2026年7月30日、公明党新井支部として、妙正寺川における治水対策についての説明会・水害対策勉強会を開催しました。
会場は、環状七号線地下広域調節池インフォメーションセンターです。(発進立坑事務所内)
昨年7月の豪雨による浸水被害を受け、久保りか都議会議員にお願いし、東京都第三建設事務所工事第二課の皆さまから、妙正寺川の河川整備や地下調節池の仕組みについてご説明いただきました。
地域から約25名の皆さまにご参加いただき、説明後には活発な質疑応答も行われました。
開催直後にも概要をご報告しましたが、今回は【詳細・記録版】として、当日どのような説明があり、参加者の皆さまからどのような質問が出されたのかを、改めて記録しておきたいと思います。
■なぜ、この説明会を開催したのか
2025年7月10日の豪雨では、野方一・二丁目の一部で道路冠水や床下浸水などの被害が発生しました。
翌日、久保りか都議とともに現地を歩き、被害の状況を確認するとともに、地域の皆さまからお話を伺いました。
その際、多く寄せられたのが、
「なぜ、妙正寺川の取水ゲートをもっと早く開けられないのか」
「地下調節池があるのに、なぜ浸水したのか」
という疑問でした。
目に見えない地下の施設が、どのような基準で動き、どのような水害に効果があるのかは、地域の皆さまにはなかなか分かりません。
そこで、治水施設の役割と限界を正しく知り、今後の対策につなげるため、東京都から直接説明を伺う機会を設けました。
■妙正寺川と水害の歴史
妙正寺川は、杉並区にある妙正寺池を水源とし、中野区北部を東に流れ、江古田川と合流した後、新宿区下落合で神田川に合流する一級河川です。
流域面積は16.4平方キロメートル、河川延長は9.7キロメートルに及びます。
2005年(平成17年) 9月の豪雨では、下井草観測所で時間最大112ミリ、総雨量263ミリを記録し、江古田川流域を含めて1,417棟が浸水しました。
内訳は床上浸水895棟、床下浸水522棟だそうです。
近年は、時間50ミリを超える激しい雨が増加傾向にあります。
現在の整備では、時間50ミリ程度までの雨は川の流下能力を高める河道整備で対応し、それを超える雨は地下調節池などに一時的に貯めるという考え方が基本になっています。
妙正寺川の護岸整備率は、現在47%とのことでした。
■中野工科高校の改築と妙正寺川の整備
妙正寺川では、都立中野工科高校の改築事業と連携し、新昭栄橋付近から三谷橋付近まで、約400メートルにわたる河川整備が進められています。
旧校舎は妙正寺川の両岸に配置されていましたが、新校舎は川の北側に集約されます。
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一期工事では、鋼管杭の打設や仮設構台の設置などが行われました。
今後の二期工事では、
・河床の掘削
・新しい護岸の整備
・三谷橋の架け替え
・中野区による新設橋の整備
・河川管理用通路の整備
などが予定されています。
中野工科高校の改築工事が進んだ後、2029年度から2031年度にかけて二期工事が行われる予定です。
将来は、妙正寺川の両岸に幅約4メートルの管理用通路が整備されます。
質疑では、「管理用通路が整備されると、一般の車も通行できるようになるのか」との質問がありました。
東京都からは、河川沿いを連続して通れるよう整備するものの、新たに一般車両を通行させる計画ではないとの説明がありました。
[写真② 中野工科高校と河川整備について説明を受けている場面]
■地下調節池は、どのように水を取り込むのか
神田川・環状七号線地下調節池は、環状七号線の地下に整備されている巨大な治水施設です。
妙正寺川の取水施設では、モニターによって川の水位を常時監視しています。
護岸には白い線が表示されており、その白線が水に隠れる水位に達したことなどを確認して、取水ゲートを開けます。
そこから増水した川の水を地下調節池へ取り込み、一時的に貯留します。
神田川・環状七号線地下調節池の総貯留量は約54万立方メートルで、小学校の25メートルプール約1,800杯分に相当します。
資料作成時点までに48回の流入実績があり、2025年7月10日の集中豪雨では、12万9,000立方メートルの水が流入しました。
参加者からは、
「雨が激しく降っているとき、もっと早く取水ゲートを開けられないのか」
「一度水を入れると清掃などに費用がかかるため、簡単には開けないという話を聞いたことがある」
との質問もありました。
東京都からは、取水後の清掃などに費用がかかることは事実であるものの、費用を理由に必要な取水を行わないことはなく、河川水位を監視し、定められた条件に基づいてゲートを操作しているとの説明がありました。
■地下調節池があっても浸水するのはなぜか
この日の説明で、特に重要だったのが「外水氾濫」と「内水氾濫」の違いです。
地下調節池は、川の水位を下げ、川から水があふれる「外水氾濫」を防ぐための施設です。
一方、短時間に非常に強い雨が降り、下水道や道路の排水能力を超えた水が、川に到達する前に道路や住宅地へあふれるのが「内水氾濫」です。
東京都の記録では、昨年(2025年)7月10日の豪雨の際、妙正寺川から水があふれた状況は確認されていないとのことでした。
地下調節池に12万9,000立方メートルの水が入ったことで、川の水位上昇を抑える効果はありましたが、野方一・二丁目などで発生した浸水は、下水道や道路排水が追いつかなかったことによる内水氾濫だった可能性があります。
