1.高齢者・障がい者・生活困窮者の支援について  

1)住宅確保要配慮者の住まい確保支援について 

2)生活の支援について

2.   地域の防災行動力の向上について  

3.   妊産婦の支援について    

1)産後ケアの充実について   

2)助産院での妊婦検診について  

4.   新井薬師前駅周辺まちづくりについて   

1)   地下化に伴う上部活用における西武鉄道との協議および区画街路3(駅前広場)の進捗と駅前拠点市街地再開発地域の進捗について

2)まちづくり推進プラン(新井薬師前駅周辺地区編)について

 5.   子ども相談室について   

 6.   その他  1問     

 

○甲田委員 令和4年第3回定例会におきまして決算総括質疑を行わせていただきます。

 質問は通告のとおりですが、その他で1点、子育て支援ハンドブックについて伺います。

 1、高齢者・障がい者・生活困窮者の支援について。

初めに、住宅確保要配慮者の住まい確保支援について伺います。賃貸住宅に住む高齢者や障害者の方から、急に立ち退きを迫られた。また、収入の減少により住み替えをしなくてはならないが、見合った物件が見つけられないとの御相談が後を絶ちません。中野区では居住支援協議会が立ち上がったことについて地域包括ケアの成果にもしているようですが、まだまだ取り残されている人たちがたくさんいらっしゃると考えます。その原因の一つとして、住宅確保要配慮者の物件がまだまだ少ないということが挙げられると感じています。そこで何点か伺います。

 

 東京都は、高齢者や障がい者、子育て世帯などの住宅確保要配慮者の民間賃貸住宅への円滑な入居促進を図る目的で、入居を拒まない賃貸住宅、いわゆるセーフティネット住宅を制度化し、中野区はこれを平成29年、2017年から事業化しました。さらに今年6月30日の建設委員会の報告によると、住宅確保要配慮者のみが入居可能なセーフティネット専用住宅として登録される場合、住宅の所有者等に対し、改修費用の一部を補助する事業を始めました。そこで、令和3年度における中野区内のセーフティネット住宅とセーフティネット専用住宅の登録戸数を教えてください。

 

○落合住宅課長 令和3年度末、令和4年3月31日現在の住宅確保要配慮者の入居を拒まないセーフティネット住宅の登録戸数は、登録住宅が620戸、専用住宅が2戸でございます。

 

○甲田委員 セーフティネット住宅の空き戸数はかなり少ない現状だと聞いております。タイムリーには、区は把握できないものだと思いますので聞きませんけれども、そして、あくまでも入居を拒まないとうたっていますが、逆に言いますと住宅確保要配慮者以外の人も拒まない物件でもあります。

一方、セーフティネット専用住宅については、今のところまだ2件しかないとのことです。これでは結局、焼け石に水です。住宅確保要配慮者が住み替えできる物件を増やすことについて、区としてどのようなことをしてこられたか、これまでの取組をお答えください。

 

○落合住宅課長 令和3年度にはセーフティネット住宅の家主等を対象として、60歳以上の単身者を入居させた場合に加入する少額保険料の補助を開始し、また、令和4年度にはセーフティネット専用住宅の家主等を対象とし、改修工事費の補助を開始いたしました。また、居住支援協議会において住宅セーフティネット制度の普及啓発や補助制度などのセーフティネット住宅登録促進の取組の周知を行っているほか、居住支援法人と連携し、地域包括支援センターや社会福祉協議会、アウトリーチチームを対象にした勉強会、協力不動産店へのヒアリングなどを行い、セーフティネット住宅などの登録促進に取り組んでいるところでございます。

 

○甲田委員 ありがとうございます。平成31年、2019年1月から制度を開始され、昨年度改定をされましたあんしんすまいパックをはじめとする入居支援事業と、令和3年3月に立ち上がった居住支援協議会の現状と課題についてお伺いいたします。

 

○落合住宅課長 居住支援協議会の設立と入居支援事業の拡充を契機としまして、民生児童委員や地域包括支援センターなどへの住み替え相談や入居支援事業の周知を強化したことで、地域から相談につながるケースが増加しております。住宅確保要配慮者の入居に関する理解促進を図るため、住宅部門と福祉部門の各団体と行政の多職種で構成される居住支援協議会と連携して、入居者ごとの課題に応じた支援や、入居者と民間賃貸住宅の家主や管理会社の双方に対する入居支援事業の周知などを行っていくことが必要と考えております。

 

○甲田委員 区は以前より、住み替えシートを活用して協力不動産店に対し情報提供をし、物件探しの支援をしてきました。昨年7月からは、情報量を大幅に増やしたシートに改定をされたと聞いています。決算資料の建設20に住み替え支援の相談件数が載っております。令和3年度は、相談件数26件を分母として、成約件数については10件、これは38.5%ということで、依然として6割以上の方は成約できていないということです。成約できなかった人たちがその後どうされているのか、区は把握されているのか伺います。

 

○落合住宅課長 令和3年度住み替え支援として協力不動産店への物件の情報提供依頼を行った方について、成約に至らなかった方のその後の状況は把握しておりまして、自己都合による取りやめが約6割、次に自分で探した方などという結果でございました。取りやめの理由は、提供された物件と立地や設備等の希望が合わない、住み替えの必要がなくなったなどがあり、相談の段階で御本人の希望とともに、情報提供を受ける物件の条件などを丁寧に説明し、相談に応じることとしております。

 

