じような宿舎借り上げ費用の一部助成、また採用が内定した幼稚園教諭に対する就職奨励金、こういったものを支給することとしたものでございます。また、あわせて、こうした預かり事業を行っていない園に対しましても、就職奨励金の予算を計上いたしまして、私立幼稚園教諭の人材確保、このための支援策として打ち出したものでございます。

○甲田委員 ありがとうございます。ほかにも私立幼稚園において、2歳児の保育、11時間以上の預かりを行ってくれる園に対して支援の補助を行い、3歳以上の保育の補助も拡充するという予算が組まれており、これがうまくいけば、子どもが2歳になって少しだけ働きたいという保護者にとっても、保育園ではなく幼稚園に通えるという選択肢も広がってきます。実は、幼稚園を望む保護者も多いことから、私立幼稚園にも、大変でしょうけれども、ぜひ御理解をいただけるような区の努力が必要と思いますので、よろしくお願いいたします。

 3点目に、幼稚園での特別支援教育のための補助について伺います。これは、区立幼稚園民営化議論にとって最大のテーマでもあります。ここのところはかなり区として努力していただいていると思いますが、30年度の予算での私立幼稚園に対する障害のあるお子さんの預かりに対する拡充ポイントを教えてください。

 

○長﨑子ども教育部副参事(保育園・幼稚園担当) 特別な支援を必要とする園児の受け入れ、これには人的な配置も必要とされるというふうに考えているところでございます。このため、判定の結果、程度の重い園児に対しましては、常勤1名の配置が可能となるようにということで、平成29年度には、平成28年度に比べまして約3倍程度の額を増額したところでございます。この結果、受け入れた園数につきましては、平成28年度が5園といったようなところから、平成30年1月現在では12園という形で増加をしているところでございます。

○甲田委員 ありがとうございます。4点目に、アポロ園、ゆめなりあからの保育園・幼稚園への巡回指導について伺います。我が会派からもたびたび要望してまいりました心理士等の巡回支援ですが、保育園・幼稚園が発達に課題のあるお子さんへの対応について、頼れる巡回指導が2カ月に1回程度は訪問ができている状態のようですけれども、昨今の状況を考えると、さらにふやすことが必要と考えます。取り組み状況、拡充体制はいかがでしょうか。

 

○神谷子ども教育部副参事(子育て支援担当) 区立障害児療育施設が行います巡回指導につきましては、対象者の増加とともに、保育園・幼稚園からも需要が増している状況でございます。障害や発達に課題のある子どもたちがそれぞれの所属で健やかに成長していく上で重要な取り組みの一つであることから、需要増の状況を反映いたしまして、来年度予算案におきまして区立障害児療育施設の体制を拡充し、訪問回数の増加とともに、より丁寧な対応を図っていくことができる体制整備を提案しているところでございます。

○甲田委員 ぜひふやしていただきたいなと思います。月1回ぐらい巡回していただけるとありがたいんではないかなと思います。

 5点目に、医療的ケアが必要な子どもの対応について伺います。区は今年度より居宅訪問型保育事業において、医療的ケア児の支援をしていただいていますが、さらに今回新規の予算として、保育園・幼稚園費のところに、障害児支援、受け入れという項目がありまして、医療的ケア児の受け入れとして約600万円が計上されています。これについてはどのような取り組みを行うのでしょうか。

 

○長﨑子ども教育部副参事(保育園・幼稚園担当) 医療的ケアが必要な乳幼児につきましては、現在、居宅訪問型保育事業ということで、乳幼児の居宅に医療的ケアが行える保育士を派遣いたしまして、1対1の保育を行っているところでございます。今、委員から指摘もありました集団保育が可能な医療的ケアを必要とする子ども、この受け入れにつきましては、現在区立保育園の看護師に医療的ケア児の理解を深める研修等を受講させるなど、希望に応じた受け入れ体制、こういったものを図ることとしているところでございます。

○甲田委員 医療的ケアの必要なお子さんが、自宅だけではなく、可能であれば集団保育ができるという取り組みがうまくいくように期待をいたします。

 6点目に、子どもショートステイについて伺います。30年度、区は、施設でのショートステイのほかに、里親家庭等の協力員によるショートステイを新規に開始することにしたと伺い、児相設置を前に、里親との連携をしていく上でも大事な取り組みであると高く評価をいたします。足立区などでも先行して里親家庭などの登録、協力家庭が子どもを自宅に受け入れて、ショートステイができる仕組みを行っていると聞いていますが、中野区の場合、具体的にはどのような取り組みにしようとされておりますでしょうか。

○神谷子ども家庭支援センター所長 現在施設で行っておりますショートステイと同様に、入院や出張、親族の看護などにより、子どもの養育が一時的に困難な場合を対象といたしまして、区が委託した協力家庭の自宅において宿泊を伴う子どもの預かりを行う事業でございます。協力家庭には、里親、ファミリーサポート協力員、その他、看護師、保育士などの有資格者層を想定しております。一定の研修を経た上で実施することといたします。

 子どもの安心・安全を確保いたしますとともに、協力家庭が子どもを預かる経験を通して、里親となるといったステップアップに向けた環境整備にもつなげてまいりたいと考えてございます。

○甲田委員 親が入院したときなどの突発的なときのために、子どもを地域で預かっていただいて、例えば学校にそのまま継続して通うこともできるという有効な施策になります。協力員の養成で、短期であればお泊りで子どもを預かれるという担い手がふえるということも期待できると考えます。さらに言えば、例えば、産後ケア入院、産後母子ショートステイですけれども、そのときにも、上のお子さんを預ける人がいないという御相談を受けるときがあります。以前も申し上げましたが、悲しいことに、児童虐待は兄弟姉妹の場合が多いのであります。上の子が年齢が近い場合はとても大変です。かといって、上のお子さんだけ施設には預けられません。自宅の近くで家庭に預けられるならという場合もあるかと思います。そのようなことから、産後入院の利用時にも同じく利用対象にすべきと思いますが、いかがお考えでしょうか。

○神谷子ども家庭支援センター所長 産後ケア事業には、母子支援ショートステイのほかにケア専門家派遣、デイケアなどといった事業もあります。兄弟の有無など家庭の状況に応じて支援がさまざまにコーディネートされていることとなります。母子支援ショートにおいて、一部の施設で兄弟対応が可能となっているところでもございまして、産後ケアの総合的なコーディネートの状況を踏まえますとともに、今回新しく立ち上げます協力家庭によるショートステイの実施状況を見きわめながら、兄弟対応のあり方について整理してまいります。

