1 防災対策について

 2 児童虐待防止について

 3 地域包括ケアシステムについて

 4 ESD(持続可能な開発のための教育)について

 5 その他

 

○副議長(平山英明) 次に、甲田ゆり子議員。

 

○14番(甲田ゆり子) 令和元年第4回定例会に当たりまして、公明党議員団の立場で一般質問を行います。

 

 質問の前に、先月の台風19号により犠牲になられた方へお悔やみ申し上げますとともに、被災された皆様に心よりお見舞いを申し上げます。

 

 質問は通告どおりで、その他はありません。

 

 1番、防災対策について。

 

 初めに、高齢者等への情報発信の改善について伺います。

 

 今回の台風では、特に高齢者等への情報伝達手段について改めて課題が浮き彫りになりました。私の地元の区民活動センターでは、お昼の時点で自主避難されていた3名は、全員20歳代の方だったそうです。若い人がしっかりと情報をキャッチしていた一方で、高齢者の多くは区からの情報を得られていませんでした。ジェイコムの放送や区の広報車で知ったと言っている方もいましたが、ジェイコムを契約していない方は数多くおり、広報車や防災行政無線のスピーカー音が聞こえない場合に対する不安が募ったという声がありました。区は防災会の代表各2名に対し、緊急情報を電話で伝達する5coVoiceという自動音声配信システムを導入しており、対象者の拡大を検討していると聞いています。私は、昨年の一般質問でも5coVoiceシステムの対象者拡大について取り上げましたが、改めて現在の登録者と運用状況を伺います。

 

 人伝えには限界があると感じます。ホームページやSNSをみずから見ることができない高齢者や障害者に対し、直接的に情報発信を行える何らかの手段が必要です。我が会派では、ポケベル周波280メガヘルツを使った文字情報を含む防災ラジオを配布することも有効であると考え、提案してまいりましたが、その都度、研究するとの答弁でした。

 

 ことし総務省がまとめた「災害情報伝達手段の整備等に関する手引き」においても、ポケベル周波を使った通信手段については、気密性の高い住宅においても電波を届けやすいため、都市部における有効な災害情報伝達手段などとして紹介されており、現在、23区でも江東区、豊島区など5区が導入しているとのことです。申請した方への有償貸与でもよいと考えます。先行して導入している他自治体の経費など、研究された結果と検討状況はいかがでしょうか。伺います。

 

 また、防災ラジオに切りかえる前に、5coVoiceシステムの対象者拡大で登録者をふやすことが可能なのであれば、まずは視覚障害者に加え、高齢者等の希望者に対して登録を促し、希望者が多くなった場合の拡充策についても検討しておくべきと考えますが、いかがでしょうか。伺います。

 

 いずれにしても、スマートフォンやパソコンなどを使えない高齢者等へ情報伝達手段を真剣に考えてほしいとの区民の声が届いています。今こそ区は責任を持って一人も残らず情報伝達できる何らかのツールを用意すべきと考えますが、この点についての区長の見解をお聞かせください。

 

 次に、災害弱者の避難について伺います。

 

 先日、地域の複数の方から福祉避難所について聞かれました。福祉避難所の開設時期や場所、箇所については、二次避難所として地域防災計画の中に明示されておりますが、一般の区民には全くと言っていいほど伝わっていません。そこで、改めて福祉避難所の定義と中野区の福祉避難所の現状を伺います。

 