○甲田委員 その後の状況を把握しているということで、誰も取り残さないとの観点から、その後の把握は大切だと思っており、住宅課だけの施策になっていないか危惧をしておりました。今聞きますと、住宅課から適切な部署につなぐ取組をされているということで、その点について前進していることについては評価したいと思います。居住支援協議会を中心として事例の積み上げをすることは画期的なことだと感じています。しかしながら、一面では、関係者同士がつながったというだけで、ここが居住支援の窓口ですというような看板を出しているわけではないため、まだまだ行政や関係者の方、支援する側だけの施策となっており、一般の区民の方はこのような仕組みがあることは御存じないのが実態です。居住支援の取組は広く周知されなければ、取り残されている要配慮者のもとに届かないと思います。豊島区では、支援側にも一般の人にも分かるような豊島居住支援ガイドブックというのを出されていまして、この中に相談先の名称や電話番号等を記載しております。中野区も今後は一般にも分かりやすく、広く周知を強化することが必要ではないでしょうか伺います。

 

○落合住宅課長 中野区居住支援協議会では、令和3年度に専用ホームページを立ち上げるとともに、居住支援に関する様々なサービスや相談・問合せ先を掲載した居住支援ガイドブックを作成し、構成団体である民生児童委員、地域包括支援センター等の福祉団体や、行政、それぞれの生活支援の窓口や訪問などで活用されています。居住支援協議会の構成団体を通じた情報共有や居住支援協議会のセミナーや合同相談会などの活動の情報発信を支援することにより、今後も地域や居住支援を必要とする方に居住支援の情報が届くように工夫して取り組んでまいります。

 

○甲田委員 ぜひお願いします。また、そのほかの課題として、福祉関係の方に聞きますと、単身の高齢者や障害者等の場合、緊急連絡先になる人がいないということなどが挙げられています。さらに精神障害者の方の条件が厳しく、物件が見つかっても債務保証会社における審査が通りづらく、契約に至ることが困難であると考えます。このことを区はどのように考えていますでしょうか伺います。

 

○落合住宅課長 心身障害者も住宅の確保が困難で、配慮が必要な方であると認識しております。居住支援協議会においても、構成団体として障害者相談支援事業所や地域生活支援センター、すこやか福祉センター、障害福祉課なども参加し、セミナーや勉強会において精神障害者を含む住宅確保要配慮者について事例検討などが実施されております。区としましても入居支援事業の充実を図りつつ、居住支援協議会と連携し、不動産会社や賃貸住宅のオーナーに対する支援や情報提供を行い、住宅確保要配慮者の入居者に関する理解促進を図ることにより、精神障害者の円滑な入居が促進されるように取り組んでまいります。

 

○甲田委員 ぜひそのようにやっていただきたいと思います。精神障害の方は、ある意味高齢者よりも審査が通りづらいという困難さがあります。また、私は今年に入ってから特に精神の方の住み替え相談をかなり受けまして、本当にいろいろ手を尽くしました。その際に、不動産会社の方にも随分お聞きをしましたが、大家さんや不動産会社としては住宅確保要配慮者に住宅のマッチングをしたくても、要配慮者以外の方に比べ、入居後の近隣とのトラブル、苦情等のリスクもあり、説明や対応に時間がかかるため非常に困難度が高い。不動産会社に対する情報提供やインセンティブをさらに強化してもらわないと、前向きになる不動産会社は増えないのではないかとも話されていました。物件を紹介する不動産会社が、その後のリスクにおいての解決ノウハウを持っていないため、結局は断っているというケースが多くあるようです。そのようなことも踏まえまして、区としてさらなる住宅確保要配慮者向けの住宅の確保策の底上げを検討していただきたいと考えますが、いかがでしょうか。

 

○落合住宅課長 入居者自身が安心して暮らせるよう、また民間賃貸住宅のオーナーや不動産事業者が安心して住宅を貸すことができるように、様々なニーズに応じた入居支援事業の拡充や、住宅部門と福祉部門とが連携した相談支援体制を推進していくことが必要であると認識しております。不動産団体が参加する居住支援協議会とも連携して取組を行ってまいります。

 

○甲田委員 よろしくお願いします。要は、セーフティネット住宅を増やして関係者が顔つなぎをしたとしても、結局、実は物件が空いているんだけれども、様々な事情を見て、不動産屋さんや大家さんが入居を拒んでいる結果、実際に困っている人たちがいるという実態がまだまだ多くあるという現状をぜひ把握していただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 

 次に、主に生活困窮かつ単身高齢者の生活の支援について伺います。生活保護受給の条件にはまだ至っていないものの、困窮している高齢者の相談をよく受けます。ぎりぎり受給のラインにはならない年金生活者や、預貯金がまだ少しだけある就労ができなくなった高齢者、また障害がある、もしくは微妙な方で、もともと仕事があまりなく、これまでは親の資産等で生活をしていたものの、限界が近づいてきている等々です。コロナ禍の支援金とか給付金を当然駆使はしても、ここに来て限界が近づいているにもかかわらず、なかなか以前の生活習慣を変えられず、家計が破綻しかけている、健康を害しているなどで生活の立て直しが必要な方が多くなっていると考えます。そのような方がくらしサポートに相談にこられた場合、区ではどのような支援サービスがあるのかお答えください。

 

○葉山生活援護課長 お答えします。「中野くらしサポート」では、生活困窮者からの相談に応じ、必要な情報提供や助言を行っております。生活困窮者自立支援制度として、相談と一体的に実施している住居確保給付金事業、家計改善支援事業、就労準備支援事業につなぐことも多い状況です。

 

○甲田委員 相談と住居確保給付金と家計改善相談支援と就労支援と今おっしゃったんですけども、それぞれ年間実績を教えてください。

 

○葉山生活援護課長 令和3年度の実績でございます。「中野くらしサポート」の新規相談が1,514件、住居確保給付金事業の新規支給決定が748件、家計改善支援事業の新規プラン作成が2件、また、就労準備支援事業を含む生活困窮者への就労支援プログラムでは、新規支援者92件でございます。

 

