1、令和2年度予算案について
(1)予算の特徴について
1 子育て先進区に向けた取り組みについて
◎妊娠期から出産・子育てトータルケア事業について
◎ブックスタート事業について
◎地域の子ども施設利用者のニーズ調査等について
◎子ども食堂・子ども宅食について
◎子育て先進区ということについて
2 安心して地域で暮らし続けられるための取り組みについて
◎木造住宅耐震改修助成事業について
3 区民とともに進めるまちづくりのための取り組みについて
◎西武新宿線連続立体交差事業と新井薬師前駅周辺まちづくりについて
2、平和事業について
3、アール・ブリュットの振興について
4、動物愛護推進施策について
5、その他
○甲田委員 令和2年度予算特別委員会に当たりまして、公明党議員団の立場で総括質疑をさせていただきます。
質問は通告のとおりで、5のその他はございません。
まず1番、令和2年度予算(案)について、(1)予算の特徴についてということで、当初予算(案)の概要の冊子に、8ページから予算の特徴として主な項目が四つの区分で取組に分けて示されております。これは今回の予算の中で最も力を入れているという意味で芽出しをされた事業と理解をしております。
その意味で、主にこの中から幾つか質問をさせていただきます。1 子育て先進区に向けた取り組みでは、妊娠・出産・子育てトータルケア事業について、ブックスタート事業について、地域の子ども施設利用者のニーズ調査等について、関連して子ども食堂について質問をいたします。
2の安心して地域で暮らし続けられるための取り組みでは、1点、木造住宅の耐震化促進について。
3の区民とともに進めるまちづくりのための取り組みでも、1点だけ、西武新宿線連続立体交差事業と新井薬師前駅周辺まちづくりについて伺います。
まず、1の子育て先進区に向けた取り組みについての中から、1点目の「妊娠期から出産・子育て期までの切れ目ない支援を推進するため、多胎児の子育て支援の拡充など、トータルケア事業の充実を図ります」について伺います。
質疑に入る前に、昨日の他の委員の質疑の中で、来年度の区のスクラップ・アンド・ビルドの事例が二つ紹介をされましたけれども、このトータルケア事業がその一つだったという話があり、大変残念な気持ちです。持続可能な区財政を支えるため、事業の見直しや効果のない事業の削減は大事なことと思っておりますが、この事業についてはスクラップしてもよいものとは到底思えません。まだまだ足りていないという声が多いからであります。
それでは、トータルケア事業について何点か伺います。トータルケア事業における多胎児の支援の拡充について。来年度拡充するという多胎児支援はどのようなものでしょうか。事業内容、金額、見込数なども併せて伺います。
○滝浪北部すこやか福祉センターアウトリーチ推進担当課長 来年度の事業内容といたしましては、多胎児を連れての産後ショートステイ及び産後デイケアを利用する際に、事業者が家から施設まで移動の補助を行う移動補助サービスを考えております。予算金額は15万9,000円、ショートスティでは36回分、デイケアでは70回部分の利用を見込んでおります。今後、まだ示されていない東京都の補助要綱が出されましたら、それを見た上で事業詳細を確定していきたいと考えております。
○甲田委員 そうですね。来年度はこの多胎児支援に関して東京都の補助もあるようです。まだ詳細が明らかになっていなかったということで予算措置はできなかったと思いますが、聞くところによりますと、都では多胎児への移動補助、タクシー券などを考えているとのことで、明らかになり次第都費も活用して制度構築してほしいと思っております。これは要望としておきます。
次に、トータルケア事業全体の予算について伺います。本年度のトータルケア事業の予算額は約1億4,200万円で、昨年度は1億5,300万円であったのに対し、1,100万円の減となっています。これまで私はずっと拡充を求めてまいりましたが、予算概要には充実とうたっているにもかかわらず、実際の予算を減らしているのはどういうことなのでしょうか、伺います。
○滝浪北部すこやか福祉センターアウトリーチ推進担当課長 予算額につきましては、事業の見直しと実績に見合った予算額の計上をしたことにより減額になっておりますが、来年度は大きく三つ強化、拡充していく予定がございます。一つ目としましては、保健師の支援強化でございます。妊娠20週をめどに行っているかんがるー面接のほかに、来年度からは36週程度をめどに保健師による電話、または面接を実施して状況を確認し、産後ケアサービスの利用につなげることを考えております。二つ目としましては、産後デイケアの拡充でございます。兄弟児同行で利用できる施設を増やすとともに、多胎児親子に対する移動補助サービスの開始を考えております。三つ目といたしましては、経産婦や父親向け事業の拡充でございます。地域育児相談会に育児保育を追加するほか、兄弟児の子育ての悩み解消をテーマにした事業の実施、父親の参加が多い「こんにちは赤ちゃん学級」の回数増のほか、父親及び祖父母向けの栄養や離乳食に関する講習会の回数を増やすことを考えております。
○甲田委員 様々工夫はあると思いますけれども、この予算上、実績見合いでということですけれども、それでは拡充や充実とは言えないのではないでしょうか。来年度予算の特徴にあるトータルケアの充実は言葉だけになっていないかと考えます。何度も質問してきたとおり、かんがるー面接時の説明不足により、本来は支援を必要とする人が利用できないといった声が多数聞こえてきています。意図的に絞っているとは思いたくありませんが、区は説明不足などの状況を改善すると言ってきました。予算が縮小するとさらに絞らなければとの考えが働くのではないかと危惧をしているところであります。国費、都費の特財もかなり入っているわけですし、令和2年度予算ではトータルケア事業で一般財源は2,260万円余です。1人当たりに換算すれば、それほど大きな支援ではないと考えます。
またこの度、来年度の東京都予算では公明党の要請を受け、産後ケア事業に対する区への補助を、4分の1だったところ2分の1に拡充するとの情報もありました。国費が4分の1ですから、区としては4分の1の負担になり、今年度よりも都費が倍額、上限はあると思いますけれども、倍額になるということです。
また、次に、中部・南部すこやか福祉センターのデイケアについて、来年は取りやめるという話があります。一般質問でも河合議員から出ておりまして、私も同じ思いでありますが、私は1月24日に中部すこやかのデイケアを見学させてもらいました。好評で参加者も多い状況でした。産後直後の母子は、交通機関を乗り継いで行くことは困難であり、デイケアを実施している助産院は北部や杉並区側に偏っているため、南部や東部の人はすこやかでのデイケアがなくなると行き先の選択肢を失ってしまうのではないかと考えます。なぜこの事業をやめてしまうのか、改めて理由を伺います。
○滝浪北部すこやか福祉センターアウトリーチ推進担当課長 一般質問でもお答えいたしましたけれども、母親の身体的回復、心理的な回復の促進、育児支援を目的とする産後デイケア事業として実施しているすこやか福祉センターにおける利用者アンケートを分析いたしましたところ、本来のデイケア事業のほか、子育ての仲間づくりについての期待も大きかったということが分かりました。こうした利用者のニーズ等を踏まえまして、すこやか福祉センターのデイケア事業を整理いたしまして、助産師へ相談できる助産院等の委託型産後デイケアの拡充と併せまして、仲間づくりや子育て支援を行う地域育児相談会等の回数増、また、子育てひろばの活用を図ることといたしまして見直しを行ったものでございます。
○甲田委員 そうですね。ですから、冒頭申し上げたスクラップ・アンド・ビルドというのがここに当たるということだと思います。でも、中部はその日午前中から10組の親子が参加していました。ランチの1時間は子どもを見てもらい、ママさんたちだけで安心しておしゃべりする時間を取らせてもらえるなど、楽しそうな雰囲気が印象的でありました。また、南部のほうはもっと参加者が多いようでした。直近の2月13日は14組の予約があったそうです。実際には感染症防止の関係から9組になったそうでありますけれども、公共施設という場所で親子交流をすることで継続して交流できるという安心感もメリットだったとの声を聞いています。他の事業に振り替えて同じような効果が得られるかどうか疑問であります。
次に、産後サポート事業について伺います。お父さんが子育てに参画するためのプレパパ・ママ講座は令和元年度から事業を取りやめてしまいました。また、今年度経産婦への拡充をしたばかりのマタニティヨガも事業整理を来年度する予定だと聞いておりますが、この二つの事業はなぜ削減したのか伺います。