 福祉避難所は災害の規模によってはほとんどの災害弱者は頼ることのできない希少な場所であり、全ての一次避難所においてインクルーシブな避難所とすることが求められます。2016年4月の熊本地震の折、熊本学園大学では、建物の一部を障害のある方のための避難所として開放しました。ここは避難所の指定はなく、事前の備えも乏しかったものの、福祉を教える大学であったこともあり、障害者差別解消法などを大前提に、どんな人も受け入れる避難所として45日間、被災者に寄り添った避難所として運営されました。運営の方針は、管理はしない、配慮するとしたそうです。管理をしようとすればルールをつくることになり、それを守るためにかえってエネルギーと時間が必要になるため、一切規制やルールをつくらず、そこにいる学生やボランティアの人たちが、その場、その場で考えて行動したことで、さまざまな個々に合わせた仕事、配慮が自然に生まれ、皆が協力し合った体制ができたというのです。そうした中、この避難所は多くの全国からの支援や官民連携を経て、発災直後急遽開設した一時的な福祉避難所にもかかわらず、最後の1人の行き先が決まるまでの支援を完結しました。このことから、全国の避難所体制に対し、福祉的配慮面での将来課題を提起しています。

 

 こうしたインクルーシブな避難所運営の経験や取り組みについて、中野区としても避難所運営にかかわる方々を中心に勉強する機会を持ち、全ての避難所が災害弱者を受け入れ可能な体制をつくるために学んでおくことが必要と考えますが、いかがでしょうか。伺います。

 

 また、障害者や母子を受け入れる際は、避難ルームと言われる屋内用テントを避難所に幾つか準備しておくべきと考えます。日赤奉仕団では、ことし、各分団から各地区町連にこういったテントが配布されたと聞いていますが、授乳や着がえ、また障害者の方たちを優先に利用することができるよう、区としても各避難所に幾つか準備すべきと考えます。また、町会連合会、地域防災会とも使い道を協議しておくべきと考えますが、いかがでしょうか。伺います。

 

 次に、母子避難所について伺います。

 

 産じょく期の妊婦や母子は特別な配慮が必要です。現在、産前産後の母子に特化した福祉避難所はありません。これまでも我が会派として要望してきたことですが、区として早期にまず1カ所でも母子避難所を新設し、助産師会などに協力を得て開設手順を検討すべきと考えます。また、その中で、妊婦と母子のためのマニュアル作成も検討してはと考えますが、いかがでしょうか。

 

 初産婦の場合は、家族や本人ですら配慮の仕方がわからない場合もあります。避難所における配慮の仕方や、本人、家族の事前の備えなどを記載した妊婦と母子のための防災ハンドブックもつくるべきと考えますが、いかがでしょうか。あわせて伺います。

 

 この項の最後に、都立中野工業高校の建てかえと野方一丁目から野方三丁目の避難所について伺います。都立中野工業高校の改築事業及び妙正寺川の河川改修に関する説明会が8月に開催され、参加しました。高校の建てかえ工事は令和10年度まで、妙正寺川整備事業は令和13年度までかかる予定とのことですが、その間における避難所について、周辺地域からの不安の声が聞かれます。この地域は水害、震災の両面で区内屈指の災害に弱い地域と考えます。中野工業高校建てかえ時において、避難所はどのようになるのでしょうか。地域防災会などに丁寧な説明をすべきと考えますが、見解を伺います。

 

 説明会では、高校の建てかえ後、現在の実習棟の跡地については東京都としては今後使用しない予定と聞きました。この地域は木造密集地域であることから、区としてこの土地を購入し、公園にしてほしいとの声も出たところです。ぜひ防災に資する公園や道路とすべきと考えますが、区としての将来的な展望を伺い、この項の質問を終わります。

 

 2番、児童虐待防止について。

 

 一つ目に、妊娠・出産・子育てトータルケア事業について伺います。

 

 子育て先進区であるならば、一番困難なところに光を当てる先進的な施策、すなわち児童虐待撲滅のための先進的な取り組みを行うことは最重要と考えます。そのことから、これまでも児童虐待が一番多いとされる産後直後の母親を支える事業の充実を求めてまいりました。核家族が多く、孤立しがちな現代においては、誰もが産後鬱や児童虐待に陥る可能性があることから、中野区の産後ケアについては、心配があると言った人は誰でも受けられるという制度設計になっています。他区では、まだまだ要支援、ハイリスク者に限定した施策となっており、この点が近隣区からもうらやまれています。さらに、家庭に入って母子をケアする専門家の派遣事業があるということも、虐待の芽を摘む最大の強みです。こうした他自治体に誇れる先進的な制度が中野区の産後ケアと考えますが、そのことを酒井区長自身がどのように認識されているのか、また、この事業の拡充についてどう考えられているのか、お考えをお示しください。