つまり、地下調節池があれば全ての浸水を防げる、ということではありません。
妙正寺川の整備に加え、下水道、道路、公園などを活用した雨水対策や、住宅への止水板設置など、複数の対策を組み合わせていく必要があります。
■全長約13.1キロの地下広域調節池へ
現在、既に完成している「神田川・環状七号線地下調節池」と「白子川地下調節池」を、約5.4キロメートルの地下トンネルで結ぶ工事が進められています。
完成すると、広域調節池全体は、
・総延長 約13.1キロメートル
・総貯留量 約143万立方メートル
という大規模な施設になります。
複数の地下調節池をつなぐことで、ある河川の流域に雨が集中した場合にも、ほかの調節池の空いている容量を活用できるようになります。
工事では、直径13.45メートル、重量約2,500トンという巨大なシールドマシンが使われています。直径はビル約5階分、重量は自動車約1,600台分に相当するとの説明に、参加者からも驚きの声が上がりました。
このシールドマシンは、中野区野方五丁目付近から練馬区方面へ掘り進められています。
トンネルの内径は12.5メートル。地下鉄や既存のライフラインを避け、基本的に道路など公共用地の地下を通すため、深いところに整備されています。
やむを得ず民有地の地下を通る場合には、「区分地上権」を設定し、地下に施設を設置する権利を確保して工事を進めるとのことでした。
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■「地下神殿」とは何が違うのか
参加者からは、埼玉県春日部市にある「首都圏外郭放水路」、いわゆる地下神殿との違いについても質問がありました。
首都圏外郭放水路は、土地の高低差が少なく水が流れにくい埼玉県東部で、複数の河川から水を取り込み、大きな河川へ排水する施設です。
一方、今回の環状七号線地下広域調節池は、東京都内にある複数の地下調節池をつなぎ、増水した川の水を一時的に貯める容量を融通し合う施設です。
地域の地形や対象となる河川、施設の目的によって、必要な仕組みは異なります。
また、気候変動により、今後さらに大きな雨が降る可能性も考えられます。
現在の広域調節池が完成した後の将来対策についても検討が進められており、選択肢の一つとして、神田川の地下調節池をさらに海までつなぐ構想も検討対象になっているとの説明がありました。
ただし、これは現時点で具体化した事業計画ではなく、将来に向けた検討段階とのことです。
■雨水と生活排水は同じ管を流れている
質疑では、下水道の仕組みについても詳しい説明がありました。
中野区を含む東京都区部の多くでは、雨水と家庭から出る生活排水を一本の下水管で流す「合流式下水道」が採用されています。
通常は、水再生センターへ運ばれ、処理された後に放流されます。
しかし、大雨によって下水管の水位が一定の高さを超えると、処理施設や下水管から水があふれることを防ぐため、雨水と生活排水が混ざった水の一部が河川へ流れる仕組みになっています。
河川への影響を少なくするため、
・下水処理能力の向上
・下水管の増強
・雨水を一時的に貯める施設の整備
・ごみなどを捕捉するスクリーンの設置
といった対策が進められています。
ただし、スクリーンの目を細かくしすぎると、ごみが詰まり、雨水が流れなくなる危険があります。水質対策と浸水対策の両方を考えながら整備する必要があるとのことでした。
普段、地上からは見えない地下で、さまざまな工夫と地道な整備が続けられていることを、改めて知ることができました。
■治水と内水氾濫対策を一体で進める
私は閉会の挨拶で、東京都第三建設事務所の皆さまと、暑い中お集まりいただいた地域の皆さまに、改めて御礼を申し上げました。
大雨が降るたび、私たち公明党議員は、地域の被害状況を確認するため現場へ駆け付けてきました。
2025年7月の豪雨以降、私は「内水氾濫をどうすれば防げるのか」を考え、中野区議会の一般質問でも取り上げてきました。
今回の説明を伺い、改めて感じたのは、水害対策は一つの施設、一つの部署だけでは完結しないということです。
妙正寺川の河川整備を担う東京都第三建設事務所。
下水道を担う東京都下水道局。
そして、道路、公園、防災、住宅支援などを担う中野区。
それぞれが持つ情報や事業をつなぎ、流域全体を見ながら対策を進めていく必要があります。
今回の勉強会を、その連携を進める第一歩にしていきたいと思います。
また、中野工科高校の改築と妙正寺川の河川整備を契機として、学校周辺の防災性を高め、地域の憩いの場にもつながる防災まちづくりを進めたいと考えています。
中野工科高校の河川にまたがる実習棟の跡地についても、防災機能を備えた地域の憩いの場となるような活用を、久保りか都議とともに提案してきました。
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災害は、いつ、どのような規模で起きるか分かりません。
大規模な河川・下水道整備を着実に進めることと、一人ひとりが地域の浸水リスクを知り、早めの避難や住宅への浸水防止策を考えておくこと。その両方が大切です。
これからも久保りか都議と連携し、地域の皆さまのお声を伺いながら、安全で安心して住み続けられる中野を目指して取り組んでまいります。
ご参加いただいた皆さま、そして丁寧にご説明くださった東京都第三建設事務所工事第二課の皆さま、本当にありがとうございました。









