1.すべての人への地域包括ケアシステムについて
(1) 介護保険と介護資源について
(2) 医療資源について
(3) 困窮者支援について
(4) 福祉の窓口とアウトリーチについて
(5) 子どもの地域包括ケアと新たな児童館について
2.子育て支援について
(1)子ども食堂と食の支援について
(2) ひとり親家庭支援について
(3)妊娠・出産・子育て・トータルケア事業について
(4)保育について
(5) 学童クラブについて
(6) 障害者の地域包括ケアについて
(7)その他⇒出産応援事業について
3.健康福祉施策について
(1)糖尿病重症化予防について
4.その他 (なし)
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○甲田委員 令和3年予算特別委員会にて公明党議員団2番手で質問をさせていただきます。質問はほぼ通告のとおりでありますけれども、1の最後の(6)、障害者の地域包括ケアにつきましては時間の関係で割愛させていただきます。
長期化している新型コロナウイルスの影響で、かつてない危機と困難を共に乗り越えていくために、こういったときだからこそ大事なことは何なのか、私なりに真剣に考え、真摯に質問をさせていただきたいと思います。区長、理事者におかれましては、どうか誠実かつ明快な御答弁をよろしくお願いいたします。
まず初めに、1、すべての人への地域包括ケアシステムについて。質問に入る前に私の持論を述べさせていただきます。地域包括ケアシステムにつきましては全世代型ということが今言われておりますけれども、全世代型のシステムを作るといっても、高齢者、障害者、子どもはおのおの同じシステムにはならないと思っております。なぜなら仕組みや基盤が違うからです。高齢者の地域包括システムには介護保険制度というものがあり、医療と介護を組み合わせることによって基盤ができると思います。また、障害者の場合も障害者総合支援法により計画相談があり、相談支援員がいて、また、障害福祉サービスにも報酬があるという一定の制度があります。それぞれ社会保障制度に基づいて基盤があると思います。ただし、子どもや若者には医療保険しかありません。サポートをする必要のある人でも障害児以外は保障制度がないので、将来的には国で何らかの保障制度をつくるべきと考えております。子育てでは、一番最初に困難に陥りやすい妊娠期から産後の部分に対する法律ができて、産後ケアが自治体の努力義務とはなりましたが、担い手の確保、養成等、まだまだ課題が山積です。これらのことから、まずは別々の課題に応じた地域包括システムを作ることで全世代型の全体が見えてくると考えております。この思いを踏まえて質問に入ります。
(1)介護保険について。中野区の今後の推計によれば、19年後の2040年には高齢者数はピークを迎えるとされております。今年度、令和2年度の中野区高齢者人口は6万7,891人で、人口約33万5,000人から見た高齢化率は20.3%です。令和7年度までは高齢者人数も高齢化率もほぼ横ばいで推移する見込みです。高齢者人数は直近2年間はほんの少し減少したとのことです。しかし、令和3年度からは微増と推計されております。
先月、厚生委員会に第8期介護保険事業計画案が示されました。その中では、この第8期、すなわち令和3年から3年間では介護給付費準備基金を10億6,000万円取り崩すという見込みの報告がありました。これまでの経過を見ますと、平成12年の介護保険制度導入以来、中野区の介護給付費準備基金の取崩しは過去3回、第2期で約3億2,700万円、第4期に約5億700万円を取り崩し、現在の第7期では約1億3,000万円を取り崩したものの、平成24年からはずっと剰余金を積み立ててきました。さきの補正予算においては、コロナ禍ということもあって介護給付費の大幅な減額補正もあったため、令和2年度も剰余金は見込まれると考えます。そう考えますと、第8期にはこれまでにない10億6,000万円という多額の基金取崩しとなるわけですが、これはどのような推計に基づくものでしょうか。また、取り崩し後の準備基金残高は幾らになる見込みでしょうか、伺います。
○葉山介護・高齢者支援課長 第8期介護保険事業計画期間における介護給付費等は、各サービス種別ごとにこれまでの給付実績を基に推計いたしまして約686億円と見込んでおります。介護保険料の負担が家計に与える影響を鑑みて、第8期の保険料基準額は第7期と同額になるように試算したところ、準備基金を取り崩す額は10億6,000万円必要であり、取り崩し後の基金残額は約18億円となる見込みでございます。
○甲田委員 ありがとうございます。
次に、保険料設定について伺います。第8期の保険料基準額は第7期基準額と同じく据え置きにし、保険料所得段階区分も17段階のまま変更なしということですが、コロナ禍の影響で逼迫している方が多い中、将来に向けて準備基金をたくさん取り崩すのであれば、超高額な所得の方の部分に関して本当に見直しをしなくてよいのかも含め、保険料設定の根拠について御説明をお願いします。
○葉山介護・高齢者支援課長 第8期介護保険料の段階区分及び料率につきましては、第7期のものをベースに、コロナ禍における家計への影響を鑑みて保険料額は上げないことを目標に設定いたしました。高所得者層の段階区分の料率につきましては、各区の動向なども参考にしつつ、料率を上げた場合などの試算を行ったり、適正な介護給付費準備基金の残額についても検討を行いました。結果といたしまして、高額所得層の段階区分の料率を上げても、被保険者数が少ないため、保険料基準額があまり下がらないことから据え置くことにしたものでございます。
○甲田委員 次に、介護給付の見込み量について伺います。この第8期の計画案では、2018年度から2020年度までの実績に基づき推計されていると先日委員会でお聞きいたしました。それにしても、今後3年間のサービス見込み量は随分と低く見積もられている部分が多いと考えます。例えば通所介護、いわゆるデイサービスや訪問入浴、通所リハビリ、ショートステイなどについての見込み量を見ますと、2022年度、2023年度においても、新型コロナの影響が全くなかったときの2018年度、2019年度の数字にはほど遠く、かつての給付量には戻らないという形に見込まれております。冒頭述べましたように、高齢者人口が2019年度は微減していますし、2020年度は新型コロナの影響で通所控えをされた方が多かったとのことで、その通所控えの影響もあってか、中野区のデイサービスは、今年度、昨年の4月から現在までに閉鎖をした事業所が8事業所もあると聞いております。これは一体どういうことなのでしょうか。新型コロナの収束がないと見ているのかとも思うようなサービス見込み量ですけれども、どのように推計しているのか、伺います。
○葉山介護・高齢者支援課長 新型コロナウイルス感染症による介護サービスの利用控え等の影響で、令和元年度の終わり頃から令和2年度にかけて介護給付費が前年同月比で落ち込んでいるという状況でございます。その影響につきましては、第8期介護保険事業計画期間中のある時点で収束をして、その後は給付費は右肩上がりに増えていくものと想定しております。いつ収束するのかを見極めるのは現時点では極めて困難でございますが、これまでの各サービスの利用実績の動きや感染症対策の動向などから推計をしたというところでございます。
○甲田委員 そうすると、第8期までは新型コロナの影響が及ぶというふうに見ているということでよろしいんですかね。そこから急激に伸びていくということに聞こえました。
それで、在宅介護にしても限界が来たときの介護老人保健福祉施設、介護医療院は絶対的に不足していると思うんですけれども、今回の計画では、介護老人保健福祉施設の整備は見送るとしています。介護医療院も今後増やさない予定とのことですけれども、理由は何か、伺います。