○甲田委員 ありがとうございます。ちょっとこれ、一つひとつ聞いていると時間がなくなってしまいますので、相談に関しては、私も生活保護受給の申請窓口に何度となく同行したりしていますが、最近、中野くらしサポートの相談員さんはどの方も非常に丁寧かつ分かりやすく、寄り添った対応をしてくださり、この場を借りて評価し、感謝をしたいと思います。しかし、それでも現時点で条件が当てはまらないということになれば、これ以上の手だてはありませんということになる場合がよくあります。例えば就労が難しく、自分の家計状態を把握していなかったり、車や保険など若干の資産や現金があるが、借金や家族のことなど複合的な問題を抱えている場合、また、債務整理とか生活保護受給にはすぐ結びつかず、受給申請前に片づけなくてはならない様々な手続を結局本人が諦めてしまい、破綻を待つのみというケースがあると思います。そういった方は、家計の把握や整理と並行しまして、まずはとにかく出費を減らすことが重要です。生活保護を受給したとしても、この点は大事であると思います。私がよく遭遇するのは、単身男性の方で自炊する習慣がないために、毎食外食か、またはコンビニとかのお弁当購入ということで、かなり食費にお金がかかってしまっています。もしくは食べられずに健康を害している方も少なくありません。多少の自炊ができなければ、生活保護を受給したとしても生活費をやりくりできないという方も多くなっているような気がします。現状では社会福祉協議会やフードバンク等で食料支援というのはありますけれども、それだけでは厳しい状況です。さらに具体的で有効な生活支援、主に単身男性等を対象とした居場所を兼ねたような食事づくりを教える家事などの自立支援メニューがあるとよいのではないでしょうか。区の見解を伺います。

 

○鈴木地域包括ケア推進課長 地域包括ケア体制においては、民間団体が行っている家事支援サービスへつなぐなど、地域の社会資源の創出、活用を図りながら、御本人の要望や状況に沿った支援を行ってまいりたいと考えております。

 

○甲田委員 そうすると、今、地域包括ケア推進の担当さんが答えられたので、そちらのほうにつなぐと、そういったメニューにつないでいただけるということでよろしいでしょうか。

 

○鈴木地域包括ケア推進課長 地域包括ケア体制の中で行っている複合的、複雑化した課題を抱えている区民の方に対しまして、御相談があった場合には地域の方、また多くの機関の方と連携して支援を行ってまいりたいというふうに考えます。

 

○甲田委員 御相談があった場合にはということで、今、中野くらしサポートのほうに御相談が行っていた方、また、地域包括ケア推進の担当のほうに相談が行く場合があると思いますけれども、いろんな切り口があると思うんですけれども、結局その御相談が来ないと行かない。また、窓口が分かれていますので、そこを本当に包括的にケアしていただけるような体制を取っていただきたいと思います。生活保護受給に至る前の支援には、就労や給付金に該当しない場合も自立支援、また孤立防止が必要ですけれども、取組はまだまだ不十分であると思いますので、さらに包括的支援のつなぎ方を深化させていただくことを望みまして、次の項に移ります。

 

 2番、地域の防災行動力の向上について伺います。

最近、まちの防災に対する意識は変化してきていることが感じられます。大震災が起きたら、まず避難所に行くとの意識というよりは、自宅が壊れていないのであれば、できる限り在宅で避難しようという意識を持たれている方の割合が多くなっています。コロナ禍で避難所での避難生活への不安が強まったことや、高齢化で物理的にも自分は避難所まで歩いていけないと感じている方も多くなったような気がします。首都直下地震の被害想定が10年ぶりに変わったとの発表があったことも影響しているかと思います。そこで不安となるのが備蓄物資です。区は指定避難所において1日分、すなわち3食分の食料、備蓄物資を配備しています。地域防災会及び町会では防災訓練を行っていますが、いざ災害が起きた場合に指定避難所まで行かれない在宅避難者要支援者へ配布を想定し、備蓄物資を購入しておきたいという声を伺っています。私の地元町会でもそんな考えがあるようです。安否確認をしながら、物資を少しでも要配慮者に届けたいとの地域の思いは大切にすべきと考えます。本来は、自宅での食料や簡易トイレなどを準備しておくことが望ましいのですが、なかなか意識して用意している人は少ないため、啓発も必要です。

 

 そこで伺います。まず、令和3年度の決算説明書175ページ、地域防災住民組織活動助成金は執行残が半分ぐらいあります。この助成金の活用条件と併せて令和3年度に半分以上利用されなかった理由はどのように見ているか教えてください。

 

○吉澤防災担当課長 区では、自分たちのまちは自分たちで守るという主体的な活動を支援し、活動を通して地域の結束力と防災力を高めてもらう目的で助成制度を設けてございます。対象となる活動は、防災訓練、講演会または座談会、広報紙の発行、地域内の安全点検等となっております。

 

 次に、令和3年度の助成金の執行率が48.3%と低い数字であった理由につきましてですが、新型コロナウイルス感染症拡大前の平成30年度の執行率が88.9%であったことを鑑みますと、感染症拡大のため、地域の活動が自粛されていたことが大きく影響していると推察されます。

 

○甲田委員 地域の活動が自粛されていて、令和4年度戻ってくるのかもしれませんけれども、この助成金は、防災訓練、防災講習会、地域内の安全点検など、あくまでも活動を行った場合の活動経費としての助成金であるということです。であるならば、これまでは避難所開設訓練などが主流でありましたけれども、今後さらに在宅避難者への安否確認と物資配布を想定した訓練のためということであれば、物資購入も可能でしょうか伺います。

 

○吉澤防災担当課長 助成制度の趣旨から、活動を伴わない備蓄品の購入は助成対象外とさせていただいておりますが、安否確認訓練等の際、備蓄推奨品としてアルファ化米や簡易トイレを配布し、在宅避難を普及啓発する目的での物資購入であれば、助成の対象とさせていただいております。