○滝浪北部すこやか福祉センターアウトリーチ推進担当課長 事業の見直し、再構築の中で、参加者数が少ないもの、また民間で実施されているものについて事業を統合する一方、先ほども申し上げましたとおり、保健師による妊産婦のフォロー強化、多胎児の移動補助サービスや経産婦、父親向けの事業の拡充を行う予定でございます。
○甲田委員 統合したということは、実質事業の廃止であり、ここは後退をしたと私は見ています。また、マタニティヨガも、2年しかやらずに、すこやかで開催するのをやめて、場所は児童館に地域育児相談会という名目で行うとのことですが、であれば、経産婦にも対応できるものをしっかりとこれからお願いをしたいと思います。
次に、経産婦の産後サポート事業も重要です。昨今、経産婦の家庭で特に赤ちゃんと年の近い上のお子さんがいる家庭はみんな悩んでおり、ともすると虐待に発展しかねないという危うい家庭もあると聞きます。現在は自主的に行っている経産婦用のきょうだいが生まれたベビープログラム2なども拡充すべきと考えます。まずは1か所でも区の委託事業として始めるべきと考えますが、いかがでしょうか。
○滝浪北部すこやか福祉センターアウトリーチ推進担当課長 経産婦を対象とした事業の拡充につきましては必要性を十分認識しているところでございます。今年度、業務委託提案制度で採用しました兄弟児の子育てワークショップについて、来年度は地域育児相談会で委託事業として実施する予定がございます。
○甲田委員 分かりました。次に、産後ケアの基本の柱は、言うまでもなくショートステイ、デイケア、ケア支援者派遣です。この三つについては、継続的に利用者の声を取り、データを積み上げることが大事と考えます。そこで、昨年度報告された産後ケアのアンケートについても伺います。平成29年10月から30年1月実施の利用者アンケートを平成31年3月に報告をされました。ケア支援者派遣の産後ドゥーラに関しては、利用者全員から、「大変役に立った」、または「役に立った」という回答結果でありました。一方、利用可能時間数については93%の人が「短い」と回答をしていました。そのとき、1年以上も前のものをどうして今に報告するのですかと聞いたところ、集計・分析に時間がかかるということでした。また、そのとき言っていたのは、平成30年度もとっているので、今後また報告したいとおっしゃっていました。しかし、いまだその報告はされておりません。30年度のアンケート内容について概要をお答えください。
○滝浪北部すこやか福祉センターアウトリーチ推進担当課長 30年度のアンケート結果につきましては、ショートステイは29名、デイケアは183名、ケア支援者派遣については32名の回答であったため、参考程度の回答とはなりますが、参加して「大変役に立つ」、「役に立つ」については、ショートステイでは93.1%、デイケアでは98.9%、ケア支援者派遣では100%の回答でございました。また、利用可能日数につきましては、「適当」についてショートステイでは58.6%、デイケアでは38.8%、ケア支援者派遣では31.3%、「短い」という回答は、ショートステイでは41.4%、デイケアでは54.6%、ケア支援者派遣では68.6%という結果でございました。
○甲田委員 利用者からは大変ニーズが高いということは明らかであります。孤立育児を救うための支援として効果が出ているかが重要であります。アンケートに答えてくださった方たちに対して、その後の切れ目のない支援がどのようにできているのか追っていけるような連続的な調査も必要であると思います。今後視野に入れてお願いをしたいと思います。
次にトータルケア事業の充実について伺います。産後ケア、産後サポート事業は、先進的で満足度も高く、また全国の自治体、地方議会からの視察も多い状況です。何といっても子育てスタートの重要な時期を支える施策ですので、今後ますますニーズは高まり、効果も見えてくるはずであります。にもかかわらず、単純に来年度予算は前年度比大幅にマイナスであり、拡充したのは多胎児の移動支援、主にはそれのみというのは本当に残念です。私は、産後に鬱になって立ち直れないでいる人を何人も見ています。一方で、産後ケアによって鬱状態から脱することができたり、虐待しそうになったが、ケア支援により止めることができたというケースを幾つも聞いております。目標は個々の事業の参加人数ではなくて、産後鬱がどれだけ減らせたのかの効果ではないでしょうか。そのために利用者の声をしっかりと把握してもらいたいと思います。
また、現在の要綱には、利用できる人は必要と認める人というふうにあるそうですけれども、本来この時期は誰もが支援を必要としていること、いつ産後鬱になるか分からないということを肝に銘じて拡充していかなければならないと思うのですが、アセスメントをする人によっては、この解釈がまちまちになっているように感じます。昨年11月に国で産後ケア法の成立があり、2年以内に施行される予定です。いよいよ全国的に自治体の努力義務として中野区のような産後ケアが始まるときが到来しました。現在の産後ケア事業は、産後4か月ないし6か月までとなっていますが、法改正後は産後1年未満まで、1歳まで行うこととされています。今後はトータルケア事業全体の充実とともに、法律に合わせて適切に支援を拡充するために担い手の確保も重要となってまいります。産後ドゥーラのような産褥期の母親にトータルな支援ができる専門家、担い手を育成する取組も併せて必要になってくると思いますが、区はいかがお考えでしょうか、見解を伺います。
○滝浪北部すこやか福祉センターアウトリーチ推進担当課長 産後ケア及び産後ケア事業につきましては、母子保健法に規定され、またその実施施設、人員や設備等の基準が省令で定められることとなると思います。この法の施行に合わせまして、事業内容の必要な見直しを行うとともに、新たに定められる省令基準を周知し、参入事業者や担い手の確保に努めたいと考えております。
○甲田委員 東京都では来年度ゆりかご・とうきょう事業が東京パパママ応援事業になるということで、産後ケアなどの母子保健部分と育児サポートなどの子育て支援としての部分が一体になった大きな拡充と聞いています。これらも活用をよくよく検討していただき、またこの時期に、産後鬱や虐待の芽を摘んでいくことをしっかりとやれば、安心して子育てができるというばかりか、いろいろな意味でマイナスをプラスに転じていくことができ、もう一人産みたいと思えることにつながり、少子化対策にもなると確信しますので、しっかりとお願いしたいと要望をいたしまして、この項を終わります。
次に、ブックスタート事業について伺います。来年度からいよいよブックスタート事業を開始するということについて、我が会派でも推進してきたものであり歓迎をしています。予算としては、1,160万円余を見込んでいるということですが、詳細について伺いたいと思います。これはいつから開始で、何冊分の見込みなのか。また、どのような仕組みで行おうとしているのか、絵本の実費と人件費の内訳も併せて教えてください。
○永田子ども・教育政策課長 ブックスタート事業の対象者は、3か月児健康診査の対象者で、年間約2,500人を見込んでございます。開始予定時期につきましては、令和2年10月1日を予定しておりますため、初年度の対象者は約1,250人を想定してございます。その仕組みといたしましては、3か月健診のお知らせとともにブックスタートの引換券を送付し、それをお近くの図書館にお持ちいただいて、本2冊とバッグのセットに引き換えるという流れとなります。なお、絵本につきましては、御希望により取り替えられるようにすることを考えてございます。また、図書館に来館された際には、親子でおはなし会などに参加していただき、絵本を生かした赤ちゃんとの交流を体験していただくほか、図書館の利用者登録や乳幼児コーナーの利用案内などもさせていただくことで、その後の図書館の利用にもつなげていきたいと考えてございます。こうした事業の拡充も含む人件費として約670万円、絵本やバッグ等の経費として約490万円を見込んでございます。
○甲田委員 半年分ということで、半数の1,250人分に配布ということで、絵本は490万円、人件費は670万円ということで、それは指定管理者への人件費ということになると思うんですけれども、それを例えば、その人件費がなくて、この1,160万円を1,250円で単純に割りますと、1人当たり単価は9,200円くらいの絵本ということになります。当然これは事業費が入っていますからそんな単純ではないんですけれども、もし乳幼児健診のときに絵本を渡すだけであれば、絵本の実費分だけでよいことになったかなと思いますけれども、その点に関してはどのようなお考えでしょうか。
○永田子ども・教育政策課長 今回のブックスタート事業につきましては、乳幼児親子をはじめとします子どもの読書活動の推進の一環としてこの充実を図ってまいりたいというふうに考えてございまして、そうした意味で、お近くの図書館の乳幼児コーナーなどの御利用にぜひつなげていきたいといったような考えで、このような事業をしているものでございます。