○甲田委員 ありがとうございます。6点にわたり子どもの預かり事業の拡充について伺いました。通常のフルに保育をする保育園だけではない、障害のあるお子さんも含めた多様な預かりがこれだけ拡充されています。さらにしっかりと推進していただければと思います。

 これに関連し、現在待機児童対策でどんどん保育園を新設しておりますが、今後、保育需要と供給のバランスが拮抗し、供給過多になってくることも想定できます。そういったことを考慮し、場合によっては保育園を働く保護者のものだけではなくて、今も行ってはおりますが、一時保育事業の拡充をし、もっと気軽に短時間で預けられる事業をしたり、または区として親子支援の子育て広場として使用したり、病後児保育をふやしたり、また保育士さんに別の事業への派遣をしていただき、活用させていただくなど、柔軟性を持った展開をしっかりと考えておくことも必要と思いますが、区の御見解をお聞かせください。

 

○高橋子ども教育部、教育委員会事務局副参事(子ども教育経営担当) 当面は待機児童解消に全力を投入いたしまして保育環境の充実に取り組むこととなりますが、長期的な人口推計からすれば子どもの数は減少に転じる時点を迎えることとなります。区としても、子育て世代の人口推移、また社会情勢の変化などに注意しつつ、必要となる行政課題への対応を図っていく中で、保育園等の資源の活用のあり方についても検討していきたい、そのように考えてございます。

○甲田委員 ありがとうございます。次に、(2)発達に課題のある子どもの支援について伺います。真に手厚い支援が必要なのは、いわゆる発達障害、もしくは発達に課題のあるお子さんの親子支援であります。発達については早い段階からの支援が重要であります。先日、障害者関係のフォーラムに参加し、そこで障害のある子は小さな障害者ではなく、子どもとしての一貫した支援となるように配慮をした支援が重要となると強調されていました。先ほども触れたように、保育園・幼稚園の施設にあっては支援の拡充がなされてきました。この数年中野区では、家庭と保育園・幼稚園、就学前から就学後と一貫した支援にしていくための体制基盤の強化に力を入れてきました。ただし、一番最初に相談を受けるすこやか福祉センターの中で縦割りの弊害が起きているなど課題があり、これまでも指摘してまいりました。今般区は、その課題をクリアしていくための一層の基盤強化をするため、専門職である心理職の新たな採用をすると伺っておりますので、子どもの発達相談についてよりよくなっていくことが期待されます。

 そこで、この心理職の採用によって期待されることと、また、心理職を配置されることで、どのように体制が強化されるのか伺います。

 

 

○伊藤南部すこやか福祉センター副参事(地域ケア担当) 心理職の採用によって期待されることといたしましては、すこやか福祉センターの相談機能を心理職の配置によってレベルアップすることで、虐待の発生予防、早期発見、早期対応機能の強化を図り、必要な支援がさらに適切に子育て家庭に届くようにしてまいります。また、同職種のいる子育てや療育の専門機関や学校など関係機関などとさらなら連携を図ることの強化も期待できます。

 

 次に、すこやか福祉センターに職員として心理職の配置をすることで、3点について体制強化を図ることができるようになります。

 1点目といたしましては、健診時中心の発達相談がいつでも受けられることで、療育機関及び関係機関と迅速適切に連携が図れるようになります。

 2点目といたしましては、これまでの発達相談はスクリーニングに若干の課題がございましたけれども、スクリーニングが強化されることにより適切なサービス機関として機能いたします。

 3点目は、保護者支援の強化が図れます。

○甲田委員 これまでも何度も申し上げてまいりましたが、心理職の増員により、児童発達支援センターという場所としてはない分、機能として子どもの発達に関する受けとめと連携支援について大きな力を発揮していただけるものと思っております。

 次に、切れ目のない支援のツールとしては、サポートファイルのびのびがあります。私は平成24年第3回定例会で、決算総括質疑におきまして、サポートファイルは、障害児のみから全家庭に配布をと要望をさせていただき、平成25年より、3・4カ月健診時に全家庭へ配布されることとなりました。当時、区の子どもに関係する有資格者、保育士さん、保健師さん、栄養士さんなどが英知を結集してこのサポートファイルをつくってくださり、内容的にはすばらしいものとなっております。しかし、なかなか、渡す時期も母親が一番余裕のないときでもありまして、また大きくて重たいということの理由から持ち帰ってくれない人もいるなど活用がいまいち進まないと聞いております。ただし、切れ目のない支援にはツールは不可欠であり、相談したいときにどういうアクションを起こせばいいのか、どんな支援の選択肢があるのか、子どもの発達の記録を通じて、支援者と相談者が情報を整理し、共用していくためにもこういったファイルはあったほうがよいと考えます。現在はもう5年前とは違いまして、ほとんどがスマホを持っているということで、右手に赤ちゃん、左手にスマホ、そして相談相手はLINEかツイッターという実態になっております。

 東京都は昨年度、今年度と子供手帳モデルの検討会を設置し、母子健康手帳をもとに、妊娠期から学齢期まで使用できるよう、子どもの成長や健康に関する記録欄や子育て情報等を盛り込んだ手帳、子供手帳のモデルに関し検討をしてきました。このモデル事業を活用して、電子手帳、子育てアプリの形態も含め、時代に合った手帳、ファイルをつくっていくことが望ましいものと考えます。その際に、父親の子育てへの参画も含め、保護者が子どもの発達記録も入力できるようなものとして検討してはいかがでしょうか、伺います。

 

○神谷子ども教育部副参事(子育て支援担当) 現在配布をしておりますサポートファイルは、子どもの成長に従い、その発育・発達について記録することができ、気になることがあるときには、記載されている各種相談機関等を利用し、適切な支援を受けることができることを目的として配布しているところでございます。その活用の実態把握に努めますとともに、御指摘のありましたような電子化や都の検討なども含め、積極的に活用が図られる方策等について今後検討してまいりたいと考えてございます。

○甲田委員 行く行くは発達のサポートだけではなくて、子ども教育関連の情報をアプリでお知らせすることや、申請手続も簡単にアプリでという展開になっていくことと思いますので、早目の検討をお願いしたいと思います。