 

 トータルケア事業における多胎児の支援について伺います。

 

 多胎児支援では、虐待死の発生頻度が単胎児の家庭に比べ4倍にも上ると言われています。昨年1月の愛知県豊田市での三つ子の次男虐待死事件では、市の検証委員会が、多胎児支援の重要性が認識されていなかったと総括しました。事件後、市は、多胎児家庭には月1回保健師が訪問する体制をしき、対応を強化したそうです。これまで我が会派では、産後ケアの多胎児、未熟児、障害児の支援を拡充するよう提案し、時間延長などの拡充もされてきたところですが、多胎児についてはまだまだ支援が必要です。

 

 産後ケアを受ける際の移動にかかわる支援をするなど、多胎児支援の拡充をすべきと考えますが、見解を伺います。

 

 また、産後ケア事業は、まだまだ必要なところに届いていないという声が聞かれます。これまでも面接時の説明の強化を求め、期待しているところですが、産後ケア利用者アンケートは継続的に行っているのでしょうか。継続的に利用者の声を聞き、それをわかりやすく公表すべきと考えますが、いかがでしょうか。伺います。

 

 次に、児童相談所設置準備について伺います。

 

 令和3年度からの児童相談所設置まで、あと1年4カ月となりました。現状、職員の育成・研修の状況はどうなっているのでしょうか。職員が研修や視察で最新の知見を学ぶことが非常に大事と考えます。毎年行われている虐待防止学会大会等への参加や、先進自治体の視察なども積極的に行うべきです。こうした職員の研修に一層力を入れるべきと思いますが、見解を伺います。

 

 この項の最後に、児童虐待の中で近年ふえている両親の面前DVなどの被害に対する対応について伺います。

 

 夫による妻へのDVにより、子どもが虐待され、妻が自立したくても、経済的な理由等で結局は夫と生活し、結果、深刻な事件に発展するケースがあります。母子を分離しない場合にはシェルターへの措置もありますが、施設という場所から普通の生活へ戻った際に失敗し、また同じような状態を繰り返すこともあります。先般、長崎県「こども・女性・障害者支援センター」を視察しました。ここでは、県の児童相談所がNPO法人に委託して、一時保護所等を退所した被害者に県が提供するステップハウスなど、住まいの確保や職探し、子どもの心理的ケアなど、自立支援を行っています。

 

 母親の自立支援を行いながら、母子ともに地域の中で住み続けられる切れ目ない支援のメニューや、再発防止の施策を整備しておくことは重要と考えますが、DV被害の母子に対する中野区の自立支援の現状と今後の施策を伺い、この項の質問を終わります。

 

 3番、地域包括ケアシステムについて。

 

 初めに、在宅介護におけるすき間の支援について伺います。

 

 地域包括ケアを進めるに当たり、家族が離職をせずに在宅介護を続けるには、サービスのすき間を埋める支援を充実させなければなりません。そこで、三つの角度から伺います。

 

 まず一つ目に、住宅の改修や福祉用具についてです。現状、がんや難病に罹患していて、住宅に手すりをつける必要があっても、65歳未満で重篤でない場合は介護認定が受けられず、自費で改修、購入せざるを得ません。渋谷区では、年齢や病気の条件なしで住まいの改修工事について助成制度があります。また、賃貸住宅は改修ができず困ることもありますが、福祉用具には賃貸住宅でも使用可能な突っ張り式の手すりがあり、こうしたものを活用して一定の支援ができると考えます。さらにシルバーカーや車椅子など、歩行補助のための福祉用具について、病状回復・維持のために、介護や障害の認定にかかわらずレンタルできるサービスを拡充すべきです。