○甲田委員 そうしますと、目標はどれだけの人に絵本を渡せたかだけではなくて、図書館に継続的に来るようになった人がどのぐらいいるのかということがもう一つの目標となると思います。ある意味、予算上そちらの方がメインになるかと思います。絵本だけなら多分半分ぐらいの金額で済むわけですけれども、人件費も含め、今後は1年分で毎年2,000万円以上の経費をかけていく事業になるわけでありまして、これはどれほどの成果を出せるのかしっかりと検証できるようにしていただきたいと思います。引換券を同封しただけでは図書館に足を運んでくれる人もなかなか、相当の人が足を運んでくれない場合もあるんではないかと思いますけれども、その場合のちなみに引換券分の絵本はどうなるのでしょうか。
○永田子ども・教育政策課長 引き換えがされなかった分の絵本の取扱いにつきましては、年度末に配布部数等を確認の上、区と指定管理者の間で一度精算を行わせていただきまして、残余分につきましては次年度に回して使うということを想定してございます。
○甲田委員 全員の対象者が受け取ることができるようにしっかりと周知をしていただきたいと思います。例えば、ポスターなどを作って、区役所の子ども総合窓口とか、健診時にすこやか福祉センターなどに貼ることによって目に訴えることも大事ではないかと思います。周知を含め、効果的に行えるようにしてはいかがかと思いますが、伺います。
○永田子ども・教育政策課長 一人でも多くの皆様にブックスタート事業を御利用いただき、絵本の活用や図書館の利用にもつなげていけるよう、ポスターの掲示なども含めまして効果的な周知について工夫してまいりたいと思います。
○甲田委員 一人でも多くの区民が赤ちゃんのときに親子で絵本に親しむことができるよう、目標をしっかり見定めて効果的に取り組んでいただき、また、その結果を御報告いただきますようにお願いいたします。
次に、地域の子ども施設利用者のニーズ調査について伺います。今回の地域子育て支援に関する調査研究409万2,000円については、何を目的に、誰に――対象者ですね――調査をかけるのか。また、どういう形式で行うのか伺います。
○伊藤育成活動推進課長 地域子育て支援に関する調査研究については、地域の子ども施設を拠点とした保護者のニーズに合致した子育て支援サービスと子育て関連団体の活動の活性化に資する支援策の検討における基礎資料とすることを目的として実施するものでございます。本調査により地域の子ども施設の設備やその効果的な配置、効率的な運営方法等、ハード・ソフト両面についても検討を行っていく予定でございます。調査対象については、児童館や子育てひろば等の利用者及び地域の子ども施設を利用し、子育て支援活動を行っている団体を想定しており、ヒアリング形式も活用することを考えてございます。
○甲田委員 これは、どういう形式というのは、児童館職員がやるのか、委託でやるのか。また、児童館と子育てひろばと今おっしゃいましたけれども、すこやか福祉センターとかではやらないのか、その点もお願いします。
○伊藤育成活動推進課長 今回の調査に関しては委託事業を考えてございまして、すこやか等では実施しなくて、あくまでも児童館、子育てひろばで実施するというものでございます。
○甲田委員 地域の子育て支援ということなんで、子育てひろばとか地域の子育て支援団体の方は、すこやか福祉センターで活動されている方も多いと思うんですけど、なぜすこやか福祉センターではやらないでしょうか。
○伊藤育成活動推進課長 実際に、要は子育て支援施設、児童館だったり子育てひろばだったり、そういうところで活動している団体というところで特化して今回は調査を行う予定でございます。
○甲田委員 実際に地域で活動している団体に聞くということですよね。今そういうふうにおっしゃったんで......。何かありますか。
○伊藤育成活動推進課長 新たな児童館というところの役割とか機能とかというのも今後考えていくということが前提でございまして、それに関して児童館とか子育てひろばというところで特化して今回実施するというものでございます。
○小田子ども家庭支援担当部長 今お尋ねの地域の活動団体のところでございますが、これは児童館や子育てひろば等だけではなく、広く地域での様々な施設で活動されている団体等を想定してヒアリング、またはアンケートなどによりまして聞き取りをしていきたいというふうに考えてございます。
(「答弁が違うよ」と呼ぶ者あり)すみません、訂正させていただきます。大変申し訳ございませんでした。地域の活動団体につきましては、現在様々区の政策助成ですとか支援金で活動している団体等ございますので、そういう団体の方を対象にヒアリング等をしたいということで訂正させていただきます。申し訳ございませんでした。
○甲田委員 ちょっと最後に言おうかなと思っていたんですけど、これは新たな児童館というところでやっていることなのかと思うんですけど、それで児童館とかキッズ・プラザのところにこの事業が、予算がついていると思うんですが、今おっしゃったのは、広く子育て支援団体、地域で活動する子育て支援団体にもヒアリングを行うということで、それだったら、ここではなくて政策調整のところについてないとおかしいんではないかなというふうに思っています。
また、今年度、子ども・子育て家庭への実態調査として2,900万円余の予算で実施した調査がありました。昨年の予算総括質疑でもお聞きしましたが、今年度の調査は0歳から14歳の子どもの保護者並びに小学校4年生から中学校3年生の児童・生徒を対象とし、各年齢に対して1,250件、合計2万6,250件の調査発送を行うとのことでした。その目的は、子どもの貧困を含む生活実態を把握し、より効果的な子育て支援策を推進することとしていましたけれども、昨年私の予算総括質疑では、子育て支援者へのアンケートも必要ではないかというふうに質問をしましたら、担当課長は、「アンケート形式の生活実態調査の実施にあわせまして、子育て支援に関わる活動団体や相談支援機関などに対する聞き取りによる実態把握も行いまして、施策検討のための基礎資料としていきたい」と答えていました。ですので、子育て支援団体にはもう調査は終わったんだろうというふうに思っていたんですけれども、この実態調査の結果はどうなったのか、お答えください。
○永田子ども・教育政策課長 今年度実施いたしました子どもと子育て家庭の実態調査につきましては、子どもの貧困対策などの検討の基礎資料とすることを目的といたしまして、保護者1万8,750件、児童・生徒7,500件を対象として郵送配布によるアンケート形式で実施をいたしました。
本調査では、食事や健康、学習などの子どもの生活実態、世帯形態や家計の状況などの家庭保護者の状況、区の子育て環境の満足度と、強み弱みを把握するための設問を設定いたしました。
回答率につきましては、保護者が42.6%、小学校高学年と中学生を合わせた子どもが26.9%でございました。
調査結果全体につきましては、今定例会の常任委員会におきまして報告を予定させていただいているところでございます。
○甲田委員 ですから、今年度多額なお金をかけた実態調査でニーズ調査のアンケートをやりましたし、そして子育て支援団体への聞き取りも含めて行っているはずだと思います。それにもかかわらず、ここでまた支援団体に聞き取り、アンケート調査、しかも委託でやらなければならないという理由は何なんでしょうか。
○伊藤育成活動推進課長 今年度区内の子育て関連団体67団体を対象に、区に望む支援や区が行ったほうがよい取組等に関するアンケート調査を郵送により行い、24団体から回答を得ることができました。来年度は、このアンケート結果を踏まえまして、団体活動の支援に向けた詳細なニーズの把握を行いたいと考えてございます。
悩みを抱え、孤立を感じながら子育てをしているという声が多く聞こえる中で、地域の子ども施設に求められる役割はより一層重要となってございます。子どもや子育て家庭に対する包括的な支援により、子育て家庭が抱える課題を地域全体で解決していく必要がございます。多様な子育て家庭のニーズ等を把握し、それを踏まえて、一時預かりとか子ども食堂とか学習支援など施策の検討を行っていく予定でございます。併せて、施策の展開場所となる地域子ども施設の効果的な活用、活動を考慮した設備等の配置、動線の工夫、効率的な運営方法、団体支援や団体間連携の仕組み等についても検討を行っていくということで今回の調査を行う次第でございます。