 次に、その他で3点伺います。

 1点目に、妊娠・出産・子育てトータルケア事業の中で、産後ケア事業を拡充するとのことですが、どのような拡充をするものか教えてください。

 

 

○大場中部すこやか福祉センター副参事(地域ケア担当) 産後ケア事業の利用期間等につきまして、多胎や早産の理由により支援を必要とする母子に対しサービスの拡充を図っていくものでございます。多胎母子に対しましては、ショートステイ及びデイケア事業の利用期間を5日から7日に、ケア支援者派遣を15時間から23時間まで利用することができることといたしました。また、早産等により出生後に入院治療を要した母子に対しましては、入院期間に相当する期間を産後月数に加算するなど、退院後のサービス利用が不利とならない配慮を行うことといたしました。

 

○甲田委員 ありがとうございます。30年度以降の産後ケア事業について、金額、人数や回数はどの程度を見込んでいるのでしょうか、教えてください。

 

○大場中部すこやか福祉センター副参事(地域ケア担当) 資料のほう、今、席のほうに置いてあるので、申しわけございません。

○高橋(か)委員長 休憩します。

午後1時49分休憩

 

午後1時50分開議

○高橋(か)委員長 それでは、再開します。今の質疑に対して、答弁保留しますか。

 

○大場中部すこやか福祉センター副参事(地域ケア担当) 答弁保留させていただきます。

○高橋(か)委員長 ただいまの質疑を答弁保留として、その次に進んでもよろしいですか。

○甲田委員 はい。それでは、2点目なんですが、産後ケア事業を行うことで浮き彫りとなりました産後の家事支援の重要性について伺いたいと思います。家庭の支援者派遣については、27年度スタートの半年で69人の方が731時間、28年度は年間で171人の方が1,872時間の支援者派遣、いわゆる中野区では産後ドゥーラさんを自宅に派遣していただいております。1人につき15時間という上限がある中で、15時間目いっぱい利用した人が各年とも断トツに多くなっているという結果が出ています。15時間利用者は全体の4割を超えています。ということは、さらに自費で利用している方もいるということであります。ニーズが高いだけでなく、これだけの時間、家庭の中に入って専門家が支援をしているという事業は子育て支援の中でも大変貴重なことであります。また、産後ドゥーラ協会が独自にとられたアンケートの中でも、おいしい御飯をつくってくれること、また手が回らなかった家事をしてくれたことが一番元気につながったという意見が多くあります。このような専門家による家事支援の重要性について、区はどのように考えていらっしゃいますでしょうか、伺います。

 

○大場中部すこやか福祉センター副参事(地域ケア担当) 産後ケア事業におけるケア支援者派遣につきましては、母親の身体的・心理的ケア、育児の指導や相談を目的として国のガイドラインに沿って実施しております。ケア支援者派遣事業におきましては、家事支援を主たる目的とはしておりませんが、家族等から十分な育児、家族等の支援が受けられない方につきましては、国のガイドラインの範囲内でケアに付随する行為としてある程度の家事支援を行っているものと考えております。

○甲田委員 ありがとうございます。よくわかっていただいているなと思います。ガイドラインは、実は専門家という視点で産後ケアを見ておりまして、家事支援が除かれるような表記もあったんですけれども、先日、産後ドゥーラ協会さんが厚生労働省の高木美智代副大臣あてに要望書を提出されまして、厚生労働省のこのわかりにくいガイドラインの表記について、今後自治体宛てに補足説明をすると約束をされました。そのような通知が届きましたら、ぜひ注目していただきたいと思います。家事をしながら信頼関係をつくっていく。産褥期の母親をケアする専門家がいることは、産後鬱、児童虐待予防に大きな力を発揮していただいていると考えます。ぜひそこのところをしっかりと認識をしていただいて事業の推進をお願いいたします。

 その他の最後、3点目に、子ども食堂や学習支援をする事業への財政支援について伺います。東京都は30年度予算案に子ども食堂や学習支援に補助をする新たな予算を盛り込んでおります。中野区内には無料で子ども食堂や学習支援などをボランティアで実施されている方がいます。定着してきたものについては、親子たちのよりどころとなってきています。子ども第一の地域づくりの一つとして財政支援の仕組みも検討すべきと考えますが、いかがでしょうか、見解を伺います。

 

○神谷子ども教育部副参事(子育て支援担当) 現在区では、地域に展開される子育て支援活動に係る支援につきまして、区民公益活動への基金助成や政策助成などを通じて実施してきているところでございます。

 平成30年度より東京都が子ども食堂を行う団体等へ支援事業を創設するといったことも聞いているところでございまして、事業の詳細を確認いたしますとともに、現行の取り組みとの役割分担等を整理した上で対応のほうを検討してまいりたいと考えてございます。

○甲田委員 お願いいたします。私は、少子化対策といっても、子どもの貧困対策といっても、子どもたちを一人も置き去りにせず、健全に育つ地域社会をつくることが一番大切だと思っております。産後鬱や児童虐待、発達障害などによるいじめの問題などなどで、子どもたちがドロップアウトしてしまうことが一番の社会的損失につながるわけで、ここに着眼点を置いて、切れ目のない支援にしっかりと力を入れていくことが重要です。実は、余り目立たないんですけれども、その大事なところから優先的にきちんと予算をつけていただいている方向性であることを評価したいと思います。予算を執行する上でも、この点をしっかりと職員が共有をして推進をお願いしたいということを要望いたしまして、この項の質問を終わります。

 次に3番、障害者相談支援事業について伺います。

 この項では3点伺います。まず初めに、理事者懇談会と研修機会について伺います。障害者相談支援事業における理事者懇談会は、行政と委託事業者との意思疎通を図る上で重要です。3年前の総括質疑において私のほうから提案をさせていただき、その結果、当時は地域活動推進担当、今は地域包括ケア推進担当が担当をして、年4回定期的に開催されてきたと伺っています。基幹相談支援センターである障害福祉分野は、4所のすこやか福祉センター内の事業所が十分に足並みをそろえてのスタンダードをつくる意味でも、研修会及び懇談会、意見交換会の場を積極的につくることが重要と考えますが、この3年間の理事者懇談会の成果と今後の検討課題について区の御見解をお伺いします。

 

○伊藤地域支えあい推進室副参事(地域包括ケア推進担当) お尋ねの利用者懇談会でございますが、平成27年度から開催しております。障害者の相談支援に係る課題の共有ですとか、目指す方向性などについて意見交換を行ってきたところでございます。今後も障害者・障害児を取り巻く環境の変化に対応するため連携を深めまして、スキルアップも図りながら障害者支援の体制強化、また相談業務の充実を図ってまいりたいと考えてございます。