 

○甲田委員 備蓄ということは目的としないということですけれども、いざというときに訓練の成果を出すためには、備蓄品を持つこと自体はいいのではないかと思っております。助成金の目的を明確にした上で、在宅避難者への普及啓発のための地域防災力向上に資する物資の購入が可能であることについては柔軟に捉えるべきではないかと思います。また、地域内の世帯数に応じて上限額が決められていますけれども、全体的に金額が低過ぎるという声もあります。実績に応じて助成金額を全体的に引き上げることも検討すべきと考えますが、見解を伺います。

 

○吉澤防災担当課長 訓練に基づく普及啓発品の配布が助成の対象となることにつきましては、防災会に配布している助成金申請の手引や防災会連絡会における助成金説明時に推奨される取組として紹介してまいりたいと考えております。また、今年度は防災会の訓練等の活動も回復傾向にあり、併せて助成金の申請も回復することが見込まれることから、助成金申請の際や説明実施時の際に丁寧な説明と助成金活用実態の聴取を心がけ、防災会の意向を酌み取り、さらなる活動の活性化につながるよう検討してまいりたいと考えております。

 

○甲田委員 どうぞよろしくお願いいたします。以上でこの項目を終わります。

 

 次に3番、妊産婦の支援について伺います。

 

 初めに、産後ケアの拡充について伺います。2015年のトータルケア事業開始以来、多くの改善を重ねていただきました。家事・育児支援事業は東京都の補助事業での実施に変わり、いわゆる産後ケア事業とは区別をされました。現在は、アウトリーチ事業というのは助産師の訪問事業となりました。令和3年度には大幅に利用数も増えているようです。この産後ケア事業のうち、ショートステイやデイケアも人気のサービスですが、いまだ課題は年の近い多子世帯における上のお子さんの預かり問題です。特に2019年度に中部・南部すこやか福祉センターでの集団型デイケアは、上の子の預かりもできるように拡充をしていただきましたが、2020年度からは、デイケア事業は個別の助産院のみでの実施となったことによりまして、残念なことにたった1年で上の子の預かり事業というものは消滅をしてしまいました。現在、助産院のデイケアは何か所で行われているのでしょうか。また、令和3年度利用実績をお答えください。

 

○原北部すこやか福祉センター地域ケア担当課長 令和3年度のデイケアにつきましては、中野区内、中野区外、合計で9か所の医療機関や助産院などに委託して実施したものでございます。年間の利用実績としましては、延べ日数で1,630日でございます。

 

○甲田委員 それで、その方々から、その方々というか利用していない方も含めてですけれども、上の子がいるためにこの産後ケアが利用できない、利用しづらいという声があると思うんですが、その声は区に届いていますでしょうか。

 

○原北部すこやか福祉センター地域ケア担当課長 1歳になられましたお子様のいる世帯を対象としたファーストバースデーサポート事業のアンケートなど、利用者の声ですとか受入れ先の助産院などから、御指摘のようなお声を頂いているところでございます。

 

○甲田委員 届いているということです。一時保育の考え方にもつながると思いますが、一番大変なのが、年の近い2人目、3人目の子のいる母親をケアする場合の上の子の預かりだと思います。多子世帯の産後ケア支援についてはしっかりと考えていただきたいと思いますが、区の見解を伺います。

 

○原北部すこやか福祉センター地域ケア担当課長 デイケアにつきましては、委託先の助産院などの受入れ状況によっては、未就学児の兄弟とともに利用することができまして、受入れがあった場合、区からの委託料を加算しているところでございます。令和3年度の実績によりますと、デイケアの延べ利用日数1,630日のうち、23日分が未就学児の兄弟ともに利用できたところでございます。このような仕組みの改善など、2人目、3人目以降のお子様を育てる家庭がより事業を利用しやすくなるよう検討を進めてまいりたいというふうに考えてございます。

 

○甲田委員 デイケアの助産院さんに上の子の預かりをする場合、加算をしているということですけれども、助産院さんだと助産師さんは保育士ではないですし、また加算も本当に少ない金額であるため、その上の子の保育というところでは、やはりちょっと難しいということで断っていらっしゃる助産院も多いと思いますし、なかなかこれでは進まないかなと思いますので、この辺り加算ではなく、しっかり預かり事業として考えていただきたいと思います。また、一時保育と併せても全区的に考えていただきたいと思っております。

 

 次に、トータルケア事業の中で支援をしている多胎児のサービスの現状を伺います。

 

○原北部すこやか福祉センター地域ケア担当課長 多胎児家庭支援事業と称して実施している事業には、外出に関わる移動経費補助事業、家事・育児支援の利用時間数の加算された多胎児家庭サポーター事業、多胎妊産婦の交流の場である多胎ピアサポート事業の三つがございます。また、産後ケア事業におきましては、委託先の医療機関や助産院が多胎児家庭を受け入れる場合、委託費を加算しているほか、一般の方であれば合計15日としている利用日数を合計21日としているところでございます。さらに、令和3年度途中からは、産後ケア事業や多胎児家庭サポーター事業の利用者負担金の一部を無料とするなど、多胎児家庭の支援を拡大してきているところでございます。

 

○甲田委員 多胎児についてはたくさん拡大をしていただきまして、また最後に言われました利用負担金について、上限2万1,000円まで補助していることについては評価をいたします。ですが、以前より多胎児家庭の産後育児は単胎児の2倍の大変さではなく、何倍にも大変であることを鑑み、せめて産後ケアの利用可能上限を2倍にすべきと訴えてまいりました。特にショートステイについては、上限が単胎児と同じ7日となっています。これを2倍にすることを検討すべきと考えますが、見解を伺います。