○甲田委員 であれば、やはり児童館のところに調査研究というふうについているということですから、児童館だけのニーズ調査になるんではないかなと危惧をします。そして全体的な調査は何度もやっていますので、そこでまたニーズ調査をやる。そして支援団体も、新たな児童館を拠点にしているという団体が中心になってしまうと思うんですね。子ども施設における支援の在り方とかニーズについては、やらなければならないことは既にもう分かり切っているはずであります。さらに言えば、今年度の2,900万円の調査のほか、昨年度平成30年度は別途子ども・子育て支援ニーズ調査も行いました。何度調査をやれば気が済むのでしょうか。早急にやるべきニーズとしては、どう考えても私は一時保育だと思います。孤立を防ぐという意味で、やはりレスパイトのための一時保育という需要が高まっております。現行、保育園での一時保育事業もありますけれども、登録や利用に様々条件等がありまして、利用のしにくさが課題となっているからであります。私は一昨年、平成30年12月にそのことを一般質問に取り上げ、その際、酒井区長から、一時保育事業実施施設の......(発言する者あり)
○山本委員長 静粛にお願いします。
○甲田委員 「一時保育実施施設の配置や実施人数など、今年度実施する子ども・子育て支援ニーズ調査の結果を踏まえて、実施施設の充実について適切に対応してまいります」と答弁があったので、当然これは検討されてきたと思っております。一時保育などの支援の在り方は、児童館などの子ども施設だけでも保育園だけでもなく、全体として適切に仕組みを検討することが大事なのではないでしょうか。これまで一時保育の仕組みを区としてどう検討してきたのかお答えください。
○神谷子ども家庭支援センター所長 一時保育事業は、区立保育園2園に加え、九つの私立保育園で実施事業として実施しております。利用実績や子ども・子育て支援ニーズ調査の結果を踏まえまして、新年度から3施設拡充することを予定しております。また、一方で、利用のしにくさについても指摘を受けており、予約方法や空き情報の発信について工夫を進めているところでございます。今後、現行の一時保育ではない身近な場所での子どもの預かりなども含めまして、他区の事例や新たな調査なども参考にしながら、よりニーズに応えるサービス展開について検討していきたいと考えてございます。
○甲田委員 一時保育は児童館などの施設だけでなく、ファミサポなども含めた在宅家庭の子育て支援サービスとして子育て支援政策全体で考えるべきだと思います。そうなると、もし調査するにしても、先ほど申し上げましたが、企画財政費の子ども政策調整費のところでなければおかしいかなと思います。とはいえ、これまで調査は何度もしてきたことから十分エビデンスがあり、さらには子育て支援団体とのやりとりはアウトリーチの職員が行っていくべきであると思います。私はずっとこれを訴えてまいりまして、コーディネート機能にならなければならないということで、今回委託による調査費などはかけずに、検討結果を速やかに報告した上で実際の支援にお金を使うべきだったのではないかと考えます。一般財源で400万円という金額は、区民から見れば大金です。本当にこれはもったいないと考えます。児童館施設に限定したこのような調査は目的意義が見えず、問題先送りの無駄遣いとして指摘しておきます。
以上でこの項を終わります。
次に、子ども食堂について伺います。子ども食堂の補助経費が本年度も昨年度と同じく240万円で計上されています。年間24万円を10か所の子ども食堂に手挙げしてもらう見込みだったと聞いていますが、現状をお聞かせください。
○伊藤育成活動推進課長 子ども食堂の運営助成については、東京都の助成制度を活用していることから、他の助成制度を受けている場合は申請できないなどの制約もあり、令和元年度の申請件数は1件でございました。制度の周知については、区報、ホームページのほか、昨年3月に区内の子ども食堂運営団体等の連絡会において説明を行ってございます。また、6月には再度、当該連絡会において助成制度の内容等について案内を行ってきたところでございます。今後も引き続き制度の周知に努めるとともに、新規に子ども食堂の実施を希望する団体に対し、申請手続の方法など適切な案内をしてまいりたいと存じます。
○甲田委員 現状は1件ということで、それでもまた同じ予算をつけるのであれば、何か方策を考えるべきではないかと考えます。都の補助事業については、申請や報告など条件の縛りがあるため、結局申請せずに行っているところが多いのだと思います。社協のこどもほっとネットのパンフに掲載の区内の子ども食堂は、2019年7月現在で10か所となっていて、社協のネットワークに入っていない子ども食堂もあると思います。しかし、区のほうには1か所しか申請されていないということは、これはどれほど使いにくい補助金であるかが表れています。
先日参加した研修で明石市長の講演を聞く機会がありました。児童相談所設置にも自ら全国13か所の児相を見て回った結果、納得のいく児相がないので、自分が明石市に納得のいく児相をつくろうと決意し、児童福祉司や弁護士、医師も普通の児相の倍の陣容で人材確保も思い切った施策を行っていると聞き驚きました。時間がないので詳細は省きますが、市長は、市から虐待を撲滅する、泣いている子どもを一人も出さない、一人も置き去りにしないという思いから、3年かけてこども食堂を小学校区に一つ以上造ったとのことでした。現在では市長の熱い思いに呼応して全28小学校区に計42か所のこども食堂が造られているそうです。あかしこども食堂の定義は、子どもの居場所であり、気づきの拠点として位置付け、運営は市民の活動として地域の会館や小学校の中で開催をしています。このことにより児相のケースワーカーがこども食堂とつながり、早期の気づきを生かし、まちのみんなで子どもを応援するという見守りの体制の強化を図っているとのことでした。こども食堂への支援は、明細書など面倒なことは一切言わずに、年間30万円ほどを渡し切りにしているというのでさらに驚きました。また、食事ができない子どもたちがいたら、夕御飯を届けるというこども宅食も同時に実施しています。小学校区に一つがよいかどうかは別にしまして、中野区内でもそのぐらい、いつも毎日、どこかの子ども食堂が開催をしているということになれば、セーフティネットの役割をしていただけるのではないでしょうか。まずは、社協に頼りきりのこどもほっとネットワーク参加団体との連携を、中野区が積極的な支援をする体制に変え、あかしこども食堂のように踏み込んだ対策で子ども食堂を増やす取組を検討してはいかがでしょうか、区の見解を伺います。
○伊藤育成活動推進課長 現在、子ども食堂へは区が運営費の補助を行うほか、社会福祉協議会による活動費の助成や団体の立ち上げ支援、その後の運営方法の支援などを行ってございます。子ども食堂は食を通じた子どもの交流の場となってございますが、様々な事情で食堂に行くことをためらう子どもや保護者がいると聞いてございます。来年度実施を予定している地域子育て支援に関する調査研究の結果を踏まえながら、社会福祉協議会や関連部署と連携し、子ども食堂を必要とする子どもたちの利用につながるように取り組んでまいりたいと考えてございます。
○甲田委員 伊藤課長のところだけではなく、これはもう少し大きな政策としてぜひやっていただきたいと思います。そして今後、セーフティネットということですから、併せて子ども宅食も行うべきと要望いたしまして、この項を終わります。
この項の最後に、子育て先進区ということについて伺います。多くの議員が既に質問をしておりますけれども、先日委員会で報告のあった子育て先進区の考え方の言葉では、私もちょっと腑に落ちないので再度確認したいと思います。子育てする保護者の満足度が幾ら高くても、貧困や虐待、孤立などがあっては先進区とは言えないと私は考えています。切れ目ない子育て支援のために、子どもを守る地域包括ケア体制を構築していくことが最重要であります。一番困難なところに焦点を当て、貧困や孤立、児童虐待を防止すること、一人も置き去りにしないということに目標と成果の軸足を持つべきではないでしょうか、見解を伺います。
○神谷子育て支援課長 経済状況、孤立、児童虐待などによる子どもや家庭をめぐる生活の困難に向き合い適切な支援を進めることは、子どもと子育て家庭の満足度の高いまちを目指すに当たり、根底となる取組の一つであるというふうに認識しております。地域包括ケアの総合計画の策定を見据えまして、(仮称)総合子どもセンターや新たな児童館の役割、並びにネットワーク体制などの検討を進め、子どもと子育て家庭を対象とした地域包括ケア体制の構築を図ってまいります。