○葉山介護・高齢者支援課長 介護医療院につきましては、第7期の計画で作成したとおり、介護療養型医療施設からの転換により整備をいたしました。それから、介護老人保健施設でございますけれども、平成31年度に区南部の公有地の活用によりまして整備事業者を誘導、開設した結果、現在では区の南北1か所ずつの配置となっているところでございます。いずれの施設につきましてもニーズは高く、利用者の増加が見込まれるところでございますが、第8期の期間としては、その後の具体的な土地の確保や新たな参入が見込めないため、第8期計画では整備目標をゼロとしたものでございます。国有地や都有地を含めた公有地の活用が見込める場合には引き続き整備を進めていく所存でございます。
○甲田委員 土地の確保ができないから整備を諦めるということはちょっと違うのかなと思います。区内二つ目に整備ができました介護老人保健福祉施設も、昨今の介護人材不足で、ベッド数は空いていてもスタッフの確保ができないため入所定員を下回っているという現状があるようですから、まずは介護人材の確保支援で全室入所を目指すというような目標でもいいのかなと思います。特別養護老人ホームとは違い、介護老人保健福祉施設や介護医療院は待機人数というものが常に変わるため、データがなく、どれだけ困っている人がいるかのエビデンスがつかめないものだと思います。しかし、区はこれらが必要という認識はあるにもかかわらず、第8期において整備できないというのであれば、それでは、どのようにして在宅介護の限界を超えた人を支えるのか、遠方に入所していただくのか、あるいはショートステイや通所介護を増やすなどするしかないと思うのです。いずれにしても、先ほどの介護サービスの見込みではとても甘いんではないかなと私は感じます。現場の方に聞き取りをしていただき、介護に疲れ、逼迫している方たちをどうするのかという方向性をしっかりと示すべきではないかとの問題提起をいたしまして、次の質問に移ります。
○山本委員長 甲田委員の質疑の途中ですが、ここで休憩にしたいと思います。
午後2時59分休憩
午後3時19分開議
○山本委員長 委員会を再開いたします。
休憩前に引き続き、総括質疑を行います。甲田委員、質疑をどうぞ。
○甲田委員 次に、(2)医療資源について伺います。地域包括ケアシステムは言うまでもなく医療と介護の連携、連結が非常に大切です。医療と介護のはざまで入院可能な病院は今後ますます重要となります。区は、在宅医療をバックアップし、地域包括ケアシステムを支える医療拠点を区内に確保するために医療機関誘致の公募を行いました。しかし、一度の不調で再公募にかけるべき用地である旧中野中学校跡地を簡単に別の用途へと転換をしてしまいました。医療機関誘致の優先順位はそれほど高くなかったのだろうかと感じたところでありますが、改めて区内に地域包括ケアシステムの拠点となる医療施設が必要な理由についてお伺いいたします。
○鈴木保健企画課長 超高齢社会を迎えまして、区民が住み慣れた地域で安心して暮らし続けるためには、在宅療養の充実とともに、かかりつけ医を支援する病診連携の推進や回復期医療の提供等を行う中核的な医療機関を確保することが重要でございます。加えて、今回の新型コロナウイルス感染症の感染拡大によりまして、新興感染症に対応できる地域医療支援の拠点となる病院が不可欠となったことが明らかとなりました。したがいまして、医療機関を誘致する必要性はますます高まったと考えております。
○甲田委員 ありがとうございます。厚生委員会では何度もその答えをお聞きしているんですけれども、どうもその担当の課長の言うことと区の全体の動きのつじつまが合わない、矛盾をしているなと感じております。
そこで、区長にこれはどうしてもお聞きをしたかったのですが、医療機関誘致の必要性や他の施策との優先順位はどのように区長は考えていらっしゃいますでしょうか、伺います。
○酒井区長 今、担当からもお話ししたとおり、今回の新型コロナウイルスの感染症の関係でも医療機関の重要性というのは痛感したところでございます。今後の地域包括ケアの展開、そして感染症対策などを見据えると、区内で確実に確保していくことが必要であるということで考えております。非常に重要度の高い施策だとは思います。一方で、医療政策につきましては広域的な二次医療圏等の観点で検討する必要もあるため、今後、東京都や関係機関との綿密な連携も図りながら着実に検討を進めて具体化を目指していきたいと考えております。
○甲田委員 優先度は高いけれども、いろいろほかにも課題があるというふうに受け取れましたけれども、もう一点区長に伺います。基本計画案において重点プロジェクトに位置付けた地域包括ケア体制の整備における高齢者の取組についてはいつまでに形にするおつもりでしょうか、伺います。
○酒井区長 高齢者を対象とした地域包括ケアシステムにつきましては、団塊の世代が後期高齢者となる2025年に向けて喫緊の課題として取り組んでいるところでございます。これまでの具体的な成果としては、地域ケア会議における多職種ネットワークの構築やアウトリーチチームの設置、高齢者会館等における住民主体サービスとしての介護予防・日常生活支援総合事業の開始など、基盤整備という意味において体制はできつつあると考えております。しかしながら、地域包括ケア体制は社会状況や人々の意識の変化に柔軟に対応していくことが求められておりまして、その意味で完成形はないというふうに考えております。また、これまでの取組から高齢者の問題だけにとどまらないケースも多く、高齢者だけを切り離して捉えずに全ての人を対象とした地域包括ケアの展開の中で発展、充実を図っていきたいと考えております。
○甲田委員 完成形はない中で全世代型の地域包括ケアシステムを作るということですけれども、この全世代型の前提となる高齢者の地域包括ケアシステムの肝は医療と介護の連携、基盤づくりであると考えます。地域包括ケアシステムを担う医療機関といっても様々な問題や医師会との連携とか協議があると思いますけれども、だからこそ、より誘致する医療機関が手を挙げやすいような条件の土地、環境を真剣にこれからも考えていただくことを切に要望しておきます。
次に、(3)困窮者支援について伺います。ここでは1点、生活援護課と他部署との連携について伺います。今般の新区役所整備に伴う生活援護課事務室の現教育センターへの移転についてですが、なぜこの段になって生活保護の事務室だけスペースが足りなくて移転するということになったのか、私は全く合点がいきません。福祉事務所が庁舎外にある区もあることは承知しておりますが、その場合の経緯や複合施設の在り方、人員体制もそれぞれ様々です。そこで、厚生委員会で、困窮者の相談に当たっては生活援護課とどの部署との連携が必要になるのかただしたところ、国民健康保険、障害福祉、介護保険の窓口などとの連携を行う場合があるとの御答弁でした。公明党議員団は数限りない生活相談を受けております。その経験から、国民健康保険、障害福祉、介護保険もそうですが、さらに、人によっては子ども総合相談、住宅、または社会福祉協議会なども密接に関連してくると考えます。生活保護申請の前後にこれらの窓口にも行くこととなる可能性が十分あり得ると思いますが、その場合の連携についてはどのように検討されたのか、伺います。
○中村生活援護課長 生活保護の窓口に来所された方がさらにほかの窓口にも行かなくてはならないという状況を解消していく方向で検討しております。具体的な検討といたしましては今後詰めていくことになりますが、例えばほかの部署とオンラインで結んだり、新区役所庁舎への生活困窮者相談機能の配置やすこやか福祉センターとの連携強化を考えてございます。
○甲田委員 厚生委員会のとき、またはいろんなところで聞いたときには他部署との連携を職員が頑張ってしますと言われましたが、今お聞きしたら区民が行かなくてもいいようにするということですね。もう一度お聞きします。
○中村生活援護課長 具体的には今後詰めていくことになりますけれども、そのような方向で検討をしてまいります。
○甲田委員 それができるのであれば本当に検討していただきたいと思います。本当にそれはお願いしたいと思います。