 

 このような在宅介護のための住まいの環境整備について、区は具体的な考えを示し、介護保険法外の制度も構築すべきと考えますが、区の見解をお伺いいたします。

 

 二つ目に、介護保険制度の同一日の重複利用についてです。現行の制度では、同一日にショートステイとリハビリなどの保険サービスを重複して利用することができません。例えばショートステイでは、デイサービスで行うような催しやリハビリなどはほとんど展開されていません。家族のレスパイトケアのためにはショートステイ事業は重要ですが、本人にとっては自由が奪われるだけの退屈な時間となり、リハビリがないために筋力が著しく低下して戻ってきます。また、ショートステイから帰った日にリハビリサービス等を利用することはできないため、リハビリ空白期間がさらに長くなってしまい、家族にとってその後の介護に負担が生じることさえあります。

 

 家族のレスパイトケアと本人の楽しみ、体力維持を両立できる仕組みを早急に検討すべきと考えますが、見解をお伺いします。

 

 三つ目に、理美容サービスについて伺います。介護状態の高齢者にとって、理美容は重要なケアであると考えます。身なりをきれいにすることで、たとえ認知症を患っている人であっても、心が前向きになり、その効果は絶大です。今後の高齢化により需要も大きく伸びていくものと思われます。現在、中野区では独自事業として、環境衛生組合との協定により、組合員である理美容院の訪問サービスについて、出張・サービス費用4,500円のうち3,000円を区が負担し、利用者が1,500円を負担することで、要介護3以上の方への助成制度として実施しています。

 

 この訪問理美容制度については、各区によってさまざまです。杉並区では、要介護1以上の外出困難な方を対象として、訪問出張費3,000円のうち、利用者は所得に応じて無料から640円負担とし、残りを区が負担、施術代金は利用者が負担ですが、その店舗によって施術代金が異なってもよいということと、協定組合と加盟店舗が多いため、毎年、年間800から900件の利用がされているそうです。

 

 中野区では介護保険特別会計の特別給付費から予算どりをしていますが、本制度の実績はどのぐらいでしょうか。

 

 在宅ケアの重要なサービスとして、さらに利用しやすい制度への改善を検討してはいかがでしょうか。また、訪問型だけでなく、車椅子などでもサービスを受けられるバリアフリーの店舗がふえることも必要です。現在は選択肢が少なく、苦労されている方も多いと思います。要介護者対応型の理美容院をふやすための支援を創設することも重要と考えますが、いかがでしょうか。伺います。

 

 以上、代表的な3点にわたりお聞きしましたが、このほかにも課題があり、在宅でみとるまで介護をする体制にはまだまだ制度のすき間があります。このような視点からも区の施策を検討すべきと考えますが、御見解を伺います。

 

 次に、障害者の地域包括ケアシステムについて伺います。

 

 障害者の支援のために、これまで区は四つのすこやか福祉センターの中に一つずつの障害者相談支援事業所を置いてきました。第3回定例会において、将来的にすこやか福祉センターを5カ所にとの方針が示されましたが、障害者相談支援事業所については、2021年に地球温暖化オフィスの施設跡に1カ所、2023年度開設予定の新たな鍋横区民活動センターの同施設内に1カ所ふやすという計画が出されています。そうなると、都合6カ所の障害者相談支援事業所が設置されるということになりますが、幾つまでふやす予定なのでしょうか。将来的に地域包括支援センターと併設して同数にされようとしているのでしょうか。

 

 現在ですら専門人材の確保が難しく、委託事業を請け負う法人が少ない障害者の事業所について、しっかりとした相談支援を行うためには、窓口業務を含めた現在のような事業所について、数だけふやすよりも、まずは基幹相談支援センターの機能強化を優先すべきと考えます。現状、障害福祉課が担っている基幹相談支援センターは、専門人材が特定の職員だけとなっており、後継者問題が課題となっていると感じます。

 