○甲田委員 ありがとうございます。満足度、認知度、成果をはかる指標というところがちょっとやっぱり納得いかなかったもんですから聞かせていただきました。今出されている子育て先進区の目指すところについては、前区政よりはよくなったでしょうというような相対的な効果を狙おうということになっているんではないかなというふうに見えてしまいます。アピールすることが大事なのではなくて、今まさに児童相談所を設置して、本当に子どもの危機を救えるか正念場のところに来ているときであると思います。児相設置に向けて職員は本当に頑張っていただいていると思います。そこを踏まえて一人残らず子どもの命と権利を守るというメッセージを強く前面に出して取り組んでいただきたいことを切に要望し、この項を終わります。
次に、2の安心して地域で暮らし続けられるための取り組みについての中で、木造住宅耐震改修助成事業について伺います。震災時に火災の延焼を防ぐ不燃化の取組は急務であります。そのための木造住宅密集地域と狭隘道路の解消は、中野区の喫緊の課題です。昨年も予算総括で質問をいたしましたが、今年度は整備地域、防火地域における昭和56年以前建築の木造住宅の建て替えについて、除却と建て替えのどちらかを選択できる形で助成額を大幅に増やしました。そして、防火地域では最大で400万円が助成されるようになりました。これにより私の身近でも、おかげで無事建て替えをする運びになることができて本当によかったとの区民の声をお聞きしました。令和2年度については、予算説明書を見ると、耐震化促進事業では、前年度比1億2,180万円増の6億5,630万円余が計上されています。この中で主な新規の取組は何か伺います。
○小山内建築課長 新たな事業といたしまして、耐震診断を受けた旧耐震木造住宅の耐震補強助成に1,680万円を計上し、区内全域を対象に実施する予定でございます。さらに、耐震補強助成では、希望する場合は感震ブレーカーの設置費用についても見込んでいるところでございます。
また、今年度はブロック塀等の撤去のみの助成でありましたが、新たにフェンス等を設置する場合の助成費用として139万円を計上しているところでございます。
○甲田委員 ありがとうございます。耐震改修助成は初の取組であります。我が会派では、地域特性を踏まえた上で、不燃化、建て替えなどを効果的に進めていく必要があるということを訴えてきました。しかし、建て替えを促すべき防火地域、整備地域までを含む区内全域を対象に耐震改修助成をしてしまって大丈夫でしょうか。地域全体の防災性を高める観点からいえば、老朽木造住宅がそのまま残ることになる耐震改修よりも、建て替えが進むほうが耐火率も共に向上する効果が高いと考えます。整備区域内の老朽木造住宅を耐震改修だけした場合、その後、結局建て替えが進まず、地域の防災性促進に影響が出ないのかと危惧をいたしますが、いかがでしょうか。また、昨年の総括質疑では、生活道路拡幅整備事業とブロック塀除却事業、家具転倒防止器具の取り付けなどの具体的な支援をパッケージ化し、区民が利用しやすい制度に見直し、積極的な支援策を検討していくという答弁がありました。建て替えが経済的に困難で、高齢者などがお住まいの住宅の安全確保という意味では、耐震改修だけでは不十分で、しっかりとこれらをパッケージにして実施してほしいと思いますが、併せて伺います。
○小山内建築課長 御指摘のとおり、これまでは地域の防災性向上の観点から、整備地域内の住宅に対して建て替えを原則に助成事業を行ってきたものでございます。今年度はさらなる地域の防災性の向上と建て替えを促進するため、除却支援事業の創設並びに建て替え助成限度額の引上げを行っているところでございます。ただ、現在区は、不燃化率向上を図るため新防火地域を新たに指定する区域の策定に取り組んでいるところでございますが、当然指定までに時間がかかります。そこで新防火規制実施までの経過期間での火災等による被害の抑制を図るため、重点整備期間として定め、地域防災への寄与につながる建物の耐火性能と耐震補強を条件に耐震改修助成事業を区内全域で実施することとしました。
○甲田委員 耐震改修の際には、区としては耐震補強助成をした物件がすぐに建て替えをすることになった場合でも、制限なく他と同様の建て替え助成をするのでしょうか、伺います。
○小山内建築課長 国が定める耐震対策緊急促進事業補助金交付要綱によれば、補助事業完了後10年以内に取り壊してはならないと規定されており、助成制度の重複利用を認めることは考えておりません。このため、整備地域内の建物所有者に対しては、事前相談の段階で制度の詳細について説明を行い、適切な制度の選択と活用ができるよう対応しているところでございます。
○甲田委員 そうですね。そこは公平性の観点からも、また建て替え促進のためにも、耐震改修助成を利用の際にしっかりと説明をお願いしたいと思います。と言いたいところですが、ただし木造住宅は築40年を過ぎているというわけですから、耐震補強をしたら10年間はそのまま放置されるということは、やはり防火対策上問題は大きいと思います。耐火性能を点検して10年間放置することが危険な建物には、補強よりも建て替えということを強力に指導するなど、安易な改修にならないように要望をさせていただきます。
また、耐震改修とは別に、まちの安全性や利便性、土地の有効活用、居住水準の向上などの観点から、建て替え促進に力を入れることが有効であり、緊急性も高いと考えます。区内全域の耐火性、耐震性を高めるという意味で、建て替えの促進策をもっと強力に進めるべきではないでしょうか。個人への金銭給付という形ではなくても、建設、流通、金融など事業者や業界向けの支援、助成であるとか、またネットワークづくりなど空き家対策、住宅確保対策と併せて進める方策を検討すべきと考えますが、いかがでしょうか、伺います。
○小山内建築課長 今年度より助成する住宅の定義を拡大するとともに、沿道建築物に対する建築主の制限要件を撤廃するとともに、耐震化促進の意識醸成に向けた普及啓発活動を幅広く展開しているところでございます。また、これまでは、緊急輸送道路沿道建築物の耐震化及び木造住宅の建て替えを中心とした施策を進めてきたところでございますが、今後は地域における防災性向上に向けた取組として、非木造住宅に対する耐震化事業、空き家対策なども念頭に、安全で安心して暮らし続けられるまちづくりを目指し、関係する所管と連携し、また、まちづくり協議会などと意見交換を踏まえ、課題等について検証していきたいというふうに考えております。
○甲田委員 もう一歩の取組をどうぞよろしくお願いいたします。昭和56年以前建築の木造住宅はもうすぐ築40年ということで、特に整備地域、防火地域では建て替えの促進にこれまで以上に拍車かけていくことが重要であると考えますので、さらに工夫した取組をぜひお願いしたいことを要望しまして、この項を終わります。
次に、3の区民とともに進めるまちづくりのための取り組みについての中から、1テーマ、西武新宿線連続立体交差事業と新井薬師前駅周辺まちづくりについて取り上げます。昨日連続立体交差化事業について、ひやま委員からも質問がありましたので、若干重なる部分もありますが、お許しください。
現在の新井薬師前駅、沼袋駅に関する用地取得の進捗状況については、さきの一般質問で、我が会派の南議員からも質問があり、9割以上進んだとの答弁がありました。また、事業期間が今年度までとなっていたため、事業期間変更については確認中で、国と調整中と聞いているとの答弁もありました。事業の遅れは現場を見ていれば明らかであり、近隣住民はなぜどうして遅れているのかと皆やきもきされています。
そこでまず、連続立体交差事業が遅れている原因はずばり何なのか伺います。
○荒井新井薬師前・沼袋駅周辺まちづくり担当課長 昨日以来同じような御答弁になりますが、事業に必要な用地で、いまだに御協力を得られない箇所が残っているということが原因であるというふうに東京都から聞いてございます。
○甲田委員 当然のことですが、それすら住民の皆さんはよく分からないでいます。何か意図的に遅らせているのか、やる気がないのかなど、様々な憶測の御意見が聞かれます。用地取得ができない原因は、そもそもの経緯など様々な事情も絡み合っているかと考えていますが、今後、地域住民への丁寧な説明を求めます。
また、昨日の質疑にもありましたが、地下化が何年も先になり、開かずの踏切がまだまだ解消しないということであれば、やはりこの間、危険が生じている踏切の幅を広げるなどの対策は誰もが必要と感じています。特に新井薬師前駅の第1号踏切は極めて危険な状態です。区として何か方策は考えられないのでしょうか、改めて伺います。
○安田都市計画課長 お答えいたします。踏切を含む道路拡幅は道路管理区域の変更や用地取得を伴うため、原則として都市計画事業が必要になります。踏切の拡幅は都市計画事業で行うことが必要でございます。既に連続立体交差化事業の都市計画事業を先に導入している中で、新たに踏切を拡幅することについては二重に都市計画事業を導入することになり、費用負担を含め、関係権利者をはじめ、鉄道事業者や関係機関との調整も必要になるということから難しいと考えてございます。現在進めています西武新宿線沿線まちづくりを含め、既存の都市計画道路を含む道路ネットワーク形成を考える中で対応が必要となるものと考えてございます。