また、職員の執務スペースが問題なのであれば、区民の方が来庁する必要のない、窓口がない部署が庁外に出ればよいと思います。プライバシーが問題なら、新庁舎のレイアウトで工夫すればよいことではないでしょうか。新庁舎に相談機能を残すといいますが、生活保護そのものの申請はやっぱり庁舎外の福祉事務所まで行かなければならないということではないでしょうか。そして、受給できると決まったら、また今度は庁舎内の国保の喪失手続や障害福祉の窓口に再度戻される可能性もある。これは今こういうことになっております。現在の教育センターの場所は新区役所から七、八百メートルあります。区民に歩け、お金がない人にバスに乗れと言うのでしょうか。悲しくなって申請を諦めてしまう人が出るのではないかと現時点では心配しております。区民にとっての利便性、確実性が大事です。基本構想・基本計画にうたう誰一人取り残さない包括的な支援体制はどこに行ってしまったのか、見解を伺います。
○酒井区長 生活保護機能の移転につきましては、今後に想定している生活困窮者への相談支援体制の充実を見据えながら、生活保護受給者の増加見込みや各部との連携を踏まえて今後の施設配置を検討する中で総合的に判断したものでございます。利便性を確保し、多様な課題に対応できる相談窓口として整備を行うことで、新たな基本計画に位置付けている誰一人取り残されることのない支援体制の構築、これの実現を図ってまいりたいと考えております。
○甲田委員 今のお言葉をしっかりとやっていただけるということで、本当に支援が切れてしまう、または制度のはざまどころか物理的な溝が大きく広がるということがないようにしていただきたいと思います。職員のほうがオンライン会議もできますし、自転車で動けるかもしれませんけれども、そういったことができにくい人たちにあちこち行き来させるということが本当にないようにしていただきたいと思います。社会的弱者と言われる方たちに一番手厚く支援するのがこれからの福祉の在り方ではないかと申し上げて次の項に移ります。
次に、(4)福祉の窓口とアウトリーチについて伺います。我が会派は今回いま一度福祉の窓口のワンストップ強化を望み、質問をさせていただいているところです。コロナ禍で得られたオンラインなどの環境を使い、今後、近い将来にはもっとITを活用する中で窓口相談機能も抜本的に変えることができるのではないかと考えます。例えば相談したい区民が一番身近な区有施設、区活などに行けば、オンラインによっていろいろな窓口につながることができるという仕組みをこれからは作ってもよいのではないかと考えます。そう考えると、そもそもすこやか福祉センター単位を日常生活圏域としていることも、そこに固執する必要もないのではないかなというふうにも思います。すこやか福祉センター自体、交通の利便性が整っていないところもありますので、もっと区民の利便性、効率性と将来的な施設の持続性についてこの機会に根本から考えてほしいと思っております。
そこでまず伺いますが、そもそも中野区の日常生活圏域として四つのすこやか福祉センター、10年後から五つのすこやか福祉センターですけれども、そのすこやか福祉センター地域とするのはなぜでしょうか、伺います。
○高橋地域包括ケア推進課長 日常生活圏域は本来平成17年の介護保険制度改正により設定を求められたものでございますが、国は、地理的要素や地域資源などの特性を勘案し、それぞれの実情に合わせて設定するものであると説明しており、現状では区は四つの圏域としております。日常生活圏域は、地域の支え合いの仕組みづくりや地域に密着したサービス施設を整備していく上での地域の単位としての意味を持っておりますため、すこやか福祉センターを配置してきたものでございます。
○甲田委員 すこやか福祉センターの下には区民活動センターがそれぞれありますのでよいのかなとも思いますけれども、それでは、地域包括支援センターはどうでしょうか。なぜ8か所のままにするのか、その根拠を伺っておきたいと思います。
○高橋地域包括ケア推進課長 今後、単身高齢世帯、高齢者のみ世帯の増加とともに認知症患者も増えることが想定されるため、地域包括支援センターの役割はますます重要となります。現在検討中の中野区区有施設整備計画では、各日常生活圏域に2施設の設置を基本とし、すこやか福祉センターの配置数に合わせて新規整備することとしており、2026年度から2030年度の間に1か所を新設することとしております。今後の配置の在り方、職員体制などにつきましては社会状況等の変化を踏まえて検討を進める必要があると考えております。
○甲田委員 中野区は地域支え合いということを基盤としての地域包括ケアシステムを作ろうとしてきたと思います。町会、民生委員や社協の活動は区民活動センターごとに顔の見える関係を築いておりまして、今後もそれは変わらないものであると思います。私は地域包括支援センターもその単位に合わせた形であったほうがよいのではないかと思っておりました。だからといって包括支援センターの施設を増やすということではなくて、社会福祉協議会、区民活動センター、包括支援センターの活動地域をそろえてアウトリーチをしやすくしてはどうかと思います。現状でも連携はしておりますが、地域ごとにより密接な関係を作れれば、より一層社会福祉協議会や地域団体との協働・協創の取組も進み、連携が取りやすくなると考えますが、いかがでしょうか、伺います。
○高橋地域包括ケア推進課長 区民活動センター圏域では以前から住民主体の活動が活発に行われております。地域包括支援センターの一部など区民活動センター圏域と合致していないところもございますが、住民にとって最も身近な地域活動の圏域である区民活動センター圏域を地域包括ケア体制整備の基軸に据えることによって様々な連携、協力を円滑化していきたいと考えております。
○甲田委員 また、社会福祉協議会、地域包括支援センター、区のアウトリーチチームが銘々に、または重複した動きをしていることで気になる点が幾つもあります。例えば個別のケースワークで介護保険制度につなぐといった支援などです。豊島区では、社会福祉協議会がコミュニティソーシャルワーカー、いわゆるアウトリーチを担っています。中野区も社会福祉協議会の職員は既に区活単位で地区担当がおりますが、担当職務が変わらないということでノウハウが蓄積されています。それこそ断らない相談とも言える福祉何でも相談を受けていることや、地域をよく知り、顔の見える関係を作っています。区のアウトリーチチームはもちろん頑張っていらっしゃいますが、兼務の職務もある中、個別案件については包括支援センターとすみ分けできていない部分もあり、一方で団体の支援と地域づくりというミッションまではまだ到達ができていないと考えます。今後職員を無限に増やすわけにはいきません。アウトリーチチームは個別の深みにはまるのではなく、社会福祉協議会や包括支援センターなどの職員、また、地域団体、民間団体を後方支援しつつ、課題を一緒に考える中で、必要な政策を区へ提案する人材として少数精鋭で活躍していただくことが大事と考えます。この際、個別のアウトリーチについてはコミュニティソーシャルワーク事業として社会福祉協議会に委託をしてはいかがでしょうか、伺います。
○濵口アウトリーチ調整担当課長 委員御指摘のアウトリーチチームの課題等を踏まえ、支援活動をより効果的に行っていくため、社会福祉協議会等との役割分担や連携の在り方について検討を進めてまいります。
○甲田委員 将来を考え、今が一番変革をできるチャンスだと考えての質問ですので、ぜひ検討していただきたいと思っております。
次の項に移ります。次に、(5)子どもの地域包括ケアと新たな児童館について伺います。2019年10月、区は子ども文教委員会にて、新たな児童館は、職員によるアウトリーチ活動の拠点とし、すこやか福祉センター及び(仮称)総合子どもセンターと連携し、日常的な見守り支援の中で支援が必要な子どもと子育て家庭を発見し、様々なサービスや関係機関等につなぐということで地域包括ケアシステムの拠点にするという報告をされました。その後、区は言い方も二転三転しているように感じますので、改めてお伺いします。児童館はどのようなことで地域包括ケアシステムのための拠点となり得るのでしょうか、伺います。
○細野育成活動推進課長 児童館は、子どもと子育て家庭の課題の発見や予防など日常の状況把握に努めるとともに、支援が必要な子育て家庭の身近な相談支援機能を担ってまいります。すこやか福祉センターや子ども家庭支援センター、児童相談所と連携し、問題解決を図り、継続的な見守りを行うことで子どもと子育て家庭を対象とした地域包括ケアシステムのための拠点となり得るものというふうに考えてございます。