○甲田委員 今般、障害者総合支援法の改正により、相談支援専門員の報酬改定もあり、担い手不足もますます深刻となることが予想されます。現在四つのすこやか事業所による自主的な勉強会が行われていると伺っていますが、基幹相談支援センターを中心とする研修、勉強会を積極的に開催し、相談支援専門員の人材育成を充実させていくべきと考えますが、いかがでしょうか。

 

○菅野健康福祉部副参事(障害福祉担当) 区では計画相談支援の質の向上や相談支援専門員のスキルアップを目的といたしまして、平成26年度から毎年2回、区内相談支援事業所に従事いたします相談支援専門員等を対象にいたしまして研修会を開催し、人材育成を行ってございます。本年度も区内の相談支援事業所、18事業所中15事業所から25名が参加してございます。今後、相談支援専門員マニュアルの作成・配布なども行いまして、引き続き人材の育成を図ってまいりたいと考えてございます。

○甲田委員 次に2点目、障害者相談支援と基幹相談支援の役割分担について伺います。相談支援の種類としては、個別相談支援、特定相談支援、一般相談支援がありますが、現在の仕組みでは、障害のある人の暮らしを支えるためには、障害福祉サービスを組み合わせて使う可能性が高く、それらのコーディネートが必要であります。区はサービス利用計画を勘案して支給決定しますが、勘案調査のために利用計画が必須となります。利用計画をつくる計画相談は、障害者相談支援事業の委託外ですが、平成30年4月以降の報酬改定により計画相談の役割が明確になりました。計画相談を1人の相談支援専門員が月に35人以内にすることで、個別に寄り添い計画を立てることが決められ、立てた計画が実行できるようにコーディネーションしていくことがさらに重視されるようになったそうです。区は現行制度の相談体制において、相談支援の機能分担、役割分担をどのように考えているのかちょっとよくわからないところがあります。ある市では、基幹相談支援センターの役割としては、1、ルール・仕組みの明確化、相談員の計画的育成。2、効果的な研修会の実施。3、全体でのOJTの仕組みの三つを明確にしています。すなわち数の確保と質の確保、そしてフォローアップの仕組みをつくっていくのが基幹相談支援センターであるとしています。

 中野区では基幹相談支援センターとして位置付けられている障害福祉分野と障害者相談支援事業所を含め、役割分担を明確にして相談体制の強化を図るべきと考えますが、いかがでしょうか、伺います。

 

○菅野健康福祉部副参事(障害福祉担当) 基幹相談支援センターは、地域の相談支援の中核的役割を担います機関として、相談支援事業者への指導・助言や、人材育成の支援、地域の相談機関との連携強化などが主な役割とされております。障害福祉分野におきましては、研修会をはじめ、すこやか福祉センターにございます障害者相談支援事業所との連携を図るため、月1回すこやか福祉センターや相談支援事業所との連絡会を開催いたしまして、相談支援事業にかかわる情報提供や連絡調整を行ってございます。処遇困難なケースなどの相談支援に当たりまして、障害者相談支援事業所との連携をより深め、障害者相談の充実に努めてまいりたいと考えてございます。

○甲田委員 次に、3点目に介護保険への移行手順について伺います。障害福祉サービスを受けている人が65歳になると介護保険制度に不安なく移行しなくてはなりませんが、急に使える制度が変わってしまうことがありますので、事前に説明が必要であると思います。中野区では該当の障害者に対し、どのような移行の体制をとっているのでしょうか、伺います。

 

○菅野健康福祉部副参事(障害福祉担当) 区におきましては、障害者福祉サービス利用者が介護保険制度に移行となる65歳になる1年前の64歳のサービス更新時に、介護保険制度への移行についてお知らせするとともに、要介護認定申請が可能となります65歳到達前の1カ月前から事前に具体的な移行手続の案内をしております。今後は移行される方に対しまして御案内を送付するなど、より丁寧な移行時の支援を行ってまいりたいと考えてございます。

○甲田委員 わかりました。ある市では、障害者である65歳予定者名簿をつくり、移行困難者をピックアップして仮調査をし、2カ月前には事前連絡会議の中で必要な方について情報提供を行い、地域包括支援センターにつないでいるようです。特に困難者の場合は、相談支援専門員と介護支援専門員とが顔合わせをし、障害支援専門員と一緒にかかわってくれる人ということで紹介をして、徐々に移行することで当事者が困らないように支援をしているそうです。説明をしたつもりでも、支援専門員が変わると急に不安に陥るという場合もありますので、しっかりときめ細かい配慮がとれるよう、障害福祉分野と地域支えあい推進室、障害相談支援事業所と地域包括支援センターが連携を図り、一層の支援体制の構築をすべきと考えますが、御見解を伺います。

 

○菅野健康福祉部副参事(障害福祉担当) 計画相談を実施いたします指定特定相談支援事業所は、障害福祉サービス利用者が介護保険サービスを利用するに当たりまして、適切なサービスを受けられますよう、利用者の方に対しまして介護保険制度に関する案内を行うこととなってございます。また、指定特定相談支援事業所は、居宅介護支援事業所に対しまして、利用者の状態や障害福祉サービスの利用状況等の情報を提供いたしまして適切に引き継ぎを行うこととなっております。介護保険移行に際しまして、重度訪問介護利用者など個別な支援が必要なケースにつきましては、障害福祉分野や、すこやか福祉センター、相談支援事業所、地域包括支援センター、介護事業所などの関係機関が連携いたしまして、移行後も必要なサービスが受けられますよう支援を行ってございます。今後も個別ケア会議などによりまして、各支援機関の連携を深めてまいりたいと考えてございます。

○甲田委員 ありがとうございます。まだまだ、この障害者のところの地域包括ケアシステムについては丁寧な進め方が必要であると思っております。4所のすこやかの調整をする担当に、話をしてずっと来たんですけれども、途中でやめられてしまいまして、今回の質疑も本当に関係理事者の皆様に苦労していただいたなと思います。今後また仕切り直しをして、国の基本的な方針と中野区の実情を常に確認し合いながら、最前線の現場から建設的な意見を出してもらいつつ、よりよい障害福祉の推進をしていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 以上でこの項の質問を終わります。