 地域の資源とも言える民間の障害福祉法人を最大限活用しつつ、基幹相談支援センターが国の法改正などに対応しながら、委託事業者に指示・助言を行い、総合的なかじ取りを行うことで、かえってサービスの質を高めることができるのではないでしょうか。財政的観点からも効率的な仕組みを検討すべきではないでしょうか。御見解を伺います。

 

 この項の最後に、子どもの地域包括ケアについて伺います。

 

 10月7日の子ども文教委員会では、概要、高齢者向けの取り組みの検証を踏まえつつ、子どもと子育て家庭を対象とした地域包括ケアシステムを構築すること。また、新たな児童館は職員によるアウトリーチ活動の拠点とすること。そして、中学校区ごとに地域での子育て支援活動の拠点として、新たな児童館を設置するとの考え方が報告されました。

 

 児童館の職員がアウトリーチにより見守りを行い、支援が必要な人を発見し、サービスにつなげていくということですが、これまでのすこやか福祉センターの地域子育て支援担当とのすみ分けや連携はどのようになるのでしょうか。あわせて、児童館のアウトリーチは何を目指すのかについて伺います。

 

 子どもの包括ケアは、高齢者等のそれと根本的に違い、個人のプランを立てるケアマネや支援員などがいません。年齢や障害の有無などに応じ支援期間がありますが、それぞれがどんなサービスをしているのかが見える化され、つながり合っていくことが重要と考えます。そのためのコーディネーターは誰なのかということがいまだ見えていません。それが児童館職員によるアウトリーチとなるのでしょうか。そうであれば、新たな児童館が設置されるまで、子どもの地域包括ケアは進むのかどうか疑問になりました。地域を知り、地域資源を育て、不足するすき間の施策を提案もできる力を持つ職員が最前線にいることで、子どもの地域包括ケアが進むと考えます。

 

 全ての子どもが家庭で地域で健やかな成長ができるよう、孤立を防いでいくことが重要です。改めて、子どもの地域包括ケアシステムはいつまでに、どのように構築される考えなのか伺って、この項の質問を終わります。

 

 最後に、4番、持続可能な開発のための教育(ESD)について伺います。

 

 AIの進化などにより、今の子どもたちが大人になるころには、今ある職業の半分はなくなるかもしれないという変化の速い時代にあって、昔とは違い、一方通行の読み書き知識を得るためだけの教育ではなく、どうしたら社会課題を解決できるのかという考える力や人に伝える表現力などが教育の中でも重要視される時代となりました。そして今、持続可能な世界をつくるための教育であるESDに注目と期待が寄せられています。

 

 私は、ESDの先進的な実践校である江東区八名川小学校の手島利夫元校長が出版した「学校発・ESDの学び」という本を読みました。ESDは、世界共通の持続可能な開発目標であるSDGsのつくり手、担い手を育てる教育とも言われていますが、このESDとは具体的にどんな教育なのでしょうか。伺います。

 

 また、中野区では初めて、中野本郷小学校が今年度から2年間、研究校として取り組んでいると聞きました。今後、中野本郷小学校での成果を広く周知すべきと考えますが、現在の取り組み状況についてお伺いいたします。

 

 平成29年から改訂となっている新学習指導要領には、新たに持続可能な社会のつくり手を育成するということが理念として盛り込まれたと聞いていますが、まずは教員側の取り組みが重要と考えます。例えば、分野の違う授業をつなげるのに効果的と言われるESDカレンダーというツールがあるとも聞いていますが、効果的なツールを活用し、先進的な事例にも学びながら、SDGsにつながっている課題や成果を見える化して取り組みを進めてはいかがでしょうか。

 

 今の子どもたちに私たちの地球を持続可能にする平和な社会を築いてもらうために、このESD教育を通し、教職員が一体となって人材育成に取り組んでいただくことを期待し、私の全ての質問を終わります。御清聴ありがとうございました。

 

 

○区長(酒井直人) 甲田議員の御質問にお答えします。

 