○甲田委員 「新たな児童館」が「新たな機能を備えた児童館」に言い方が変わった経緯もありました。一番最初は「生まれ変わる児童館」というふうに言っていたと思うんですけれども、これらの言葉には今の児童館条例を廃止するのかどうかの迷いが現れているようにも思います。
そこで伺います。児童館は条例を廃止せず、今の児童館の学童クラブがないだけのものに、また、新たな機能を付け加えただけの児童館にするのか、それとも条例を廃止して、区民からの求めが多い、例えば日曜、月曜も使えるなどの新しい施設として生まれ変わらせるのか、ずばりどちらなのでしょうか、伺います。
○細野育成活動推進課長 新たな機能を備えた児童館は児童福祉法に基づく児童館であり、中野区立児童館条例の位置付けを変えるものではないというふうに考えております。また、児童館の利用日や利用時間の拡大を行う場合は、条例施行規則に規定する利用時間、休業日等に係る規定を改正して対応していく考えでございます。
○甲田委員 条例を廃止しないということであれば、これまでどおりのものが9館残って9館はなくなるということになろうかと思います。これまでどおりのものに学童保育がなくなって新たな機能が付け加わるということかと思います。しかし、民間の活力を入れることを可能とし、区民サービスが向上するためには指定管理などの選択肢もあるかと思います。いずれにしても、区民にとって利便性と安心が向上し、将来に持続可能性の高いものにしていただきたいと考えます。こういったところにも構造改革のヒントはあるのではないかと考えます。その上で新たな相談機能を充実させるというのであれば、やはり気軽に相談ができて、異変に気づいてくれ、あらゆる子育て支援情報を駆使して寄り添ってくれる専門の人、いわゆる子育てコンシェルジュとも言うべき人がいることも大切です。全児童館に、現在も児童館で行っている地域子育て支援拠点事業に加え、一時保育事業、利用者支援事業の三つをセットにして展開すべきと思います。これらは国の補助事業です。利用者支援事業については各自治体で活用施設は様々で、基本型、特定型、母子保健型の三つの事業類型があります。中野区では現在すこやかの4施設で基本型と母子保健型、区の子ども総合相談窓口のいわゆる保育コンシェルジュで特定型を設置しておりますが、これを新たな児童館でも行うことで地域包括ケアシステムの拠点となり得るのではないかと考えますが、検討してはいかがでしょうか。
○細野育成活動推進課長 御案内いただいた三つのセットのうち、一つ目の地域子育て支援拠点事業につきましては現在も乳幼児対応事業としてほとんどの児童館で実施しているところでございます。新たな機能を備えた児童館の具体的事業の内容が現在検討中でございますが、御案内いただいた二つ目の一時保育事業につきましては、現在の事業の課題の整理、分析等を行って、区有施設における試験実施等も考えておりますが、そういったもの等の内容も踏まえて検討を進めていきたいと考えております。また、三つ目の利用者支援事業を展開するためというところでございますが、専門の相談員を配置する必要があって、今後の運営内容の構築に合わせ検討していきたいというふうに考えてございます。
○甲田委員 本当に検討を早くしていただきたいなと思います。私は以前から子ども版の地域包括ケアシステムを早く構築するべきと言ってまいりました。子どもの地域包括ケアはまだまだ全体像が見えておりません。改めて子どもの地域包括ケア体制が整った状態とはどういうことを指すと考えておりますか。そして何のためにやるのですか、見解を伺います。
○青木子ども政策担当課長 全ての子どもと子育て家庭が貧困、虐待、発達障害などの個々の状況や課題に応じて必要な支援につながることができるとともに、そうした支援が子どもの成長に合わせて切れ目なく行われている状態が子どもと子育て家庭の地域包括ケア体制が整備された状態であると考えております。こうした誰一人取り残さない体制を整備することによりまして、子どもと子育て家庭が安心して住み続けることができるまちの実現を目指すものでございます。
○甲田委員 本当におっしゃるとおりなんですけれども、今回の基本計画案の子育て先進区のところではようやく虐待予防、セーフティネットが一番に掲載をされまして、このことは評価をいたします。しかし、相談者がすこやか福祉センターに行き、発達や難病などの相談や育児に疲れ助けを求めて相談をしたけれども、何も支援ができるものがないと言われ、がっかりして帰ってきたという方に私はよく遭遇します。現状支援の切れ目があります。民間も含めたサービスの見える化が図られていません。支援の切れ目をなくすことが包括ケア体制をつくることであり、そのことをもっとしっかりと区長が打ち出して職員の心を一つにしていただきたいと思います。誰も置き去りにしない子育てに温かい区をつくるんだという区長の信念が最も大切だと思います。基本計画案における子育て先進区を推進する重点プロジェクトには切れ目のない支援ということが入っていないようですが、この点について区長はどう思われておりますでしょうか、伺います。
○酒井区長 新しい基本計画の重点プロジェクトに掲げる子育て先進区の実現につきましては、子どもと子育て家庭のセーフティネットの強化や子育て・子育ち環境の整備、地域で子育てを応援するための体制の整備に取り組むこととしております。こうした取組を進めるに当たって切れ目ない支援を行うということはその前提になるものであると認識をしておりまして、子育て先進区を実現するためには必要不可欠なものであると考えております。
○甲田委員 そうですね。前提となるものだと思います。児童館や公園など、子育て環境の満足度を高めるというのも大事ですけれども、最も大事なことはセーフティネットだと思います。切れ目のない支援で誰一人取り残さないのだという姿勢だと思います。そのことを見失わないでいただきたいということをお伝えし、次の項に移ります。
次に、2番、子育て支援について、子育て支援についても全てセーフティネットの観点から質問をさせていただきます。
(1)子ども食堂と食の支援について伺います。以前より子ども食堂については、区が補助金支援をするだけではなく、実施団体のバックアップが必要と訴えてきました。社会福祉協議会はもちろん後押しをしておりますが、区の担当は、補助金申請窓口としては子ども教育部の育成活動推進課であり、活動場所についてはその場所それぞれの所管となるようです。実施団体の支援、相談窓口を一本化してはと考えますが、どの部署が担うのか、お答えください。
○細野育成活動推進課長 区有施設で子ども食堂を実施する場合は各施設の所管部への利用申請等の手続をお願いしているところですが、子ども食堂の実施団体への支援につきましては子ども教育部が主に担うものというふうに考えてございます。また、子ども食堂運営助成金における支援のほか、活動場所や周知、広報に関する支援なども充実させて、さらに子どもの貧困対策の他の政策とも連携強化が図れるように体制を整備していきたいというふうに考えてございます。
○甲田委員 実施団体の方たちは貧困家庭や困難を抱えるひとり親家庭などに届けたいという思いで実施をしています。しかし、区から貧困家庭の個人情報を頂くわけにはいきませんし、何より貧困に特化したのでは参加がしにくくなる方もいるであろうと配慮して、参加する方を限定せずに広く食事を提供するスタンスを取っています。そこで、子ども食堂実施団体への理解とモチベーションを高めるため、区からの情報共有に力を入れてはどうかと思います。個人情報を出すということではなく、逆に子ども食堂の実施情報をまとめて子育て家庭に届ける仕組みで支援することができないでしょうか。例えば就学援助を受けている御家庭やしいのき塾に通う子どもやその家庭に子ども食堂開催等の情報を届けることを検討すべきと考えますが、いかがでしょうか。
○細野育成活動推進課長 子ども食堂支援は食のセーフティネットの確保につながる取組であって、大変大切な施策であるというふうに認識してございます。就学援助やしいのき塾に関する通知などの機会を捉え、子ども食堂の情報をお知らせすることなど、食に困っている家庭への情報発信を強化していく考えでございます。
