9月2日、本日は、子ども文教委員会が開かれました。
所管事項の報告項目は、以下の7項目(+口頭報告3)
1 (仮称)中野区児童福祉審議会の設置に係る考え方について
2 (仮称)中野区子どもの権利に関する条例の考え方(骨子)について
3 新たな機能を備えた児童館について
4 児童館における一時預かり事業の実施について
5 令和4年度使用中学校教科用図書「社会(歴史的分野)」の採択結果について
6 中野区立教育センター分室の設置について
7 その他
ひとつ一つが重たい案件で、議論は白熱しました。
特に、「子どもの権利に関する条例の考え方について」や、「新たな機能を備えた児童館について」は、各議員、沢山の質問・主張がありました。
私も、ずっと取り組んできた施策なので、副委員長という立場で円滑な委員会運営にご協力しつつも、なるべく簡潔に質問をさせていただきました。
〇子どもの権利条例について
最近、ブログにまとめましたが、私は7年前の平成26年に、本会議一般質問で「子どもの権利条例を制定すべき」と取り上げ、その後も「子どもの権利」について学び、取り組んでまいりました。
まさに、来年より東京都から中野区に児童相談所が移管される時。そして、国でも「子ども基本法」がつくられるという絶好のタイミングですが、ただ作ればよいという理念だけの条例ではありません。
私は常に訴えます。
「一番権利がはく奪されている子どもは誰なのか、それは、児童虐待を受けた社会的養護の子どもたちであり、今も家庭内で虐待を受けている子どもたちである」と。
孤独な育児で、産後うつになるなど、児童虐待が後を絶ちません。虐待の芽を摘む施策で虐待予防をしていくことも大切です。
子どもの意見表明の権利ということにフォーカスをあてながらも、子どものセーフティネットに力を入れ、児童虐待を無くしていく目標を持って、施策を展開するための「行政の責務」を明確にしてほしいと思っています。
また、親にも学校にもどこにも相談できない子どもたちの(権利擁護のための)相談支援機関の設置についても、よりよいものができるよう、全力で取り組んでいきたいと思います。
〇新たな機能を備えた児童館について
中野区では現在、児童館を18館から9館(中学校区に1館)と明確に数を決め、半減させるという基本計画・区有施設配置計画案が問題となっています。
「その数ありきの案には賛成できない」と前回の委員会で言ったところ、
今回は、「9館にする理由について」、また、「新たな機能とはどういうものか」という論理の報告がありました。
現区政の前は、「児童館を全廃にすると言っていた」という認識の人と、「そうではない」という認識の人がいます。
私たちはどちらかというと、後者です。
「正確に言うと・・・」ということが本日の委員会の議論で浮彫りにされました。
詳細は、後日議事録で確認したいと思いますが、
ともかく私達は、児童館はできる限り地域の大切な子どものための施設として残すべき、という立場を取ってきました。田中前区長にも児童館廃止の計画を立ち止まるよう訴え、その方向性の答弁をいただいておりました。(※)
その直後に交代した、現・酒井区政においては、
館数を減らすかどうかの前に、新たな機能を備えた児童館をつくると言って、「子どもの地域包括ケアに資する児童館」にすると報告しました。
このことはとても期待をしてきたのですが、子どもの地域包括ケアについて、いまだに実態がみえてきません。
きょうの委員会では子どもの包括ケアは「構築中」との答弁でしたが、子どもの地域包括ケアについて体系立ててリードし、「見える化」を図っている担当部署もなければ、実際にコーディネートの役割を果たすのは誰なのか、も明確になっていません。
それなのに、児童館職員は「地域の様々な子育て支援団体や民生委員、町会や自治会など地域で活動する団体の活動を支援をする・・・そして子育て支援施策全体のさらなる質の確保・向上に資する役割を担っていく」とまでとしています。
そんな連携や支援が児童館職員にできるのかと問えば、「地域包括ケアの会議などに参加して・・・」とのこと。
核が無いのにどうやって参加するのでしょうか。
これまでの機能も(月曜開館など)色々拡充する上、児童館職員が広い中学校区の中で、その範囲にある多くの地域団体と連携して、包括ケアの中核役を果たせるとも思えません。
また、児童館運営体制については、「当面の間は区により運営していく(直営)」とするが、3年間の構造改革の中で運営体制も検討していく(すなわち民間委託等も検討していく)という答弁がありました。
ということは、今回、持続可能な財政運営のため、館数を減らして財源効果を図り、その上、さらに構造改革のをして人件費を削減していくために民間委託等にするかもしれないということなのです。
どうして、構造改革とセットでコンセプトをしっかり考えないのか、考え方が真逆ではないか?