 1点目、防災対策についての中で、緊急情報電話伝達についての御質問でございます。緊急情報電話伝達システム登録者数は、昨年の11月において207名の方が登録しておりまして、本年11月1日現在では211名でございます。

 

 次に、防災ラジオの研究結果と検討状況についてでございます。周波数280メガヘルツ帯のいわゆるポケベル波を使用したラジオの導入が他自治体でも散見されるのは認識しております。導入区では、障害者や区有施設などに限定して配布しており、運用効果としては、高層マンションや強風などにより防災行政無線が聞き取りにくい地域の補完ができる等の効果があるとのことでございます。経費は防災ラジオの配布個数で異なりますが、おおむね500基で5,000万円程度の初期費用と、年間600万程度の保守費用が必要となります。費用が高額になることから、他の情報発信ツールの活用も含め、引き続き研究してまいります。

 

 緊急情報電話伝達システムの登録者の拡大についての御質問です。緊急情報電話伝達システムにつきましては、地域防災会への着実な情報伝達を目的に、各防災会の代表者2名を登録対象としておりますが、文字を音声情報として伝達できるシステムであることから、視覚障害者の登録についても現在検討を進めているところでございます。あわせて、今後は地域の意見などを踏まえ、独居高齢者の希望者に対する登録拡大についても検討してまいります。

 

 次に、全ての人への情報伝達についての御質問です。高齢者、障害者などを含め、全ての区民が必要な防災情報を得られるよう情報伝達の重要性は認識しているところでございます。これまで文字や音声による情報発信ができるように、中野区防災情報メールシステムや緊急情報電話伝達システムなどのさまざまなツールを整備してまいりました。一方、視覚障害者などへの対応は今後の課題であると認識しております。今後さまざまな方々に対応し得る情報伝達ツールを検討してまいります。

 

 次に、福祉避難所の定義と中野区の福祉避難所の現状についてでございます。福祉避難所、いわゆる二次避難所は、あらかじめ定められた避難所に避難した高齢者、障害者、乳幼児親子などが避難所生活を続けることが困難となって、十分な救援・救護活動が実施できなくなった場合に開設する高齢者施設、障害者施設、児童施設等のことでございます。区の福祉避難所は15カ所の高齢者対象施設、7カ所の障害者対象施設、22カ所の乳幼児対象施設及び1カ所の病弱者対象施設となっておりまして、中野区防災ハンドブックなどにおいて周知に努めておりますが、避難所運営会議等を通じて、さらに普及に努めてまいります。

 

 次に、インクルーシブな避難所運営についてでございます。区では避難所運営に携わる職員や防災リーダーを対象に、避難所運営を考えるとして、男女共同参画センターと連携して講習会を年2回開催するなど、障害者や乳幼児といったいわゆる災害弱者の避難所への受け入れについて啓発を進めているところでございます。引き続き地域防災会などへの参加誘導も含めて、適切な避難所運営に向けた講習会の開催を検討してまいります。

 

 次に、避難ルーム、テントについてでございます。現在、各避難所には、母子の授乳用や更衣用として活用できる屋内用テントを2個配備しております。中野区赤十字奉仕団の各分団が所有する屋内用テントにつきましては、今後、災害時における避難所での利用など、中野区赤十字奉仕団と調整してまいりたいと思います。

 

 次に、母子避難所についてです。現在、妊産婦の福祉避難所は確保できていないため、区有施設等、場所の確保に向けて検討しているところでございます。助産師会とは今年度中に災害時における救護活動等についての協定が締結できるように準備を進めておりまして、妊産婦の福祉避難所の確保と並行して、母子避難所の開設手順やマニュアル化についても同助産師会などと調整してまいります。また、妊婦と乳児、母子のための防災ハンドブックについては、中野区防災ハンドブック改訂時に必要に応じて盛り込むことを検討したいと考えております。

 