 

○原北部すこやか福祉センター地域ケア担当課長 現在、産後ケア事業につきましては、多胎児家庭の場合、デイケア、ショートステイ、アウトリーチの3事業の合計で21日まで利用可能としておりまして、単胎児の家庭に比べまして加算しておるところでございますけれども、ショートステイのみ7日を上限としているものでございます。これは、国、都の補助要綱などでこのショートステイのみ利用日数が7日までとされていることを踏まえまして、区で設定しているものでございます。区といたしましては、国や都の動向を注視するとともに、実績や実態を分析しながら適切な利用回数の設定について検討してまいりたいと考えております。

 

○甲田委員 ぜひよろしくお願いします。児童虐待の芽を摘むのは、お子さんが生まれた直後、産後が極めて大事です。多子世帯、多胎児の対策は本当に重要ですので、ぜひそこをしっかりと押さえながら、一歩一歩の改善、前進を望みます。以上でこの項目を終わります。

 

 次に、助産院での妊婦健診の立替え償還払いをなくすことについて伺います。第2回定例会の一般質問で小林議員が質問をいたしましたが、重ねて伺います。

 

 妊婦健診の受診は14回まで無料ですが、東京都の場合、妊婦健診の受診券は医療機関でのみ利用でき、助産院では妊婦健診を受けられますが、受診券が利用できない仕組みとなっており、利用者による立替え償還払いとしています。1回当たり利用者が立て替える受診料はどの程度でしょうか。また、中野区の助産院で妊婦健診を受けている区民の数は月にどのぐらいいるのでしょうか伺います。

 

○滝浪子育て支援課長 妊婦健診1回当たり5,070円を請求可能額としており、同額程度の立替えが想定されております。令和4年1月から3月までの実績によりますと、月平均16件程度ですが、人数にすると二、三人となっております。

 

○甲田委員 利用者が毎回の健診で5,070円は立て替えているということで、その負担はやはり大変だと思います。また、月二、三人ということですけれども、助産院での出産は今年大変伸びていると伺っております。八王子市と東村山市では助産院と直接契約を結び、市民の利便性を向上させていると聞いております。中野区も助産院と個別契約を結んで、償還払いではない形にすることを助産院も望まれており、助産師会では度々東京都に要望をしています。今回、中野区にも要望を出されたと伺っています。何よりも区民のために立替え払いをなくす方策を検討してはいかがでしょうか伺います。

 

○滝浪子育て支援課長 妊婦の方の利便性向上のためには、各区が個別に助産院と契約するのではなく、医療機関と同様に都内全域で受診票を利用した費用助成を行うことが望ましいと考えております。助産院との個別契約につきましては、他区の動向を踏まえながら研究してまいりたいと考えております。

 

○甲田委員 本来は、東京都で受診票を使えるように一律に行うのが望ましいのですけれども、23区ではまだどこも実施をしておりませんが、出産できる助産院が複数ある中野区だからこそ、先陣を切って突破口となっていただきたいと思っております。併せて東京都へ区長からも強く要請をしていただきたいと考えます。再度見解を伺います。

 

○滝浪子育て支援課長 重ねての答弁にはなりますが、助産院との個別契約につきましては動向を踏まえながら研究してまいるとともに、必要性については十分検討してまいりたいと考えております。

 

○甲田委員 これは承知で質問していますけれども、でも、お子さんを産んでいただく区民のために、助産院の方々も煩雑になることを承知で御協力くださろうとしています。区も真剣に検討していただくよう重ねてお願いいたします。これでこの項目を終わります。

 

 次に4番、新井薬師前駅周辺まちづくりについて伺います。

 

 1点目に、新井薬師前駅周辺のまちづくりの進捗状況について何点か伺います。初めに、区画街路第3号線、いわゆる駅前交通広場の現段階での進捗を伺います。まずは事業全体としてどのような状況か伺います。

 

○小倉まちづくり事業課長 区画街路第3号線の事業全体としましては、主に用地取得交渉を進めておりますが、今後の西武新宿線連続立体事業の作業ヤードの活用を見据え、現在、交通広場の大きな部分を占める新井薬師前駅前共同ビルの解体設計を実施しており、速やかに解体、連立事業への貸出しができるように準備を進めているところでございます。

 

○甲田委員 また、現在の用地取得の状況と、その薬師の駅前共同ビルにおける区分所有の取得及び契約状況について伺います。

 

○酒井まちづくり用地担当課長 9月1日現在の区画街路第3号線交通広場の用地取得における進捗率は、面積ベースで約16%であり、画地ベースでは約46%となっております。また、薬師駅前共同ビルの取得状況は、土地22筆のうち8筆を取得し、進捗率約36%、部屋数については67部屋のうち40部屋を取得し、約59%でございます。テナント47名のうち26名と契約済みであり、約55%の進捗率でございます。

 

○甲田委員 ありがとうございます。次に、現在検討が進んでいる新井薬師前駅前拠点整備について伺います。これは区画街路第3号線交通広場に隣接する区域であり、土地・建物を所有している方々が市街地再開発事業を検討し、中野区も支援しています。この事業は駅前の新たな顔となるだけでなく、駅前広場と一体的なにぎわいの中心となり、新たな駅と一体となった空間づくりなど、現在の駅前の環境を大きく変える事業として期待をされています。一方で、区域の中にお住まいの方や事業を営んでいる方々の生活を一変させることから、丁寧な進め方、取組も重要と考えておりますが、現在の駅前拠点整備の検討の進捗状況を伺います。

 

