2026年8月1日に開催した「女性の元気応援フォーラム in 中野」。
開催直後のブログでは、会場の様子や参加者の皆さんから寄せられた感想を中心にご報告しました。
▶前回の開催報告はこちら
https://koudayuriko.com/2026/08/in.html
今回は、当日の動画と会議録を改めて振り返り、一般社団法人ラブテリ代表・細川モモ先生の講演で語られた内容と、今後、中野区の政策にどのようにつなげていきたいのかを、記録として詳しく残しておきたいと思います。
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■女性の生涯にわたる健康支援を中野区で
私が細川モモ先生と初めてお会いしたのは、2025年3月です。
中野駅南口の「こどもデパート」内にある、産後の親子を支えるサロンの取組について、お話を伺ったことが始まりでした。
お話を聞く中で、細川先生の活動は、健康に関する知識を伝えるだけではなく、体組成、骨密度、貧血などを実際に測り、自分の身体の状態を知ることで、健康に関心がなかった方にも行動を促す取組であることが分かりました。
これは、私が以前から必要性を訴えてきた「女性の生涯にわたる切れ目のない健康支援」に、まさに通じるものです。
そこで、区にも細川先生をおつなぎし、これまでに区役所でのおやこ保健室という健康イベントや、区内事業所で働く女性を対象とした健康支援、区の健康経営の取り組みにもつながりました。
今回のフォーラムも、女性の健康課題を多くの皆さんと共有し、中野区での今後の取組につなげたいとの思いで企画しました。
■日本女性の「やせ」と低栄養
講演で最初に示された大きな課題の一つが、若い女性の「やせ」です。
細川先生からは、日本の20代、30代女性では、約5~6人に1人がやせの状態にあるとの説明がありました。
やせや低栄養は、単に体重が少ないという問題ではありません。
月経不順や無月経、低体温、貧血、低骨密度などにつながる可能性があり、将来の妊娠・出産や、生まれてくる子どもの健康にも影響を及ぼすことがあります。
一方で、SNSなどでは、食事を抜くダイエットや極端な食事制限に関する情報が数多く発信されています。
しかし、もともと若い女性のやせが多い日本では、海外や男性を基準とした健康法を、そのまま女性に当てはめることには注意が必要です。
「誰が、どのような根拠に基づいて発信している情報なのかを確認してほしい」とのお話もありました。
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■女子の貧血は、学校生活にも関わる問題
特に心に残ったのが、思春期の女子と貧血についてのお話です。
月経が始まると、毎月、身体から鉄が失われるようになります。
鉄不足や貧血は、疲れやすさだけでなく、集中力や持久力の低下、イライラ、気分の落ち込み、朝起きられないなど、学業やスポーツ、日常生活にも影響する可能性があります。
それにもかかわらず、本人や周囲が、
「やる気がない」
「怠けている」
「思春期だから仕方がない」
と受け止めてしまうこともあります。
講演では、血液中のヘモグロビン濃度と学業成績との関連や、朝起きられず学校に行けなくなる状態と貧血との関連も指摘されました。
月経が始まった女子にとって、貧血は一部の人だけの問題ではありません。
自分の身体の状態を知り、必要に応じて食生活の改善や受診につなげることが大切です。
中野区では、中学校で一部の学年を対象に貧血検査を行っています。
しかし、検査を受ける機会や、その結果を健康教育につなげる取組については、さらに充実させる余地があると考えます。
「朝起きられない」「集中できない」という状態を、本人の努力不足だけで片づけないためにも、学校、学校医、養護教諭、栄養教諭、保健所、医師会等が連携し、思春期の貧血や低栄養について考える必要があります。
■骨粗しょう症対策は10代から
骨粗しょう症というと、高齢者や閉経後の女性の問題と思われがちです。
しかし、骨量は18歳から20歳前後にピークを迎え、その後は年齢とともに低下していきます。
つまり、高齢になってから対策を始めるだけではなく、10代、20代のうちに、どれだけ骨量を高められるかが重要です。
講演では、骨の健康には、カルシウムだけでなく、
・カルシウムの吸収を助けるビタミンD
・骨に刺激を与える運動
・十分な睡眠
・適正な体重の維持
を組み合わせることが必要だと教えていただきました。
若い時期には、将来に備えて骨量をできるだけ高める。
30代以降は、急激に低下させず、できるだけ横ばいを保つ。
年代によって目標が異なるという説明も、大変分かりやすいものでした。
忙しくて運動時間が取れない場合でも、階段を使う、電車では立つ、歯磨きをしながらかかと落としをするなど、生活の中で骨に刺激を与える方法があります。
中野区医師会からも骨粗しょう症検診の実施を求める要望が出ています。
40歳以降の女性を対象とした検診に加えて、10代、20代の若い世代が骨密度を測り、自分の骨の状態を知る機会をつくることも、将来の骨折や介護予防につながる取組だと考えます。
■女性が最も忙しい時期と、健康課題が重なる
40代、50代の女性は、更年期による変化に加え、貧血や睡眠不足などを抱えやすい時期です。
その一方で、職場では責任ある立場を任され、家庭では子育てや子どもの受験、親の介護などが重なります。