○甲田委員 ぜひよろしくお願いいたします。
現在、環境部や社会福祉協議会では、お菓子などの物品寄附を受け付けると、随時開催中の子ども食堂にネットワークでお渡しくださっています。子ども食堂で配布をしなければ廃棄されるはずのものが区内で有効に回っているという実感がします。まだ食べられる食品が廃棄されずに欲しい人の手元に届くよう、区民の意識を喚起することは大切であると思います。
そこで、子ども食堂の意義とともに、食品ロス削減、フードバンクの意義、取組を広く区民に啓発する活動の支援も区と社会福祉協議会が連携をして行ってはいかがでしょうか。
○細野育成活動推進課長 子ども食堂の支援の意義とともに食品ロスやフードバンクの啓発活動を行うことは大変有意義であるというふうに認識してございます。子ども食堂の活動をしている団体の意向も踏まえ、区として効果的な活動支援となるように努めてまいります。
○甲田委員 ぜひ効果的な、エコフェアみたいな、そういったイベントみたいなものも取組を進めてはいかがかなと思っております。また、社会福祉協議会では最近募った寄附を子育て家庭向けのフードパントリーということで開催をしています。よいものをたくさんもらうことができて皆さん安心して集われています。子どもの貧困等による支援を期待する寄附については、区では現在受け皿となり得るメニューがないため、特化した寄附を受けることができないとのことです。そうであるならば、社会福祉協議会が受け皿になっていくことに対して、区はこの取組を周知し、社会福祉協議会が寄附を募る応援をしてはどうかと思っています。結果として困っている家庭に食料が届くことになると思いますが、いかがでしょうか、伺います。
○青木子ども政策担当課長 中野区社会福祉協議会では、寄附金を原資としまして中野つながるフードパントリーを実施しており、区はこれに対し、開催場所の提供、周知、広報等の協力を行っているところでございます。こうした事業との連携をさらに深め、より多くの区民にこの取組を周知することを通じて地域における食の支援を拡充していくことも重要であると考えております。社会福祉協議会をはじめ関係団体との連携を強化しまして、地域全体で子どもの食を支えるための取組を推進してまいりたいと考えてございます。
○甲田委員 さらに今後支援が必要であるにもかかわらず、それらのイベントには自ら行くことのできない家庭に対しては、子ども宅食の仕組みも、これはずっと公明党議員団として言ってまいりましたが、ぜひ検討して行うべきと考えますが、検討状況はいかがでしょうか。
○青木子ども政策担当課長 区はこれまで子ども配食事業によりまして養育困難家庭に対して食の支援と配食時における家庭の状況把握を行ってきたところでございますが、支援を必要とするより多くの家庭をサービスにつなげていくことも重要であると考えておりまして、国の補助事業などの活用も含め検討を進めてまいりたいと考えております。また、地域団体が子育て家庭に直接食事を届ける宅食につきまして、現行の中野区子ども食堂運営助成金の対象事業としているところでございまして、こうした制度の周知、浸透を図ってまいりたいと考えてございます。
○甲田委員 ありがとうございます。ぜひ一連の取組をしっかりと進めていただきたいと要望いたしましてこの項を終わります。
(2)ひとり親家庭支援について伺います。私は以前よりひとり親家庭支援について拡充を求めてきました。また、多数のひとり親家庭の方から相談を受けてまいりました。その内容の多くは、経済的なこと、住まいの問題、仕事の問題、子どもの教育費のこと、学校でのいじめ、不登校などがあります。子どもの貧困対策を進める上では一番肝となるひとり親家庭の施策を充実させていくべきです。まず中野区のひとり親家庭の現状ですが、中野区のひとり親世帯の数、子どもの人数と、そのうち所得の低い世帯が対象の児童扶養手当を受給している世帯の数と子どもの人数を教えてください。
○滝浪子育て支援課長 令和3年2月現在、ひとり親家庭で児童育成手当を受給している世帯数は1,675世帯、子どもの人数は2,236人でございます。また、児童扶養手当を受給しているのは1,100世帯、子どもの人数は1,519人となってございます。
○甲田委員 ありがとうございます。区が昨年度行いました中野区子ども・子育て家庭の実態調査から見えるひとり親家庭の世帯年収の傾向とひとり親家庭ならではの困難なこととは一体何でしょうか、伺います。
○青木子ども政策担当課長 昨年度に区が実施しました子どもと子育て家庭の実態調査において、ひとり親世帯の世帯収入は200万円から300万円未満が最も多く、全体の13.4%を占めています。一方で2人親世帯の世帯収入は1,000万円から1,500万円未満が最も多く、全体の22.7%を占めています。今回の実態調査では、ひとり親世帯は2人親世帯に比べ世帯収入が低くなる傾向が見られました。また、実態調査においては、ひとり親世帯では2人親世帯に比べて暮らし向きが苦しいと感じる割合が高い、食料の困窮経験が多い、母親の1週間の平均労働時間が長い、支援制度や窓口の認知率が低いなどの傾向がありまして、困難を抱えやすい状況にあると考えられます。
○甲田委員 ありがとうございます。中野区ではひとり親家庭に対するワンストップ相談というものは現状やっているのでしょうか、伺います。
○滝浪子育て支援課長 ひとり親家庭の支援につきましては子ども総合相談窓口においてワンストップで行ってございます。専任の母子父子自立支援員を配置いたしまして、ひとり親に係る経済支援、住まい、資格取得等の相談を総合的に受け付け、必要に応じて専門機関を紹介するなどの支援を行ってございます。
○甲田委員 ありがとうございます。母子父子自立支援員というのがいらっしゃるということで、ちょっと私は知らなかったんですけれども、私が平成29年第4回定例会でひとり親世帯への情報発信等について質問で取り上げた後、区は情報を整理し、「ひとり親家庭のしおり」を作成していただきましたが、それ以降、ワンストップ窓口等体制の強化が進んでいないのかというふうに思っておりました。厚生労働省では、令和2年度第3次補正にて自治体が行うひとり親家庭等に対するワンストップ相談体制強化事業の予算をつけておりまして、IT機器を活用した体制強化を必須としています。窓口で申請を待つというより、チャットボットによりある程度の自動応答、制度の案内をし、関係部署との情報共有を図るシステムの構築を支援の内容としています。これを機にこのような事業に早急に取り組むべきと考えますが、いかがでしょうか。
○滝浪子育て支援課長 ひとり親家庭への支援につきましては、「ひとり親家庭のしおり」の窓口での配布でしたり支援内容を整理して区ホームページに掲載するなどして情報提供を強化してまいります。併せてひとり親家庭相談窓口についても周知を図ってまいります。現在、相談内容をメールで受け付けまして、内容に応じて担当部署や専門機関につなげるなどの取組を行ってございますけれども、今後は区ホームページでFAQの充実を図るとともに、子育て応援メールを双方向性のあるLINEに移行する予定でございますので、LINEの活用について研究、検討してまいりたいと考えてございます。
○甲田委員 そうですね。LINEの活用をぜひやっていただきたいと思いますし、やはり情報が一つにまとまっていても、それがどこにあるのか、また、いろんな窓口から入ってくる場合もありますので、そうすると、その来た窓口の方がそれを紹介できなかったりということがありますので、しっかり周知に努めていただきたいと思います。子どもの貧困の政策を考えるならば、一番多くを占めるひとり親家庭の支援といった切り口で在り方を検討し、体系立てた政策を実行すべきと考えますが、いかがでしょうか。
○滝浪子育て支援課長 子どもの貧困対策といたしまして、学び、体験の支援、生活の支援、体制づくりと連携促進に取り組んでいくところを考えているところでございますけれども、子育てと仕事を1人で担い、日常生活に困難を抱えやすいひとり親家庭につきましては支援策を拡充していく必要があると認識してございます。ひとり親家庭の相談内容や子どもと子育て家庭の実態調査の結果分析などを進めるなどして、ひとり親家庭の抱える困難を的確に把握した上で課題に応じた支援策を実施してまいりたいと考えてございます。