 次に4番、ユニバーサルデザイン推進計画について伺います。

 今定例会では、中野区のユニバーサルデザイン推進条例が提案されることとなっています。そしてそれに伴い、平成30年度予算では、ユニバーサルデザインの策定とともに、職員向けの研修経費748万円が計上されています。これらの中における性的マイノリティー、いわゆるLGBTの方々への支援について伺います。

 区はこれまで、ユニバーサルデザインの推進について、全ての人が利用しやすいようあらかじめ考慮して、都市や生活環境を設計すると説明をしてきています。この全ての人と言ったときに配慮が必要な対象としてLGBTの方々は入っているという理解でよろしいのでしょうか、改めて伺います。

 

○宇田川政策室副参事(ユニバーサルデザイン推進担当) 全ての人には、LGBTの方たちも含んでおります。

○甲田委員 それでは、ユニバーサルデザイン推進計画の策定はいつごろを予定しているのでしょうか。

 

○宇田川政策室副参事(ユニバーサルデザイン推進担当) 推進計画につきましては、平成30年秋の策定を目指して現在検討を進めているところでございます。

○甲田委員 国の法律で同性婚は認められておりません。同性カップルについては、異性婚の夫婦と同等の権利が認められておらず、世界的に見れば、先進国の中で日本はおくれている状況でもあります。人権という意味において、制度がないのであれば補完する仕組み、合理的配慮をすべきではないかと考えます。私は、性的マイノリティーの方たちの実際のつらい体験をお聞きし、そのように感じました。具体的には、税法上の優遇措置や遺族給付を受けることはもちろん、ローンや相続、入院した場合の家族としての情報提供や同意、賃貸物件の住まい探しなど、本人同士が望んでいて何年も同居し、共通の財産を築いている場合にも、無理解と偏見の壁は生活する上での障壁となっています。何らかの支援が必要と考えます。

 今回一般質問で、我が会派の平山幹事長の質問に対して区長から前向きな答弁がありました。すなわち、近年、同性パートナーにかかわる公的証書の発行を行う自治体が出てきている。そのことによって、保険の受け取りの指定や住宅ローンなど同性パートナーに対する便宜が図られる例が見られるようになってきた。区は民法などで保護すべき権利について条件等で規定することはできないと考えるが、現実に公的証書等の発行によって一定の便宜が図られるようにする取り組みについては検討する意味があり、条件や実効性などを見極めながら検討したいとの答弁でした。

 この答弁を踏まえて幾つかお聞きします。公的証書の発行とは、具体的にどのようなことかお伺いします。

 

○宇田川政策室副参事(ユニバーサルデザイン推進担当) 取り組みの具体的な内容は今後検討していくということになりますけれども、他の自治体の取り組みなどを参考にしながら、区がお二人の戸籍謄本ですとか、お二人の関係を確認する公正証書などの提出を求め、これをもって二人が同性パートナーの関係にあることを確認し、公的に確認したことを明らかにする証書等を発行する取り組みについて検討したいというふうに考えております。

○甲田委員 その実効性を持たせるためには、金融機関や保険会社をはじめ、区内の病院や不動産事業者など、関係事業者への理解を求めることも重要と考えますが、いかがお考えでしょうか、伺います。

 

○宇田川政策室副参事(ユニバーサルデザイン推進担当) 自治体が発行する証書の提出によって、実際に保険の受け取りの指定や住宅ローンなどの便宜が図られる例も見られております。今後実効性のあるものとするために、必要な条件などを十分検討するとともに、取り組みを実施するに当たっては、関係事業者等に対して説明等を行いながら理解を求めていくということが必要というふうに考えております。

○甲田委員 また、これらの支援については、ユニバーサルデザイン推進計画の策定を待たずとも可能なものから実施していくべきと考えますが、いかがでしょうか。

 

○宇田川政策室副参事(ユニバーサルデザイン推進担当) 今後、同性パートナーに係る公的な証書の発行につきましては、実効性のある取り組みとするために検討を進めまして、できるだけ早い段階で実施できるようにと考えております。

○甲田委員 よろしくお願いいたします。区が新たな仕組みをつくり、一定の便宜を図ったとしても、それだけで社会生活をする上での障壁、支障が取り除かれるわけではないと考えます。区民や事業者、区の職員などが理解を深めるための取り組みも重要であると思います。30年度予算として取り組むことになっている職員向けのガイドライン、区民及び事業者への普及啓発のための冊子作成、職員の研修などで、LGBTも含めて、さまざまいる当事者が困っている事例を積極的に取り入れるなどして、さらに実効性を高めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

 

○宇田川政策室副参事(ユニバーサルデザイン推進担当) 多様な生き方、さまざまな生き方、個性や価値感を理解して受け入れるためには、当事者の皆さんが実際に何に困っているのか、どう対応してほしいのかなど具体的な事例をできるだけ多く知る機会を持つことが必要と考えております。研修や普及啓発の冊子作成などを進めるに当たりまして、具体的な事例を効果的に取り入れる方法などについて検討してまいりたいというふうに思っております。

○甲田委員 前向きな御答弁大変にありがとうございます。よろしくお願いいたします。以上でこの項の質問を終わります。

 次に5番、公園の整備について伺います。公園の整備については、平和の森公園と哲学堂公園について伺います。

 一つ目に平和の森公園の再整備について伺います。3年前より議会でさまざま議論を積み重ねてきた平和の森公園の整備について、現在、多目的広場側の工事が進んでおりますが、区民の皆さんが不安に思われていることについて再度お聞きしておかなければならないと思い質疑をいたします。

 まず、公園内の防火樹林帯について伺います。公園西側の住宅密集側の区域における樹林帯については、伐採の予定はあるのでしょうか、伺います。

 

○千田都市基盤部副参事(公園担当) 公園の新たな整備に伴い、支障となり伐採する樹木の予定はございません。しかし、防火樹林帯が防火機能を発揮するためには、樹木が健全で元気である必要があることから、枯れ木や不健全樹木の伐採と植生環境の健全化を図るための間伐を行っているところでございます。

○甲田委員 次に、公園全体の樹木伐採の本数について伺います。高木、中木は全部で何本中何本切る予定なのでしょうか、あわせて、間伐というものがあると伺っておりますが、間伐というのはどういうもので、何本の予定なのか。さらには、低木についても御説明をいただきたいと思います。実施設計を見させていただきましたが、ここには第1工区で5,148株、第2工区で1万2,385株となっております。全部で1万7,533株ということですが、この株ということについても説明をお願いいたします。