○近江新井薬師前・沼袋駅周辺まちづくり担当課長 新井薬師前駅地区では、区画街路第3号線交通広場に隣接する街区の権利者を対象に、平成28年度より市街地再開発等の共同化についての勉強会を実施し、機運の醸成を図ってきたところでございます。その結果、令和2年8月には市街地再開発事業推進を目的とした権利者主体の新井薬師前駅地区再開発協議会が設立されてございます。その後、新型コロナウイルス感染拡大により協議会の活動にも制限がございましたが、現在は次のステップとなる準備組合の設立に向けて検討しているとのことでございます。

 

○甲田委員 着々と進んでいるということで、ぜひよろしくお願いします。

 

 次に、鉄道の地下化に伴う線路の上部活用について、鍵を握る西武鉄道との協議がようやく始まったと聞いていますが、その後、協議は順調に進んでいるのか伺います。

 

○千田まちづくり計画課長 鉄道上部空間の活用については、鉄道事業者はもとより事業主体である東京都を含めた3者による協議調整が重要となります。当面の目標は、中野区と東京都、西武鉄道株式会社で鉄道上部空間の活用検討に必要な協議調整事項と進め方を特定し、共有することにありますが、担当課長として年度当初に想定したスケジュールよりも遅れておりますので、東京都、西武鉄道株式会社の協力の下、ピッチを上げていきたいと考えております。

 

○甲田委員 地域の方たちは、令和8年度末に事業延伸されたことについてとても落胆されています。特に令和小学校新校舎が開設をしたことで、松が丘や上高田五丁目など、今まで以上に多くの子どもたちが踏切を渡らなければ通学ができません。工事の影響で道路車線が少なくなり、自転車の歩道通行が多くなる危険もあり、保護者の皆さんはとても心配をし、連続立体交差事業の完成時期を何とか早めることはできないかとの声も聞かれます。一方で、逆に再延伸もあるのではとの疑念の声も聞かれるところです。考えたくはないですが、連続立体交差事業の延伸を再度行うということもあるのでしょうか。事業の現在の状況とともに伺います。

 

○近江新井薬師前・沼袋駅周辺まちづくり担当課長 西武新宿線中井駅・野方駅間の連続立体交差事業につきましては、東京都が事業主体となり、事業を進めていますが、用地取得が難航したことにより、令和9年3月31日まで事業を延伸してございます。現在は用地取得率も9割を超え、新井薬師前駅、沼袋駅部においては地下構造物の構築に向けた掘削工事等を行っているほか、地下へのアプローチとなる中井方、野方方の取付け部分の掘削工事等を行っております。今後は、シールド工法による駅間のトンネル構築に着手し、新たな地下駅の構築と併せ、事業期間内の完成を目指すと聞いているところでございます。

 

○甲田委員 聞いているということで、再度延びることがないよう、しっかり区から東京都に対して強く要望していただきたいと思っております。

 

 次に、新井薬師前駅周辺まちづくりのビジョンについて伺います。平成29年に策定をされた西武新宿線沿線まちづくり推進プラン(新井薬師前駅周辺地区編)の中には、新井薬師前駅は、中野駅と哲学堂公園との中間に位置することから、哲学堂公園及び哲学堂公園周辺都市観光拠点整備計画に基づき、案内誘導サイン整備などにより、まち歩き、回遊性を誘導するための環境を整備していくと記載されています。一方で、この哲学堂公園周辺都市観光拠点整備計画は、酒井区長誕生後、平成30年10月をもって廃案とされました。ということは、現在まちづくり推進プランに記載されていることは他の諸計画と整合が取れていない状況になっていますが、担当所管はそのような認識を持たれていたのかどうか伺います。

 

○近江新井薬師前・沼袋駅周辺まちづくり担当課長 西武新宿線沿線まちづくり推進プランでは、自然や歴史文化資源を活用したまちづくりを進めるために、道路等の整備に合わせた緑化や歴史文化資源への案内表示を推進することで、まちの回遊を誘導するための環境整備を行うこととしてございます。こういった取組は、他の計画の見直しに限らず必要なことと考えておりますので、交通広場整備等のタイミングを見ながら進めていくものと考えてございます。

 

○甲田委員 哲学堂公園周辺都市観光拠点整備計画は、中野駅から哲学堂公園までの間の波及効果も期待をでき、その中間である新井薬師前や沼袋の商店街にも大きく影響するものとなっていたと認識しております。この計画の廃案は非常に残念に感じています。令和2年に哲学堂が国の名勝指定を取得した後、少なくとも2年は放置状態でした。ようやく今年度、令和4年6月30日区民委員会にて、哲学堂公園保存活用計画の策定予定が報告をされましたが、この計画は周辺一帯のまちに回遊性を持たせるなどというものではありません。中野区は以前の都市観光ビジョンも廃止し、今ある中野の資源のPRを中心とした観光方針をつくるとしていますが、その中には哲学堂公園や新井薬師公園、平和の森公園等の北東部一帯のことはあまり触れられていないように思います。ということは、まちづくり推進プランに記載されているような哲学の道はもちろんのこと、自然や歴史文化を活用したまちづくりという概念すらもなく、ただ今あるものを案内誘導サインに落とし込むだけで道路や緑化の整備等が本当に進むのでしょうか。区の諸計画が変更されたことで、まちづくり推進プランの内容や進捗に影響があるのではないでしょうか伺います。

 

○近江新井薬師前・沼袋駅周辺まちづくり担当課長 西武新宿線沿線まちづくり推進プランは、進めていくべきまちづくりの具体的な取組内容を示しているものでございます。まちづくり推進プランを進めていく上では、関連する計画の状況を見ながら進めていく必要がありますが、取組内容が大きく変わることはないとの認識であり、引き続きまちづくり推進プランに基づき、まちづくりを進めてまいります。

 