○甲田委員 ぜひよろしくお願いします。
最後に、養育費の確保支援についても伺います。不払い養育費の問題は国において公明党がプロジェクトチームを作り、昨年7月に閣議決定された骨太の方針に養育費確保の実効性を着実に実施することを反映させました。その後、厚生労働大臣、法務大臣にも具体的な提言を行い推進してまいりました。東京都でも令和2年度より養育費確保支援事業を行い、ひとり親世帯が養育費保証会社と保証契約を締結する際の保証料の補助や事業の事務費に対する補助を行っており、このような補助を活用して既に先進的に取り組んでいる区もあると聞いています。ぜひ検討し、早急に施策に反映すべきと考えますが、いかがでしょうか、伺います。
○滝浪子育て支援課長 中野区では、養育費に係る相談は法律的観点が必要でございますので、トータルで支援が行える東京都ひとり親家庭支援センターや法テラスの法律相談を御案内してございます。令和2年度には、養育費の重要性を啓発するため、離婚前後の方を対象とした講座を新たに実施いたしました。令和3年度は、養育費に関する講座や相談の実施によりニーズを把握し、既に養育費確保支援事業を実施している自治体の状況や実績などを参考に事業内容について検討してまいります。
○甲田委員 ぜひ子どもの貧困対策をやるならば、まずここにしっかりと仕組みを作っていただけますようにお願いをいたします。
次に、(3)妊娠・出産・子育てトータルケアの拡充について伺います。まず令和3年度予算で拡充する多胎児支援について御説明をお願いいたします。
〇杉本北部すこやか福祉センターアウトリーチ推進担当課長 令和3年度に拡充を予定している多胎児支援事業につきましては、産後ケア事業と多胎児サポーター事業の2事業でございます。このうち産後ケア事業につきましては、ショートステイサービスを利用する際に生じる利用者負担金1回当たり3,000円につきまして7回を上限として区が全額負担するものでございます。また、類似の産後ケア事業としてデイケア及びアウトリーチを実施してございまして、それぞれ7回まで御利用していただけることから、各家庭のニーズに合わせまして、ショートステイ、デイケア、アウトリーチの三つのサービスを組み合わせて利用する際にも利用者負担金2万1,000円を上限として区が負担するものでございます。
次に、多胎児サポーター事業につきましては、健診や母子保健事業の参加に当たりまして、移動補助として多胎児サポーター事業を利用する際に生じる利用者負担金1時間当たり800円につきまして、ゼロ歳から1歳未満の多胎児を育てている家庭に対しまして15時間まで、1歳から2歳未満の多胎児を育てている家庭に対しまして9時間まで利用者負担を区が全額負担するものでございます。
○甲田委員 画期的な多胎児支援を充実していただいたと思いますが、多分今言われて、これがよく分かっている方はほとんどいらっしゃらなくて、今聞いてもよく分からないという方も多いと思います。なので、平成27年10月にこのトータルケア事業が開始されたときは、区報に一面を使い、妊娠期から利用できるサービスの一覧が時系列で掲載をされました。その後、様々な拡充、改良が行われ、特に令和2年度は東京都の補助事業の大幅な拡充もあり、また令和3年度も拡充となっておりますので、新制度も含め全体像についていま一度分かりやすく発信してはいかがかと思いますが、いかがでしょうか。
〇杉本北部すこやか福祉センターアウトリーチ推進担当課長 妊娠・出産・子育てトータルケア事業が利用の対象となる家庭に十分に伝わるよう丁寧に御説明するとともに、区民の皆さんに事業の全体像が分かりやすく伝わるよう周知方法を改善してまいりたいと考えてございます。
○甲田委員 当事者への説明だけではなくて、家族や地域の子育て支援団体の方たちもこういう支援があるということがイメージできることで支援の幅が広がるということもありますので、区報、ホームページ、そして子育てナビなどにもぜひ掲載をお願いしたいと思います。
多胎児家庭については、令和2年度拡充した移動経費補助として1組当たり年1回2万4,000円のSuicaカードがもらえることになっています。多胎児家庭には全てお渡しができたのでしょうか、伺います。
〇杉本北部すこやか福祉センターアウトリーチ推進担当課長 本年2月22日時点での対象世帯は82世帯でございまして、このうち60世帯には既に交付してございます。残る22世帯に対しましては個別に御連絡をしているところでございますが、電話に出ていただけないということでお渡しできていない状況でございます。今後も個別の連絡を行ってまいるほか、乳児健診等や多胎児ピアサポート事業など、機会を捉えてお渡ししたいというふうに考えてございます。
○甲田委員 Suicaカードはタクシー券としても利用ができ、とてもいいものだと思いますが、このSuicaをもらうためにすこやか福祉センターの窓口に来ないと駄目だという現場の対応がありまして残念に思いました。多胎児家庭については原則郵送またはアウトリーチをすることはできないのでしょうか、伺います。
〇杉本北部すこやか福祉センターアウトリーチ推進担当課長 移動経費補助の対象世帯に対しましては個別に通知をお送りした上で来所を促してございまして、来所が難しい場合にはアウトリーチでの対応を行っているところでございます。しかしながら、委員御指摘のとおり、一部の方からはアウトリーチでの対応を求めても応じてくれなかったというような声も届いているところでございます。各家庭の状況に応じて柔軟に対応できるよう指導を徹底してまいりたいというふうに考えてございます。
○甲田委員 原則アウトリーチという形でぜひ改善していただければありがたいなと思います。
最後に、大きく拡充した、特に家事・育児支援事業については担い手が増えないと利用促進ができません。担い手育成のための区の考え方とサポーターの養成についてはどのような施策策となったのか、お答えください。
〇杉本北部すこやか福祉センターアウトリーチ推進担当課長 人材育成事業は、区が産後家事・育児支援事業を実施するに当たりまして同事業を委託している事業所で家事・育児支援サービスに従事する方に対しまして養成講座の実施や養成講座の受講にかかる費用の一部を助成するものでございます。具体的には、産後ドゥーラ養成講座受講料の一部助成及び区が実施をします家事・育児サポーター養成講座の受講を促すものでございます。これらの人材育成事業の実施によりまして、家事・育児サポーターが産後の母子や多胎児家庭に寄り添い、適切に支援できるよう人材育成をしてまいりたいと考えてございます。
○甲田委員 これは昨年の11月からの施策ということで、当然ホームページで告知をしているものと思っていたんですけれども、最近ようやく掲載がされました。このような施策は女性の就労機会の拡大にもつながり、情報は区民に公平に伝えなければなりません。せっかくよい施策なのですから、今後しっかりと発信をお願いしたいと要望いたしまして次の項に移ります。
次に、(4)保育について伺います。まず、令和3年度地域型保育事業、これは小規模家庭的保育の地域型保育事業と認証保育所の減収に関わる補助について新規に1,845万7,000円が計上されていますが、この補助の対象となるのはどういう要件の保育園でしょうか、伺います。
○渡邊保育園・幼稚園課長 本補助事業は、ゼロ歳児から2歳児の在園児童数に応じた実績が定員を満たした場合の基準額の8割を満たさない保育所を対象とするものでございます。
○甲田委員 その基準を満たさない場合に補填をするということで、これまではこのような施策はなかったので空きがあるとその園の負担となっていまして、かなり負担が大きくなっているところもあって、継続していくことに支障があったものと思いますので、これは評価したいと思います。ただし、定員割れした園の補填だけではなく、空きがあるのであれば、そこに例えば一時保育事業の委託ができないものかと考えます。一時保育事業を受けていただいた事業者にはこの補填以外にそれ相当の経費を支払うということは検討されなかったのでしょうか、伺います。