 

○千田都市基盤部副参事(公園担当) 中高木は木の高さ2.5メートル以上の独立した樹木のことで、今回の公園施設整備に当たって支障となる伐採予定樹木の本数は、現段階で約250本でございます。また、樹木が元気でいられるよう植生環境の健全化を図るために行う間伐については、枯れ木や不健全樹木の対処とあわせて行っており、その予定本数は約220本でございます。なお、公園全体の中高木の本数は約1,300本でございます。また、今回の整備では、中高木を約350本補植する予定としております。また、低木に関してでございますが、正確な株数を把握することが困難であることから植栽面積で管理を行っているところでございますが、撤去予定面積は無秩序に広がってしまった実生木や地被類も含めて約3,300平米でございます。実施設計において低木類の撤去量を1万数千株と算出しているところでございますが、それは植樹帯撤去費を算出するために、平米当たりの単位数量から低木類の設計撤去量を算出したものであり、それを本数に変換して、中高木の伐採本数と混同することは妥当ではないと考えているところでございます。

○甲田委員 ありがとうございます。次に、植栽計画について伺います。私は、昨年6月の一般質問におきまして、「公園再整備基本設計の中で示されている四つの大きな方針の一つには、『既存の森を継承し、四季を彩るみどり豊かな公園 既存の豊かな水辺と緑を継承しつつ、花や実のなる植物を植えることでより四季を楽しめ、かつ多くの生き物と共生する健やかな自然を次世代へ引き継ぐために適切な管理を行います』とあること」を紹介し、「これはまさに生物多様性の回復・保全に配慮した森づくり、森の再構築、再創造をしていくことがうたわれていると考えますが、こういったことが周辺住民をはじめとする区民にあまり伝わっていないと感じます」としまして、そして、このコンセプトを生かすものとするため、専門家による公園内の動植物調査をもとに作成した設計であることを周知してはどうかとの質問をしました。区長は、「完成後のイメージがより深まり、多くの区民が楽しみに思ってもらえるような情報発信を行うことについて、建設事業者と協議をしてまいりたいと思います」という答弁をされました。現在、工事も進む中で、多くの区民が楽しみに思っていただく発信はいつされるのかと思ってお待ちをしております。

 生物多様性、共生のコンセプトをどのように具現化したのでしょうか。植栽計画を明確に具体的に答えていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

 

○千田都市基盤部副参事(公園担当) 今回の植栽計画の例でございますが、例えば少年スポーツ広場の西側部分では花の咲く高木が桜と梅、低木ではアベリアのみで花のない時期があり、訪花する昆虫も限られる現状にございますが、今回の整備でガマズミやウツギ、ヤマハギなどを補植することで、多くの時期に花を鑑賞できるようにするとともに、訪花性昆虫の多様化、増加を見込むような整備を行っております。また、草地広場北側の雑木林部分では、垣根状となった低木が壁となり視界を妨げ、林床も暗くなっている現状にございます。そういった環境の中、林床に光が入り込むように低木を減らし、草本層の発達を促すことで、林縁から草地へと連続するエコトーンを形成し、草地性の昆虫類の生息やホウジロ等の鳥類の餌場、また隠れ場所としての利用を見込むような整備を行っているところでございます。

○甲田委員 よくわかったような、わからないような計画ですけれども、それが本当に情報発信をして区民に見えるように、ぜひ早くしていただきたいなと思っております。

 ちなみに、公園面積はもちろん上がると思いますが、公園の緑被面積についてはどうなんでしょうか、伺います。

 

○千田都市基盤部副参事(公園担当) 今回の整備、また新たな植樹に伴いまして、緑被量は増加する予定でございます。

○甲田委員 次に、トラックの活用、使用についての考え方について伺いたいのですが、トラックにも活用可能な園路ができますと、今までの利用者がほとんど使えなくなるのではという心配をされている区民の方がいらっしゃいます。トラック部分はどのような活用でどのくらいの稼働率を見込んでいるのかお答えください。

 

○千田都市基盤部副参事(公園担当) 現段階で一概に稼働率ということをお示しはできないところでございますが、トラックにつきましては、中学校の部活動等で使用する場合は事前に占用許可の申請をもらうこととしております。また、占用許可を行う際には、その時間帯や用途に一定の制限を設けることで、利用枠の設定から、草地広場の利用者に対して影響が出ないように運営できると考えているところでございます。

○甲田委員 わかりました。次に、犬の同行入園についてですが、これまで犬を同行できなかった草地広場側の園路について、今、工事期間中は犬を同行させてもよくなっておりますが、開園後はどのようになるのでしょうか、伺います。

 

○千田都市基盤部副参事(公園担当) 最近整備した白鷺せせらぎ公園、本五ふれあい公園、南台いちょう公園などの大規模公園では、犬を同行させる方の利用をインターロッキング舗装などのハード系園路に限定して可としております。平和の森公園につきましても、今後同一の考え方で検討を進めてまいりたいと考えております。

○甲田委員 次に、防災公園に入る避難等について伺います。平和の森公園周辺地区計画で、道路の計画線を超えて体育館が建つことは不当であり、防災機能の低下だという意見や体育館前の道路が狭く、防災公園であるのに危険だという意見があるようですが、どのような考えになっているのか、改めて確認をさせていただきたいと思います。

 

○安田都市基盤部副参事(地域まちづくり担当) 平和の森公園周辺地区地区計画は平成5年11月に都市計画決定してございます。この都市計画決定では、体育館予定地の東側には、地区施設道路の計画はございません。本地区計画では、広域避難場所である平和の森公園へ周辺の地域から避難して来られるよう、各地区施設道路を指定しているところでございます。

 なお、体育館の建設に当たりましては、歩行者の安全のため歩行者用空地を整備する予定となってございます。

○甲田委員 わかりました。これらの今お聞きしたことの不安を払拭する説明がやっぱり区のほうで不足しているんではないかと思っておりますので、今後もより丁寧に説明をしていただくことをお願いいたしまして、平和の森公園については終わります。