 次に、中野工業高校の建てかえと野方一丁目から野方三丁目の避難所についてでございます。都立中野工業高校の避難所につきましては、現在、同校の体育館を指定しておりますが、同校の建てかえは、旧第六中学校跡地に仮校舎を建設後、現在の校舎跡地に新校舎及び新体育館を建設し、その後、現在の避難所である体育館を取り壊す予定と聞いております。したがって、都立中野工業高校の建てかえ時は現在の体育館を避難所として利用し、新体育館建設後に避難所を移動させる予定としておりますが、今後こうした状況について、地域防災会などに丁寧に説明してまいります。

 

 実習棟の跡地利用についての御質問です。実習棟の跡地には、河川に沿って幅員4メートルの河川管理用通路の整備を東京都が実施する予定でございます。その他の跡地利用につきましては、東京都と協議を進め、公園等を含め最適な利用方法を検討したいと考えております。

 

 次に、児童虐待防止についてでございます。中野区の産後ケア事業への認識及び拡充の考えです。産後ケア事業は、家族等からの十分な援助が受けられない方が安心して育児ができるよう支援することを目的として実施しておりまして、産後鬱や虐待の予防的な取り組みとなっていると認識しているところでございます。今後もサービス事業所数の拡大など、必要な事業について拡充を図ってまいります。

 

 次に、多胎児への移動支援でございます。多胎児家庭における育児の困難感や支援の必要性は十分認識しており、利用回数や時間数の拡充を行っているところでございます。今後、産後ケアを受ける際の移動支援について、適切な支援方法を検討してまいりたいと考えております。

 

 次に、産後ケア事業の周知についてでございます。妊娠中期・後期の方へ、出産を迎えるに当たりさまざまな不安解消のサポートをするため、かんがるー面接において、今年度作成したかんがるーブックを活用して、利用できる産後ケアサービスや参加できる事業の説明をしております。産後ケア事業の内容をより具体的に知っていただくために、アンケート結果や利用者の声を紹介するなど、周知方法をさらに検討してまいります。

 

 次に、児童相談所設置に向けた職員の研修についてでございます。区はこれまでも職員の育成、研修に力を入れてきておりまして、今年度も先進自治体視察を行うとともに、日本子ども虐待防止学会の大会への参加も予定しております。また、今年度から虐待対応専門員として警視庁OBを、法的対応専門員として弁護士を配置し、研修やOJTを通して専門的なスキルの向上を図ってきたところでございます。今後は、さらなる専門性強化のため、医療機関との連携などについても取り組んでまいります。

 

 次に、DV被害母子に対する区の自立支援についてです。DV被害を受けた母子への支援につきましては、婦人相談員、母子・父子自立支援員、子ども家庭支援センター、警察、児童相談所等、関係機関が連携し対応しているところでございます。母子生活支援施設では、当事者が置かれている生活や心身の状況の把握に努め、当事者の意向も踏まえながら、就労支援、子どもの学習指導、進路相談、養育等の相談・助言、心理カウンセリング等を行い、自立に向けた支援を行っているところでございます。また、母子生活支援施設を特別区の間で広域に活用する仕組みの検討も進めているところでございまして、今後とも、親子ともに安心して自立した生活を送ることができるよう支援を進めてまいります。

 

 次に、地域包括ケアシステムについての要介護認定前の住宅改修や福祉用具の助成についてでございます。認定前のサービスにつきましては、現行のサービスや制度の枠を超えて取り組む必要がありまして、ニーズの把握方法や、それを支える制度の構築が課題であると認識しております。

 

 介護保険における同一日の重複利用についてでございます。御指摘のように、現行の介護保険制度では、短期入所療養介護サービスと訪問や通所のリハビリテーションサービスの同一日の利用は認められておりません。家族のレスパイトと本人の楽しみや体力の維持を両立できる仕組みの構築は、現行の制度設計上簡単なものではございませんが、そうした視点も大事にしていきたいと考えております。

 

