2021年12月10日

令和3年第4回定例会の最終本会議にて、児童館廃止条例が否決

本議案は、10月に策定された、中野区区有施設整備計画(2021-2030)で、中野区の18館あった児童館を9館に削減するという計画に基づき、来年度に4館(弥生・朝日ヶ丘・新井薬師・大和西)を閉館・廃止とするものでした。

この計画のパフリックコメントや意見交換会では、多くの区民から、また地域団体からも「児童館を存続させてほしい」など多くの意見があったにもかかわらず、耳を貸すことなく、さらには(児童館機能を残してほしいとしていた)大和西児童館の利用者の方たちからの署名付き陳情が委員会での議論の途中でなぜか「取り下げ」されるという中で、廃止条例議案が上程されてしまいました。

さまざまな議論が展開されましたが、納得のいく答弁はなく、12月2日の子ども文教委員会での採決に続き、本会議においても賛成少数で否決されました。


酒井区政を支える立・共が賛成。私たちは反対しました。

私は児童館について、これまでずっと問題点や課題を指摘しつつ、持続可能な観点からの提案も行ってきました。構造改革での財政的な課題も先送りし、子育て支援の地域包括ケアなど施策の全体像がみえないまま施設数を減らすことは看過できません。

というわけで、まだまだ言い足りませんが、次のブログもご参照ください。

児童館廃止条例になぜ反対したのか | 甲田ゆり子 (koudayuriko.com)

ここでは、本会議での我が公明党議員団代表(平山英明幹事長)の反対討論(要旨)を掲載いたします。

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(公明党議員団)

第85号議案「中野区立児童館条例の一部を改正する条例」についての反対討論要旨

  区長は、平成30年に行われた区長選挙において、児童館、区立幼稚園保育園など区立施設の存続を公約に掲げ、中野における子育て環境がどうあるべきか、しっかりと全体像を定めて、それに必要な施設数や配置を考え、区の新しい基本計画で示す、としていた。

子育て世代のニーズや子供を取り巻く環境はここ数年大きく変化をしている。我々も平成30年第1回定例会で当時の区長に対し、「児童館廃止については一旦立ちどまり、区民ニーズを把握しながら、他の子育てサービス及び施設との関係も含めた再検討」を行うべきと求めた。

 

今回の議案に反対する理由は、

 ①子育て支援の全体像が示されることなく、中学校区を単位とするエリアを確定し、先に施設数の決定からスタートしたことである。令和元年第3回定例会では、子どもを対象とした地域包括ケアシステム体制は中学校区を単位とし、新たな児童館は中学校区ごとに1館の配置とすると示された。目指す姿や具体的なサービス等が決まらない中で、何故9館だけ残すと館数を決めたのか理解に苦しむ。利用者目線に立ち、必要な支援に合わせた施設配置の再検討を行うべきである。

 ②次に行政サービスにおける持続可能性の課題である。児童館の行政コストは、人件費が76.8%を占めている。中野区構造改革実行プログラムでは、今後3年間の中で児童館の運営形態検討が行われる。それまでの間は、当初は直営か委託かは未定としていたが、結局、児童館職員を集約して運営を行うこととした。区有施設整備計画に基づき、施設の集約・複合化、転用を進めるとしているものの、複合化、転用については具体的なことは決まっていない。今後の施設の維持管理や運営形態が定まらなければ、9館への集約が最適かどうかの判断はつかないのではないか。ほぼ同様のコストが今後3年間発生するのであれば、急いで現行の児童館を閉館し集約を図るのではなく、構造改革での検討の推移をみて再検討すべきと考える。

 ③最後に区長の政治姿勢の根幹である「区民の声を聴く」ことが十分に行われなかったことである。 コロナ禍で説明会や意見交換会は制限され、行われたとしても安心して区民が参加できる状況にあったとは思えない。このことは取り下げとなった、大和西児童館にまつわる2つの陳情でも述べられていた。また、閉館となるとされた児童館の利用者や近隣地域の方々の中からも「コロナ禍で、要望や陳情を取りまとめて区に提案・提出する余裕がなかった」、「部長や課長が説明をしに来られたが、"納得させられてしまった感"がある」などの声を聴いており、意見を言えなかった方や未だに閉館予定を知らない方が多く存在している。

 

中野区区有施設整備計画(案)に係るパブリック・コメント手続きの実施結果によると、提出された意見の種類は全体で54件、そのうち児童館や学童クラブにまつわる意見は18件と圧倒的。また18件のうち半分は児童館を9館に減らすことに反対するもの、もうすこし丁寧な説明と意見の場を望むもの、児童館への学童クラブ設置を望むものなど、現在の計画案でそのまま進むことへの反対意見であった。

 児童館は、子どもたちの大切な居場所であり、地域の皆さんにとっても子育て支援の重要な活動の場でもある。その子どもたちや子育てをする方たちの声を聴かず、一方的な数ありきの計画を打ち出すことが、本当に子育て先進区を標榜する区長のすることか。わが会派としては理解できない。

再編ありきで新しい児童館をつくることにとらわれ、中野の子どもたちの未来のために区長が何をしたいのか、何をなすべきなのかを見失っているように見える。区長が描く子育て支援の全体像が示され、その実現のための具体的な児童館の機能と配置が明確になっていく過程で、我々も地域の声を踏まえながら議論していくものと思っていたが、施設数が先行する真逆の議論で進められたこと等、新たな機能を備えた児童館を含む子育て支援施設の再配置計画は、その内容と決定に至るプロセスにいくつもの問題がある。区長は、同じく公約に「形骸化した自治基本条例を区民参加で再生」を掲げていた。その真意を一般質問で尋ねたところ「(これまで)政策に反映された区民の声がわずかであったと考えている。これは、パブリック・コメント、意見交換会によって変更したものの数がわずかであったということを指し示していると考える。」と答えていた。

今回の区有施設整備計画策定の段階で同計画(案)から大きく変更となったのは、区役所新庁舎に生活保護課を入れないとした決定を改めたことだ。その理由は議会での議論とパブリック・コメントへ寄せられた意見を踏まえてとしている。ちなみに生活保護課の庁外移転に関する意見の種類は3件。(もちろんこれはあくまで意見の種類であり、実際に寄せられた意見の数ではないことは承知をしていますが) それと同様に議会でも再検討を求める議論が多くあり、最も多様な意見が寄せられた児童館をはじめとする子育て支援施設の配置について、立ち止まり再検討がなされないことは、区長が言われた、「形骸化した自治基本条例」の姿そのものではないのか。

時代や区民ニーズに合ったより良い子育て施設の再編は必要である。しかしながら、基本計画等、子育て支援施設整備のベースとなるべき計画の策定が大幅に遅れたこと、また、コロナ禍の影響により計画策定段階での区民への周知や意見聴取が十分とは言えないことを踏まえると、急ぎ転換を進めることの必要性が見当たらない。

今一度区長の政治姿勢である「区民の声を聴く」との原点に立ち返り、再検討を行われるべきであることを強く求め、本議案への反対討論とする。

 

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