○甲田委員 難しいということですけれども、それであれば、そのことも地域に説明すべきだと思っております。また、朝のラッシュ時、新井薬師前駅の踏切渋滞の原因として、昨日の質疑にもありましたが、踏切を北側から来ると南側先にある交差点の信号が朝の渋滞のネックになっています。ようやく踏切が開いても、踏切を渡ったすぐ先の信号が赤だと、バスを含めて大体3台ぐらいしか止まる場所がなく、また踏切が閉まってしまいます。別の事例ですが、16年ほど前、私が通勤で利用していた野方から高円寺までのバス路線では、環七から早稲田通りを高円寺駅方面へ右折する際に、あまりに信号の右折指示ランプの点灯が短く、ほとんどの車が右折できないまますぐに変わってしまうため、バスの中で本当にいらいらした毎日を送っていたことがありましたが、あるときからその右折信号の点灯時間がほんの5秒だけ長くなったことで、劇的に渋滞が解消されたことを覚えています。このような研究、検証は時たま行われているようですが、私は踏切と連動するようにと言っているわけではありませんで、信号の時間をほんの数秒間調整するだけでもかなり緩和されると思います。区が警察と連携して現場調査し、至急対策を講じるべきではないでしょうか、伺います。
○佐々木生活・交通安全担当課長 信号サイクルの変更につきましては、最終的には交通管理者であります警察の判断に委ねることとなりますけれども、区といたしましても、現地の通行状況の把握に努めまして、交通安全対策上必要な対策につきまして今後警察のほうに協議を申し入れたいというふうに考えております。
○甲田委員 取材をしましたら、早速動いていただいたということも聞いておりますので、本当にありがとうございます。しっかりとやっていただきたいと思います。また、現在、北口改札位置の変更により、視覚障害者の方々は誘導する点字ブロックもなく慣れない道を白杖で通行しています。私が朝の駅頭挨拶で立っている数十分の間にも白杖の視覚障害者の方が二人通られました。お一人は私の知り合いのため、このような声を以前からお聞きしています。この事業推進に当たり、工事中の動線が変わったことによる障害者の困惑は配慮されていません。工事を長く行い御不便をかける以上、どんな人にも安全な対策を可能な限りきめ細やかに行うべきではないでしょうか、伺います。
○荒井新井薬師前・沼袋駅周辺まちづくり担当課長 連続立体交差事業で改札の位置を変更する際等につきましては、従前の機能を確保しながら施工するように努めているというふうに聞いてございます。御指摘の改札口につきましても、道路の端からでございますが、改札に向かって点字ブロックを設置するなど、従前の機能を確保するというような形では対処しているというふうに東京都のほうから聞いているところでございます。
なお、御指摘の改札口につきましては、間もなくでございますが、工事着工前とほぼ同じ位置へ再度移設するというような予定になってございます。また、点字ブロックにつきましては、歩道のない道路への設置は難しいというふうに聞いているところでございます。どのように視覚に障害のある方を含めまして歩行者などの安全性を確保していくか、事業主体である東京都、施行者である西武鉄道と区が一体となって検討してまいりたいというふうに考えてございます。
○甲田委員 私も東京都の担当者まで電話をしてしまいまして、そうしましたら、従前の位置から改札が変更になっても、従前の位置からは点字ブロックがあるので、もうこれ以上は東京都、西武鉄道としてはやらない。そして区としては、点字ブロックをつけるような場所、歩道がないところにはやらないということで、本当に隙間ができてしまっていて、どこも対策に取り組んでいないという状況があったような気がします。開かずの踏切が解消すればよいわけではありません。完成後、また工事中の周辺まちづくり、すなわち駅前広場やその周辺の様相、にぎわい、安全性もどう進められていくか、住民にもあまり説明がなくてどうなっているのか分からないと、これは本当によく言われます。
次に、新井薬師前駅南側の地区の市街地再開発事業の進捗にも注目がされています。市街地再開発事業の現在の進捗状況について伺います。
○荒井新井薬師前・沼袋駅周辺まちづくり担当課長 御指摘の街区につきましては、西武新宿線沿線のまちづくり推進プランに基づきまして、連続立体交差事業に合わせまして、新たな顔となる駅前の拠点、空間づくりを目指しまして、平成28年度の中頃から関係地権者と勉強会を続けているところでございます。勉強会の開始当初から、いわゆるコンサルタントと申しますが、区が委託契約に基づく市街地再開発事業の経験等を有する事業者とともに関係権利者と地区の将来像といったようなお話合い、また事業の仕組みについての勉強を重ねてきてございます。そういった中で、事業の機運の醸成に努めているところでございます。現在、関係権利者の意向を踏まえまして、市街地再開発事業の事業化に向けた検討をより前進させるための組織づくり、これについて話合いを行っているところでございます。
○甲田委員 まだ勉強会、組織づくりの段階で、協議会にも発展していないというところで、あまり詳細にお聞きすることはできないと思いますが、既に大手不動産会社が買占めを始めているやにも聞いており、地域の方々もいろいろとうわさをしております。区として、地域の方たちの求めるまちづくりになるよう適切に誘導し、説明し、機運を高めていく必要があると考えます。
次に、区画街路第3号線、いわゆる駅前広場の用地買収が進まず、この部分を工事ヤードとして使えないと、鉄道の地下化工事に影響があるのではないでしょうか、伺います。
○菊地まちづくり事業課長 区画街路第3号線の交通広場については、バスやタクシーの乗り換えなど交通結節機能を高めるために整備するものであります。また、施工ヤードとしての活用も見込まれております。このため用地取得が進まなければ交通広場の整備は遅れるとともに、施工ヤードが確保されないことにより連続立体交差事業に影響が出ることが想定されております。
○甲田委員 その区画街路3号線の用地取得状況は現在どうなっているのか伺います。
○菊地まちづくり事業課長 交通広場部分の用地取得の対象となる画地数は全部で13画地あります。このうち3画地の地権者と契約をしております。現在1画地については地権者側で解体更地化し、二つの画地については、解体更地化に向けた準備をしております。また、そのほかの大規模な商業ビル等については、地権者との用地取得交渉に鋭意取り組んでいるところでございます。
○甲田委員 その大規模な商業ビル、駅前の共同ビルですけれども、長年駅前で営業してきたのに、思ってもみない金額で退去させられるというばかりか、権利関係が複雑で、全員合意を基本とすることから、出ようにも出られず、皆さん蛇の生殺し状態だと困惑していらっしゃいました。また、代替地や生活再建の提案も相談窓口もないという状態であります。平成30年12月の本会議で私の一般質問に対して区長から、街路事業における地権者の生活再建のために、生活再建プランナーなどの活用を検討するとの答弁があり期待をしておりましたが、検討状況はどのようになっているのか伺います。
○菊地まちづくり事業課長 地権者の生活再建のための支援についてですが、代替地の確保や宅地建物取引業関係の団体などと協定を締結し、移転先情報の充実を図ることとしております。また、来年度からまちづくり事業課内に用地担当部門を設けることで、用地測量から用地取得交渉、契約へと一連の業務を担える組織改正を行う予定でございます。今後は、用地測量から用地取得交渉まで、まちづくり事業課が一括して担うことにより、地権者一人ひとりの情報を共有しながら、よりきめ細かな対応をしていきたいと思っております。
○甲田委員 ここは職員が一人ひとりきめ細かにやるというふうな答弁だと、今理解をさせていただきました。令和2年度予算では、西武新宿線連続立体交差事業と沿線まちづくりは拡充推進となっていますが、何を拡充しているのかが見えません。予算金額は増えていますが、これはほとんどが用地買収に関わる予算が増えているだけのことです。まちづくりを円滑に進めるために、住民の理解を得ていくことや、商店街の活性化支援、生活再建に関する相談の強化など、区の職員がもっと地域の声を聞いていけばおのずと施策に反映すると考えます。酒井区長の体制になり、そういった部分のまちづくりの体制が弱まったようにも感じてしまいます。開かずの踏切は解消されないのにもかかわらず、この事業が終わらなければ、この部署にいる職員の給与だけでも相当な金額になります。区民はずっとその税金を負担していくことになります。区が丁寧かつ早急に対策をとり、将来負担を減らしていくべきではないでしょうか、区の見解を伺います。