 次に、哲学堂公園の再生整備について伺います。児童遊園の学習展示施設や駐車場をめぐる問題で、第4回定例会での一般質問や委員会での質疑により、ラジオ体操等、一般公園部分として利用してきた方たちのスペースについては、それまでの利用状況を鑑みて利用できなくならないよう我が会派からも変更を求め、区はこの議会からの意見を取り入れて計画を再考し、1月24日の建設委員会における基本設計(案)では大きく修正されたものが報告をされました。この基本設計(案)において修正した内容について、また、意見はあったものの修正できない内容について経緯と理由をお示しください。

 

○千田都市基盤部副参事(公園担当) 議会や意見交換会で寄せられた意見を踏まえ、駐車場の位置を変更することで、児童遊園機能部分の規模と形状を改めました。これにより、当初の計画では700平米程度であった児童遊園部分の面積を約1,200平米程度に拡大するとともに、整形な広場機能の提供を可能といたしました。一方、ヒマラヤスギや児童遊園機能の視点から、学習展示室の建設位置を文化財エリアにしてほしいとの御意見も複数いただいておりましたが、哲学堂公園の特徴である文化財施設の保全・活用の視点から文化財エリアの建設位置の変更は行っておりません。

○甲田委員 最初の計画では700平米程度であったものが1,200平米程度に拡大をしたということで、スペースが確保されたということで、本当に安堵された住民の方々がたくさんおりますが、私のところに届いている御意見では、今後遊具についてしっかり考えてもらいたいという御意見が多くあります。公園の遊具については、子ども第一の地域をつくる中野区としては、ここが大変大事だとかねがね思っております。そこで、遊具設置の考え方について伺います。乳幼児だけではなく小学生も遊べるものが望まれております。区の見解をお伺いいたします。

 

○千田都市基盤部副参事(公園担当) 遊具につきましては、寄せられた区民意見を踏まえながら、公園の立地や特徴を鑑みて選定しているところでございます。哲学堂公園につきましては、乳幼児だけではなく、児童も楽しめる遊具の設置を検討しているところでございます。

○甲田委員 幼児期は遊びを通して体の基本を育て、小さな頭で大きな遊びを得る時期と言われているということで、現代は思いっきり遊ぶ場がないと言われております。乳幼児はまだ屋内の遊び場でも遊べますが、幼児、児童となりますと公園しかありません。比較的大きくなっても楽しいブランコなど発達段階に応じた遊び方を研究している会社もあります。哲学堂の児童遊園は、そのような遊びに対する哲学を持った遊具の設置をすべきではないかと考えますが、御見解を伺います。

 

○千田都市基盤部副参事(公園担当) 遊びながら子どもの体力や知力を培う遊具などが開発されていることは我々も認識しているところでございます。今後、遊具整備のあり方とあわせて研究してまいります。

○甲田委員 また、せっかく人を呼び込む施設を建てるのであれば、隣接する児童遊園にはほかにはないようなものを置いてはいかがでしょうか。例えば、井上円了氏が妖怪博士と言われたことにもちなみ、妖怪をあしらった遊具ですとかベンチを設置してみてはいかがでしょうか、伺います。

 

○千田都市基盤部副参事(公園担当) さまざまな自治体に見られるゆるキャラを代表とした施設運営でキャラクターが集客の一助を担っているケースがあることは認識しているところでございます。今後、運営事業者の検討とあわせて研究してまいりたいと考えております。

○甲田委員 よろしくお願いします。哲学堂公園整備の新たな運営事業者のあり方について伺います。公園のにぎわいや安全な管理、利用者の見守りなどの付加価値を生み出すため、民間管理業者の役割が重要となります。民間の柔軟な考えも取り入れながら、一般公園部分が近隣住民、利用者にとってサービスが向上するよう管理運営費を生み出す事業も含めてアイデアを出してもらうことが必要ではないかと考えますが、事業者を募集する際、どのような視点で公募をするのか、区の見解を伺います。

 

○千田都市基盤部副参事(公園担当) 昨年の都市公園法の改正により公園の管理運営における民間活用は枠も幅も大きく広がったところでございます。現在、(仮称)弥生町六丁目公園の管理運営に関する民間参画の検討を行っているところでございまして、先般、都内で初となる公園の管理運営に関するサウンディングを行ったところでございまして、新たな手法を積極的に検証し取り入れながら、魅力ある公園運営を図っていく所存でございます。

○甲田委員 ありがとうございます。次に、哲学の回廊となる哲学堂通り、中野通りの活性化支援について伺います。哲学堂全体の整備に伴い、商店街との連携について及び哲学の回廊として中野駅や新井薬師前駅から哲学堂公園にいざなう哲学堂通りや中野通りの活性化が重要で、商店街との連携で歩いてみたくなる道にしていくべきということはこれまでも提案してきました。新井薬師のまちづくりと関連して、29年6月の私の一般質問に区長は、「商店街のイベント事業や活性化事業に対して、専門家を活用できる体制をつくっていくことは有効だと認識しています。今年度から商店街への専門家派遣を支援するため、東京都が行う商店街ステップアップ応援事業が新たに創設されたところであります。区は、商店街が新たな支援制度を活用できるよう、中野区商店街連合会とともに検討を行っているところであります」と述べられました。この商店街支援の進捗状況はいかがでしょうか、伺います。

 

○藤永都市政策推進室副参事(都市観光・地域活性化担当) 商店街のステップアップ応援事業につきましては、平成29年度からの新規事業でございまして、東京都の商店街振興組合連合会が都内商店街向けに商店街の活性化に係るアドバイスを行うため専門家を派遣する事業でございます。区は、区商連と協力しまして、当該事業について商店街に対し制度周知と活用についての取り組みを行っております。今年度につきましては、区商連と東中野駅地域の商店街が専門家の派遣を受けたところでございます。

○甲田委員 哲学堂公園の再整備や周辺のまちづくり事業を契機として、地域のにぎわいを創出するため、本気で商店街を活性化させることが重要になると考えます。この地域でも商店街に対する専門家派遣の活用を支援する取り組みが必要と思いますが、いかがでしょうか。

 

○藤永都市政策推進室副参事(都市観光・地域活性化担当) まちづくりの進展する商店街向けに、今年度商店街ステップアップ事業などの制度や区の融資制度等、各種の新制度をまとめた冊子を作成し、商店街に直接説明に行くなどして制度周知等、活用に取り組んだところでございます。今後も中野駅から哲学堂公園周辺に係る商店街を含めまして、専門家派遣事業をはじめとするさまざまな支援制度を周知し、活用を進めていく考えでございます。