○甲田委員 観光拠点整備計画が廃案になったとしても、少なくとも駅からの動線や回遊性を意識するとともに、地域の方々の願いを基につくられたまちづくり推進プランの実現に努めてほしいと思います。私も平成23年の初質問で歩きたくなる道構想ということを提案しましたが、目的地として多くの人を集めるというよりも、散策を楽しめることがまちの魅力につながると思います。新井薬師前駅周辺には哲学堂公園のみならず、平和の森公園、桜並木の中野通り、新井薬師梅照院、「たきび」の家など、地域資源が点在をしています。また、中野駅周辺から唯一連続している商店街があり、哲学堂公園へとつながっており、にぎわう中野駅からのコントラストを意識した商店街形成により、おしゃれでシックなまちとすることが期待をされています。一方で、家庭的で温かみのあるお店も多くあり、ふるさとのようなコミュニティがあることは、まちの特色であると思います。そのような自然や歴史文化と合わせた地域資源を活用し、意識的な回遊ルートの整備で「居心地が良く歩きたくなる」まちにすることが大切であると考えます。中野区は、国土交通省が進めているウォーカブル推進都市にも登録をしていることから、新井薬師前駅周辺でも「居心地が良く歩きたくなる」まちなかの形成を目指していくべきであると考えますが、いかがでしょうか。

 

○近江新井薬師前・沼袋駅周辺まちづくり担当課長 まちづくり推進プランでは、交通基盤の整備の中で、駅前拠点整備や都市計画道路事業等と併せて、自転車、歩行者を中心とした安全で快適な道路空間の創出を目指しております。まちの回遊性を高める取組と併せて、「居心地が良く歩きたくなる」まちの実現を図ってまいりたいと考えてございます。

 

○甲田委員 ぜひよろしくお願いします。ますますの高齢化もあり、新井薬師のまちは現状の狭く歩道のない商店街バス通りを安全で歩きやすくしなければなりませんし、子育て世代を呼び込むには工夫や仕掛けが必要だという御意見も頂いています。一方で、地域住民の方々の声は、まちづくりの将来像が見えてこないことにより諦めに変わってきている感も否めません。いずれにしても、私は今後さらに中野駅をはじめ、中野区を訪れる来街者が引き込まれていくようなまちの魅力をデザインし、まちを活性化させていくことと、地域住民が生活しやすいまちであるということとは同じことではないかと思っています。連続立体交差事業という千載一遇のチャンスを生かし、今後も丁寧な地域への情報発信や説明を繰り返しながら地域の声を聞き、それを生かせるようリードし、区が最大限の知恵を出していただきたいと思います。一連の質疑を通じての区長の所感と、西武新宿線沿線のまちづくりに対する御決意をお願いしたいと思います。

 

○酒井区長 甲田委員の御指摘のとおり、新井薬師前のまちのポテンシャルというのは非常に高くて、これを中野駅との連続性も含めて考えることによって、その魅力が引き出せるというふうにこのまちづくりについては考えております。今後も区民に対する情報発信を丁寧に行いながら対話を重ねて、回遊性の向上といった取組のほか、中野駅周辺に新たに創出されるにぎわいを区内全体に広げていくことも含めて、「居心地が良く歩きたくなる」まちなか、この形成に資するように西武新宿線沿線のまちづくりに努めていきたいと考えております。

 

○甲田委員 今後もということではなくて、これからはということで地域の声をしっかりと聞いていただいて、このチャンスを生かしたまちづくりをお願いしたいと思います。以上でこの項を終わります。

 

○甲田委員 それでは5番、子ども相談室について伺います。

今年4月1日に施行された中野区子どもの権利に関する条例に基づき、子どもの権利に応えるための機関として、9月1日に教育センター分室の3階に子ども相談室がオープンをしました。私は早速9月7日に見学させていただきました。経験や専門性のある3名の子どもの権利救済委員と、どんな相談にも対応できる相談の専門員さんも配置をし、必要な様式類をしっかりと準備していただいたことで人材としての頼もしさを感じました。一方で、施設の雰囲気づくりについてはまだ十分ではないと感じました。その理由は、施設がかなり古いこともありますが、内装だけでなく、まず1階にはウェルカム感が全くなく、大人でも入りづらい雰囲気です。思い切って3階に上がってみると、一応ボードにかわいく書かれた「子ども相談室」という文字が目に入ります。担当職員がせめてもとのことで、相談室受付の部屋の周りだけペンキでモスグリーンに塗っていただいたようですけれども、それ以外の廊下、また相談のお部屋、トイレ、給湯室は薄暗く、昭和の時代のまま。使用中という電気がつく表示板は古い病院のようで、少し怖い気がします。そもそも施設にあまり人気がなく、手入れをしていないとこうもなるものかと愕然としました。トイレは和式から洋式に替えるそうですが、やはりさすがは、つい昨年まで様々な経緯があり、廃止する予定だった施設だと感じました。救済委員の先生も、もうちょっと手を入れる必要があるのではと苦笑いされていました。このような施設では、子どもたちが行きたいと思うでしょうか。ただでさえ知らない大人に相談するというのはハードルが高いものです。早急に相談しやすい雰囲気づくりを進める必要があると思いますが、いかがでしょうか伺います。

 

○青木子ども政策担当課長 教育センター分室全体に関わる工事としまして、今年度、トイレの洋式化のほか、照明器具のLED化工事を予定しているところです。子ども相談室につきまして、児童館などの協力を得て、子どもたちの描いた絵などを館内に掲示するなど、相談しやすい雰囲気づくりを進めてまいります。

 