○荒井新井薬師前・沼袋駅周辺まちづくり担当課長 御指摘の予算につきましては、連続立体交差事業に係ります負担金とともに、区が両駅周辺で進める都市計画道路の整備や駅前の拠点整備、また防災まちづくりに係る予算が計上されているところでございます。今、委員のほうから道路整備に係る予算は増額されているというお話がございましたが、この予算の大幅な増額、今後予定する担当組織の拡充とともに、まちづくりの柱となるこういった道路整備に取り組む姿勢と他の周辺のまちづくりの推進、これを併せまして拡充推進という形でお示ししているところでございます。
また、区といたしましては、沿線住民を含む多くの区民の期待に応えるために、連続立体交差事業の早期実現への努力、協力支援を強めるとともに、西武新宿線沿線まちづくり推進プランに基づくまちの将来像の実現に向けて、丁寧かつ迅速に周辺まちづくりに取り組んでいく考えでございます。
○甲田委員 大変厳しく申し上げてしまったんですけれども、区民とともに進めるまちづくりとうたっているのですから、本当にまちづくり事業課が一丸となって、地域、住民とともに大きく前進をする1年になるよう真剣な取組をお願いしたいと思います。
以上でこの項目の質問を終わりますが、当初予算の概要11ページの「三つの取り組みを支え、推進する行財政運営」という部分を質問しようと思いましたが、推進、拡充する事業を支える財政というのは、歳入の増だとか基金の取崩しなどの話かなと思いきや、ほとんどが逆に予算増につながるものばかりです。タイトルとはあまりにも内容が的外れでちょっとあきれてしまいました。このことは、我が会派の白井幹事長の一般質問でも取り上げ、指摘をさせていただきましたので割愛をさせていただき、やはり全体として危機感を持った行財政運営をお願いして、この項目を終わります。
○甲田委員 次に2番、平和事業について伺います。私たち公明党は、かねがね平和事業推進を訴えてまいりました。昨年、会派でリニューアルされた広島の平和記念資料館へ行き、広島市の平和への取組を視察させていただきました。また、長崎にも足を運び、長崎の平和祈念館も見学させていただきましたが、どちらの市も平和公園では多くの修学旅行中の小・中学生が平和について真剣に学びを深めており、改めて核兵器の廃絶、そして平和への思いとともに平和教育の大切さにも思いを深くしたところであります。
資料を作成してもらいました。ありがとうございます。総務70「ふるさと納税事業の使途別寄附額一覧(開始から現年度まで)」ということで、平成28年度から今年度令和元年度までの4年分でそれぞれの年ごとの寄附金額となっております。今年度は1月末までの寄附額です。現在区が行っているふるさと納税事業では、選べる使い道として寄附目的をこの12のメニューから選択できるということにしています。ふるさと納税という名称ではありますが、実際には寄附行為であり寄附目的にかなった使い方がされなくてはならないと思います。
資料にある寄附額の中で、平和事業に絞って質問を行います。区が活用しているふるさとチョイスのホームページによりますと、メニューの11番目に「平和事業に関すること」というのがありまして、具体的な活用としては、平和に関する事業全般に活用するとなっています。資料によると、平成28年度75万円、29年度は78万円、30年度は19万円、今年度は1月末までということで2万円の寄附があったこととなっています。
そこで伺います。今年度までにふるさと納税で平和事業に活用された金額を事業メニューごとに伺います。
○杉本企画課長 平成28年度から今年度までに寄附をいただきました金額174万円につきましては、全て今年度実施しております新しい平和資料展示室の整備費として活用してございます。
○甲田委員 現在のふるさと納税事業では、寄附金は寄附される方の目的に沿った特定目的基金に積まれることとなっており、目的に合う基金がない場合は財政調整基金に積み立てられることになっています。平和事業を目的とした寄附も、平成30年度までは財政調整基金に積まれていたものの、今年度からは平和事業については基金に積まず、直接事業費に充てることとしたと聞きます。今年度は財政調整基金に積まなかった理由を伺います。また、新年度予算ではどうなっているのか伺います。
○杉本企画課長 これまでの平和事業に係る寄附金につきましては、新しい平和資料展示室の整備に活用することを想定しておりましたことから、財政調整基金への積立てを行ってきたところでございます。今年度につきましては、当該事業を今年度中に実施することから、年度内での活用に充てることとしたものでございます。新年度予算につきましても、財政調整基金への積立ては行わず、平和事業での活用を図りたいと考えてございます。
○甲田委員 ふるさと納税以外には、中野区への一般的な寄附や環境基金への寄附等がありますが、どれも一旦は基金に積み立てられることになっています。寄附金の会計処理としては、基金に一時的に積み立てて活用していくことが望ましいと考えます。しかし、来年度予算は基準となる一般財源規模が40億円に引き上げられ750億円となりました。その結果、来年度予算は財政調整基金の年度間調整分からの繰入れは端数を除き0円となっています。このような場合、他の寄附メニューでも同様のことでありますが、財政調整基金の設置目的から、その年度は寄附を事業に充てることができません。仮に今後も一般財源歳出が基準を上回り続ければ、財政調整基金に積まれた寄附額を事業に充当することができない状況が続くこととなります。本来であれば平和事業へと寄せられた寄附なので、中野区平和基金へ積み立てることが正しいと考えますが、問題は平和基金の条例上、基準額が1億円と定められており、この基準額を取り崩すことなく、基本は運用益で平和事業を行うと定められているため、原資である1億円を取り崩さない限り、当該基金への積立てはできないこととなっております。この矛盾をそろそろ解消すべきではないでしょうか。平和事業目的で寄せられる寄附は、寄附目的を尊重し、平和基金へと積み立てられるように、中野区における平和行政の基本に関する条例の改正を行うべきと考えますが、いかがでしょうか。
○杉本企画課長 これまで複数年度にまたがる活用をする場合には財政調整基金に積立てを行ってきたところでございますが、一般財源の基金であることから、寄附金の使途、積立て状況が明確でないというデメリットがございました。また、寄附者の意思を尊重するためには、平和事業を目的として寄せられた寄附金につきましては、平和基金へ積み立てることが望ましいというふうに考えてございますので、条例改正につきましても検討してまいりたいというふうに考えてございます。
○甲田委員 よろしくお願いします。ふるさと納税のメニューには、平和事業に関することの補足として「平和資料展示室の整備を進めています」と書かれておりますが、(仮称)中野区立総合体育館が今年6月に順当に開設の運びとなれば、平和資料展示室の整備もひとまずは完了となります。我が会派が繰り返し求めている区立小・中学生によるヒロシマ・ナガサキ平和の旅について、庁内では実施に向けて検討していただいたものの、来年度は東京オリンピック・パラリンピックの観戦もあり事業化を見送ったとも聞きます。
そこで、来年度以降は平和事業に関することという大きなくくりではなくて、寄附が何に使われるか分かりやすい具体的な寄附目的として、ヒロシマ・ナガサキ平和の旅などの支援に目的を変えてはいかがでしょうか。そしてそのために、令和3年度からの実施を目指してはいかがでしょうか、伺います。
○杉本企画課長 寄附金の具体的な使途を明示することで、寄附者の賛同が得られ、区の平和の取り組みへの関心を高めることができるものと考えてございまして、寄附の目的を平和の旅として寄附を募ることにつきましても検討してまいりたいと考えてございます。実際に被爆地を訪れ、核兵器の悲惨さや平和の尊さを身近に体験することは意義があるものと考えてございます。平和の旅につきましては、他自治体での取組も参考に検討を進めてまいりたいと考えてございます。
○甲田委員 前向きな御答弁で、期待しておりますので、よろしくお願いいたします。
次に3番、アール・ブリュットの振興について伺います。アール・ブリュットとは、美術教育を受けていない生のままの芸術と言われています。私は、このアール・ブリュットは、文化芸術、障害者差別解消、まちの活性化など、区の目指すべき方向に幾重にも寄与できるものであると考えています。
東京都では、公明党の高倉良生都議の推進で、以前よりオリンピック・パラリンピックイヤーにおいては、都内でアール・ブリュット芸術振興のための展示会などを大きく展開する予定と聞いています。東京のアール・ブリュットの原点は中野でありますので、当然中野区も先頭を切って協力をする空気があるように感じています。9年前より私は、前任の岡本区議より引き継いで、アール・ブリュットの振興を後押しすべきと度々訴えてまいりました。区内商店街が10年前から実施してきた中野アール・ブリュット10周年記念展も絶賛開催中で区内外から人を引きつけています。商店街の中で散りばめられている展示作品を探しながら街歩きをするのも楽しいものであります。