○甲田委員 よろしくお願いいたします。関連して、例えば、中野通りについては、特に松が丘に入るとシニアプラザがありましてシニアの方も多く歩いています。歩道は広いのですが、バスを待ったりする場所にちょっと座るような場所もない状況です。道路にベンチの設置をするなどして、歩く方にもやさしいまちとしていただきたいと思います。こういったことも回遊性と活性化支援につながると思いますが、いかがお考えか伺います。

 

○辻本都市基盤部副参事(都市計画担当) 哲学堂公園再生整備に伴いまして、まち歩き回遊ルートにつきましてもあわせて形成してまいりたいと考えているところでございます。ただいま委員から御提案をいただきましたベンチの設置につきましても、これに資するものとなりますよう、研究してまいりたいと考えてございます。

○甲田委員 ありがとうございます。最後に、哲学堂にちなみまして哲学の庭について伺います。平成21年(2009年)には哲学の庭に、ハンガリー出身で、晩年日本に帰化し、創作活動に当たった彫刻家、故ワグナー・ナンドール氏の作品があります。ハンガリー国ブタペスト市第一区のまちの丘にも同一の作品が設置をされています。12月9日に開催をされました「『哲学のまち・中野』をめざして」のシンポジウムに参加をいたしました。内容としてとてもよいシンポジウムでした。御承知のとおり、哲学堂は、東洋大学創立者で哲学博士である井上円了氏が寄贈した日本で唯一の哲学のテーマパークと言われています。このシンポジウムで、ワグナー・ナンドール氏と井上円了氏の考え方が全く同じであったとの話がありました。それは、文化や宗教にはそれぞれの地域、社会によって違いがある。そして、その相違点よりも共通点を探してお互いを理解し合おうというメッセージを残したかったということです。まさにこれは世界平和に通じる考え方であり、私は激しく賛同をしました。このようなメッセージを、国境や民族を超えてともに発信をしてくださっているハンガリー・ブタペスト市の第一区長さんはとてもすてきな方で、引き込まれるお話でした。もっと多くの区民の方に聞いていただきたい内容であるなと思いました。このシンポジウムは、どういった経緯で開催をされたのでしょうか、まず伺います。

 

○青山政策室参事(企画担当) ハンガリー国との関係は、平成21年哲学堂公園の創立者である井上円了博士の哲学に関する考え方が、ハンガリー出身の彫刻家、故ワグナー・ナンドール氏の持っていた哲学観につながるものであるとして、彫刻作品、哲学の庭を哲学堂公園内に設置することについて、作者の夫人である和久奈ちよ氏が強く希望し、その後、駐日ハンガリー大使から中野区に寄贈したい旨の申し出があり設置したことによるものでございます。

 今回開催いたしましたシンポジウムでございますが、ワグナー・ナンドール氏の没後20年を記念しまして、ワグナー・ナンドール記念財団との共催で企画したものであり、哲学の庭を含めた哲学堂公園やその周辺に着目して中野の魅力やまちづくりについて区民に考えてもらう機会を提供するため開催したものでございます。

○甲田委員 中野区では中国・北京市西城区、韓国・ソウル市陽川区と友好関係交流、ニュージーランドの首都ウェリントン市と友好子ども交流、そして台湾との交流も始まっておりますが、シンポジウムにおいて、今後はハンガリー共和国の首都ブタペスト市との友好的、文化的な交流が始まってもよいような雰囲気を感じました。これまでもハンガリー関係国の視察の受け入れなどは行ってきたようですが、今回のシンポジウムを通じて、ハンガリー共和国の首都ブタペスト市第一区長さんとの語らいの中で、哲学堂だけでなく今後の中野区における有形・無形の文化財産の向上に寄与すると感じられましたので、区長の御所見をお聞きしまして、この質問を終わりたいと思いますが、いかがでしょうか。

○田中区長 世界にはさまざまな文化、宗教、政治、哲学、さまざまな価値感があるわけでして、それぞれ違いを認め合っていく。お互いに違いを認識し合い、そこからお互いに向き合っていく。このことから理解やあるいは平和の礎が築かれていく。こういった哲学の庭の考え方、これは大変すばらしいものだと思っておりますし、シンポジウムに出席をしていただいたブダペスト市第一区の区長さん、この方もそういったことについて、ブダペスト側の考え方から、大変いい講演をしていただいたというふうに思っております。私と違って大変知的ですてきな区長さんだったんですけれども、そういう形でお互いにそういった結びつき、御縁というものがあり、また大変意義のある結びつきでもあると、こういうふうに考えているところであります。今後、オリンピック・パラリンピックの開催に向けてさまざまな国際的な交流といったようなこともふえていくというような中では、ブダペスト市第一区との交流ということについても視野に入れていくことがいいのではないかと、こんなふうに思っております。

○甲田委員 ありがとうございます。文化芸術の施策といいましても、今あるこのすばらしい中野の資源を発信し、まちづくりと融合させていくことが大事だと思います。中野の魅力を日本中、また世界に発信していただくという意味も含めて交流を推進していただければと思っております。

 以上で私の全ての質疑を終わります。

○高橋(か)委員長 それでは、先ほど甲田委員の子育て支援の項の中のその他で、中部すこやか福祉センター、地域ケア関係のことがございますので、答弁保留になっておりますが、答弁はいただけますか。では、答弁をお願いします。

 

○大場中部すこやか福祉センター副参事(地域ケア担当) 先ほど答弁保留いたしました30年度の産後ケア事業の金額及び利用日数、時間の見込みについて御答弁いたします。金額につきましては、ショートステイ、デイケア、ケア支援者派遣事業の合計で4,958万円を見込んでおります。また、利用日数、時間につきましては、ショートステイが1,094日、デイケアが724日、ケア支援者派遣が1,532時間を見込んでおります。

○甲田委員 では、答弁していただきましたので、これは29年度と同等のものになっているんでしょうか。29年度は補正予算を組んでいただいてやっていただいたと思うんですけれども、そのところだけお答えください。

 

○大場中部すこやか福祉センター副参事(地域ケア担当) 産後ケア事業の金額につきましては、平成29年度3,980万6,000円を予定しておりました。今年度、平成30年度は4,958万円を見込んでおりますので、差額で977万4,000円増額を見込んでおります。

○甲田委員 予算としては拡充をしていただいたということでとらえておきます。さらなる推進をよろしくお願いいたします。

 以上で私の全ての質問を終わります。御清聴ありがとうございました。

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