○甲田委員 私は、子ども相談室があるのですから、思い切って子どもの権利を発信する拠点にしてはどうかと考えています。よりよい場所にするためには、まず当事者である子どもの意見を聞くことが必須だと思います。区内の子育て世代のお話をお伺いしていると、子どもは悩みを抱えても大人に話すことをちゅうちょすることがあるといいます。そこで、子どもに施設を見てもらう機会を工夫してつくり、感想を聞いて、運営にフィードバックしてはいかがでしょうか。子どもは大人にない視点を持っています。子どもの意見を聞いて、相談室の愛称やキャラクターをつくることも大切だと思います。子どもの権利に関する条例の趣旨を踏まえても、子どもの相談室というのは、ユーザーである子どもを蚊帳の外に置いて、大人だけでつくるものではないと思いますが、その辺りの区の今のお考えをお聞かせください。

 

○青木子ども政策担当課長 子ども相談室の場所や、実際に対応する救済委員などを子ども自身に知ってもらうことは、子どもに寄り添った相談対応等を行っていく上で重要であると認識してございます。今後、学校や児童館への出前授業などを実施していくことを考えておりますが、子どもたちにより相談室を知ってもらえるよう工夫してまいりたいと考えております。また、そういった子どもの意見や感想を子ども相談室の運営の改善に生かす取組についても行うということと、子ども相談室の愛称やキャラクターなどの募集、それを活用した普及啓発などの取組を検討していきたいと考えてございます。

 

○甲田委員 そうですね。こちらから、出前事業という言葉もありましたけど、出ていって知っていただくということも必要ではないかと思います。

 

 また、子どもが子ども相談室に相談しやすい手法についてお伺いします。子ども相談室では、メールでの相談も受け付けていますが、近年報道で見られるようになった教育虐待のケースでは、電子機器による通信が保護者によって厳しく監視されているというケースもしばしばあるそうです。来訪した子どもに直接話を聞いたほうがいいのか、またはタブレットや紙に気持ちを書くのか。それを子ども自身に選んでもらうというやり方のほうが、より一層子どもの気持ちに寄り添えるのではないかと思います。そういった工夫の検討というのはされていますか伺います。

 

○青木子ども政策担当課長 子ども相談室では、子どもが相談しやすいよう、フリーダイヤル、電子メール、来所、手紙というような多様な相談方法を設けているところでございます。一方で、子どもが置かれている状況は様々でありますので、他自治体の事例も参考にしながら、効果的な相談方法を検討していきたいと考えてございます。

 

○甲田委員 昨年策定した区有施設整備計画では、施設の今後については、将来的には跡地に保健所を主体とした合同庁舎を整備するとしており、合同庁舎に保健所以外の何を入れるのか、また建て替え時期も未定であり、現状は利用されていないスペースもあるようです。まだしばらくは現在のまま使うのであれば、子どもたちが親しみを持っていくことのできる場所にすれば、今ある学習スペースも、隣接する公園ももっと生きてくるのではないでしょうか。例えば施設の一角に子どもが行けるカフェや子ども食堂、遊びを教えてくれる異世代交流など、常時何かしら面白いことがあるような仕掛けをつくってみてはどうでしょうか。いつも言っている楽しい場所の別の階に、ふっと気づけば相談できる場所がある。ほっとする、温かみのある相談室があるということが大切なのではと考えます。教育センター分室の使途目的にも関わっていくことかもしれませんが、子どもの権利に関する条例に基づく子どものための相談室ができたからには、この施設を子どもたちのために存分に開放できる施設として検討されてはいかがでしょうか。このような取組は、子どもの権利に関する条例をつくった自治体の中では先進的な取組になろうかと思いますが、区の見解を伺います。

 

○齊藤指導室長 旧教育センターは、令和3年度より当分の間、教育センターの分室として、不登校や外国籍の子どもたちの支援に活用しているほか、教職員の研修室として活用しております。現在、3階を子どもの権利に関する条例に関わる子どものための相談室として活用しているほか、1階部分は自習スペースとして子ども向けに開放しているところです。教育センター分室の本来の目的を踏まえた上で、子どもたちにとって利用しやすい施設となるよう検討してまいります。

 

○甲田委員 いろいろと検討していただくことだと思いますけれども、将来的には子どもの意見が生かされた施設への転換がされることを期待したいと思います。これは要望といたします。この項を終わります。

 

 最後に1点、その他で子育て支援ハンドブック「おひるね」の復活の可能性について伺います。

子育てのメニューは、ホームページ、子育てナビ等で検索ができますが、孫育てをしている方や子育てのサポートをしている方から、区の子育て支援の全体像が分かるハンドブックがあるとよいと言われています。子育ての相談支援機関が多岐にわたっていることから、一覧の冊子になっていたことは効果的であったと感じます。「おひるね」は隔年で作成されていたものが、財政状況の悪化を理由に平成30年に広告収入での作成となりましたが、その後、令和2年度に広告が集まらないことにより停止をされました。積極的な施策転換ではなかったと思います。代替手段も特にありません。子育て支援の充実に向けて、子育て支援ハンドブックの復活の可能性はないのでしょうか見解を伺います。

 

○濵口子ども・教育政策課長 「おひるね」につきましては、妊娠・出産期から子どもの中学校卒業までの期間、区の子育て支援サービスや、役に立つ子育て情報を掲載するハンドブックでございます。子育て支援に係るハンドブックの作成につきましては、電子媒体への転換や費用対効果を踏まえながら、区民にとってどのような形の情報提供が便利であるのか、区の子育て支援事業全体の中で今後検討してまいりたいと考えてございます。

 

○甲田委員 電子媒体というのもいいと思うんですけれども、新たに子ども・若者支援センターができたこともありますし、産後ケアも充実しています。他区でもこの部分を削っている区はあまりないと思います。印刷冊数は少なくてもいいと思いますので、PDFで更新をしておけば活用ができると思っていますので、ぜひ現場の意見を聞いて前向きな検討をお願いしたいと思います。

 

 以上で私の全ての質問を終わります。ありがとうございました。

 

 

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