10年たって、街中まるごと美術館!も定着してきた感がありますが、やはり美術作品は静かに鑑賞したいときもあります。数年前までは常設の美術館があることを望む声もありましたが、美術館の運営維持、継続はなかなか大変であることや、アール・ブリュットはその作家たちについて障害者の方も多く、特に利益を追求していないことから、もう少しハードルを下げた形で公共施設内のロビーや廊下などふだん目にする場所などに掲げたり、その延長に時々展覧会を開催する部屋があったりということが日常から芸術に親しむことにもつながりよいのではないかと考えています。東京都庁の展示ギャラリーや展望ロビーに時々見られるアール・ブリュット展は、雰囲気もよく、敷居も低く見やすいと感じてきました。中野区でも、例えば、区役所の新庁舎の中にアール・ブリュットを展示してはいかがでしょうか。また、アール・ブリュットだけではなく、区民の文化芸術表現活動を支援できるようなスペースを設けられるような造りにしておくことは可能なのでしょうか、伺います。
○中村新区役所整備課長 新庁舎1階には、区民が集うイベントスペースやロビーを設置する予定でございます。これらのスペースを活用しまして、アール・ブリュットなど様々な展示や催しができるよう整備していきたいと考えてございます。
○甲田委員 非常にあっさりとした答えでしたけれども、心は熱いと信じておりますので、ぜひよろしくお願いいたします。
また、なかのZERO(もみじ山文化センター)についても指定管理者の協力をいただき、ここに来ればアール・ブリュットに触れることができるという工夫ができると思いますが、いかがでしょうか、伺います。
○藤永文化・国際交流課長 なかのZEROでは、区民等に対して美術作品を展示するギャラリーの貸出しを行っており、またロビーやホワイエにおいては、中野区ゆかりの作家の芸術作品を建設時から展示しております。アール・ブリュットの展示については、2016年と2019年になかのZEROの展示ギャラリーにおいて展覧会が行われているところでございます。新たな芸術作品の展示につきましては、指定管理者と協議しながら今後検討していきたいと考えてございます。
○甲田委員 ありがとうございます。画一的な物差しで人を評価しがちな現代において、このような創造性豊かな芸術を通して作品とその背景に触れることで区民が得られるものはとても大きいと感じています。何より大切なことは、健常者と障害者というような枠にはめて捉えることではなく、どこまでも個性を大切にし、他者を尊敬・尊重できることが真の多様性であるということを教えてくれるのがアール・ブリュットであり、この芸術は中野の宝であり、まさにボーダーレスな社会をつくる大きな助けになると考えます。こうした意義を踏まえて、アール・ブリュットの振興に今こそ力を入れるべきと考えますが、区長の見解を伺います。
○酒井区長 アール・ブリュットは、これまで福祉団体、商店街、企業など裾野の広い取組が行われておりまして、文化芸術を振興する上で貴重な芸術のコンテンツであると認識をしております。今後も福祉団体や商店街、企業等と連携しつつ、各種団体に対する情報提供などを通じてアール・ブリュットの振興を支援していきたいと考えております。
○甲田委員 ありがとうございます。ぜひしっかりと取組をよろしくお願いいたします。
最後に4番、動物愛護推進施策について伺います。
私たち公明党は、人と動物との共生社会を目指す政策も推進してまいりました。また、動物介在教育の大切さは、私もかつて提案させていただき、自民党さんからもかねがね御提案があったと思います。令和2年度東京都教育庁の予算案の中では、動物飼育に関わる指導の充実を図るため、学校飼育動物にかかる獣医師を活用するためのガイドラインに基づく教育を推進するとともに、ガイドラインに沿った学校動物飼育を行う区市町村を支援――これは一応200校という予定だそうですけれども――というものがあると聞いています。まだ予算成立前ですけれども、先日東京都の担当に電話して伺ったところ、学校飼育動物にかかる獣医師を活用するためのガイドラインには、東京都獣医師会との連携がうたわれているそうです。区の教育委員会がもしこの事業を利用するとすれば、東京都獣医師会の下部組織である区の獣医師会支部との協定契約が必要になります。ウサギやチャボなどの学校飼育動物は、現在は限られた学校でしか飼育しておりませんが、全ての責任を教員に委ねる体制になってしまっているので、縮小してしまっていることもあろうかと思います。獣医師会からの協力があれば、飼育に関するアドバイスはもちろん、何かあったときに柔軟に支援をしていただくことが可能になると聞いています。このような事業を利用して、学校飼育動物における動物愛護教育を進めるべきではないでしょうか。せっかく東京都がここまで促していただいているのですから、活用方法を次年度に向けて検討してはいかがでしょうか、伺います。
○宮崎教育委員会事務局指導室長 動物を飼育することは生命を大切にする心や他人を思いやる心を育む上で大いに役立つと考えております。御提案の事業につきましては、まだ詳細を承知していないために、今後の通知等を待ちたいと思っております。
一方、現在東京都の動物飼育推進校、これは2年間にわたって獣医師と連携した環境整備や体験活動を推進する学校を支援する制度でございますが、こちらを応募している小学校や動物園の研修に教員が参加して新たにモルモットを譲り受けた小学校もございます。
今後もそれぞれの学校の状況に応じ、東京都の事業や動物園の事業などを学校に紹介するなどして、動物愛護教育を支援してまいりたいと考えております。
○甲田委員 そうですね。推進校の取組としてやっていただいているということに、非常にありがたいなと思いますけれども、今回の東京都の獣医師会のガイドラインに基づく教育推進というのは、それとともに新規で活用できるということになったと聞いておりますので、ぜひ検討をお願いいたします。
また、私も相談を受けて大変だった経験があるのですが、独り暮らし高齢者が犬・猫等を飼っていて突然入院してしまうということがあります。ペットが病気になった場合に備えるペット医療保険とともに、最近はNPOなどが飼い主の病気や死亡によって里親探しをしなければならないペットの保護や支援を行うような保険もあると聞いています。このような備えに関する相談を受けてくれる窓口も今後ますます必要と思われます。東京都福祉保健局の予算案には、地域生活支援の包括補助の中で、地域における動物の相談支援体制整備事業、これは飼い主がペットの飼育が困難となった場合の地域の問題についてボランティアと連携して相談支援を行う体制を確保し、共生していく仕組みを構築する区市町村を支援する事業ということですけれども、こういったものもありまして、補助率は10分の10だそうです。このようなものも活用して終活の課題などに取り組んで、動物愛護を推進してはいかがでしょうか、伺います。
○菅野生活衛生課長 区はこれまで愛護動物を最後まで責任を持って飼うなどの適正飼養につきまして、犬や猫の飼い方教室、ペット相談会、ポスター掲示などにより周知啓発を行ってまいりました。高齢者がペットを飼うことは、健康面での効果や日々を送る上での癒しや生きがいにつながると言われておりまして、重要であると理解しております。万が一、飼い主の方が健康上の理由などで飼えなくなった場合の対応につきましては、ケアマネジャーなどとも連携しながら普及啓発を強化していく必要がございます。このような背景を踏まえまして、東京都におきましては令和2年度から開始いたします地域における動物の相談支援体制整備事業は、ボランティア団体などと連携いたしまして、地域における動物に係る問題を解決する仕組みの構築を進めることを目的としております。区は今後、愛護動物に関します各種事業を推進しております公益社団法人東京都獣医師会中野支部や東京都動物愛護推進員などから御意見を伺い、先行区の動向を注視するとともに、実施に向けた課題を整理し、都の事業の活用について検討してまいりたいと考えております。
○甲田委員 丁寧なお答えありがとうございました。先ほどの総務70の資料にもありますけれども、寄附額の中でも一番金額の多いものがこの動物愛護となっております。これほどの皆さんの思いをしっかりと施策にしなくては申し訳ないと思いますので、しっかりと取組をお願いしたいと思います。
以上をもちまして、私の全ての質問を終了いたします。ありがとうございました。
○山本委員長 以上で甲田委員の質疑を終了します。