○滝浪子育て支援課長 現在、区立保育園におきまして在籍児童の欠員が生じた場合の一時預かり事業を実施しているところでございます。欠員利用型の一時保育は在籍児童と一緒の保育となりますので、保育の安全性を図る取組がより一層必要となります。また、在籍児童が定員過多となった際には一時保育の利用確保が担保できないため、サービスの安定的な供給が難しい点が課題となってございます。欠員利用型の一時保育を区立保育園以外の保育所へ拡充することにつきましては、課題を整理、分析し、検討を進めてまいります。
○甲田委員 課題はいろいろあるのは分かっているんですけれども、ぜひ分析して検討していただきたいと思います。
一方、この補填のことですけれども、大規模認可保育園についても同じことではないでしょうか。認可保育園では定員割れはないのでしょうか。また、待機児童がだんだん解消されて、今、地域によってはほぼ解消しているところもありますけれども、園の空きが顕著になってきた場合に保育園の経営は苦しくなってくると思いますが、その場合の対策は検討しているのでしょうか、伺います。
○渡邊保育園・幼稚園課長 令和3年3月現在、地域型保育事業を除く認可保育園の入所率は87.1%でございます。年齢別で見ますと、3歳児から5歳児クラスは78.7%、ゼロ歳児から2歳児クラスは100%近い入所率でございます。新規開設の保育所は3歳児以上の定員に空きが生じますけれども、今後ゼロ歳児から2歳児の年齢が繰り上がっていくことで3歳児以上のクラス定員も埋まると見込んでおり、現時点で経営支援は考えておりません。将来的に定員に空きが生じる場合には近隣の区立保育園で定員を調整していくことも検討していく必要があると考えてございます。
○甲田委員 分かりました。
また、来年度、区内施設での一時預かり事業、これは新規で204万6,000円ということがついておりますけれども、これはどのような内容でしょうか、伺います。
○細野育成活動推進課長 想定している内容は、保育に適した施設において利用日直前の申込みにも対応でき、短時間でも預けやすい一時預かりの事業を考えてございます。
○甲田委員 これは試験的ということですけれども、試験的にやってみた先の目標というものはどのようなものでしょうか。
○細野育成活動推進課長 区有施設における一時預かりの試験実施の内容を踏まえて、よりニーズに寄り添った事業を検討していきたいというふうに考えてございます。
○甲田委員 一時保育事業につきましては保育施設活用ということも考えられておりましたけれども、その案や検証はどうなったのでしょうか。今ある保育施設を有効に地域のために利用することが持続可能な区民サービスに資する施策と言えるのではないでしょうか。保育園の一時保育では専用型と欠員利用型とがありますけれども、そもそも保育園の待機児解消ができていないことが原因で欠員利用型はほぼ稼働できていない状況です。地域格差のない待機児解消を早期に実現させなければならないと考えますが、待機児童ゼロを実現するための具体的な整備計画を打ち立てるべきではないでしょうか、併せてお答えください。
○藤嶋幼児施設整備課長 保育園の整備につきましては、令和2年度を初年度としております5年計画の中野区子ども・子育て支援事業計画(第2期)におきまして保育の需要見込みと確保方策を定め、進めているところでございます。この計画は令和6年度までの整備計画となっておりまして、人口推計や地域における保育の需要を踏まえ、実績と見込みに乖離が生じた場合などに中間年に見直すこととなってございます。
○甲田委員 待機児をしっかりと解消していただきたいと思いますし、待機児解消を目指すというのではなくて、本当に地域格差のない待機児解消をした上で、その上で定員に空きが出たとしても、各園に対して、例えば一時保育をお願いしてしっかりとした保育士確保ができる加算をすることで園側は保育士の確保を継続することができる。それは保育の質の確保にもつながるものと考えています。また一方で、現在はコロナ禍で産後鬱等も多くなっております。緊急性のある方の一時保育のメニューを作っておくことは重要と考えていますが、今回の一時保育事業はそういった緊急性のあるものに対応できる政策なのでしょうか、伺います。
○細野育成活動推進課長 保育施設の活用に対する検証につきましては引き続き行ってまいります。その上で、保育園で実施している一時保育事業を補完するものとして、より利便性を高め、比較的直前での利用が可能となる事業を想定しております。したがって、緊急性のある方にも資するものであるというふうに考えてございます。
○甲田委員 短時間で本当に人数が少ないということですから、緊急性のある方を本当に優先してやっていただけるんであればそれはいいことだと思いますけれども、例えば東京都のベビーシッター利用支援事業というのがありまして、保育待機児童対策のものだけではなくて、一時預かり支援というものがあります。これは私は直接東京都の担当課長に電話をして確認をしましたが、保育認定は問いません。ということで、仕事に出かけなくてもベビーシッターに来てもらえて、しかもベビーシッターさんに一時的に預けて出かけることも可能としています。緊急性がある場合はこういったものでもないよりはあったほうがよいと考えます。都の補助があるのですから、こういったものも緊急策として事業化し、セーフティネットを強化すべきと考えますが、いかがでしょうか。
○滝浪子育て支援課長 東京都のベビーシッター利用支援事業の補助対象は保育料のみですが、ベビーシッターの利用には、利用ごとの保育料のほか、入会金、年会費、月会費、交通費などが事業者によって必要となることがございますので、利用者の費用負担が高くなる傾向がございます。一時保育事業の拡充につきましては、利用ニーズとともに保育所やベビーシッターによる預かりの課題分析、また、区有施設における一時預かりの試験実施の内容と併せまして検討を進めてまいりたいと考えてございます。
○甲田委員 費用負担が高くなるということだけでやらないというんではなくて、そこを補填することだってできると思うんです。大した金額じゃないんですね。そういったことも全て総合的に検証していただいてしっかりとした政策にしていただきたいとお願いをして、もう昨年、一昨年とずっと私は一時保育の在り方をしっかりと検討して打ち出していただきたいと言ってまいりましたけれども、この1年も検討が全く進んでいなかったということに愕然としました。早急に在宅子育てに対する一時保育事業の在り方を示していただきたい。そして、来年度はまずは要支援の人から支援ができるよう考えていただきたいことを要望としておきます。
次に、(5)学童クラブについて伺います。学童クラブの人数の推計は現在どのように行っているのでしょうか、伺います。
○細野育成活動推進課長 中野区内の幼稚園、保育園等の年長児童のいらっしゃる家庭を対象として学童クラブの利用者希望調査を実施しております。6月に対象家庭に配布を行って、7月に回収させていただいて希望するクラブを集計し、推計をいたしております。
○甲田委員 今回、平和の森小学校では新1年生が5クラスになる見込みだそうです。そのため、区立学童クラブへの申込みが殺到し、新3年生どころか新2年生の多くが押し出され、2次申込み審査は現在行っている最中だそうですが、小学校に一番近い民間学童クラブ―これは去年できたんですかね。―の申込み数は定員をはるかに上回り、またもや大幅に待機児童が出る可能性があると聞いています。私のところにもつい先日、区民からの相談が入りました。2年生の女の子のため、いきなり遠い学童クラブに行くことや鍵っ子にさせてしまうことは親御さんとして不安を抱いています。入れなかった場合は児童館で遊ばせておくしかない。そうすると、月曜日はどうしたらよいのかとのことでした。平和の森小学校だけではなく、そのほかの学校の学童クラブでも待機児童が出そうと聞いております。平和の森小学校にはキッズ・プラザがありません。
そこで伺いますが、今年度まであった児童館での学童待機児対応業務委託については来年度はなくなったとつい最近聞かされました。予算書を見ると確かに載っていません。昨年度までは1,130万円ついておりました。議会には見直し事業との報告もありませんでした。これはどういうことなのでしょうか、伺います。