と言わせていただきました。
私は個人的には、3年後に先延ばした改革を今から実施し、その代わりに地域に児童館施設を残し、児童館職員の皆さんにはしばらくの間、民間との連携を通じてノウハウを伝授したり、地域団体と民間事業者とのつなぎ役をしていただくことが、質の確保も含め最善ではないか、と思っています。
そうすれば児童館を半減にする必要はなく、持続可能であると考えるからです。
構造改革でどのように財政効果を出していくのが良いのかは、施設の維持費と人件費による試算してみないと分からないのですが、試算についても区が明らかにして議会・区民とも議論をすべきです。
結局、区民の意見など聞かずに決めてから出す、というのでしょうか。
そんなわけで、議論はかみ合いません。
抜本的な改革もできないままに、地域から児童館が消えてしまうところは今年度中にもある予定です。
9月10日より第3回定例会に突入をします。
定例会の中で基本計画が策定されれば、この案はそのまま実行されてしまいますが、
最後まであきらめずに訴えていきたいと思います。
※以下、文中(※)についての議事録
平成30年02月20日中野区議会本会議(第1回定例会)の会議録より
平山英明議員
次に、「安心できる子育て、地域の見守りのなかで育つ子どもたち」について伺います。
区内のU18プラザと児童館が全て廃止されるという言葉が区内にあふれ、子を持つ方々の不安が広がっています。原因の一つは、今後機能を廃止するとしている児童館施設の活用策が示されないことにあります。改定された10か年計画(第3次)においてU18プラザの廃止が示されたことについては、議会からもさまざまな議論が起こったところです。その後の施設活用については、平成30年度以降、U18プラザ・城山ふれあいの家は、ふれあいの家と子育てひろば事業の場、U18プラザ中央は、保育園と子育てひろば事業の場、U18プラザ上高田においては、保育園と子育てひろば事業の場に加え、学童保育が行われます。結果だけを見ると、U18プラザから中高生の居場所がなくなっただけとの見方もでき、また、旧昭和児童館当時は行っていた学童保育事業が再び同施設での実施が求められる状況となったことも見逃すことができません。
近年、区内の年少人口が増加していることに加え、学校再編、保育や学童のニーズの高まり、そもそも屋外・屋内ともに子どもの遊び場が少ないことなどを考えると、同様のことは、今後、U18プラザに転換予定であった残りの6館も含む他の地域でも想定しなくてはならないかもしれません。区長は、施政方針で、「子育て支援については、全ての区民の理解や協力を得ながら、地域社会や行政のあり方を子育て第一の形に変えていく根本的な発想の転換が必要だと思う」とおっしゃいましたが、私も全く同感です。現在の児童館は、NPOをはじめとする子育て支援の地域の担い手の拠点ともなっており、今後の計画推進によって地域力の低下を招くことも避けなくてはなりません。
そこで伺います。児童館廃止については一旦立ちどまり、区民ニーズを把握しながら、他の子育てサービス及び施設との関係も含めた再検討を行ってはいかがでしょうか。御見解を伺います。
田中大輔区長
次に、児童館廃止の再検討についてという御質問でありました。子育て第一という考え方に今回の所信表明の中で触れたのは、人口減少という社会全体の危機を乗り越えていくために日本全体としてこうした発想に立つべきとの思いであります。中野区においてもさまざまな取り組みを行っていますが、近年、出生児数は一定の増加を見てまいりました。一方で、働く女性の増加や孤立した子育てへの支援、特別な支援を必要とする子どもの増加など、さまざまなニーズが顕在化をしているところであります。現児童館施設も含め、こうした増加する子育て支援の地域ニーズに対応する貴重な資源の活用を図りながら、子育て第一の地域づくりを目指していきたいと考えております。
中、高校生の活動、また、その拠点についてということです。中、高校生については、活動発信応援助成や社会で活躍する先輩に学ぶライフデザイン応援事業等を通じた中高生の活動支援や、公益活動助成の拡充等により地域の方々の取り組みを支援することなどによって、社会参加や自立を促していく考えであります。あわせて、こうした中高生の活動が区内で広く展開していけるよう、さまざまな区の施設が活動場所としてさらに利用しやすくなるよう、対応を図ってまいりたいと考えております。