10月から全国で実施/搬送時に活用、適切に応急処置
2025/09/26 2面
マイナンバーカードを健康保険証として利用する「マイナ保険証」を救急搬送業務に活用する「マイナ救急」が、10月1日から全国の消防本部で始まる。公明党が全国展開を後押ししてきた。
マイナ救急は、救急隊が持つカードリーダーで傷病者のマイナ保険証を読み込み、受診した医療機関や既往歴、薬剤情報などを把握する仕組みで、円滑な搬送先の選定や適切な応急処置につなげる。2022年度から実証事業が行われ、昨年度は67消防本部・660救急隊が参加。有効性が確認されたことから全720消防本部に広げる。
マイナ救急を利用するには、マイナカードを所有し、健康保険証の利用を登録していることが必要。救急隊員が閲覧できるのは本人同意の下、氏名や住所などの券面上の情報と、受診歴や薬剤情報などの医療情報のみで、救急活動に関係のない税や年金などの情報は閲覧できない。本人が意識がなく同意できない場合には、救急隊員の判断で照会することもある。
医療機関などではスマートフォンにマイナ保険証の機能を搭載した「スマホ保険証」の運用も始まっているが、現段階ではマイナ救急には未対応。今年度中には対応可能となる方針だが、政府は万一に備えて外出時もマイナ保険証を携帯するよう呼び掛けている。
マイナ救急を巡って公明党は、21年12月の参院予算委員会で、医療分野におけるマイナカードの活用案として、救急隊員が傷病者のカードから医療情報を確認できる環境整備を主張。これを受けて金子恭之総務相(当時)が実証実験を行うと表明し、横展開も検討すると答えていた。その後も公明党は、国会質問でたびたび取り上げ、実証事業の全国展開を訴えるなどマイナ救急の取り組みを強く推進してきた。