本日、中野区議会第2回定例会が閉会しました。

今回の定例会では、中野区が来年度から独自に創設する

「給付型奨学金制度」の条例が可決されました。

私たち公明党議員団は、「経済的な理由で進学を諦める若者をなくしたい」という制度の趣旨には賛成です。

一方で、この制度は区民の皆さまの大切な税金を財源とする、中野区独自の制度です。しかも、一度始まれば長く続く制度になることが想定されます。

そのため、

✅ 本当に支援が必要な方に届く制度になっているか
✅ 支給額や対象者の考え方は適切か
✅ 区民の皆さまに十分理解していただける制度か
✅ 公平・公正に運用される仕組みになっているか

という点について、総括質疑や子ども文教委員会で繰り返し議論を重ねてきました。

その結果、制度そのものには賛成する一方で、開始までの詳細な検討と、開始後も運用状況を検証し、必要に応じて見直しを行うことを求める“附帯意見”を付けました。

附帯意見では、

「税負担の観点から公平・公正な事業執行となるよう区民への周知と理解を図り、真に支援が必要な若者が活用できるよう、制度の運用、給付金額や定員について適宜適切な評価と見直しに取り組むこと」

を求めました。

本会議では、我が会派・子ども文教委員の木村広一区議が「賛成討論※」を行いました。

私たちは、教育への支援はとても重要だと考えています。

だからこそ、区民の皆さまに理解され、将来にわたって持続できる制度であることが何より大切です。

制度がスタートして終わりではなく、実際の利用状況や課題を検証しながら、より良い制度へと育てていくことが必要です。

今後も、区民の皆さまの大切な税金が真に必要な方々への支援につながるよう、引き続きしっかりとチェックし、提案を続けてまいります。


※木村広一議員による賛成討論全文はこちら

 ただいま上程されました、第59号議案「中野区奨学金の支給に関する条例」につきまして、公明党議員団を代表し、賛成の討論を行います。
 
 本議案は、経済的理由により大学等への進学や修学が困難な若者に対し、中野区独自の給付型奨学金を支給することにより、家庭の経済状況に左右されることなく、学ぶ機会を得られるよう支援するものであります。  
 
 長引く物価高騰の中、入学金や授業料、教材費、通学費、生活費など、大学等への進学に伴う負担は一層重くなっています。学ぶ意欲や能力があり、将来への希望を抱いていても、経済的な事情によって進学を断念し、あるいは在学中に修学継続を諦めざるを得ない若者を生み出してはなりません。  
 

 本制度は、国の高等教育修学支援新制度を前提としつつ、国制度だけでは十分な支援が届かない層に対し、中野区が独自に支援を行うものです。一定の中間所得層まで対象を広げることや、国制度の対象外となる若者にも支援の可能性を開くことなど、教育費負担の軽減と若者の学びの保障に向けた重要な一歩として評価いたします。  
 

 同時に、本制度は、返還を求めない給付型奨学金であり、全区民の税負担によって実施される事業であります。したがって、支援の必要性だけでなく、公平性、公正性、透明性を確保し、区民の理解と納得を得ながら運用することが不可欠です。  
 

 一方で、制度設計には課題が残ります。

 本条例による制度は、国や他区の制度よりも対象範囲を広げた、中野区独自の非常に複雑な仕組みとなっており、我が会派は、総括質疑及び常任委員会を通じて、国制度との関係、30歳未満という年齢要件の根拠、在学生募集の考え方、国制度対象外者への支援、支給額の算定方法などについて、繰り返し指摘と提案を重ねてまいりました。  
 

 以下、課題として残ると考える懸念点を述べます。  

 第一に、学費差に着目した加算支給についてです。  
 本来、授業料等の実負担を補うことを目的とした加算支給でありながら、その算定の基礎には生活費相当の学資支給金が含まれています。このため、個々の学生の生活費支援の必要性を十分に確認しないまま、学費負担の軽減という目的を超えて、生活費相当分まで余分に支援される可能性があります。   区民の税負担による給付制度である以上、学費支援と生活費支援の考え方を明確に整理し、必要性を超えた給付とならないよう、制度開始後の実績を検証し、給付金額や算定方法について適切に見直す必要があります。  

 第二に、30歳未満という年齢要件についてです。学び直しを希望する若者を支援する趣旨は理解する一方で、区内にどの程度の対象者や需要があるのか、十分な客観的データが示されているとは言えません。  
 

 第三に、国制度の対象外となる方に対し、区が単独で高額な支援を行う場合も想定されることです。こうした区独自の支援については、対象者数、財政影響、他の申請者との公平性を継続的に検証しなければなりません。  

 そして第四に、議会の意思決定との関係です。本条例化が成立し、募集が開始されたとしても、予算に反映されるのは募集・審査後の次年度となります。仮に今後区が大幅に人数の増減を示した場合、その時点では議会には決定権がないため、予算成立前の準備行為の範囲や手法を明確にする必要があります。  

 これほど複雑で区独自性が高く、区民の税負担にも大きく関わる制度であるにもかかわらず、令和8年度中の募集開始を先行するあまり、条例提案までの説明や委員会審議の過程については、不明瞭な点、丁寧さを欠いた面があったことを、改めて指摘しておきます。  

 これらの質疑を踏まえ、本議案には、「税負担の観点から公平にして公正な事業執行となるように、広く区民に周知と理解を図るとともに、真に支援の必要な若者が活用できるように、制度の運用、給付金額や定員については、適宜適切な評価と制度の見直しに取り組まれたい。」との附帯意見が子ども文教委員会において賛成多数で採択されました。  

 我々は、税を原資とする給付型奨学金制度をスタートする以上、今度区を取り巻く状況が大きく変化したとしても、簡単に縮小・廃止があってはならないと考え、条例制定を求めました

 そして、本制度を持続可能なものとするために最も必要なものは区民の理解です。  

 だからこそ、制度開始後は、申請者数、採用者数、不採用理由、年齢階層、学校種別、所得区分、国制度対象・対象外の別、家計急変の相談状況、一人当たりの支給額などを丁寧に把握し、制度が真に支援を必要とする若者に届いているかを、客観的に評価、検証すべきです。  

 あわせて、制度が複雑であるため、受給希望者や保護者が、自らの支給見込額を容易に確認できるよう、学校種別、通学形態、所得区分ごとの支給額を分かりやすく示すことが必要です。相談窓口の充実や簡易なシミュレーション機能の導入など、制度の複雑さが申請の障壁とならないよう、利用者に寄り添った周知と申請支援を求めます。  

 公明党は、これまでも一貫して、教育費負担の軽減と、誰一人取り残さない学びの保障に取り組んでまいりました。  

 本条例による給付型奨学金制度が、中野の若者一人ひとりの可能性を広げ、将来への希望を支える制度となることを期待いたします。  

 その上で、区に対しては、附帯意見を重く受け止め、区民への説明責任を果たしながら、公平で公正な事業執行に努め、制度の運用、給付金額、定員について不断の評価と見直しを行うことを強く求めます。  

 以上、第59号議案に対する公明党議員団の賛成討論といたします。

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