 次に、理美容サービスについての御質問です。昨年度の実績につきましては114件、30万7,800円でございました。平成30年度には利用対象者を要介護4以上から要介護3以上に広げ、平成31年度からは利用者自己負担額を下げるなど改善を図ってきたところでございます。今年度はその効果で、既に現時点で昨年度の年間実績を上回ってきております。今後も引き続き利用しやすいサービスの提供に努めてまいりたいと考えております。

 

 理美容店へのバリアフリー支援についてでございます。理美容店に限らず、中小企業に対する店舗改修費用の助成制度が区にはございます。バリアフリー化を支援しているところでございます。

 

 次に、制度のすき間についてでございます。今後、地域包括ケアシステムを推進していく中で、地域ケア会議などを通じて高齢者や介護者のニーズを把握し、安心して在宅生活を送るために必要とされるサービスの開発に努めてまいりたいと考えております。

 

 次に、障害者相談支援事業についてでございます。障害者支援相談事業所のあり方につきましては、その備えるべき機能や配置数なども含めて、現在検討しているところでございまして、基本計画において明らかにする予定でございます。今後、基本的な考え方を取りまとめたところで、議会にもお示しさせていただきたいと考えております。

 

 児童館のアウトリーチについてでございます。児童館のアウトリーチは、地域の子ども施設において支援が必要な子どもや子育て家庭を把握し、すこやか福祉センターと連携しながら継続的な支援、見守りを行うことを想定しております。また、キッズ・プラザや学童クラブ等の委託事業者に子育てに関する支援や援助を行い、質の確保や向上を図ることも児童館におけるアウトリーチの役割の一つと考えております。日常的に身近な場所で支援が必要な子どもや子育て家庭を早期に発見し、関係機関につなぐことで、課題の未然防止、早期対応の実現を図ることを目指してまいります。

 

 最後に、子どもの地域包括ケアの構築時期についてでございます。子どもと子育て家庭、障害者などを含む全区民を対象とした地域包括ケアシステムにつきましては、令和3年までに(仮称)地域包括ケア総合計画を策定することを目指して検討を進めているところでございます。総合計画の策定を見据えて、(仮称)総合子どもセンターや、新たな児童館の役割並びに子どもと子育て家庭を取り巻くネットワーク体制などの検討を進めて、地域包括ケアシステムの中核となる相談支援体制の再整備をしていく考えでございます。また、こうした相談支援体制を十分に機能させるためには、地域に精通し、地域資源の発掘、育成、活用を推進するとともに、地域の声を区の施策に反映させる役割が重要であると考えております。

 

 

○教育長(入野貴美子) 私からは、持続可能な開発のための教育(ESD)についての御質問にお答えいたします。

 

 まず、ESD(持続可能な開発のための教育)は、環境問題や人権問題などの現代社会のさまざまな問題をみずから考え、行動を起こす学習や取り組みを通して、子どもたちを持続可能な社会をつくる担い手として育成する教育でございます。

 

 次に、研究校である中野本郷小学校の研究の状況についてでございますが、生活科や社会科、総合的な学習の時間の学習において、地域の人とかかわりながら、学校敷地内のグリーンガーデンを活用した環境教育を中心に実践しており、子どもたちみずからが社会に参画しようとする資質や能力の基礎を養う研究をしているところでございます。

 

 最後に、SDGsにつながる課題や成果を見える化する取り組みについての御質問でございますが、持続可能な開発目標であるSDGsを実現するために必要なESDの推進は、新しい学習指導要領全体を通しての基盤となる理念であり、教員の意識的な指導がなければ、その目指すところを児童・生徒に伝えることは難しいと考えております。小・中学校新学習指導要領の全面実施に合わせ、ESDの考え方を各校の教育課程に位置付けるとともに、その課題や期待する成果を年間指導計画等に明らかにし、組織的・計画的に実施していくことができるよう指導・助言をしてまいります。

 

○副議長(平山英明) 以上で甲田ゆり子議員の質問は終わります。

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