○細野育成活動推進課長 待機児童が発生している児童館に併設されている学童クラブにおいて、令和2年度は特に待機が見込まれた三つのクラブについて待機児対応業務委託事業を実施したものでございます。区としては、民間学童クラブの誘致やキッズプラザの開設、学童クラブの定員増によって放課後の安心安全な居場所を確保しており、令和3年度については待機児対応業務委託を行う必要はないというふうに判断をしたものでございます。
なお、平和の森小学校区の学童クラブでございますが、今年度の4月から新たな民間学童クラブを誘致して、公設が1か所、民間3か所の4か所の体制というふうにさせていただいているところでございます。
○甲田委員 誘致を一生懸命やっていただいたのは分かっているんですけれども、ただ、民間学童クラブを誘致する場合や待機児対策をつけるかつけないかという判断のときに需要予測の精度がやっぱりあまりに悪いのではないでしょうか。推計値にある程度幅を持たせて想定をしておき、不測の事態には対応すべきではなかったんでしょうか、伺います。
○細野育成活動推進課長 学童クラブは、新たにキッズ・プラザを開設する小学校には100名の定員を確保するとともに、児童館内の学童クラブにおいても活動できる場所を増やして定員増を図ってきたところでございます。しかし、学童クラブの待機児童がなお発生するため、民間学童クラブを各地域に誘致をしてまいりました。民間学童クラブの誘致には多額の経費がかかること、また、誘致しても想定どおりに定員を満たさない学童クラブが発生しているということは課題であるというふうに考えております。今後、学童クラブの需要を満たす取組は進めてまいりたいというふうに考えてございます。
○甲田委員 平和の森小学校は、移転が終わり、キッズプラザが開校するまであと5年あります。中野駅周辺は今後も増える傾向ではないのでしょうか。まずは今回しっかり対応の上、区立学童クラブの至近距離への民間学童をまた早期に誘致すべきと要望しましてこの項を終わります。
すみません、(6)その他で1点伺います。東京都出産応援事業について伺います。東京都内における出産費用については全国平均より10万円程度高くなっており、国の出産育児一時金42万円では賄えない状況です。今般、都ではコロナ禍で出産される方に対して特別事業を行うことになりました。この事業は来年度からの予定を遡り、今年1月1日より来年の3月までの15か月予算として補助されるとのことです。
そこで伺います。中野区としてこの事業に取り組む方向でしょうか。制度の詳細が分かれば併せてお答えください。
○滝浪子育て支援課長 東京都出産応援事業は、コロナ禍において子どもを産み育てる家庭を応援するため、10万円相当分の育児用品や子育て支援サービスなどを提供する事業となってございまして、令和3年1月1日から令和5年3月31日までに出生したお子さんがいる家庭が対象となります。対象家庭に区市町村からID、パスワードを配布いたしまして、対象家庭が専用ウェブサイトに登録した上でサービスなどの提供を受ける事業スキームであると聞いてございます。東京都からの委託事業であるため、都からの情報提供を受けながら実施に向けて検討を進めているところでございます。
○甲田委員 急な事業で大変だと思います。今、子育て支援課長が担当になられたということを知りましたけれども、ぜひこれはコロナ禍で不安を抱えながら出産される方に対しての応援ということですので、できることなら妊産婦への有用な御案内などもしながら、また、これは物品だけでなくて、産後ケアなどのサービスにも使えるようなものを検討しているとも伺っておりますので、漏れなく申請していただけるような取組を、大変でしょうけれども、ぜひお願いをしたいと思います。よろしくお願いいたします。
次に、3番、健康福祉施策について伺います。この項では1点、糖尿病重症化予防について伺います。新型コロナウイルスの流行の中で糖尿病の人の重症化リスクが注目されています。ワクチンの優先接種の対象にも基礎疾患に糖尿病が加わったところです。糖尿病は放置すると、網膜症、腎症、神経障害などの合併症を併発し、さらに人工透析導入となると、患者の日常生活に支障を来すだけでなく、年間約500万円もの医療費がかかり、医療費適正化の点でも課題です。糖尿病重症化予防の取組は国も重要視をしています。
そこで伺います。中野区の国民健康保険被保険者のうち、令和元年度の糖尿病患者の人数と医療費はどの程度になっておりますでしょうか。
○鈴木保健企画課長 令和元年度の糖尿病の患者でございますが、9,194名でございます。医療費でございますが、8億6,319万8,800円でございます。
○甲田委員 また、令和元年度の人工透析患者数及び透析患者を含む慢性腎臓病患者の医療費はどの程度となっておりますでしょうか。
○鈴木保健企画課長 令和元年度の人工透析の患者数でございますが、272名でございます。人工透析を含む慢性腎臓病に係る医療費につきましては11億5,008万5,900円でございます。
○甲田委員 次に、令和元年度における糖尿病を基礎疾患として人工透析を受けている患者数と糖尿病を基礎疾患としない人工透析患者数はそれぞれ何名でしょうか、その比率を伺います。
○鈴木保健企画課長 令和元年度におけます糖尿病を基礎疾患として人工透析を受けている患者ですが、162名でございます。糖尿病を基礎疾患としない人工透析の患者は110名でございます。比率でございますが、糖尿病を基礎疾患として人工透析を受けている患者は糖尿病を基礎疾患としない人工透析患者の約1.5倍となっているものでございます。
○甲田委員 ありがとうございます。中野区では、糖尿病重症化予防の取組として、平成29年度から重症化リスクの高い対象者を抽出し、30名を上限とする希望者に対し、半年間保健指導を行っているとのことですが、どのような取組を行っているのでしょうか。特定健診の結果が糖尿病判定値の方への受診勧奨はどのように行っているのか、対象者の抽出基準と実施人数を伺います。
○鈴木保健企画課長 区が行っております保健指導でございますが、対象者のかかりつけ医から医学的な助言を受けた上で、臨床経験のある看護師が身体状況に合わせた運動、食事、服薬の指導を実施しているものでございます。特定健診の結果から糖尿病の疑いがあるかどうか判明した方に対しましては個別の通知発送や電話による受診勧奨を行っております。受診勧奨の対象者の抽出基準でございますが、血糖値が126mg/dl以上、またはヘモグロビンA1cが6.5%以上となっております。令和元年度に糖尿病重症化予防のために受診勧奨を行った人数は78名でございます。
○甲田委員 中野区では本当に特定健診を受けた方へのアプローチを努力していただいているということで、これは評価をいたしますが、糖尿病の治療を中断されている方は診断されながらも治療を放置している方でもあり、透析や合併症のリスクが最も高く、アプローチしなければならない方たちだと思います。過去5年以内に糖尿病治療歴があるにもかかわらず、今年度中に糖尿病受診歴がない方の人数は何名か分かりますでしょうか。
○鈴木保健企画課長 お尋ねの人数でございますが、472名でございます。
○甲田委員 こういった治療中断期間が長い重症化リスクの高い方をKDBシステムにより抽出し、受診勧奨を行ってはいかがでしょうか、伺います。
○鈴木保健企画課長 糖尿病が重症化して人工透析が必要となった場合は、患者のQOLの低下に加えまして医療費が増大をしてまいります。区民の健康寿命の延伸を図るためにも、治療中断をしている方への受診再開の勧奨につきましては、他自治体の取組について情報収集を行い、今後の対応を検討してまいります。
○甲田委員 ぜひよろしくお願いします。厚生労働科学研究によりますと、この治療中断者というハイリスク群に適切に介入することでハイリスク者の数を半分以下に減らすことができる旨の報告を行っています。コロナ禍における重症化リスクの高い疾患は、当事者だけでなく、国民全員にとって大敵であるとの観点から受診勧奨は行政の重要な仕事であると思います。ぜひしっかりと進めていただきたいことを要望いたしまして私の全ての質問を終わります。御清聴ありがとうございました。
○山本委員長 以上で甲田ゆり子委員の質疑を終了いたします。