「中野で、サッカーを続けたい」―29歳の指導者が語る、地元への思い
若者の思いや暮らしの中の声を伺う「若者の声」シリーズ。今回は、中野で生まれ育った29歳の男性、Aさんにお話を聞きました。
私立高校の非常勤体育教師として授業を受け持ち、サッカー部の顧問・コーチとしても活動。家業を手伝いながら、地元・中野でも週に一度、子どもたちにサッカーを教えています。さらに、中野を拠点とする社会人サッカーチームの活動にも取り組む、サッカー愛と行動力にあふれる好青年です。
1歳のお子さんを育てるお父さんでもあるAさん。中野の暮らしについて尋ねると、まず返ってきたのは、「すごく満足しています」という言葉でした。
生まれ育った地元への愛着。どこへ行くにも便利な交通。平和の森公園など、子どもと過ごせる場所が身近にあること。
中野の良さを感じながら暮らすAさんには、ぜひかなえたい願いがありました。
それは、子どもから大人まで、地元でサッカーを続けられる環境をつくることです。
サッカーが好き。でも、活動する場所が足りない
子どもの頃、平和の森公園でサッカーをしていたというAさん。中学生の時には、区外のクラブチームへ通っていました。
お話から見えてきたのは、サッカーをしたい気持ちがあっても、身近な場所では活動の場を見つけにくいという課題です。
特に、中学生以上のクラブチームや社会人の活動では、練習場所に加え、試合ができる広さのグラウンドの確保が大きな壁になるといいます。現在の社会人チームの活動でも、茨城や千葉、神奈川など、遠方の会場へ出向くことがあるそうです。
新しくサッカー場をつくるには、広い土地が必要です。その難しさは、Aさんも十分に理解しています。
だからこそ、専用のサッカー場の整備だけでなく、今ある学校施設やグラウンドを、もっと活用できないだろうかという、具体的な要望を聞かせてくれました。
「あと1〜2時間」で、参加できる子が増える
特に心に残ったのは、Aさんが教えている小学生のサッカースクールのお話です。
現在は白鷺せせらぎ公園で活動していますが、利用できるのは午後5時までとのこと。学校が終わってから向かうため、遠くに住む子どもや、6時間授業になる高学年の子どもは、練習に間に合いにくいそうです。
せっかくサッカーが好きになっても、学年が上がるにつれて通い続けることが難しくなる。教える人がいて、参加したい子どもがいても、場所と時間が壁になってしまうのです。
「使える時間が、あと1時間、2時間延びるだけで、全然違うんです」
この言葉に、現場で子どもたちと向き合う指導者の実感が込められていました。
学校の校庭を、地域のスポーツにも
Aさんは、学校施設の利用についても、これまで相談を重ねてきたそうです。
土日の利用に加えて、平日の放課後や夕方にも、地域のチームが練習できる場所があれば、子どもたちの選択肢は広がります。照明のある校庭など、既存施設を生かせる可能性もあります。
一方で、相談先や利用の条件が分かりにくく、話が前に進みにくいと感じた経験も伺いました。
もちろん、学校教育や子どもたちの活動を第一に、安全管理、近隣への配慮、管理する方の負担などを考える必要があります。
その上で、Aさんが話してくれたのは、「きちんとルールを決めることが、一番平等だと思う」ということでした。
利用できる団体の条件、時間帯、管理責任などを明確にし、地域の団体が公平に申し込める仕組みを考える。学校ごとの事情も確かめながら、区としてどのような活用ができるのか、検討する余地があると感じました。
中野のチームを、中野に根付かせたい
Aさんが社会人サッカーチームから活動を始めた背景には、将来への思いがあります。
大人であれば、区外の会場にも自分で移動できる。まずは中野のチームとして活動を続け、地域とのつながりを育てながら、いずれは中学生年代のチームづくりにもつなげていきたいというのです。
その思いに共感し、応援してくれる地元企業も現れたそうです。
中野で長く事業を続けてきた企業が、「中野のサッカーチームを応援したい」と支えてくださる。スポーツを通じて、人と人、地域と企業がつながり始めています。
体育教師、サッカー指導者、家業の担い手。そして、子育て中の父親。いくつもの役割を持ちながら、自分の好きなことを地元に還元しようとする姿が、とても印象的でした。
「好き」を地元で続けられる中野へ
若者が住み続けたいと思えるまちには、便利さや暮らしやすさに加えて、好きなことを続けられる場所、仲間とつながれる場所も大切なのだと思います。
今回のお話は、一人のサッカー愛好家の要望であると同時に、子どものスポーツの機会や、公共施設の活用、地域のつながりを考える大切な声でした。
まずは、学校施設の開放状況や利用条件、グラウンドの予約・利用の実態を確認し、他自治体の取り組みも調べていきたいと思います。サッカーをはじめ、さまざまなスポーツに親しむ方々の声を聞きながら、限られた施設をより有効に使う方法を探ってまいります。
「中野でサッカーをしたい」「子どもたちに教えたい」
その思いが、地元で育ち、続いていくように。若者の声を、具体的な改善につなげていきたいと思います。
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