人生の中でも特に忙しく、身体がつらい時期に、多くの役割を担っているのです。
ところが、現在の職場の健康診断や保健指導は、メタボリックシンドロームなどへの対応が中心です。
女性に多い貧血や低骨密度、更年期の不調などは、健診で数値が示されても、十分な説明や支援につながらない場合があります。
女性活躍を進めるのであれば、「もっと働いてほしい」と求めるだけでなく、女性が健康に働き続けられる環境を整える必要があります。
区役所をはじめ、区内事業所における健康経営にも、女性の健康という視点を、より明確に位置づけるべきだと感じました。
■物価高が栄養状態にも影響
講演では、物価高と栄養の問題にも触れられました。
物価が上昇する中、魚、卵、野菜、乳製品などの購入量が減り、インスタント食品、冷凍食品、弁当などが増える傾向があるとのことです。
時間的にも経済的にも余裕がないと、栄養価よりも、安く、早く、おなかを満たせる食品を選ばざるを得ない場合があります。
特に、妊娠前や妊娠中の女性、成長期の子どもの栄養状態は、本人だけでなく、次の世代の健康にも関係します。
健康づくりを個人の努力だけに任せるのではなく、物価高の中でも必要な栄養を取れる食環境を整えることが、自治体の課題になっていると感じます。
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■「女性健康推進都市」という構想
細川先生からは、「女性健康推進都市」という構想も紹介されました。
学校、自治体、企業、医療機関、商業施設、図書館などが連携し、街の身近な場所で、体組成、骨密度、貧血などを測定できる環境をつくります。
測定して終わるのではなく、本人の年代、生活状況、所得や働き方などに応じた健康教育や相談を行い、必要な場合は医療につなげます。
思春期、妊娠・出産期、更年期、高齢期など、どの年代にあっても、身近な場所で自分の身体の状態を確認できる「街の保健室」のような仕組みです。
さらに、
・学校での健康教育と測定
・企業における女性の健康を重視した健康経営
・医療機関への適切な接続
・店舗での栄養強化メニュー
・地域通貨を活用した健康行動への支援
・測定データを政策改善につなげるEBPM
など、地域全体で女性の健康を支える仕組みが提案されました。
細川先生からは、中野区が23区に先駆けて実装することへの期待も示されました。
■健康情報を伝えるだけでは届かない
健康講座や広報紙などで情報を発信しても、もともと健康に関心がある方にしか届かないことがあります。
今回の講演で重要だと感じたのは、「自分の身体を実際に測る」という入口です。
骨密度や貧血、体組成などを測り、自分の数値として示されることで、初めて健康を自分事として考えられる方もいます。
さらに、測定結果に応じて、
「何を食べればよいか」
「どのような運動なら続けられるか」
「医療機関を受診した方がよいか」
など、具体的な助言を受けることができれば、行動変容にもつながります。
健康に関心がある人だけが参加する場ではなく、駅、商業施設、図書館、学校、職場など、日常生活の中で自然に立ち寄れる場所に健康支援を届けることが必要です。
■中野区で何から始めるのか
中野区には、学校保健、妊産婦支援、がん検診、健康づくり、男女共同参画、就労支援、健康経営、介護予防など、女性の健康に関係する取組がすでにあります。
しかし、それぞれが年代や担当部署ごとに分かれ、女性の生涯を通じた一つの政策としては、まだ十分につながっていません。
新しい事業を一度に数多く始めるのではなく、まずは、現在の取組を「女性の生涯にわたる健康」という視点で棚卸しすることが必要です。
その上で、
・どの年代に、どのような支援があるのか
・支援が届いていない年代や層はどこか
・同じような事業が重なっていないか
・学校、職場、地域、医療の連携が途切れていないか
・施策の効果をどのような指標で確認するか
を整理し、段階的に取組を進めるべきだと考えます。
具体的には、
・学校における貧血、やせ、月経、骨の健康に関する教育
・中高生や若い女性を対象とした貧血、骨密度等の簡易測定
・区役所や区内事業所における女性の健康を重視した健康経営
・駅や商業施設等での「街の保健室」
・測定や相談から得られた匿名データの分析
・分析結果に基づく事業や対象要件の見直し
などが考えられます。
■女性の健康は社会の基盤
女性の健康は、女性だけの問題ではありません。
女性が健康でいられることは、学業や就労の継続、妊娠・出産、子どもの健康、家族の生活、介護予防、医療費、地域経済にもつながります。
女性の健康を「自分で何とかするもの」「女性だから仕方がないもの」にしてはいけません。
学校、職場、医療、地域、行政がともに支える社会の基盤として、整えていく必要があります。
若い人たちが、自分の健康を犠牲にせず、希望する学びや仕事、将来を選べる中野区にしたい。
そして、どの年代の女性も、必要な時に自分の身体を知り、相談や支援につながることができる中野区にしたい。
今回のフォーラムで学んだことを一過性のイベントで終わらせず、中野区の具体的な政策として形にできるよう、引き続き取り組んでまいります。
当日の講演は、細川モモ先生のご了承をいただき、YouTubeで限定公開しています。
▶当日の講演動画はこちら
https://youtube.com/live/EsePnDO_9bY?feature=share









