きょうは、地方議員として、15年やってきた今だからこそ話せることを率直にお話しします。

若い方から、「議員って実際どれくらいもらっているんですか?」と聞かれることがあります。

若い方から見れば、かなり高い報酬に感じるかもしれません。

ただ、トータルで見たときにどうなのでしょうか。

政治家のお金の話になると、「高い」「安い」という印象で語られがちですが、私はできるだけ実態に近い形でお話ししたいと思っています。

今回は、中野区議会議員(現在、委員長職)である私自身のケースを、分かりやすく書いてみたいと思います。

月額報酬について

中野区議会議員の月額報酬は621,800円です。

現在、委員長職の私は、委員長加算があり、月額約683,900円です。

ここから、

所得税(毎月約6万円)と住民税(毎月約6万円)が引かれ、

毎月の振込額は税引き後、約564,000円になります。

さらに、賞与(期末手当)が年2回あり、税引き後で年間約320万円ほどです。

ここだけを見ると、「かなりもらっている」と感じる方もいると思います。

ただ、実際にはここからさらに色々な支出があります。

議員には会社員のような社会保障がありません

厚生年金、会社負担の健康保険、雇用保険、労災保険などがないのです。

国民健康保険、国民年金であり、立場としては、自営業に近い形です。

国民健康保険は、年間で上限額の110万円 (月額約91,000)です。

また、議員年金は15年前に廃止されました。ちょうど私が議員になった年に廃止になったため、当時、先輩議員からは、「これからは、以前の議員年金の掛け金分くらいは、自分で積み立てておいた方がいい」と言われました。そのため、国民年金基金、民間の年金保険などを自分で負担しています。

ただ、現実にはなかなか簡単ではありません。

それでも、将来のことを考えると、どうしても追加の備えは必要になります。

 

実は、政治活動には、政務活動費ではまかなえない支出、見えにくい自己負担も多くあります。

例えば、地域活動、会合や付き合い、各種参加費、党費、選挙費用の積立などです。

選挙費用は4年に一度ですが、まとまった金額を準備しておく必要があります。

さらに、地域密着で活動する以上、担当エリアに住むこともほぼ必要になります。中野区は家賃も高く、生活コストも決して低くありません。

こうしたものを差し引いていくと、「議員だから特別に裕福」という感覚は、正直あまりありません。

実際、会社員時代と比べて、手元に残るお金は大きく変わっていない、というのが率直な実感です。

 

政務活動費について

ここで少し、政務活動費についても触れておきたいと思います。

政務活動費は、議員が政策を勉強したり、調査研究を行ったり、議会活動を区民に広報したりするための経費です。

中野区では会派に対して支給されており、私たち中野区公明党議員団では、会派共通経費を除き、一人あたり月13万円程度を目安に活用しています。

主に、視察費、事務所費、ホームページや広報誌などの広報費などに使っています。

これも、計上できるもの・できないものの一応のマニュアルがありますが、解釈の判断がとても難しく、区民感情を慮りながら、徐々に使途のルールは厳しくなっています。

現在は、飲食を伴う支出などは対象外となっています。

私自身は、前職の会社員時代に、経費の担当をしていたこともあり、請求書や領収証の取り扱い等には、日々かなり気を遣いながら事務作業をしています。

地方議員の働き方

そこで、これはあまり知られていないのですが、地方議員には国会議員のような公設秘書制度はありません。地方議員は、日頃の議員活動、地域活動における雑務は自分でやっています。

もちろん、個々の議員の仕事の仕方や、ご家族の協力などによって違いはありますが、多くの地方議員は、事務作業やその他(地域対応、資料づくり、SNSや広報、行事参加、相談対応) など、ほとんどを自分自身で行っているのです。

私自身も、昼も夜も関係なく仕事をしている感覚がありますし、「今日は完全に休み」という日は、正直ほとんどありません。夜遅くまで仕事をしていることも多いです。

そういう実態を知っている方からは、「時給換算したら、かなり低いですよね」と言われることもあります。

もちろん、これは「大変だから評価してほしい」という話ではありません。

ただ、国会議員や首長には、秘書や車両移動に関する公費負担などがありますが、地方議員はかなり違う働き方をしている、ということは、率直に知っていただけたらと思っています。

「政治家」と一括りにされることも多いのですが、地方議員の働き方や環境は、皆さんがイメージするものとは少し違う部分もあります。

 また、「地方議員」と一括りにはできない面もあります。

比較的小さな市や町では、報酬がかなり低く、政務活動費も“ごくわずか”、もしくは“ゼロ”という地域も少なくありません。

私自身は、夫と二人暮らしで、子どもはいませんので、経済的にはまだ恵まれている方だと思います。

また、普通の会社員を経験してから議員になりました。だから、まだ何とかやれている部分があります。

でも、これから先の政治を考えると、本当に今の仕組みでいいのだろうか、と思うことがあります。

 

今の制度では、子育て中の人、住宅費の負担が大きい人、民間で専門性を持って働いている人、若い世代など、政治家になってもらいたい優秀な人ほど議員になるハードルが高くなりやすいと感じます。

 もちろん、「議員を特別扱いしてほしい」という話ではありません。ただ、地域のために、自分のことよりも市民・区民のために全力で働きたい、と思う人が、生活や将来への不安から政治の道を選びにくくなっているとしたら、それは少しもったいないことだと思っています。

 

せめて、社会保障は考えてもいいのでは

私は、少なくとも議員の社会保障については、もう少し議論してもいいのではないかと思っています。

例えば、

厚生年金に近い仕組み、雇用保険のような制度、一定の労災的な補償 などです。

今の議員には、失業保険もなく、労災もありません。任期が終われば、無職になる可能性もあります。一方で、仕事上必要な支出の多くは自己負担です。しかも、自営業のように幅広く経費計上できるわけでもありません。

この仕組みのままで、これからも多様な人材が政治に挑戦できるのか。そこは少し心配しています。

 

最後に

議員報酬については、いろいろな考え方があって当然だと思います。

だからこそ、「高い」「安い」という印象だけではなく、実際の仕組みや負担についても、率直にお伝えしたいと思い、今回書いてみました。

政治が、一部の人だけのものではなく、いろいろな背景を持つ人に開かれた世界であってほしい。

そんなことを、最近よく考えています。

活動費の事務作業をしていた時の写真をAIでリアルイラストにしました

 

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